フランチャイズの葬儀社の初期費用・難点と失敗を避けるコツも解説
高齢化により、葬儀社の需要は底堅い状況にあります。景気に関係なく、葬儀はいつの時代も行われる事情もあります。
この状況にて、葬儀業を自ら営みたい人も増えてきています。コンピュータを使った方法にて、数名で独立して効率的に稼働していきたい人もいます。
一方で葬儀業は、機械的にただ業務をこなすだけでは務まらない、容易ではない業種です。
ですがフランチャイズの方法で、葬儀業に求められる変化に対応できやすいなど、経営を維持して繁盛させやすい方法もあります。
今回はフランチャイズと葬儀社について、コロナの葬儀業界への影響や、フランチャイズで開業するメリットなどに触れながら解説します。
目次
フランチャイズの葬儀社の年収
フランチャイズの葬儀社年収は、標準的に500万円程度ともいわれています。
そしてリーズナブル費用の葬儀だけでなく、高度なテクニックを要する花祭壇葬などもこなせると、600万円以上を目指すことも可能です。
また2店舗目以降を実現でき、複数の介護事業所などの事業所を顧客にもつと、1,000万円超の経営者もいます。
高収入を目指すためには、以下のような点を心がけるとよいでしょう。
- リーズナブル費用の家族葬や自宅葬を、効率的に複数こなしていく
- 高度な、花祭壇葬もできるようになる
- インターネットやコンピュータを使った、業務の自動化を上手に使う
- 生前整理などの事業も、視野に入れていく
- 病院や介護事業所などへ、節度と慎重さをもって営業する
- 会社のお別れ会などもこなせるよう、集客努力をする
初期費用とロイヤリティなどの費用
(1)初期費用
初期費用として一般的に、300~400万円程度は要します。そして本格的に新しい建物を建てると、1,000万円程度や1,000万円以上かかる時もあります。
一方で土地や建物が最初からあると、100万円程度の時もあります。
また自宅開業にすると、数十万円程度もあります。加盟者の初期必要準備金は、融資の活用などによって変わってきます。
【初期費用内訳】
- 加盟費
- 研修費
- 土地取得費
- 会館建設費
- パソコンなど道具準備費
- 葬儀必要物品準備費 など
(2)ロイヤリティ
変動制:売上の3%ほど
定額制:月額3~10万円程となっています。
ロイヤリティは、ゼロや軌道に乗るまではゼロのところもあります。そしてロイヤリティに加え、システム使用料が月額3万円ほど要するところもあります。
葬儀業界の特徴
葬儀業界には、次のような特徴があります。
(1)葬儀費用の目安
葬儀費用として全国平均では、200万円程度の数値もあります。
そして葬儀費用は地方によって異なり、安価なケースでは北海道地方の150万円程度、高いケースでは中部地方の250万円程度のアンケートデータもあります。
(2)葬儀一式費用の内訳
葬儀費用には、次のような内訳があります。
①施設利用料
- 会場使用料
- 音響と照明設備費 など
②葬祭道具
- 枕飾り
- 祭壇
- 棺
- 白木位牌
- 遺影写真
- 焼香台 など
③人件費
- 通夜と葬儀の進行担当費
- 遺体搬送費
- 各種運営スタッフ費
(3)参入が難しくはない
許認可や絶対的に必要な資格があるわけではないので、参入が難しくはありません。
地方部では地元の病院や宗教施設などと関係が強く、風習などにも慣れている、老舗の葬儀社が強い傾向もあります。
コロナの葬儀業界への影響
葬儀業界には、コロナにより次のような影響があります。
(1)葬儀の規模の変化
葬儀には直葬と家族葬、そして一般葬があります。
葬儀社にとって最も利益になりやすいのは、一般葬です。
一般葬では家族や親戚だけでなく、仕事上で関わりのあった人など、さまざまな人が参列します。人数としては、30~100名以下程度の傾向です。
また、会社の重役が亡くなった時などに行われる社葬もあります。
社葬は多いケースでは、参列者1000人程度の時もあります。
政治家や芸能人などの著名人が亡くなり、葬儀が大規模になることも社葬の例です。
一般葬や社葬では、料理と返礼品が多くなります。この料理と返礼品で支払われる費用も葬儀社の利益には重要です。
さて今日本中でコロナが社会現象となり、人が密集した状態を避けるよう呼びかけられています。
このコロナ対策により、人が多数集まる一般葬が避けられる傾向もあります。
よって料理と返礼品で利益を上げている葬儀社としては、今までと異なる対応方法が必要となります。
例えば会社存続のために、家族葬の数を今まで以上にこなす必要もあります。
このためにはターゲット対象エリアを広げたり、他葬儀会社と統合したりする方法もあります。
(2)外注先の減少
一般葬が減ると、料理や返礼品など、葬儀に必要な物品の調達先や外注先も減ってきます。
一方でこれらの物品が、全く不必要になるわけではありません。よって、今までとは違う調達先や外注先を探す必要もあります。
(3)段取のオートメーション化
葬儀会社は、複数種で多数量の葬儀物品を使います。
よって葬儀物品の手配と連絡には、意外と時間を要します。すべての物品を、同じ業者から調達するわけではない事情もあります。
昔からの葬儀物品業者には、1つ1つのやり取りに電話やFAX連絡を要するところもあります。
葬儀会社が、今までのように新しい従業員を雇う余裕がなければ、物品手配などをインターネットで簡素化できる方法の模索も必要です。
(4)他事業への取り組み
今高齢者の生前整理や、孤独死した人の遺品整理業の需要も増してきています。
家族や親戚は存在するものの、遠方在住により生前整理になかなか手がつかない事情もあります。
葬儀社としては、生前整理や遺品整理を請け負って、そのまま葬儀を請け負う形もあります。
依頼する方としては、生前整理や遺品整理と葬儀を同時に頼めると依頼しやすいです。
フランチャイズによる葬儀社の開業手順
(1)フランチャイズ事業理解
まず本部と連絡を取り、説明会への出席や本部のスタッフ訪問にて、フランチャイズ葬儀ビジネスについて理解します。
(2)エリア診断
加盟希望者が想定している葬儀業エリアについて、本部が需要診断をします。
(3)加盟申込
エリア診断をはじめとした、ビジネス内容や方針で合意すれば、加盟申込となります。そして契約締結と同時に、土地取得手続きをするところもあります。
(4)会館建設
設計や建築確認申請などをして、会館建設へ着手となります。
(5)講習
参入に当たり、必ずしも最初から葬儀業の業務要領を得ている必要はありません。本部が充実した葬儀業講習を、実施するところもあります。
(6)必要物品段取
花など葬儀に必要な物品について、まず取扱業者を選定します。そして、物品についても詳細に選定します。
(7)物品購入
葬儀に必要な物品はもちろん、会館全体に必要な物品も調達します。葬儀業開業のために、物理的準備はほぼ完了となります。
(8)営業活動開始
会館オープンに先立って、営業活動が始まります。葬儀業の営業に慣れていなくても、本部のスタッフが同行するところもあります。
(9)会館オープン
(1)~(8)の段階を経てオープンし、葬儀業務開始となります。
フランチャイズで葬儀社を開業するメリット
フランチャイズの葬儀社には、次のようなメリットがあります。
(1)会館建設プラン作成
葬儀業の建物建設についてはまず「どのような部屋がいくつ必要なのか」など、複数の要考慮設計事項があります。
一方で数を多くしたり、部屋を大きくしたりすればするほど、初期費用の建設費用は高くなります。
ですがフランチャイズでは、無駄のない建設プランを提案します。既存建物のガソリンスタンドなどを、改修する時もあります。
(2)オリジナルの管理システム
少人数での運営には、コンピュータとインターネットを使った方法が不可欠です。
フランチャイズでは、本部が顧客管理や葬儀運営のためのオリジナルシステムをもっているところもあります。
よって、スムーズに業務を進めやすい傾向もあります。
(3)葬儀内容アドバイス
葬儀はただ機械的に、葬儀を営めばよいわけではありません。
「感動的な葬儀をしてもらえてよかったね」と、思ってもらえる必要があります。
このためには葬儀内容イメージはもちろん、綿密な段取も重要です。
フランチャイズでは、イメージ作りから段取りまでアドバイスをするところもあります。
(4)顧客への提案内容を提供
葬儀をして頂くには、まず魅力的な葬儀プランの説明が必要です。
一方で魅力的な葬儀プランや内訳作成は、容易ではありません。
葬儀内容考案はもちろん、費用について納得できるように、明瞭に説明する必要もあります。
オープン当初では、なおさら難しいです。ですがフランチャイズでは、顧客への提案内容を準備しているところもあります。
(5)葬儀業界への変化に対応する
葬儀業界では、需要が一般葬から家族葬へ動いてきている流れもあります。
よって、この変化に対応していく必要もあります。
例えば業務の進め方や事業対象エリアなどを、どのように調整していくのかのことです。
フランチャイズでは、情報収集力や経営に関するさまざまな知識などによって、変化への対応方法をアドバイスします。
(6)葬儀業未経験者も可能
葬儀企画面や葬儀進行面など、本部がさまざまな角度からサポートをするところもあります。
よって葬儀業未経験であっても、個人はもちろん法人の新規事業として、参入可能なケースもあります。
(7)花祭壇ノウハウの提供
今ただ単に多くの花を敷き詰めるのではなく、花を使った芸術品のような祭壇を作る花祭壇も普及してきています。
政治家や芸能人のような著名人の葬儀の時にある、豪華な祭壇のことです。
一方でこの花祭壇は、費用が高く一般的には避けられていました。
ですがフランチャイズでは生け花業界の協力により、花祭壇をリーズナブルな費用でできるところもあります。顧客への、アピールポイントといえます。
(8)葬儀代行サービス
人材が足りない時に葬儀問い合わせがあって断ると、せっかくの顧客と仕事を逃してしまいます。こうならないように、本部が葬儀代行をするところもあります。
(9)参列者の情報管理
葬儀では多くの参列者が、名前や住所などを記帳することもあります。
そして何らかのはずみで、名前や住所などの情報が流出する懸念もあります。
ですがフランチャイズでは葬儀プランによっては、本部の専門スタッフが情報管理をするところもあります。
(10)本部の営業支援
慣れないうちは、なかなか上手な営業活動をできにくいこともあります。
上記でも記していますが、本部スタッフが営業に同行するところもあります。加盟者側としては、心強いです。
フランチャイズで葬儀社を開業するデメリット
フランチャイズの葬儀社には、次のようなデメリットもあります
(1)変化への対応を受け入れられるか否か
フランチャイズビジネスでは基本的に、本部が方針をもっている傾向もあります。
一方で葬儀内容は時代によっても変わり、そして地域によって変わることもあります。
この状況で、加盟者はニーズに対応していく必要があります。ですが加盟者なりに考えた内容が、本部に快諾されなと不便点になります。
(2)葬儀業者のノウハウを活かせるか否か
元々葬儀業者でありながら、フランチャイズ葬儀会社の力を借りようとして、加盟したり加盟を希望しようとしたりするとします。
そしてこのようなケースでは、設備などをはじめとした、元々もっているノウハウを活かしたい傾向もあります。
一方でこの考え方を承認されないと、加盟に時間がかかったり加盟そのものがうまくいかなくなったりする、可能性もあります。
(3)契約事項の順守
フランチャイズでは、本部加盟者間で契約を結びます。
契約書の内容は、自営業に初挑戦のケースでは、ゆくゆくどのような影響が生じる可能性があるのか、予見できにくいです。
例えば外注先に関する文言では、不都合が生じる可能性もあります。できれば自営業経験者の人などにも、みてもらいたいものです。
葬儀社の難点と失敗を避けるコツ
葬儀社には、次のような難点もあります。
(1)初期の方針見極め
葬儀業界では需要が、一般葬から家族葬へ変化してきている流れはあります。
一方で、一般葬の需要が無いわけではありません。
よって一般葬と家族葬の仕事をどの程度の割合で取って、売上にできそうか初期の方針を、本部とも時間をかけて話し合う必要があります。
(2)高精度な見積
避けたいトラブルとして、顧客のイメージと葬儀社側の意図が合致せず、見積や実際の請求額に誤差が生じることです。
冠婚葬祭の互助会が関わる時にも、起きる傾向もあります。
この事態を避けるために、電話連絡や印刷形式などで顧客へ示す見積について、文面や数値を高精度にする必要があります。
文面や数値表現方法については、誤解が生じにくい方法を本部とも相談しておくことがおすすめといえます。
(3)自宅葬の対応
今普及している形式で、自宅葬もあります。自宅葬は、手軽な感じがする人もいるでしょう。
一方で自宅葬にも、懸念事項はあります。まず会場作りです。部屋のスペースや参列する人の人数に合わせた、祭壇を準備する必要もあります。
そして自宅葬とはいえ、車の出入りが多い時もあります。少人数運営であっても、交通誘導に人員を割くなどの気遣いも必要です。
(4)営業のかけ方
加盟者自身の、集客努力も大切です。葬儀社の営業先として、病院や介護事業所などがあります。
営業をかけるといっても、葬儀という厳かな人の死に関わる儀式をサービスとして承るわけです。
営業のアピール感が出過ぎる行動は慎み、礼節と慎重さを考慮した行動が大切です。
(5)近隣の理解を得る
葬儀会館が近くにできる情報が広まると、クレームも少なくありません。
「何となく気味が悪い、夜うるさそう」などと、思われる事情もあります。
一方で、葬儀会館の建設を禁止はできません。ですが作る側も、民家から100メール程度は離れた場所に作るなど、理解を得る措置は重要です。
(6)葬儀費用と相続税
実は葬儀費用に、相続税が関わる時もあります。つまり葬儀費用が、相続税の控除対象になることがあります。
一方で葬儀に関わった費用すべてが、必ず相続税の控除対象になるわけではありません。
よって仮に顧客が、葬儀費用を相続財産から支払うケースでは、念のため本部や士業家への相談もおすすめといえます。
(7)法人顧客への連絡
病院や介護事業所を、レギュラーの顧客として抱えているとします。
そして葬儀社の、葬儀プランや葬儀サービスは、変わったり改良したりすることもあります。
このような時には簡単なチラシを持参するなど、こまめなお知らせ連絡も効果的です。
(8)宗派に合った僧侶手配
顧客によっては、あまり知られていない宗教や宗派の可能性もあります。
このようなケースで「おそらくこの僧侶であろう」と思い込み、見切り発車で手配することは要注意です。
もし違っていたら顧客から「バカにしているのか」と、クレームにつながる可能性もあります。
(9)霊柩車の許可
霊柩車を自社所有するケースでは、運輸支局への申請と許可取得が必要です。
許可取得には3~4か月程度要することもあるので、考慮しておきたいものです。
(10)エンバーミングとのかかわり
エンバーミングをすることもあります。
業務が立て込んでくると、スケジュール調整や人員手配調整も複雑になります。
そして、エンバーミングに時間がかかる時もあります。
こうなると、さらにスケジュール調整が難しくなる可能性もあります。
よって顧客やエンバーミング者、そして他スタッフとの、状況やスケジュールについての密な連絡も大切です。
※エンバーミング:遺体に殺菌消毒や防腐処理を施し、遺体をきれいな状況に保つ処置のこと。すべての遺体が、眠ったように安らかで、全体的に和やかな状態というわけではありません。
まとめ
ここまで、フランチャイズと葬儀社について考察してきました。
押さえておきたい点は、フランチャイズ葬儀社の年収や、フランチャイズで開業するメリットです。そして、コロナの葬儀業界への影響もポイントといえます。
葬儀業界は競合が少なくないながらも、オリジナリティがあれば強いです。
組織顧客を大切にして、花祭壇などの高単価葬儀もこなし、感動的な人生最期の儀式を行える葬儀社を実現なさってください。
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