フランチャイズで農業を始める手順を解説・費用や収入、特殊な制度も解説

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フランチャイズ 農業

地方創生が日本経済再奮起のための、カギの一つと耳にします。そして地方創生のための、産業の一つといわれているのが農業です。

この背景の中、地方の農業には慢性的な人材不足や後継者不足の悩みがあります。

この状況で若手や農業未経験者を含め、農業独立開業を目指す人が少しずつ増えてきている機運もあります。

一方で農業未経験者にとっては、野菜作りそのものはもちろん農業マネジメントも容易ではありません。

ですが、この難しい農業独立開業にもフランチャイズ独立の方法が創出されてきています。

フランチャイズ独立とは一般的に一からの独立開業よりも、独立開業をしやすい方法です。

今回はフランチャイズと農業について、フランチャイズ農業の開業手順や認定新規就農者制度などに触れながら解説します

投稿者・コラム執筆者

フランチャイズ農業の収入

(1)収入

フランチャイズ農業で年収は、平均的に450万円程度が見込まれます。

そして兼業では300~400万円程度、専業農家では450~700万円といわれています。

なかには800万円や1,000万円程度の、高収入のところもあります。

(2)農家収入内訳

農家の収入内訳は、次のようになっています。

農業所得:農作物そのものからの収入

農業生産関連事業所得:農作物を用いたレストラン経営や、農作物の加工販売による収入

農外所得:上記外からの収入

初期費用とランニングコスト

(1)初期費用とロイヤリティ

一般的に農業開業には運転資金の予備費も含め、1,000万円程度を要します

一方でフランチャイズでは、500~600万円の自己資金で開業可能や、実質初期費用ゼロで可能という本部があります。

そしてロイヤリティは、15%程となっています。

【初期費用の内訳】

  • ビニールハウスの建設
  • 苗や土代
  • 農具や設備費
  • 研修費と生活費など

開業当初はなかなか思ったように農産物が作れず、収入を得るまでに時間がかかるのも想定されます。

よって生活費については、1~2年分を見込んで準備しておくのがおすすめといえます

(2)ランニングコスト

開業後も、次のような運転資金が生じます。

①労働費

バイトや正社員を雇うケースの、人件費のことです。

②物財費

  • 肥料費
  • 農業薬剤費
  • 農機具賃借料
  • 燃料費
  • 出荷費
  • ビニールハウスの電気代や修理費など

農機具は開業当初に購入するものもあれば、頻繁に使わなければレンタルにするものもあります。

フランチャイズ農業の開業手順

次のような開業手順となります。

(1)フランチャイズ本部へ問い合わせ

まず、興味をもったり加盟したりしたいと思った本部へ問い合わせをします。

(2)農地も含めた詳しい話し合い

農業開始へ向けて、いろいろな話を進めていきます。今の生活状況や準備可能な自己資金などはもちろん、農地についての話もポイントです。

農業において農地選択と確保は、成功のための最重要事項の一つといえるほど大切なことです。

「地方は土地がたくさんありそうだし、人手不足だからそう難なく確保できるのでは?」と考える人もいるでしょう。

後ほど説明しますが、農地確保は容易ではありません

(3)研修

次のような、研修がある本部もあります。

①農業を営むための理屈学習

  • 栽培する作物の知識
  • 作物における病気や害虫と、これに対する農薬や対処方法
  • 農業を運営する上でのマネジメント知識

②実務研修

  • 設備準備や定植
  • 栽培管理と収穫など

③独立へ向けた準備

  • 認定新規就農者段取り
  • 農地確保
  • 農業委員会利用権申請
  • 設備準備と苗段取り
  • 必要なケースでは従業員確保段取りなど

④開業

上記①~③の研修や段取りを経て、いよいよ本格的に農業開始と話が移っていきます。

上記はあくまで一般的な流れであり、もし農地を確保できていれば、話が変わってくる可能性はあります。

独立までの期間は早いケースで、1年程度です。

参入事例

(1)あるTさん男性のケース

元々Tさんは工場で働く、一般的な会社員でした。

ある日、農業フランチャイズ本部代表の話を聞きました。この話の中で、代表の地域奮起と農業にかける情熱で感動し、参入を決意しました。

農業未経験の身で不安がないわけでなかったものの、最先端の情報通信技術やアドバイザーによるアドバイスで、無事独立を果たしました。

自然相手の仕事なので、今も想定通りに進まないことは度々あります。

それでもTさんは先輩の知恵を受けながら、前向きに頑張っています。

今後は自分自身が新人育成もできるように、先の目標も掲げています。

(2)あるSさん女性のケース

元々Sさんは小売店で働いていて、売上成績優秀な店員でした。

ある日テレビで、20代の人が農業の仕事を満喫しながら取り組んでいるのを見て、感動し自分も農業をしたいと考えました。

今では間もなく自分自身で、農業経営を進められるようになる必要がある段階です。

そして日々勉強で、毎日大量のメモを取っています。

長期的な目標としては農業で人生を作るだけでなく、若者の転職希望業種に農業が挙げられるように、農業のイメージを華やかにしたい思いも抱いています。

農業をフランチャイズで開業するメリット

農業をフランチャイズで開業するにあたり、次のようなメリットが想定できます。

(1)ノウハウが確立されている

農作物は趣味程度で作るのでさえ、なかなか思ったようには育ってくれません。

業務として取り組むケースでは、なおさら難しいでしょう。いちから始めるなら例えば苗選びの時点で、まず一苦労が予想されます。

一方でフランチャイズ農業では、農作物に関する知識や知恵を有するアドバイザーの助言の下、ある程度要領よく進められます。

よって農業未経験者も、参入可能なケースがあります

(2)販売先がある

一般に独立開業で、多くの人が不安に感じるのが、本当に自分の製品が売れてお金が入ってくるのか否かということです。

フランチャイズ農業では、販売先と輸送ルートが確保されている本部があります。そして農産物には、鮮度も大切です。

朝畑で収穫された野菜が、昼前には販売先で並べられる体制ができているところもあります。

(3)情報通信技術の活用

農作物作りでは、人間が土や作物を直に手で触れて肉眼でみて、状態を確認するのはもちろん重要です。

一方で手作業が不必要な部分では、スマホやロボットの活用で効率的に進めたいものです。

このために情報通信技術の提供や、使用方法アドバイスをします。

(4)農地確保

上記でも記しているように、農地確保は難しいです。農地を確保できないと、農業に着手できません。

ですがフランチャイズ本部によっては、取得済の認定により優先的に農地確保が可能なところがあります。

認定取得と同等の実績を認められるためには、1~2年以上の研修が必要です。

①農地確保が難しい理由

農地確保が難しい理由は、農業委員会や県知事の許可が必要なためです

そしてこの許可取得には複数の許可基準があり、次のような内容です。

  • 対象の農地すべてについて、効率的に利用して農業が実施できると認められる旨
  • 農地所有に適する法人か否か、所定の条件を満たす法人か否か
  • 許可を望む者や世帯員が、常時対象の業務に取り組むと認められるか否か
  • 農地面積の合計が10a以上あるか否か
  • 農業を営む上で周辺にも農地があるケースでは、周辺にある農地との間で支障を起こさないか否か

申請から許可までの期間は、目安として1か月程度を要します。

(5)資金支援

初期費用調達はもちろん機械購入などで、まとまった額での追加経費が必要になるケースがあります。

状況によっては、追加経費を融資や助成金などでの調達が必要です。

一方で金融機関や地方自治体の融資や助成金を実現するのは、容易ではありません。

ですがフランチャイズ農業では、融資や助成金のための支援やあっせんをするところもあります。

資金については、後ほど別の角度からも触れます。

認定新規就農者制度とは

(1)認定新規就農者制度

認定新規就農者制度は、市町村に認定された農業事業者が、資金などに関する施策を優先的に利用可能な制度のことです。

【施策内容】

  • 資金交付
  • 無利子貸付
  • 農業用機械や施設に関する支援
  • 農地確保など

ここ3、4年で各年、1,000~2,500程の事業者が新たに認定されています。

(2)認定新規就農者制度申請方法

次の2つの書類を準備して、市に申請します。

  • 農業経営計画書
  • 必要添付書類を含んだ就農計画認定申請書

認定基準目安

  • 年間所得がおおむね280万円以上
  • 通年での労働時間が2,000時間以内
  • 就農計画は実現可能と、解釈される内容である旨など

認定新規就農者制度についてさらに詳しく知りたい場合は、下記農林水産省公式サイトを参考にしてください。

参考:認定新規就農者制度(農林水産省)

フランチャイズ農業の難点と失敗を避けるコツ

農業には、次のような難点や対応策が考えられます。

(1)複数のリスク

農業事業者は、細心の注意を払って作業を行うでしょう。それでもやはり想定外のアクシデントや天災などで、何のトラブルが起こるかわかりません。

例えば、次のようなトラブルの可能性があります。

  • 自社製品に散布した農薬が隣接する農場に漏出し、他農家に損害を生じさせてしまった
  • 自社製品に異物が混入していて、消費者がけがをして治療が必要になった
  • 借用農機具を破損したり、壊したりしてしまった

このようなリスクに対して、農業者賠償責任保険などの補償措置があります

(2)好ましい農地を確保できるか否か

農業にとって好ましい特徴のある農地の確保は、重要でありかつ難しいです。

フランチャイズ本部からも、農地にとって好ましい特徴の説明はあるでしょうが、自分でも知っておきたいです。

好ましい特徴は、次のような内容です。

①随時アクセスしやすい

自宅やオフィスから、短時間で行きやすい場所がよいです。急な措置が必要なケースで、対処しやすいです。

②土質

保水性と排水性や通気性が、よいことです。

③日照を確保できる

農業に十分な日照は重要です。周辺に日照の阻害物がないのはもちろん、できれば近隣に日照の阻害物になるようなものの建物建設予定が、あるか否かの調査をしておくのもおすすめといえます

④土の中の異物

いざ土地を使ってみて、もし大きな何か異物が出てきたら、除去のために追加の手間暇がかかる可能性があります。

そして農産物作りが、想定スケジュール通りに進まなくなる可能性まであります。

仮にフランチャイズ本部による土地紹介でも、念の為の確認をしておくのがおすすめといえます。

⑤道路幅

収穫の際はもちろん、通常時でも道具などを運ぶために複数の車両が出入りするでしょう。車両が出入りしやすいような、道路幅もポイントです。

農地探しには、全国農地ナビでの検索もあります

(3)資金難

ビジネス一般に、売れてもまだすぐには入金そのものがなく困るケースが少なくありません。このような際には、融資で調達できると助けになります。

フランチャイズ本部も情報提供やアドバイスをするでしょうが、自分でも先取りと先手で措置を講じたいものです。

融資申請先として農業のケースでは、農協や日本政策金融公庫があります

農業支援会社の存在

次のような外部機関や会社も、相談先として考慮しておくと便利です。

(1)一般社団法人全国農業会議所

1954年の設立以降60年以上にわたって、農業発展のための議論や支援などを行ってきています。活動内容は次の旨です。

新しく農業参入を目指すケース対象:農業参入フェアや独立就農支援など。

農業事業者向け:人材探しイベントの開催や、ミーティング開催による情報交換会など。

(2)民間会社サービス

民間においても、次のようなサービスを提供しているところがあります。

  • 農業求人サイトの利用
  • 法人向けの農業参入支援事業
  • 農地管理代行
  • 野菜の収穫とバーベキュー開催といったイベントの開催やお手伝い

まとめ

ここまで、フランチャイズと農業について考察してきました。

押さえておきたい点は、開業手順とフランチャイズで開業するメリットです。そして、認定新規就農者制度もポイントといえます。

農業は人手不足といえども、容易に開業が可能な業種というわけではありません。ですがある程度の自己資金を準備すれば、フランチャイズで開業が近づく業種でもあります。

他産業と比較し、まだフランチャイズが普及していないので、参入の間口は広いといえます。農業で独立開業を成功し、地方再発展に貢献してください。


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