原状回復工事業をフランチャイズ経営する際のメリットと注意点
賃貸マンションなど部屋を貸している場合、退去が出ると部屋の内装を行わなければいけません。
原状回復工事業とは、基本的には退去した部屋の内装を中心として行う業務です。
多くの原状回復工事業は個人経営で行っているところが多く、独立開業して事業を行うことが可能です。
では、この原状回復工事業は独立開業した場合、どの程度の収益を上げることができるのでしょうか?
また、開業にかかるコストはどの程度なのでしょうか?
この記事では、原状回復工事業にスポットをあて、利益やコスト、フランチャイズに加盟した場合のメリットやデメリットなどについて解説します。
目次
原状回復業工事は一定の件数があり安定した事業
まずは原状回復業の将来性を見てみましょう。
将来性がないような事業で開業してしまうと、あとから事業規模が縮小し、撤退ということにもなりかねません。
将来性や需要の分析を行い、開業しても息の長い経営が可能かどうかを判断する必要があります。
(1)必ず賃貸の退去は一定数あるため安定経営が見込める
賃貸マンションの着工件数は年々増加しており、常に一定数の割合で賃貸の退去はあります。
そのため、需要は安定しており、賃貸マンションの母数が増えていますので、原状回復工事の件数も増加している状況です。
特に1月から3月は最も引っ越しが多い時期になり、非常に多くの入れ替わりによる原状回復工事依頼があります。
年間の受注件数にばらつきはありますが、一定数の需要は安定してあるといえるでしょう。
(2)実績と信頼をつなげると依頼数も増えてくる
とはいえ、開業当初はなかなか依頼が増えないかもしれません。
基本的に原状回復工事を発注するのは、貸主である所有者であり、管理している不動産管理会社となります。
個人に広告しても意味がありません。
所有者や不動産管理会社で宣伝し、原状回復工事の受注を受けたとしましょう。
そして実績を積み、信頼されると、他の賃貸マンションの依頼などが増えてくるのです。
不動産管理会社や所有者の信頼と実績を積み上げることにより依頼数も増えてくるといえるでしょう。
フランチャイズの原状回復工事業の平均年収
実際に開業した場合、最も気になる部分が開業時の収益です。
社員と勤務した場合の年収とあわせて、開業した場合の年商などについて解説します。
(1)社員として働くと年収400万円前後
一般的に、原状回復工事内装業の会社に就職し、社員として勤務した場合の年収は平均すると400万円前後だといわれています。
あまり高年収とはいえませんが、一般的な平均年収程度といえるでしょう。
前述しましたが、年間の仕事量に大きな差があり、1月から3月は非常に仕事量が多いといえます。
しかし、残りの月数は、そう激務ということもなく、安定した仕事量が供給されているといえるでしょう。
(2)年商2,000万円も可能な業種
では実際に原状回復工事業で開業した場合、どの程度の年商となるのでしょうか?
およそですがファミリータイプの物件の原状回復工事を行った場合、平均した売り上げは20万円程度です。
およそ年間100件程度であれば1名から2名程度の人員で対応が可能でしょう。
つまり、年間100件の案件が獲得できると年間2,000万円程度の年商を得ることができます。
従業員数を増やすことで、さらに仕事も受注できるので、1名から2名程度で年商2,000万円程度、3名以上によるとさらなる年商アップも期待が持てるといえるでしょう。
初期費用・ロイヤリティなどの費用
収益面が理解できると、次はコスト面が気になるところです。
まずは開業に必要な費用、そして毎月の運営にかかる費用はどの程度なのでしょうか?
また、フランチャイズに加盟した場合気になる費用が加盟店料やロイヤリティです。
これらのコストもふまえた費用面について解説します。
(1)初期コストはどの程度?
まずは開業にかかる費用をみてみましょう。
フランチャイズを募集している企業が掲示している初期コストを例にして下記の表をまとめました。
項目 | 費用 |
加盟金 | 100万円程度 |
保証金 | 30万円程度 |
研修費用 | 50万円程度 |
開業支援 | 30万円程度 |
広告費 | 40万円程度 |
機材費 | 30万円程度 |
合計 |
300万円程度 |
合計300万円程度を初期費用として見ています。
加盟金とは、フランチャイズに加盟した場合、フランチャイズ本部に支払う加入金といえるでしょう。
フランチャイズに加盟する場合は、基本的に支払わなければいけない費用です。
全体的にそう多額の資金が必要とされる金額ではないため、比較的飛び込みやすい事業といえるでしょう。
(2)ランニングコストはどの程度?
次に、毎月にかかってくるランニングコストを見てみます。
初期費用と同じく、フランチャイズを募集している企業のモデルケースを参考に見てみると、広告費や通信費、ガソリン代や駐車場代、ロイヤリティなどで160万程度です。
この中で気になる項目がロイヤリティです。
ロイヤリティとは、フランチャイズに加盟することにより、大手の知名度や運営に関するノウハウを手に入れられる代わりに、対価として支払う使用料を指します。
このロイヤリティはフランチャイズ本部によって異なりますが、この場合、5万円程度をロイヤリティとして設定しています。
売上に対する割合で設定している企業もありますので、さまざまといえるでしょう。
フランチャイズによる原状回復工事の開業手順
ここまでは、収益とコストについて解説してきました。
では、フランチャイズに加盟して開業する場合、どのような手順を踏むとスムーズに開業できるのでしょうか?
ここからは、原状回復工事業を開業した場合の開業手順について解説します。
(1)ステップ1 資料請求
いくつかのフランチャイズ本部に資料を請求します。
ここで注意点は、いくつかの企業に依頼するという点です。
1社だけだと、サービス内容に比較がやりにくいため、複数の企業から資料を請求します。
(2)ステップ2 説明会に参加
資料請求の中で気になる企業が見つかった場合は、説明会の参加や担当者との面談を行います。
この中で気になる点や、資金面の相談を行い、フランチャイズ加盟するかどうかを決めましょう。
(3)ステップ3 フランチャイズ申し込み 審査
フランチャイズ申し込みを行います。
しかし、申し込みすると必ず加盟できるというわけではありません。
フランチャイズに加盟するための審査があり、審査に通らなければ加盟することができません。
(4)ステップ4 フランチャイズ契約
審査が通るとフランチャイズ契約を締結します。
この時点で加盟店料や保証金を納める必要がありますので、資金面の準備も行う必要があります。
(5)ステップ5 店舗契約、内装
構える店舗を契約し内装を行います。
しかし、店舗に来店するお客様はそう多くありませんので、基本的には事務所としての内装です。そう時間はかかりません。
(6)ステップ6 研修
内装中に研修が行われます。
店舗の運営や技術研修などを受講し、開店に向けた準備を行いましょう
(7)ステップ7 開店
晴れて開店です。
ステップ1~ステップ7までは、1ヶ月から1ヶ月半程度での開業を目安としましょう。
必要な資格や技術
開業までの大まかな手順を解説しましたが、何か資格などが必要な場合、このような手順を遅滞なく行ったとしても開業することはできません。
では、原状回復工事業を開業するにあたり必要な資格はあるのでしょうか?
ここからは開業に必要な資格や技術などについて解説します。
(1)特に資格は必要なく多くは未経験からはじめる
基本的に、開業にあたり原状回復工事業に特化した必要な資格はありません。
未経験からでも事業を起こすことが可能です。
そのため、未経験からの開業も少なくありません。
(2)最初は清掃業務からはじめ徐々に技術を取得していく
一般的には原状回復工事業と一言でいっても、工事内容は多岐にわたります。
クロスの張替えや機器の設置、清掃といった業務を行わなければいけません。
最初のうちは全ての工事を行うことができない場合、室内の清掃業から始め、少しずつ経験を積むことで原状回復工事業すべてにおいて工事受注が可能になります。
対象となる顧客は個人?不動産会社?
原状回復工事業を開業する場合、どのような顧客層が対象となるのでしょうか?
開業前にきちんとターゲットを見極め、その顧客層のニーズに合う事業にしなければいけません。
ここからは対象となる顧客層について解説します。
(1)不動産会社と手を組めば大幅受注も可能
最も大きなターゲットとなるのは、不動産会社です。
不動産会社と関係性を築くことで大幅受注に期待が持てます。
賃貸マンションの場合、多くは不動産会社が管理を行っており、退去が出た場合の原状回復工事の手配なども管理業の一環として行っています。
つまり、不動産会社から依頼を受けると、今後受注が増える可能性が高くなりますので、営業先として不動産会社を欠かすことはできません。
(2)賃貸物件のオーナーもターゲット
賃貸物件の中には、不動産会社が管理を行っているだけではなくオーナーが直接管理を行っている場合もあります。(自主管理といいます)
このような場合は、自主管理オーナーもターゲットとなるでしょう。
一旦工事を受注すると、今後その物件の入れ替わりがあった場合は、全て発注してくれるようになるのです。
複数物件を所有しているオーナーならば、他の物件も発注してくれるかもしれません。自主管理物件も受注の狙い目といえます。
フランチャイズで原状回復工事を開業するメリット
先ほど、フランチャイズに加盟した場合には初期費用やランニングコストにおいて費用がかかると解説しました。
しかし、フランチャイズに加盟することによりさまざまなメリットを受けることができます。
では、フランチャイズに加盟した場合のメリットにはどのようなものがあるのでしょうか?
フランチャイズに加盟した場合のメリットについて解説します。
(1)未経験でも研修制度で安心
研修制度があるので、未経験でも安心して開業することが可能です。
基本的に開業に関して特別な資格も必要ではなく、フランチャイズに加盟することで、運用についてのノウハウや技術面の研修などを行っています。
研修制度が充実している点は、フランチャイズに加盟する大きなメリットといえるでしょう。
(2)開業後もさまざまなサポートがある
一旦開業すると、あとは任せっぱなしになるのかというとそうではありません。
開業後もさまざまな面でサポートがあります。
新たな技術研修や、商品説明、困った点のカウンセリングなど、フランチャイズ利用者が困らず、安定した経営ができるよう下支えしているのです。
この点もフランチャイズに加盟する大きなメリットのひとつといえるでしょう。
フランチャイズで原状回復工事を開業する問題点・失敗を避けるコツ
しかし、フランチャイズに加盟することはメリットばかりではありません。
デメリットもありますので、デメリットに関する対策を十分に練っておかなければいけません。
(1)ロイヤリティなどがかかる
知名度やノウハウを得られる代わりのロイヤリティなど費用がかかる点がデメリットといえるでしょう。
しかし、費用面はそう多額というわけではありません。
一般的には売り上げの数%程度となるケースが多いので、経営にそこまで大きく影響するものではありません。
特に定額のロイヤリティの場合はいくら売り上げを上げても定額料金ですので、どんどん売り上げを上げることで、ロイヤリティのコスト割合を下げることができます。
(2)基本的にはフランチャイズ本部に合わせた経営しかできない
フランチャイズに加盟した場合は基本的な経営方針として、フランチャイズ本部の経営方針に沿った経営を行わなければいけません。
そのため、自分たちのやりたいことができないという事態も考えられます。
比較的自由度が高いフランチャイズ本部もありますので、あまり経営を縛られたくないと思う人には、自由度の高いフランチャイズ本部を選ぶといいでしょう。
まとめ
賃貸マンションの原状回復工事は、毎年一定の件数が見込め、賃貸マンションの棟数が年々増えていますので、今後の需要も見込める事業といえます。
収益性も高く1名~2名でも2,000万円程度の年商を上げることが可能です。
開業の費用も300万円程度で開業できる点や、フランチャイズ本部の研修を受けると未経験でも開業ができます。
フランチャイズに加盟する場合のメリットやデメリットをしっかりと把握し、デメリットに対する対策をしっかりと行うことで、安定し息の長い経営も可能といえるでしょう。
不動産会社やオーナーの信頼を掴み実績を積むことで、成長性にも期待ができます。