フランチャイズの害虫駆除業の初期費用・難点と失敗を避けるコツも解説
食品への虫や異物混入問題により、飲食業にはより一層の衛生管理が求められています。
そしてマンションや一戸建て建物にも、シロアリなどへの害虫駆除需要が底堅く存在します。
この害虫対策が重要な状況で、当然ながら害虫駆除業者も重宝されています。
また害虫駆除業の活躍の場が大きい中で、独立して害虫駆除業を営んだり、自社の新事業として導入を目指したりする事業所も増加傾向にあります。
一方で害虫駆除業においては、高度な施工技術が必要など、運営がそう容易には進みにくい業種です。
ですがフランチャイズ加盟独立によって、高度な知識や施工技術を直接学べるところもあるなど、運営を進めやすくなる方法もあります。
今回はフランチャイズと害虫駆除業について、害虫駆除の業務内容と、フランチャイズで開業するメリットなどに触れながら解説します。
目次
フランチャイズの害虫駆除業の収入目安
フランチャイズの害虫駆除業経営に参入すると、比較的年収450~500万円に達しやすい傾向にあります。
そしてマンションなどの集合物件大型業務を取得できたり、オオスズメバチ巣駆除などの高難度業務をこなせるようになったりすると、600万円以上を目指すことも可能です。
また商業施設が固定客となり、定期的に大型案件を取得できると、800万円も視野に入ってきます。
高収入を目指すためには、以下のような点を心がけるとよいでしょう。
- シロアリやスズメバチ対策に加え、ハクビシンなどへの対策もできるようになる
- 害虫発生原因を要領よく認識できるよう、経験を重ね本部のアドバイスも聞く
- 連絡は迅速に正確にする
- 異性スタッフの雇用や、育成にも取り組む
- 料金について、顧客と認識違いがないようにする
- 施工箇所の見映えについて、顧客とイメージ共有しクレームを防ぐ
- 施工箇所を破損しないよう、前もって注意点を考慮しておく など
初期費用とロイヤリティなどの費用
(1)初期費用
初期費用として標準的に、100万円程度要する傾向にあります。
そして期間限定にて加盟金をゼロ円にしている分、数十万円に収まる時もあります。
一方で店舗を新たに設けたり、オリジナルの業務進行システムを導入したりするケースでは、200~300万円程度要する時もあります。
【初期費用内訳】
- 加盟費
- 保証費
- 研修費
- 店舗準備費
- 道具調達費
- 初期薬剤調達費 など
(2)ロイヤリティ
変動型:12~15%程となっています。
月額定額制:10,000~25,000円程度となっています。
ロイヤリティに加え、広告分担金2万円程度や店舗業務システム利用料2万円程度がかかるところもあります。
害虫駆除の業界特徴
害虫駆除業には、次のような業界特徴があります。
(1)市場規模と注目トピック
害虫駆除業界ではここ2・3年にて、売上高として前年比102%程度の数値もある拡充業界です。
そして2018年6月成立の食品衛生法改正で、HACCPによる衛生管理の必要性が生じました。
食品への異物や虫などの、混入問題が相次いだ要因もあります。
つまりさまざまな飲食事業者が、今まで以上に衛生管理を高精度にする必要性が生じたわけです。
一方で飲食事業者自身による衛生管理措置では、想定したほど高精度にできにくい傾向もあります。
よって飲食店対象などのケースに対し、プロの害虫駆除業者の技術が必要になります。
HACCP: Hazard Analysis Critical Control Pointの頭文字をとっていて、食品製造における安全性確保の管理方法の意味合いです。
Hazard:危害 Analysis:分析 Critical:重要、必須 Control:管理 Point:点
(2)将来展望
飲食業の衛生面強化や建物の強度補強意識により、シロアリ対策などをはじめとした、業務内容は重宝されます。
このように、害虫駆除業の需要は存在し続けると想定できます。
害虫駆除の業務内容
害虫駆除には、次のような業務内容があります。
(1)害虫駆除防除業務
①対象害虫
- ネズミ
- ゴキブリ
- ダニ
- ノミ など
②措置方法
薬剤散布法:薬剤を散布する措置で、シロアリ駆除に対し一般的に用いられる方法です。
空間噴霧処理:細かい粒子の駆除剤を、空間全体に噴霧します。細かい部分に対しても一様に浸透していくので、効率的です。25μ以下の粒子径もあります。
フェロモントラップ施工:虫が惹かれる香りを化学物質によって作り出し、トラップで捕まえる方法です。
IPM施工:化学的方法や生物的方法など、複数の方法を合わせた方法となります。
IPM: Integrated Pest Management
Integrated:統合 Pest:害虫 Management:管理
(2)鳥獣による害対策業務
①対象害虫
- カラス
- コウモリ
- イタチ
②措置方法
ネット施工:ネットを張って、鳥獣の侵入を防ぐ方法です。
侵入口封鎖工事:排気口などに板状の物体を設置し、鳥獣の侵入を防ぐ方法です。
忌避施工:ゴキブリやネズミなどが苦手とする臭いや味のする薬剤を塗って、害虫が寄りにくいようにします。
(3)住宅環境施工業務
①対象害虫
- イエシロアリ
- アメリカカンザイシロアリ
- ダイコクシロアリ
床下カビ対策も対象となります。
②措置方法
土壌処理:床下土壌からのシロアリ侵入を防ぐため、床下土壌に薬剤を散布して壁を作ります。
木部処理:床下の柱にドリルで穴をあけて特殊な薬剤を注入して、木材表面にも薬剤を噴射します。そして、シロアリの生息や繁殖を防ぎます。
上回り処理:床下土壌や木材への施工で十分でないと想定するケースでは、タイルなどにも措置をします。例えばタイルに穴を空け、薬剤を注入します。
上記措置方法は、措置方法の一部です。
フランチャイズによる害虫駆除業の開業手順
(1)問い合わせ
まず本部へメールや電話などで、最初の問い合わせをします。
(2)業務説明
業務内容やフランチャイズビジネス進行方法について、総合的な説明があります。加盟方法などは特に大切なので、早いうちに理解できておきたいものです。
(3)面談
現状生活状況や希望仕事量など、加盟に向けて具体的に話し合います。特に経費支払いのことについては、詳細に入念に話し合っておくことがおすすめといえます。
(4)加盟
本部加盟希望者双方が同意するケースでは、話が加盟へと移ります。契約書には、注意深く目を通しておく必要もあります。
(5)研修
業務開始前に、研修をするところもあります。害虫駆除に関する理屈だけでなく、実際の施工現場へ同行できる時もあり非常に参考になります。
(6)道具準備
害虫駆除業開始のために、道具をそろえます。
(7)開業
(1)~(6)の開業プロセスを経て、害虫駆除業務開始となります。
フランチャイズで害虫駆除業を開業するメリット
フランチャイズの害虫駆除業には、次のようなメリットがあります。
(1)殺虫剤に大きくは依存しない施工技術
効力の大きな殺虫剤を大きく噴射するだけでなく、特殊な薬剤を柱などに注入する方法のところもあります。
つまり建物の環境そのものに措置を施し、施工後の安全性にも配慮している方法です。
そして、ゴキブリ駆除率99%の数値例もあります。
よって効果面安全面双方からみて、集客できやすいです。
(2)メディア掲載実績による集客力
書籍出版や経済紙掲載などにより、認知度が大きく上がってきているところもあります。
そして施工者不足により、キャンセル待ちの状況もあります。
よって最初の顧客を、比較的得やすい傾向もあります。
(3)高いリピート率
ビジネス一般に収益確保のためには、リピーター獲得が重要ながら容易ではありません。
ですがフランチャイズでは、95%以上のリピート率を維持しているところもあります。
よってストックビジネスになりやすく、加盟者としては大きな魅力点の1つといえます。
ストックビジネス:持続的にサービスや商品を提供することで、継続した収益確保を見込めるビジネスのこと。
(4)社員独立支援制度
フランチャイズビジネス含め起業一般に、事業がうまくいくかどうかわからない状況での、初期費用支払いに抵抗がある人は少なくありません。
ですがフランチャイズの害虫駆除業では、最短12か月間営業や施工の修行をしてから独立可能な時もあります。
しかもこの12か月間には、給与をもらえるところもあります。
よって加盟希望者としては、加盟と起業に対し前向きになりやすいです。
(5)既存ビジネスを活かせる
現状仮にハウスクリーニング業など、害虫駆除業に関連するような事業を営んでいるとします。
このようなケースでは研修で害虫駆除技術を学び、自社の新規事業として導入可能なところもあります。
現状顧客に害虫駆除を必要としている人がいれば、営業の手間が省ける可能性もあります。
よって新たな売上に、つながりやすいといえます。
(6)リーズナブルな初期費用
フランチャイズビジネス一般に加盟時に150万円や200万円、そして時にはこのような額以上かかる時もあります。
一方でフランチャイズの害虫駆除では、100万円程度のところもあり、キャンペーン期間により数十万円で収まる時もあります。
よって、初期投資回収の見込みがつけやすいです。
(7)高利益率
本部によっては、粗利益率95%を維持できているところもあります。
粗利益率は業種にもよりますが、15~80%の数値データもあります。
つまりフランチャイズ害虫駆除は、高利益率といえます。
(8)開業後サポート
開業後も最新施工方法や成功事例お知らせなど、情報共有をするところもあります。
そして契約獲得に関することなど、さまざまなサポートもあります。
次の内容は、害虫駆除業一般についてもいえます。
(9)景気の影響を受けにくい
害虫駆除は、安全で快適な生活に直結する重要作業です。
よって景気の影響を受けにくく、安定した需要を見込みやすい業種といえます。
フランチャイズで害虫駆除業を開業するデメリット
(1)害虫はエリアによってさまざま
害虫の生息状況や繁殖状況は、気温などの気候にもよります。
そして地域によって、害虫の強度や特性もさまざまである可能性もあります。
つまり本部指定の薬剤が必ずしも、想定した通り効くとは限りません。
加盟者としては、本部指定とは別の薬剤などを使いたい可能性もあります。
ですがフランチャイズ契約により、本部指定の薬剤購入の必要があればデメリットとなります。
(2)事務処理の考え方
本部によっては、事務業務を本部が代行するところもあります。
事務業務には意外と手間と時間を取られ、本部による代行は便利です。
一方で自社のサイドビジネスで始めるケースでは、事務業務は自社の事務職員ができるところもあります。
ですが契約により事務業務は本部がする規定の時は、代行手数料の支払いが不便点となる可能性もあります。
害虫駆除業の難点と失敗を避けるコツ
(1)原因解明
効率的な施工のためには、まずなるべく的確な原因解明も大切です。
一方で特にまだ経験が豊富でない時は、正確な原因推測をできにくい傾向もあります。
顧客との電話会話のみによるある程度の原因推測には、それなりの施工経験数も必要です。
よって不慣れなうちは、事前調査はもちろん本部熟達者スタッフにも相談して、効率的な施工になるよう施工練習も必要です。
(2)施工内容の確認
クレームにつながる例として、依頼者のイメージと施工者の施工内容にギャップが生じた時です。
害虫駆除効果はもちろん、高品質を売りにしているお店などでは、たとえトイレであっても見映えに上品さを求めるところもあります。
よって写真やパソコンで画像を作るなどして、早いうちに視覚のイメージを共有できておきたいものです。
(3)危険な状況での作業や配線破損の懸念
施工現場によっては、高所での作業や換気をできにくい状況での施工作業もあります。
よって転落や薬剤吸引による体調不良などを起こさぬよう、対策措置は徹底しておく必要もあります。
そして配線などを破損せぬよう、注意も必要です。
(4)異性従業員確保
問合せ者や施工場所が、ビルテナントの異性用トイレの時もあります。
このようなケースでは、やはり異性の方が仕事を取れやすく、施工もできやすいです。
つまり異性が仕事をこなしやすい現場を取るためには、異性スタッフ確保も要考慮点といえます。
ですが異性雇用はもちろん、育成も複雑な部分があります。
よって、本部に相談しながら進めることが大切です。
(5)費用を抑える術を伝える
害虫駆除では、実は費用を結果的に安く抑えられる可能性もあります。
この方法とは、確定申告により還付金を受け取ったり、雑損控除にて所得税を減らしたりできる可能性のことです。
一方で業務に慣れないうちは、このような顧客にとって有益な方法や情報に、加盟者は精通していない時もあります。
仮に施工後顧客がこの術を知ると、「あの人は少しも節約方法を教えてくれなかった」と、不親切業者と解釈される懸念もあります。
そして、リピーター見込み顧客を逃してしまうことにもつながります。
よって本部とも相談し自分なりに勉強もして、顧客へ伝えたいものです。
雑損控除:自然災害や火災などによって損失を被った人が、対象の制度のこと。所定の金額が、所得から控除されます。
(6)保証期間
一般的にシロアリ駆除では、保証期間もあります。
保証期間には1~2年おきに定期点検をして、必要があれば何らかの措置も講じます。
そしてこの措置は、無料もしくは最初の施工より割引価格にて施工する傾向もあります。
本部の方針により、保証期間対応をするのか否かの確認が必要です。
また次のようなことがあると、保証適用とならない可能性もあるので、顧客へ丁寧な説明も大切です。
- 自己判断で、薬剤散布などの措置を講じる
- 地震などによる破損を放置していて、結果的に害虫繁殖につながった など
(7)悪徳業者
害虫駆除業者の中には、詐欺まがいのような行動を取ろうとする悪徳業者もいます。
よって新規問合せや見込み客へは悪徳業者と誤解されぬよう、次のような内容も注意して接したいものです。
- 店舗住所や電話番号などの情報を正確に記した、名刺を携帯する
- 身だしなみに気をつける
- 連絡は正確に迅速に行う
- 押し売りのような、施工内容提案は避ける
- 施工内容について、丁寧に詳しく説明する
- 説明の際は、専門用語ばかりを羅列しない
- 内訳詳細を明確にした、見積を示す など
(8)許可が必要なケース
ハクビシンは鳥獣法によって、保護されています。
つまりいくら顧客のためといえども、捕獲許可なしに措置を講じると、不都合が生じる可能性もあります。
よって何らかの法律などにかかるような案件の際には、本部や役所などへの問い合わせもおすすめといえます。
まとめ
ここまで、フランチャイズと害虫駆除業について考察してきました。
押さえておきたい点は、高精度な施工技術を学べる点や、社員独立支援制度もあるなどのメリットです。
そして要領よく原因解明できるには経験が必要など、害虫駆除業の難点と失敗を避けるコツもポイントといえます。
害虫駆除業は、健全な建物維持のために非常に重要です。
高精度な施工技術習得と、迅速で丁寧な顧客対応にて、生活とビジネスに必要不可欠な建物維持で大きく社会貢献なさってください。