フランチャイズで宅配弁当屋を開業する手順や必要資金・高齢者向け配食サービスの需要は?
高齢者人口率がますます高まる社会状況の中、高齢者向け配食サービスをはじめとした宅配弁当業の需要が高まってきています。
このような状況の中で、宅配弁当業開業を目指す人が増えてきています。
一方で宅配弁当業開業は、売れる弁当考案と作製だけでも容易ではありません。
ですがフランチャイズで宅配弁当業を開業すれば、運営ノウハウなど、精通するためのコツを短期間で得られる方法があります。
今回はフランチャイズと宅配弁当について、高齢者向け配食サービスの需要やフランチャイズで開業するメリットなどに触れながら解説します。
目次
フランチャイズの宅配弁当業の年収
フランチャイズ宅配弁当業の年収は、標準的に400~500万円程度が見込めます。
そして要領を得てきて、2店舗目3店舗目とうまく運営できれば、年収1,000万円超えも可能な業種となっています。
【高年収を見込める背景】
- 今後も客層が増える見込みである
- ストックビジネスになる傾向がある
- それほど慣れていなくても、高品質商品を提供可能なシステムを整備しているところがある
- 初期費用がリーズナブルな傾向がある
- 加盟店のエリアを保証しているところがある など
※ストックビジネス
固定の顧客が、定期的に連続して購入するビジネスのことです。安定収入に、つながりやすい傾向があります。
※加盟店のエリアを保証
加盟者の一定エリア内には、同一本部他店舗の開業を制限することです。よって、加盟者のエリア内商権が守られます。
初期費用とロイヤリティなどの費用
(1)初期費用
初期費用として標準的に、250~480万円程度はかかる傾向があります。
一方で安価なケースでは、60~150万円程度に収まり、なかには10万円程度やほとんどかからない可能性もあります。
これらの費用はあくまで初期費用であって、本部の融資によって、自己準備資金は低減されるケースもあります。
【初期費用内訳】
- 加盟費
- 保証費
- 研修費
- 初期店舗取得費
- 店舗内装費
- 設備や道具調達費
- 弁当準備費など
※加盟費と保証費が、ゼロ円のところがあります。そして2店舗目以降は、研修費がかからないところもあります。
(2)ロイヤリティ
変動制:売上の4~5%程度
定額制:月額会費30,000円に、システム使用料20,000円程度のところもあります。
そして、ロイヤリティがないところもあります。
高齢者向け配食サービスの需要
介護事業所など、高齢者が在籍する機関や組織から配食サービスに対し、大きな需要があります。
高齢者はなかなか、一般的な固形食を容易に食べられない傾向もあります。
高齢者の食事力は、かむ力や飲む力によって様々である背景もあります。
このような食事力は、次のような特徴があります。
(1)高齢者食事力の特徴
高齢者食事力は、大別して次の4つに分けられます。
①一般的な食事が可能
普通のご飯は、難なく食べられます。一方で、硬かったり大きかったりする食べ物に対しては、食べにくい時もあります。
②一般的なかむ動作に支障がある
かみ砕くために、歯茎も使う傾向があります。よって硬かったり大きかったりする食べ物を食べにくく、容易に飲み込めない時もあります。
③一般的な大きさでは難しい
柔らかかったり細かったりすれば、食べられる状態です。お茶や汁などの水分を、飲みにくいケースもあります。
④一般的な固形物では難しい
非常に柔らかく細かくしたおかゆやおもゆレベルの、あまりかまなくてもよいものなら食べられる状態です。固形食事は小さくても食べにくく、お茶や汁などの水分を飲みにくい傾向もあります。
(2)高齢者食事メニュー例
高齢者配食サービスでは、例として次のようなメニューがあります。
①幕ノ内定食
肉豆腐や赤魚の煮つけなど、一般的においしく食べられる弁当になっています。
一方で一般的な弁当と比較し、カロリーや塩分が幾分か低めに計算されています。
そして和食の料理が多く使われ、高齢者が好む嗜好を考慮しています。
②カロリー考慮幕ノ内定食
カロリーや塩分が、さらに低めに計算されています。
医師からの指導により、カロリーや塩分対象で、食事療法が必要な人にもおすすめのメニューです。
腎臓病や糖尿病を患っていたり、透析が必要だったりする人にも、お召し上がり頂けます。
③たんぱく質考慮ハンバーグ
たんぱく質が、低めに計算されています。たんぱく質に対し、食事療法が必要な人にもおすすめのメニューです。
④鮭のムースなどムース食
かんだり飲んだりすることが、苦手な人向けのメニューです。
舌で砕ける程度の硬さが、大きな特徴の一つです。
硬さだけでなく、見映えや香りにも気をつかってあります。
⑤きざみ定食
一般的な固形物を、かみやすいように細かく刻んであるものを好む人向けのメニューです。
⑥とろみ食やゼリー食
飲み込みを、容易にできない人向けのメニューとなっています。
流動食のような感じではあるものの、味や彩も考慮しています。
※高齢者食事メニューの特徴
要するに「ミキサー食」「軟菜食もしくはソフト食」「きざみ食」「嚥下食」「流動食」になっています。そして飽きがこないよう、新しいメニュー考案もあります。
(3)高齢者配食サービスのメリット
高齢者配食サービスは、次のようなメリットが高需要につながっています。
①一食も対応可能
まずは試しに一食注文してみたいケースでも、一食から受注可能なところがあります。
②容器回収システム
お弁当の容器は、業者が回収するところがあります。容器は積み重なれば、意外と大きな量のゴミになるので、環境や利用者の手間にも配慮しています。
③お正月三が日以外は無休営業
正月の元旦から3日間以外は、土日祝日問わず営業のところがあるので、注文しやすい営業状況になっています。
④ピンポイントな配達時間
昼食は9~12時程度、夕食は15~18時程度に配達する傾向です。よって温かく、新鮮な状態でのお届けができます。
⑤キャンセル対応
前日18時程度までに連絡すれば、無料キャンセルや変更に対応可能なところもあり良心的です。
⑥高齢者でなくても注文可能
高齢者向け配食サービスといえども、高齢者による発注でなければならないということはありません。
塩分などを懸念している若い利用者など、年齢や資格などの制限はありません。
⑦安否確認サービス
今社会問題として、高齢者の孤独死があります。高齢者配食サービスで、個別お届けのケースでは、手渡しによるお届けとなっています。よって、安否確認にもなります。
フランチャイズで宅配弁当業を開業する手順
(1)問い合わせと説明会
まず対象のフランチャイズ宅配弁当本部へ、問い合わせをします。
そして説明会へ出席し、フランチャイズ本部の方針を理解します。
実際の加盟者の、運営状況や写真を閲覧できるところや、お弁当を試食できる時もあります。
(2)詳細話し合いとエリア選定
収益や運営方針など、事業計画を詳しく話し合います。そしてこの段階で、開業エリアについても話し合いをするところがあります。
本部によるエリア選定と、加盟希望者によるエリアが合致しなければ、なかなか話が進まないこともありハードルの一つです。
本部は、複数あたっておきたいものです。
(3)契約と加盟
契約書交付と必要初期経費納入で、加盟決定となります。
(4)工場見学
希望があれば、お弁当製造工場を見学できるところもあります。
(5)物件選定と取得
難しい段取りの一つである、物件選定と取得段取りです。
本部の方針に合った居抜き物件が見つかれば、当初想定より低価格で済むケースもあります。
ここで、本部が居抜き物件探しや取得のアドバイスをします。
(6)工事施工
取得した物件に対して、必要なケースでは工事を行います。一般的な飲食業における大がかりな工事と比較すると、簡単な工事になる傾向があります。
(7)店舗内準備
事務道具や容器など、必要道具を搬入して店舗の物理的準備は完了となります。
(8)研修
本部のシステム利用や、企業としての様々な情報取り扱いについて研修をするところがあります。
そして実際のお弁当を用いて、配達を本部スタッフと体験できるところもあります。
(9)開業
(1)~(8)の段取りを経て、遂に開業と業務開始となります。
宅配弁当業に関する許可や資格
フランチャイズ宅配弁当業では、次の資格が必要な可能性があるので、本部への問い合わせを考慮しておきます。
(1)食品衛生責任者
食品衛生責任者は、食品を取り扱う上での衛生管理能力があると解釈される資格です。
各店舗、必ず一人設置する必要があります。
取得方法:都道府県が実施する、講習会を受講
届出:保健所へ申請
(2)飲食店営業許可
飲食店営業許可は、飲食店営業の承認を得る許可です。
取得には次のような、条件があります。
①人的取得条件
専任の食品衛生責任者がいること
②店舗取得条件
- 厨房内に、冷蔵庫などの設備がおさまっていること
- 冷蔵庫には、温度計があること
- 厨房内に、蓋つきのゴミ箱があること
- 床が、掃除しやすい構造になっていることなど
※店舗取得条件は、地方自治体によります。
手続き場所と方法:保健所で手続きし、後日検査があります。
フランチャイズで宅配弁当業を開業するメリット
フランチャイズによって、次のようなメリットが想定できます。
(1)ブランド性
需要が高まってきている業種とはいえ、売上が軌道に乗ることは容易ではありません。
フランチャイズでは屋号やメニュー名を、宣伝に使えるので集客に便利です。
(2)事業拡大につなげられる
現状レストランか何かの、飲食業を営業中とします。
フランチャイズ宅配弁当では、現状設備を利用して参入できることもあるので、大した追加経費をかけずに事業拡大できる可能性があります。
(3)管理栄養士によるメニュー開発
食品業全般にいえますが、利用者を魅了し続けられるメニューを、考案できるか否か懸念を抱く経営者は少なくありません。
ましてや高齢者向け配食サービスとなると、慢性疾患を考慮した栄養も考慮の必要があります。
ですがフランチャイズでは管理栄養士が、栄養考慮はもちろんメニュー開発もします。
(4)良質な材料
高齢者向け配食サービスには、良質な新鮮材料も必要です。
フランチャイズでは、冷凍ではなく冷蔵の、新鮮食材を使う傾向があります。健康にはもちろん、食感にも好影響です。
そして話題性のある食材を、早く入手可能なことも利点です。
(5)カタログ作り
宅配弁当では、おいしそうにみえるカタログも必要です。一方で、カタログ作りは容易ではありません。
カタログに向く写真選びや、写真と商品説明分の配置など高度なテクニックが求められます。
フランチャイズでは、本部がカタログを作るところがあります。
(6)運営ノウハウ提供
宅配弁当事業では、なるべくロスやミスを出さずに、仕入れや製造と販売までの流れで運営できたいものです。
一方で、この順調な流れ作りは容易ではありません。フランチャイズでは、長年の経験で培ったノウハウにより、なるべく順調な流れのための知恵も伝授します。
宅配弁当業の難点と失敗を避けるコツ
(1)経費支払い
ビジネス一般に、経費をしっかりと払っていけるかどうかが大きな難点の一つです。
そして経費の中でも、家賃や人件費は大きな要素になる傾向があります。
可能ならば、最初は単独や夫婦のみでの移動販売形式開業にすれば、月々の経費を抑えられる可能性があります。
移動販売用の車両は、リースできるケースもあります。
(2)最初のコンセプト設定
様々な客層に対応できるように、最初から多くのメニューを準備しようと考えるケースもあります。
一方で最初から多くの仕入品を販売することは、容易ではありません。ただでさえ最初はなかなか思ったように、売れない事態も珍しくはありません。
よって開業当初は、開業エリアで最も需要の高い客層や弁当内容に焦点を当てて、高利益率を考慮していくこともおすすめといえます。
(3)立地
宅配弁当とはいえ、店舗の立地もないがしろにはしない方がよいです。
あまりにも目立たなかったり、わかりにくかったりする場所は避けるべきでしょう。
弁当屋一般に、次のようなエリアが適する傾向があります。
- 駅前
- オフィス街周辺
- 住宅立地
- 比較的大きな道路沿いなど
(4)トラブル対応
宅配弁当業では、想定外のアクシデント原因により、店舗火災や食中毒などのトラブルが絶対に起きないとは言い切れません。
仮に顧客からは「それはしょうがなかったですね、これからも宜しくお願い致します。」の事態になったとしても、経済的義務は果たす必要がある可能性があります。
このようなケースで、損害賠償保険などの保険に入っておけば、複雑な対応をスムーズにこなし元の業務状況に戻れる可能性もあります。
まとめ
ここまで、フランチャイズと宅配弁当について考察してきました。
押さえておきたい点は、初期費用などの費用や高齢者向け配食サービスの需要です。
そして、フランチャイズで開業するメリットもポイントといえます。
特に高齢者向け配食サービスは、今後も需要が伸びるでしょう。
初期費用を低価格に抑えられる事前の念入りな事業計画と、的確な最初のターゲット設定で、宅配弁当業を成功なさってください。