開業資金の融資(借入)

カテゴリー : 独立開業コラム

開業資金

昨今いろいろな業種において、20年前30年前に比べ独立開業という選択をする方が増えてきている風潮があります。ただ独立開業においてネットショップ・ITフリーランスといった一部の業種以外につきましては、基本的に数十万円・100万円程度・数百万円・1千万円程度といった大金が開業資金で必要となってきます。

この大金である開業資金を、融資にて調達しよう考える方が少なくありません。ただこの融資というのはとても複雑で実現が簡単ではありません。そこで今回は独立開業資金につきまして、融資という観点からいろいろなことについて解説します。

融資(借り入れ)にはどんな融資があるの?

(1)親族・友人・知人から借りる

まず借り入れに比較的簡潔なものとして、親族・友人・知人から調達する方法があります。ある程度の話がつけば、担保・審査書類といった手間がかかり複雑なものはなしで調達できるのではと思われます。

(2)銀行や信用金庫などの民間金融機関から借り入れる

事業にて資金を調達するのに、親族・友人・知人からの借り入れなどといった特別な手段がない場合は最も一般的な融資方法の一つではないでしょうか。

(3)日本政策金融公庫

日本政策金融公庫には新たな事業をはじめる方を対象とした、創業支援制度という物があります。民間金融機関では、担保などいくらか制約になるものが緩和される部分もあります。

(4)政府や自治体による起業支援制度

政府や自治体による起業支援制度での助成金や補助金は、原則返済の必要がありませんので正確には融資というより出資です。

(5)ベンチャーキャピタル

ベンチャーキャピタルは今から事業を興す企業・ベンチャー企業といった、高い事業実績を達成し上場するであろうと予想される未上場企業に対して出資する投資会社のことです。上場に対する出資なので、返済の必要はありません。出資者は事業実績で利益が生じた際の、株売却などで見返りを期待します。

(6)クラウドファンディング

クラウドファンディングとは、Web上で多くの方にビジネス内容を説明・説得し資金を集める方法です。

自己資金ありとなしでは融資はどう違うの?

まず自己資金がある程度あれば融資を申請する際に、今の時点でもこれだけ現金で用意できていますよと返済能力についての説得材料になります。そして融資申請可能対象が「今はここしか可能性がないかな」という暗い見通しではなくて、民間金融機関・政府系金融・政府自治体・ベンチャーキャピタル・クラウドファンディングと広がります。選択肢が広がるということは、融資可決の可能性は高まり申請審査必要期間がちょっとでも短くなると予想されます。結果的にちょっとでも効率的に融資金を調達できるというわけです。

民間金融機関の融資制度とは?

(1)都市銀行

都市部に本支店・全国の主要都市に支店をもち、全国展開をしている大規模な金融機関のことで三菱東京UFJ銀行・みずほ銀行などのことです。基本的に大企業を相手に取引を行い、相応の事業規模(年商目安は10億円以上)です。

(2)地銀

字のごとく地方・地域の企業や住民の方のための金融機関です。地域に着眼を取引が基本ではありますが、近年新規顧客を求めて県外進出する地銀の例が少なくありません。株式会社という形の法人なので、株主が存在します。よって株主に利益が還元されるようにという点も考慮して様々な活動がなされます。

(3)信用金庫信用組合

地元の中堅企業・中小企業・個人企業のために取引をするという部分では地銀と同じですが、準拠する法律が地銀とは違い組織体も株式会社ではありません。預金業務・貸付業務・為替業務がもちろんありますが、金融機関の利益より会員の利益が優先されます。

民間金融機関の融資の難しさとは?

(1)将来性より過去の経営実績

融資を申請する側はもちろんある程度「大体これくらい売り上げが上がり、毎月の返済金は少なくとも準備できます」というように説得材料を作って、申請に臨むわけです。ただ基本的に審査する側は「これまでどのような事業でどれほどの実績をあげていらっしゃいますか?決算書はどのような感じでしょうか?」と今までの経営実績を分析し判断する傾向にあります。そしてさらに担保や保証人も求められてきます。

将来性から融資を請える可能性があるといえば極端な例ですが、非常に有名で研究者としての実績が高くノーベル賞を受賞した大学の教授が顧問につく会社・事業といったレベルの話ではないでしょうか。

(2)日常的に接する機会をもてるか否か

融資の打ち合わせや相談などをはじめ、何らかの用で融資担当者・融資担当役職者と日常的に接点をもってコミュニケーションを重ね信用を積んでいくということも求められます。

(3)定期積み金口座などで日頃から貢献する

定期積み金口座を開設して、少額でも定期的に入金してちょっとでも業務に貢献するのも信用を積んでいく手段の一つです。

(4)マイナス情報でもしっかりと伝えておく

開業となると良い部分・いかにも力強い部分のみを伝えておこうという気持ちになりがちですが、良くない部分・弱い部分といったマイナス情報も最初に伝えておいた方が良いです。自分は嘘をついたというつもりではなくても、後々明るみになって融資担当者もこの事実を知ります。

そして嘘をつかれたと解釈されれば信用関係は一気に崩壊し、せっかく融資可決寸前の話でも白紙に戻る高い可能性があります。このように民間金融機関からの融資には非常に高い壁が存在するわけです。これから開業しようと考える方には、上記(3)程度ならできるかもしれませんが特に上記(1)(2)は難しい要素です。仮に医師が独立開業する際に融資をと考えても、ハードルは高いです。

日本政策金融公庫の融資とは?

(1)一般貸付

事業を営む方への一般的な融資。

(2)セーフティーネット貸付

取引金融機関の破綻・売り上げ減少・取引企業などの倒産により資金繰りで困窮している状態への融資。

(3)新企業育成貸付

新たに事業をはじめる・廃業歴があり再度事業をはじめる・事業多角化などで第二創業を始めるなどといった方への融資。

(4)企業活力強化貸付

店舗の新築や増改築・海外展開を目指す・IT設備を強化する・地域の雇用創出を図る事業を行う・訪日外国人観光客に関係した観光事業を行うなどといった方への融資。

(5)環境・エネルギー対策貸付

省エネルギー効果の高い設備を導入する・防火のための整備を行うなどといった方への融資。

(6)企業再生貸付

民事再生法に基づく再生計画の認可などにより再生を図る方への融資。

(7)生活衛生貸付

生活衛生関係の事業を営む方への融資。

(8)そのほか融資

災害からの復興を目指す事業を行おうとする・新たに事業を興すか事業開始後税務申告を2期終えていない方への融資。

以上が日本政策金融公庫融資の大まかな種類ではあります。創業時に利用可能な融資には新規開業資金・女性若者/シニア起業家支援資金・生活衛生新企業育成資金・新創業融資制度・資本性ローンといったものがあります。

日本政策金融公庫の融資の難しさとは?

(1)創業計画書

日本政策金融公庫融資の融資を受けるためには、「創業計画書」というとても重要な書類があります。この創業計画書には創業の動機・事業の経験等・取扱商品とサービス・販売先仕入先・必要な資金・事業の見通しといった必要記入項目があります。以下で特に取扱商品とサービス・販売先仕入先・必要な資金・事業の見通しについて留意事項を幾分か詳しく触れます。

①   取扱商品とサービス

本当に購買需要があるものなのか・他店よりよいものなのか。

②   販売先仕入先

飲食業などの場合、開業場所の立地選択理由。

③   必要な資金

創業時は投資額が過大になりがち・設備は複数の見積りで比較する・最低限必要な設備のみ。

④   事業の見通し

創業開始直後の余裕をみた運転資金の準備(事業が軌道に乗り黒字化するまでには、平均7カ月以上という一般論もあります)・収支計画(客単価×客席数×回転数×営業日数・1平米当たりの売上高×売り場面積・売上原価など)。

(2)最初から大口融資はなかなか難しい

例えばラーメン屋を開業したくて1,000万円必要で、自己資金として300万円あるとします。あと700万円必要となりますが、最初から700万円の融資申請をしてもなかなか可決は難しいのではと予想されます。

初めての融資申請の場合、通常の融資よりも慎重に審議がなされます。このため200万円の融資を申請しても、100万円しか通らなかったという前例も珍しくはありません。よって最初は小口融資から始めて、事業実績・借入実績にて信頼を重ねてから2回目3回目の大口融資につなげるのがポイントといえます。このような理由から開業資金額が大きい事業ほど、それなりの自己資金がないといくら創業を支援する日本政策金融公庫といえど難しいのです。

(3)審査担当者がプレゼンしやすい準備・サポートを行う

融資申請者が主に顔を合わせやり取りするのは、融資窓口担当者です。ただ融資決定権をもつのは担当者ではなく上司で、融資窓口担当者は上司へ申請者の融資が実現するように頑張って説得しようと臨むのです。この融資窓口担当者が上司の方を説得しやすいよう、事業計画書・資金使途・決算書などを入念に作成しかつその他留意点を予め説明しておく必要があります。書類などの物理的準備などが難しく、融資窓口担当者も多忙ですので難点の一つになります。

(4)審査期間

公庫の融資審査は基本的に1~2か月程度を要します。よって相当前からある程度細かなことまで考えて、いろいろ行動し準備しておくのが重要となります。

政府や自治体による融資・起業支援とその難しさとは?

政府や自治体による補助金や助成金は返済不要であっても、受給が半年度1年後ということもある基本的に後払いという点を考慮しておくのが必要です。そして採択率(採用率)が数%という狭き門のものもあり、また金額が100万円以内200万円以内など厳しい上限のものもあります。このような状況では仮に自己資金がほぼないとすれば、1,000万円程度かかるような事業実現は程遠くなります。

まとめ

上記のように融資(借り入れ)で開業資金を調達するのは、容易でない段取りとなります。特に民間金融機関からの融資調達は非常に困難が予想されます。創業支援のある日本政策金融公庫の融資も簡単ではなさそうですが、日本政策金融公庫の創業支援融資はまだ可能性が高そうです。独立開業を目指す皆さん、日本政策金融公庫の創業支援融資や民間金融機関からの融資で思いを実現させてください。


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