フランチャイズで保育園を開業する手順・許可や失敗を避けるコツも解説
女性の社会進出がますます増加傾向の中、保育業界の需要が増えてきている機運があります。
抽選制の保育園で入園できない家庭もあるほど、必要とされているわけです。
この状況の中で、保育園の開業を目指す人が増えてきています。
一方で保育園開業と運営には、物件取得や集客など、難しい点が複数あります。
ですがフランチャイズにて開業や運営に取り組めば、難しい段取りなどを比較的スムーズに進めやすい方法もあります。
今回はフランチャイズと保育園について、保育園の種類や認可などに触れながら解説します。
目次
保育園の種類
(1)種類
保育園は大きく、次の三種類に分けられます。
- 認可保育園
- 認可外保育園
- 小規模認可保育園
次に、上記三種類の特徴を説明します。
(2)特徴
①認可保育園
- 国が定める基準を、満たす児童福祉施設
- 0歳から小学校入学前の子供が対象
- 国などからの補助金があるも、開業には厳しい基準がある
- 運営が比較的安定している
②認可外保育園
- 国の認可がないだけで、知事の認可は受けている
- サービス内容と保育料を、自分たちの裁量で設定可能
- 従業員向けに設置された、企業主導型保育園も認可外保育園の一つ
- 基本的に民間運営
③小規模認可保育園
- 市町村の認可となった施設
- 公的な補助金もあり
- 0~2歳が対象年齢
- 設置基準は各自治体が定める
上記以外にも保育園や保育所には、次の種類もあります。
- ベビーホテル
- 院内保育室
- ベビーシッター
- 保育ママ
- ファミリーサポートセンターなど
フランチャイズ保育園の年収
フランチャイズ保育園の年収は、標準的に500万円程度が見込めます。
そして2校目3校目を開園すると500万円以上や、1,000万円程度も可能といわれています。
最初はあまり大きな利益は考えずに、小規模から着実に実績をあげていくこともポイントともいえます。
法人が自社内に、企業型保育園を開園することも効果的な方法の一つです。
繁盛のためのカギとして、女性スタッフをうまくマネジメントできる、副園長的ポジションの人材をいかに確保できるかも非常に重要な要素です。
フランチャイズで保育園を開業する手順
(1)問い合わせ
まず興味があったり、加盟を希望したりするフランチャイズ保育園本部へ、問い合わせをします。
そして、資料を送付してくるところもあります。
(2)説明会出席と面談
説明会へ出席し、保育園開業方法や運営方針を理解します。
そして保育園事業計画など、詳細の話し合いをします。
(3)審査と加盟
話し合いで合意し、審査通過後に契約締結と加盟となります。
(4)立地選択と物件段取り
開園エリアを選定し、物件探しと取得の段取りを行います。
(5)園内レイアウト相談
「どの部屋は何に使う」など、施設内の部屋割を打ち合わせします。
(6)園長研修
開園や運営について、研修をするところもあります。
(7)保育士段取り
保育士を募集し、面接をします。そして雇用が決まった保育士へ、研修をします。
(8)園児募集段取り
チラシなどで、園児募集をします。希望する園児や保護者には、施設見学をするところもあります。
(9)開園準備
細かい道具調達など、開園に向けて最終準備をします。
(10)開園
(1)~(9)の段取りを経て、遂に開園となります。
認可保育園と認可外保育園の違い
(1)設置基準
①認可保育園
認可保育園は認可取得のために、設備や職員などについて、複数の厚生労働省による規定があります。
②認可外保育園
国の認可基準をクリアしていなかったり、クリアしていても何らかの都合などにより、認可になっていなかったりのケースもあります。
認可外といっても、届出を何もしないわけではありません。
そして、決して認可外だから劣るわけではありません。
(2)運営費
①認可保育園
国や自治体から運営補助金が出て、安定経営になる傾向があります。
一方で運営費に関しては、審査や上限があります。
②認可外保育園
基本的に民間運営ながら、自治体によっては補助金制度があるところもあります。
保育料の設定額は、各々保育園の裁量となっています。
(3)保育料
①認可保育園
保育料は市町村などの自治体に支払われ、額は自治体や世帯年収などによって異なります。
②認可外保育園
認可保育園に比べると、高い傾向はあります。
一方で都市部の認可外保育園にて、補助金があるところでは、認可保育園と同じ程度になるところもあります。
(4)無償化の内容
無償化の対象としては、認可内外共に同じで、次の通りです。
- 小学校入学前までの、3~5歳児の子供
- 住民税非課税世帯の、0~2歳児の子供
※認可外保育園のケースでは、次の無償化限度があります。
小学校入学前までの、3~5歳児の子供:月額37,000円まで
住民税非課税世帯の、0~2歳児の子供:月額42,000円まで
対象のサービス内容は以下です。
①認可保育園
- 幼稚園
- 保育所
- 認定こども園
- 地域型保育など
②認可外
- 認可外保育園
- 病児保育事業
- 一時 預かり事業
- 子育て援助活動支援事業など
(5)地理的状況と広さ
①認可保育園
ある程度広い敷地面積が必要なので、駅から幾分か離れた場所になる傾向があります。
②認可外保育園
特に都市部では、駅から近い位置に面積が小さめの場所になる傾向もあります。
(6)運営方針
①認可保育園
公立:自治体で定められた保育計画に基づき、かつ公立なので、保育園間で大きな差が生じないよう考えられています。
私立:NPO法人や株式会社など、様々な団体が参入できます。よって、各々の保育園方針の色が出ます。
②認可外保育園
運営元組織などによって、理念が様々です。英語教育にも力を注いでいるなど、内容の幅が非常に広い傾向があります。
※認可外保育園の方が、認可保育園よりは開業しやすい傾向もあります。
認可取得の手続き
次のような、認可取得手続き方法となります。
(1)書類準備
次のような、書類を準備します。
①児童福祉施設設置届出書
児童福祉施設設置希望の旨を記した、届出書です。
②児童福祉施設設置認可申請書
児童福祉施設、設置の認可を希望する旨の申請書です。
③最低基準適合状況確認表
部屋面積や設備などが、最低限基準を満たしている旨を記す表です。
④職員構成表
名前や資格など、職員構成についての表です。
⑤時間帯別配置表
時間帯別の、入所予定児童数や保育士配置状況の表です。
⑥市町村意見書
保育所設置にかかる、市町村長から知事への意見書です。
⑦保育需要書
入所児童数や過去5年間の推移など、保育需要についての状況説明書です。
⑧添付書類一覧
構造設備や運営の方法などの、書類についての一覧表です。
⑨積立金や積立資産明細書
積立金や積立資産について、前期末残高や当期増加額などの記録書です。
⑩資金収支計算分析表
保育所運営費収入や人件費支出などについて、小計や合計の記録書です。
⑪借入金明細表
設備資金借入金や長期運営資金借入金についての、記録書です。
⑫基本財産及びその他の固定資産の明細書
土地や建物などについての、記録書です。
⑬保育所変更届出事項確認表
構造や設備などについて、変更があれば届出が必要な書類です。
基本的に上記書類の準備が必要目安となり、正式には自治体への確認が必要となります。
(2)区市町村での審査
区市町村長が、申請書や添付書類について審査をします。
(3)知事へ提出
区市町村長が適切と認めたら、認可を希望する20日前までに、知事へ提出します。
※認可設置基準
認可設置には、目安として次のような基準があります。
①定員
原則60人以上。小規模保育園や夜間保育園には、例外規定があります。
②社会福祉法人による経営のケース
社会福祉法人の設立について、適正か否か審査があります。
③社会福祉法人以外による経営のケース
- 保育所維持のための経済力があること。
- 具体的には、物件について所有権があったり、同等の力を保持いていたりすると認められる旨。
- 年間経費の、12分の1程度の資金を口座に有している旨。
- 保育園経営者としての、社会的信用を示せること。具体的には、保育所業務を2年以上経験した、役職職員が在籍する旨。
- 会計年度終了後3か月以内に、前会計年度末の貸借対照表などの決算書類を、都道府県知事などへ提出する旨など。
上記基準は、基準の一部です。
※行政書法人などが運営する代行業者の活用
認可申請にかかる書類は多く、かつ高い知見を要するものとなっています。
不備がないよう作成するには、素人には難しいものです。よって、行政書法人などによる代行業者の活用もおすすめです。
認可保育園の保育料を決める四大要素
次のような要素から、認可保育園の保育料を計算します。
(1)世帯所得
住民税の所得割金額によって、保育料の上限が設定されています。
(2)自治体基準
自治体は、国が定めた上限設定額を、さらに階層分けし保育料を設定します。
(3)子供の年齢や人数
まず「3歳以上」「3歳未満」で、区別します。
3歳以上と3歳未満で、子供一人につき必要な保育士人数が変わってくる事情があります。そして二人目が半額、三人目は無料の傾向もあります。
(4)保育時間
MAX11時間:常用労働者の、フルタイム勤務を想定した標準時間設定です。
MAX8時間:パートタイム勤務を想定した、短時間設定です。
初期費用とロイヤリティなどの費用
(1)初期費用
初期費用は標準的に、400~500万円程度は想定しておきたいものです。
そして高いケースでは1,200万円や、それ以上要するケースもあります。
また安価なケースでは、200万円程度で可能な時もあります。
認可保育園のケースでは、初期費用に関して国の補助を適用できる時もあるので、考慮することがポイントです。
【初期費用内訳】
- 加盟金
- 物件取得費
- 内装費
- 広告宣伝費
- 研修費
- ホームページ制作費など
(2)ロイヤリティ
定額制で、月額57,000~円250,000円程度が相場となっています。
そして坪単価1,050円の、システムになっているところや、初めの2か月間はゼロ円のところもあります。
フランチャイズで保育園を開業するメリット
(1)開業しやすい
保育園開業には、土地取得や書類手続きと助成金など、複雑で複数の段取りがあり素人には容易ではありません。
フランチャイズでは手続き代行業者はもちろん、フランチャイズ本部もスムーズな開業のために支援をします。
(2)ブランド力
認可外保育園はもちろん認可保育園も含めて、園児集めは重要で容易ではありません。
フランチャイズでは運営元が強大な宣伝力で、入園対象者がいる世帯はもちろん、会社や団体などへも宣伝をして集客します。
そして保育士確保にも、ブランド力は効果的です。
(3)研修
次のような内容の、研修があるところもあります。
- 経営学
- 保護者対応方法
- 保育士雇用方法
- 体操や食事補助など、保育の業務そのものなど
(4)運営ノウハウ提供
保育園は小さな子供が複数在籍するので、様々なアクシデントも起こります。
一方でフランチャイズでは長年の運営経験で、アクシデント対応方法だけでなく、未然に防ぐ措置も講じます。
(5)融資支援
施設改修や追加開園を検討する際に、費用を融資で調達したいケースもあるでしょう。
一方で融資実現は、容易ではありません。
ですがフランチャイズでは、書類作りや面談内容についてアドバイスをします。
保育園業の難点と失敗を避けるコツ
(1)初期費用節約
初期費用をいかに低額に抑えられるかが、順調な開園や運営につなげるポイントの一つです。
初期費用低減のためには、居抜き物件や空き家の活用も効果的です。
フランチャイズ本部もこのような物件探しをサポートするでしょうが、加盟者自身も複数の方法で探しておきたいものです。
物件については、次の知識も事前に学んでおけば便利なケースがあります。
- 不動産の知識
- 消防法
- 建築基準法など
(2)立地選定
園児や保護者が来るタイプの業種なので、足を運びやすい場所選びも重要です。
一方で足を運びやすい場所が見つかったとしても、保育園に適切な近隣状況といえるか否かの考慮も必要です。
例えば交通事故が起こりやすい場所や、何か危険な場所がないかどうかなどの確認も重要です。
(3)運営方針
開園して慣れてくると、加盟者やスタッフで話し合い、さらに良くするためにいろいろアイディアが出てくる傾向もあります。
一方でオリジナルのアイディアが、本部に受け入れられるか否かもポイントです。
できれば事業内容話し合いの時点で、ゆくゆくの考えとして本部と話し合っておきたいものです。
(4)保険
加盟者や保育士をはじめとしたスタッフは、皆注意を払って園児へ接して、日常業務にも臨むでしょう。
一方で菌やウィルス、地震などによってやむを得ない保護者の理解を得られるアクシデントもあり得ます。
たとえ保護者の理解を得られても、経済的責任を果たす必要のあるケースもあるでしょう。
このようなケースのために、保育所賠償責任保険や保育園児団体傷害保険もあります。加盟の時に、予算計上してしっかりと備えたいものです。
※一般社団法人保育支援協会も、相談先としてはおすすめといえます。
まとめ
ここまで、フランチャイズと保育園について考察してきました。
押さえておきたい点は、保育園の種類や認可に関する内容です。そして、保育園をフランチャイズで開業するメリットもポイントといえます。
働くママにとって、保育園は必要不可欠な場所です。
念入りな施設準備と、信頼性の高いスタッフ体制を整え、地域から必要とされる保育園で成功なさってください。