フランチャイズで人件費を安く抑えて利益を出すコツ・比較的安い業種も紹介

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フランチャイズ 人件費

フランチャイズビジネスで利益を出すコツに、人件費をいかに安く抑えられるかがあります。

人件費は各々の業種において、経費の中で比較的大きな割合を占める傾向にあります。

一方でただやみくもに、人件費を削ることのみを考えればよいというわけでもありません。

給与などを正当性のある理由なく下げれば、会社に必要な従業員が辞めてしまうだけでなく、会社の業務全体の質低下にまでつながってしまいます。

人件費を安く抑えることは長期的なスパンで考え、あくまで削るのではなく節約する意識が大切です。

今回はフランチャイズと人件費について、節約するための方法や比較的人件費がかからない傾向にある業種などに触れながら解説します

投稿者・コラム執筆者

フランチャイズの人件費の考え方と業種別の比率平均値

(1)人件費率

人件費率とは、売上高に対する人件費割合のことです。

人件費率(%)=人件費÷売上×100

そして人件費率を考える時に併せてよく、労働分配率も考慮します。

労働分配率は会社が新たに創出した価値に対し、どれほど人件費に分配されたのかを表す数値です。

労働分配率(%)=人件費÷粗付加価値×100

粗付加価値とはほぼ、売上総利益のことです。売上総利益は、売上高から売上原価を差し引いたものです。

粗付加価値については、次のような項目を足して算出します。

  • 人件費
  • 賃借料
  • 営業利益
  • 租税公課
  • 減価償却費など

労働分配率は業種によりますが、概ね30~70%の範囲内といわれています。

①労働分配率が高い業種例

  • コールセンター

パソコンや電話設備などで、初期費用は高い傾向にあります。

一方で業務開始後にかかる費用は、やはり家賃やオペレーターの人件費が大きくなります。

②労働分配率が低い業種例

  • 製造業

ロボットの導入が増えてきている傾向があり、機械のメンテナンス費用やリース費用など、人件費の構成割合は低くなります。

  • 美容サロンやアパレルショップなど

家賃や広告宣伝費など、人件費以外の経費が大きくなる傾向があります。

そして労働分配率が標準の業種は、スーパーなどの小売業や飲食店などとなっています。

(2)業種別の比率平均値

業種別にみると、次のような平均人件費率です。

  • 飲食業:30~40%
  • サービス業:40~60%
  • 宿泊業:30%程
  • 卸売業:5~20%
  • 小売業:10~30%

人件費を安く抑える方法

人件費を安く抑えるために、次のような方法があります。

(1)クラウドソーシングの活用

固定月給の正社員で事務職員などを雇用すると、毎月15~20万円程度の支出が生じます。

運転資金がまだそれほどゆとりのない時は、この毎月の支出は軽視できない負担になってきます。

ここで、クラウドソーシングを活用する方法があります。クラウドソーシングでは、業務一つ一つに対してその都度の支払いなので便利です。

クラウドソーシング:従来、業務を外注するアウトソーシングの考え方があります。

今はパソコンやインターネットを介して可能な業務に対し、インターネット上で不特定多数の人を募り委託する方法がクラウドソーシングです。

クラウドソーシングで依頼可能な業務内容

  • パワーポイントやワード、エクセルなどでの資料作成
  • 翻訳や日本語ライティング業務
  • メール対応
  • 個人秘書業務
  • 確定申告書作成や確定申告関連の業務
  • ECサイト業務
  • サイト作成やサイト作成関連
  • アプリやシステム開発など

(2)助成金の活用

中小企業の人材が定着できるように、助成金や補助金制度があります。

うまく適用されればお金が入ってきますので、節約にもなります。

この制度には例えば、トライアル雇用奨励金の制度があります

トライアル雇用奨励金:業務内容に対して能力が不足することで、就職が困難な人材に対して、最長3か月間で月額上限4万円が支給される制度です。

常用雇用を促進するのが狙いとなっています。

このトライアル雇用奨励金以外にも、いろいろ助成金制度があるので活用できれば効果的です。

一方で、助成金はすぐに入ってくるものではありません。必要な時期をある程度明確にして、逆算し計画的に進めるのがおすすめといえます。

(3)人材派遣会社の活用

自分で人材を探そうとして、ハローワークへ登録したり有料求人媒体へ依頼したりするケースがあります。

一方でこれらの方法でも、なかなか見つからないケースが少なくありません。このような時は、人材派遣会社の活用もおすすめです

人材派遣会社通しで雇うと、時間当たりの総負担額は大きい可能性があります。

一方で有料求人媒体へ複数掲載するよりは、長期的にみるとメリットが多いケースも想定できます。

(4)自分達自身がIT技術習得

ホームページをはじめとした、IT技術による広告戦略は当たり前のように使われるようになってきています。

このような状況で加盟者自身や従業員が、少しずつでも簡単なIT技術を学んで使えるようになるとします。

こうすると、外注していたポスティングやティッシュ配りの費用を削ったりゼロにしたりできる見込みが出てきます。

(5)日本政策金融公庫の融資

日本政策金融公庫には中小企業向けの、様々な貸付制度があります。融資実現は容易ではありませんが、しっかりとした融資計画書があれば、銀行や信用金庫よりは借りやすいともいわれています。

人件費節約のために、考慮はしておきたいものです。

比較的人件費がかからない傾向にある業種

次のような業種が、比較的人件費を抑えられる業種といえます。

ハウスクリーニング業やリペア業と家事代行業は、事業内容や事業規模によっては一人でも可能な業種で、経費節約につながります。

給与を含めた人件費構成要素

人件費には、次の構成要素があります。

(1)給与手当

一般的に、給与や給料と呼ばれるものです。これには基本給だけでなく、以下の事柄も含まれます。

  • 歩合給
  • 時間外手当
  • 家族手当
  • 通勤定期代
  • 賞与
  • 役員報酬や役員賞与
  • アルバイトやパートタイマーの雑給

(2)法定福利費

  • 社会保険
  • 労働保険

社会保険は健康保険や介護保険と厚生年金保険のことで、労働保険は労災保険と雇用保険のことです。

会社が保険料の一部を負担し、労災保険は全額を負担します

まだ運転資金にあまり余裕のない会社のケースでは、軽視できない費用です。

(3)福利厚生費

一見「これが人件費扱い?」と思えるようなことですが、正真正銘人件費です。

  • 慰安旅行費
  • 健康診断費
  • 従業員との飲食費
  • 忘年会費や新年会費など

(4)退職金

  • 退職一時金
  • 退職年金

従業員はやむを得ない事情で、いつ辞めるかわかりません。お金がないので、退職金を払えません「すみません」では済まないケースもあり得ます。

そして、法的手続きを取られる可能性も否定できません

これから店長などといった管理職になる人にとっては、上記人件費構成要素は少しずつでも勉強しておきたい知識です。

人件費と労務費の違い

人件費は、次の3種類に細分化されます。

  • 労務費:製品の製造に、直接かかわる従業員の人件費のことです。
  • 販売費:商品やサービスの販売に、必要な人の人件費のことです。
  • 一般管理費:仕入れと在庫管理、そして従業員管理に必要な人の人件費のことです。

次に直接労務費と間接労務費の説明です。

(1)直接労務費

製品の製造に直接関わり、工程や要した時間がはっきりと把握しやすい労務費のことです。

つまりアルバイトや契約社員を含めた、直接製造に関わる全従業員の人件費のことです。

例えば工場でのライン作業や機械加工の業務に、取り組んでいるスタッフを指します。

(2)間接労務費

直接労務費として把握できない、労務費すべてのことです。製造に間接的に関わる、全従業員の人件費とも考えられます。

例えば工程管理や品質管理など、管理業務や検査業務のことです。

※研究開発部門で働く従業員の人件費は、一般管理費扱いとなります。

採用や従業員育成のポイント

求人を出す時には、次のようなことを考慮します。

(1)求人募集方法

  • ハローワーク
  • 大学などの各種学校
  • 自社サイトの採用ページ
  • 人材派遣会社や人材紹介会社
  • SNSの活用など

(2)求人募集時の留意点

なるべく多くの求職者から問い合わせや応募があった方が、望ましい人材とも巡り合いやすいです。

次の事柄を考慮したいものです。

①求める条件を明確に記入する

まず求めるスキルや経験と年齢などの条件を、明確に記します。スキルや経験については、業務経験はあっても客観的に認められた資格や免許がないだけで、十分戦力にはなる可能性があります。

そして自分が、対象の業務に精通していないとします。すると言葉の選択方法や表現方法の違いで、求人を閲覧した求職者が「自分のことかと思ったけど、違うみたい」と惜しいミスマッチを起こす可能性があります。

例えば「必須なのか、尚よしなのか」といった、内容です。自分が精通していない業務のケースでは、精通した人にみてもらい意見を聴くのがおすすめといえます。

このように、意図を伝えやすい意識が必要です。

②業務内容を具体的に記す

仕事内容記入部分に、10~20文字程度の短文しか書かないのは避けた方がよいです。書く側は「こう書けば大体わかるでしょ」という意識で、書くかもしれません。

ですが出社から一日の仕事内容について、大体どのようなことをするのか具体的に記すのがポイントといえます。

求職者は、自分が何をすることになるのかイメージできた方が、問い合わせや応募する気になる傾向があります。

業務内容を文面で数百字程度に表現するのが苦手なら、文面を比較的スムーズに作成できる人に、手伝ってもらうか頼んだ方がよいでしょう。

(3)求人掲載のタイミング

より多くの求職者にみてもらうためには、タイミングも大切です。

①3~4月

新卒に加え、会社の辞令に不満を抱き退職する人も他の月に比べ多い傾向があります。

②9~10月

一般的に会社の上半期と下半期の境で「一プロジェクトを完了し次の会社や仕事へ」と退職し、次の仕事や会社を探す時期です

(4)従業員育成方法

従業員育成に当たっては、次のようなことを考慮します。

①本部スタッフの力も借りる

ベテラン加盟者には、長年の経験から従業員育成に自信をもっているケースがあります。

一方でこの経験による感覚が、マッチしない若手アルバイトが入る可能性があります。

何か自分の感覚がマッチしなくて仕事覚えがスムーズにいかないなと感じたら、辞められる前に本部へ相談するのがおすすめです。

本部にはスタッフ育成に精通した、専門スタッフがいるところがあります。

バイトとはいえ辞められたら、募集し直し業務教え直しの二度手間は負担です。

②管理職育成には次の事柄の必要性を説明

  • 改善点を見つけて、改善する意識を当然の感覚にする
  • 設備や道具の劣化具合に加え、入れ替え時期とメンテナンス時期の把握
  • 在庫管理の重要性
  • 売上状況と経費状況の把握
  • 本部や仕入れ先と、関係先の状況やタイミングを随時把握する
  • 本部の経営戦略方針を把握
  • 自分たちの事業方針を立案
  • バイトなどの勤務状況とスケジュール把握
  • 自分で主体的に考え進める意識など

まとめ

ここまで、フランチャイズと人件費について考察してきました。

押さえておきたい点は、人件費を安く抑える方法と人件費がかからない傾向にある業種です

そして、採用や従業員育成に関する内容もポイントといえます。

助成金や融資については、あれば非常に助かります。長期間かけた計画性と念入りで正確な準備にて、人件費を効果的に節約し、利益上昇の実現につなげてください。


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