原状回復工事業をフランチャイズ経営するメリットとは?収入や開業費用、注意点などを解説
賃貸マンションなど部屋を貸している場合、退去の際には退去立ち合いで部屋の状態を確認したあと、原状回復工事を行わなければいけません。
原状回復工事業では、基本的には退去した部屋の内装を中心とした業務を行います。
場合によっては、退去立ち会いから原状回復までを一括で引き受けるケースもあります。
原状回復工事業は個人経営で行っていることが多く、フランチャイズでの開業も可能です。
この記事では、原状回復工事業をフランチャイズ経営するメリットや収入、開業コストなどについて解説します。
目次
原状回復工事業の将来性
どんな事業でも開業する前に、その事業の将来性について考えることは重要です。
将来性がないような事業を開業すれば、事業規模がどんどん縮小し、最終的に撤退ということにもなりかねません。
まずは、原状回復工事業の将来性についてみていきましょう。
(1)安定的な需要がある
単身世帯の増加や持ち家志向の低下により、賃貸マンション需要は年々高まっています。
これに伴い賃貸マンションの着工件数は年々増加しており、常に一定数の割合で賃貸の退去がある状態です。
こうした背景から原状回復工事の件数は増加しており、原状回復工事業の需要は安定的であるといえます。
特に新年度に向けて1月から3月は引っ越しの繁忙期になり、非常に多くの原状回復工事依頼があります。
一方で、6月や10月など引越しの閑散期とされる時期もあるため年間の受注件数にばらつきはありますが、一年を通してみると需要は安定している業種です。
(2)実績と信頼で依頼数が増加する
安定性のある業種とはいえ、開業当初はなかなか依頼が増えないかもしれません。
基本的に原状回復工事を発注するのは貸主である所有者であり、管理している不動産管理会社です。
そのため、個人に向けて広告をしても意味がありません。
所有者や不動産管理会社に向けた宣伝が必要であり、実績を積んで信頼を得られれば、他の賃貸マンションの依頼などが増えてくるでしょう。
フランチャイズならば開業当初から本部より依頼を振ってもらえるため、顧客獲得をしやすい点がメリットといえます。
原状回復業の平均年収
実際に開業した場合の収益が気になるという方は多いでしょう。
社員として勤務した場合の年収と、開業した場合の年商を比較してみます。
(1)社員として働いた場合
一般的に、原状回復工事業の会社に就職して社員として勤務した場合、平均年収は400万円前後といわれています。
あまり高年収とはいえませんが、一般的な平均年収程度といえるでしょう。
前述しましたが、年間の仕事量に大きな差があり、1月から3月は非常に仕事量が多いといえます。
一方で、残りの閑散期には激務になることもなく、安定した仕事量が供給されます。
(2)開業した場合
原状回復工事業で開業した場合の年収はエリアや仕事量にもよるため個人差がありますが、年商2000万円台が期待できる業種です。
ファミリータイプの物件の原状回復工事を行った場合、平均的な売上は20万円程度になります。
依頼件数が年間100件獲得できれば、年間2000万円程度の売上を得ることができます。
年間100件であれば、社員数は1名または2名程度で対応できるでしょう。
さらに従業員数を増やせば仕事の受注も増やせるため、さらなる年商アップにつながります。
また、退去立ち会いも一括で対応している原状回復工事業は、内装工事のみを請け負うよりも高い手数料が期待できます。
開業で必要になる費用
開業にあたり気になる部分は、収益面に続いてコスト面でしょう。
原状回復工事業をフランチャイズで開業する場合に必要になる費用はどの程度なのでしょうか?
フランチャイズで原状回復工事業を開業する場合に必要な費用について解説します。
(1)初期コスト
まずは開業にかかる費用をみてみましょう。
フランチャイズを募集している企業が掲示している初期コストを例にして下記の表をまとめました。
項目 | 費用 |
加盟金 | 100万円程度 |
保証金 | 30万円程度 |
研修費用 | 50万円程度 |
開業支援 | 30万円程度 |
広告費 | 40万円程度 |
機材費 | 30万円程度 |
合計 |
300万円程度 |
加盟金とは、フランチャイズに加盟する場合に本部へ支払う加入金のようなものです。
フランチャイズへ加盟する場合には、基本的に支払わなければいけない費用です。
全体的にそう多額の資金が必要とされる金額ではないため、比較的飛び込みやすい事業といえるでしょう。
ただし、店舗を構える場合は不動産を借りるためには保証金や礼金、仲介手数料、前家賃などが必要です。
さらに、店舗の内装費用なども発生するため、事業が軌道に乗ってから店舗を構えるというケースが多いです。
(2)ランニングコスト
ランニングコストとは、事業の運営のために毎月発生する費用です。
原状回復工事業をフランチャイズで開業する場合のランニングコストは、広告費や通信費、ガソリン代や駐車場代、ロイヤリティなどで160万程度が目安でしょう。
フランチャイズで開業する場合のランニングコストで注目すべき点は、ロイヤリティです。
ロイヤリティは、本部の商標や運営に関するノウハウを使用する対価として支払う使用料のようなものです。
このロイヤリティの金額は本部によって設定が異なり、売上に対する割合で設定している本部もあります。
フランチャイズへ加盟する際に支払う盟金は最初の一度のみの支払いですが、ロイヤリティは毎月支払うことになります。
フランチャイズで開業するメリット
フランチャイズで開業すれば独自で開業する場合とは異なり、加盟金やロイヤリティが発生します。
しかし、加盟金やロイヤリティを支払うことで、さまざまなメリットが受けられます。
フランチャイズに加盟して原状回復工事業で開業する場合のメリットは、以下の通りです。
(1)未経験でも研修制度で安心
フランチャイズの最大のメリットとは、研修制度があるので未経験でも安心して開業できる点です。
これまで不動産業界や原状回復工事業で就労したことがない場合や、事業の経営を行ったことがない場合でも、運用についてのノウハウや技術面の研修などによって事業を運営できるようになります。
本部ごとにサポート内容は異なりますが、原状回復工事業のフランチャイズでは研修制度が充実していることが多いです。
(2)開業後もさまざまなサポートがある
フランチャイズは開業すれば、そのあとはオーナーに任せっぱなしの状態になるということはありません。
開業後もさまざまなサポートを受けられます。
新たな技術研修や、商品説明、困り事のカウンセリングなど、フランチャイズ加盟者が困らずに安定した経営ができるよう下支えしてくれます。
サポートがあるので精神的な負担も軽減され、初めての経営でも安心できるという点がフランチャイズのメリットといえるでしょう。
(3)開業当初から集客が期待できる
個人で開業すれば、開業前から広告を打って新規顧客を獲得しなければなりません。
しかし、なかなか新しい顧客を獲得することは難しく、開業当初は売上が立たずに赤字が続くことも多いです。
一方で、フランチャイズならば本部がすでに全国に不動産管理会社などと提携しているなど顧客を持っており、依頼を振ってもらえます。
広告を打つ場合も、効果的に広告できるように本部のサポートを受けられます。
開業のために必要な資格や技術
原状回復工事業というと専門的な業種になるため、資格や技術が必要なのかと疑問に思う方も多いかもしれません。
ここからは、開業に必要な資格や技術などについて解説します。
(1)資格について
原状回復業を開業する際には、何か特別な資格が必要になるこはありません。
内装をするための資格というものはなく、退去立ち会いに関しても同様です。
未経験 で資格のない状態から事業を起こすことが可能になるため、未経験からの次開業も多いです。
(2)技術について
原状回復工事業と一言でいっても、工事内容は多岐にわたります。
クロスの張替えや機器の設置、清掃といった業務を行わなければいけません。
最初のうちは全ての工事を行う技術が身についているわけではないので、室内の清掃業から始め、少しずつ経験を積んでいきます。
また、退去立ち会いも一括で受けている場合、最初は研修で経験者と同行するなどして学ぶことが可能です。
対象となる顧客について
原状回復工事業で開業する場合、顧客層について把握しておかなければなりません。
なぜならば、誤った顧客層に営業をしても顧客獲得にはつながらないからです。
開業前にきちんとターゲットを見極め、その顧客層のニーズに合う営業や広告活動を行いましょう。
(1)不動産会社
原状回復工事で最も大きな顧客になるのは、不動産会社です。
賃貸マンションの多くは不動産会社が管理を行っており、退去が出た場合の退去立ち会いから原状回復工事の手配なども管理業の一環として行っています。
そのため、不動産会社と関係性を築けば、今後受注が増える可能性が高くなります。
特に大手不動産会社になると多くの賃貸物件を抱えているため、大幅受注を期待できます。
営業や広告先として不動産会社を欠かすことはできません。
(2)賃貸物件のオーナー
賃貸物件の中には、オーナーが直接管理を行う自主管理の物件もあります。
自主管理オーナーも原状回復工事業の顧客です。
自主管理オーナーの場合、一旦工事を受注すれば、今後その物件の入れ替わりがあった際に全て発注してくれるようになりやすいでしょう。
複数物件を所有しているオーナーならば、他の物件も発注してくれるかもしれません。
原状回復工事業の開業手順
実際にフランチャイズで原状回復工事業を開業する場合、どのような手順で開業まで進めていくのでしょうか。
スムーズに開業手続きを進めるためにも、開業手順をあらかじめ把握しておくことは大切です。
ここからは、原状回復工事業を開業した場合の開業手順について解説します。
(1)ステップ1 資料請求
原状回復工事業のフランチャイズ本部は、たくさんあります。
そのため、まずは気になる複数のフランチャイズ本部に資料を請求します。
ここでの注意点は、複数の本部に資料請求するという点です。
1社だけではサービス内容や費用を比較しにくいため、複数の本部から資料を請求しましょう。
(2)ステップ2 説明会に参加
資料請求した中で気になった本部の説明会に参加したり、担当者との面談を行ったりします。
説明会や面談では、より具体的にサービス内容などを知ることが可能です。
また、疑問点や不安点について質問して疑問や不安を解消しておくことや、資金面などの相談を行い、フランチャイズ加盟するかどうかを決めましょう。
(3)ステップ3 申し込み・審査
フランチャイズ本部へ、加盟の申し込みを行います。
しかし、申し込みすると必ず加盟できるというわけではありません。
フランチャイズに加盟するための審査があり、審査に通れば加盟することができます。
(4)ステップ4 フランチャイズ契約
審査に通れば、本部とフランチャイズ契約を締結します。
契約書に不明点がないか確認し、内容に納得してから締結しましょう。
この時点で加盟店料や保証金を納めるため、資金面の準備も行う必要があります。
(5)ステップ5 店舗契約、内装工事
開業時から店舗を構える場合は、不動産を契約して内装を行います。
ただし、原状回復工事業の場合は店舗に来店するお客様は多くないため、基本的には事務所としての内装になります。
また、店舗を必ず構えなければならないというわけではないため、自宅を事務所にすることも可能です。
開業当初はコストがかかるため、事業が軌道に乗って社員が増えてから店舗を構えるようにしてもいいかもしれません。
(6)ステップ6 研修
開業前に本部の研修が行われます。
研修内容は本部ごとに異なりますが、主に店舗の運営や技術研修などが中心です。
開業後に研修内容を実践できるようにしっかり受講しましょう。
(7)ステップ7 開店
研修を終えて開業準備が整えば、いよいよ開店です。
ステップ1~ステップ7までは、1ヶ月から1ヶ月半程度が目安になります。
フランチャイズで開業する問題点・失敗を避けるコツ
フランチャイズに加盟して原状回復工事業を開業すれば開業まではスムーズですし、メリットも多いです。
しかし、フランチャイズで開業することにはデメリットもあります。
デメリットについても十分に理解した上で、デメリットへの対策や開業の検討を行いましょう。
(1)加盟金・ロイヤリティが発生する
フランチャイズは本部の知名度やノウハウを利用できる代わりに、その対価として加盟金やロイヤリティなどの費用がかかる点がデメリットです。
しかし、加盟金に関してはある程度まとまったお金が必要になりますが、毎月支払いが必要になるロイヤリティは多額というわけではありません。
一般的にロイヤリティは売り上げの数%程度になるケースが多いので、経営にそこまで大きくは影響しないでしょう。
定額のロイヤリティの場合、いくら売上を上げても定額料金なので、どんどん売上を上げることで、ロイヤリティのコスト割合を下げることができます。
(2)経営の自由度が低い
フランチャイズに加盟した場合、基本的には本部の経営方針に沿った経営を行わなければいけません。
なぜなら、フランチャイズは加盟店が多く、経営方針を自由にしてしまうと本部のブランドイメージが崩れてしまうリスクがあるからです。
例えば、ある店舗では扱っているメニューが違う店舗では扱われていないことや、サービスや価格が店舗ごとに大きな差があれば、同じ店名を掲げているのに違う店舗のようになってしまいます。
そのため、フランチャイズではマニュアルが用意されており、そのマニュアルに沿って運営をします。
運営をしていくにあたり、自分たちのやりたいことができずにもどかしくなることもあるかもしれません。
ただし、比較的自由度の高い本部もあるので、あまり本部に経営を縛られたくないと思う場合は、自由度の高い本部を選ぶといいでしょう。
原状回復工事業でおすすめのフランチャイズ本部
原状回復工事業をフランチャイズで開業する場合、加盟する本部選びが重要なポイントになってきます。
フランチャイズ本部は多数あるため、それぞれの本部の特徴やメリット・デメリットなどを比較し、検討しましょう。
ここでは、おすすめのフランチャイズ本部をご紹介します。
(1)アップスタート株式会社
アップスタート株式会社は、内装仕上工事業と在宅・空室のハウスクリーニング事業を行うフランチャイズ本部です。
本部が営業を行い、加盟店には毎月80万円分以上の案件を紹介するため、開業後に赤字を不安に思う必要はありません。
売上保証があるからこそ安心して運営することができ、開業資金は10カ月以内に回収できるビジネスモデルになっています。
クロス張替え・床材張替え・電気工事・水道工事・ハウスクリーニングなど、未経験でもすぐに活躍できるように開業前研修を行っており、一生モノの技術を身につけることが可能です。
詳細はこちら:アップスタート株式会社
(2)株式会社FULLHOUSE
株式会社FULLHOUSEは、退去立ち会いから原状回復工事まで一貫対応することで高単価ビジネスを実現できるフランチャイズ本部です。
退去立ち会いも一貫で行うことで、一般の原状回復工事よりも高額な報酬を得ることができます。
営業は本部に任せることができるため、顧客獲得の心配をする必要はありません。
オンライン研修や現場研修を含め、開業前には未経験者でも技術を身につけられるように研修が行われます。
副業でも本業でも始めることができるため、ライフプランに応じた開業が可能です。
詳細はこちら: 株式会社FULLHOUSE
まとめ
原状回復工事業は、一定の売上確保を見込むことができ、今後まだまだ需要の伸びも期待できる業種です。
収益性も高いため、2,000万円程度の年商を上げることも不可能ではありません。
フランチャイズで開業する場合の初期費用も300万円程度が目安になり、本部の研修を受ければ未経験でも開業ができます。
フランチャイズに加盟するメリットやデメリットをしっかりと把握し、デメリットに対する対策をしっかりと行うことで、安定し息の長い経営も可能といえるでしょう。
不動産会社やオーナーの信頼を掴み実績を積むことで、成長性にも期待ができます。