日本政策金融公庫で資金調達
フランチャイズや個人店などで開業するために役立つのが日本政策金融公庫の融資制度です。
条件を満たすことで2%以下の金利で資金を調達でき、審査期間が短いメリットがあります。
融資を受けるためには手続きや準備が必要であり、申し込む前に資金調達のコツを理解しておくことが重要です。
日本政策金融公庫から資金調達する方法について詳しく解説します。
目次
開業資金の融資に役立つ日本政策金融公庫
日本政策金融公庫は、国内金融業務や危機対応円滑化業務を担当している国の金融機関です。
国民や中小規模の業者に資金調達を支援したり災害に対処するための資金を融資したりしています。
新規で事業を始める人を対象として新規開業資金を融資しているのが特徴です。
新規開業資金を利用できる人は以下の通りです。
- 事業を始めて7年以内の人
- 雇用を創出する事業を始める人
- 今勤めている企業と同じ業種の事業を始める人
- 認定特定創業支援等事業により事業を始める人
- 民間の金融機関と日本政策金融公庫から協調融資を受けて事業を始める人
資金開業資金の融資限度額は7,200万円であり、返済期間は資金の使途によって変わります。
設備資金の場合は20年以内の返済であり、運転資金の場合は7年以内に返済することが必要です。
融資における担保や保証人は利用者と相談して決まります。
2019年4月現在では担保が不要な融資の金利は2.55%以下であり、担保を提供する場合の金利は2.15%以下です。
日本政策金融公庫についてさらに詳しく知りたい方は、以下の公式サイトをご参照ください。
参考:日本政策金融公庫
日本政策金融公庫で資金調達するメリット
開業するための資金を調達する方法には日本政策金融公庫のほかに、自治体が提供する制度融資やビジネスローンもあります。
面倒な手続きをしなくても事業資金の融資を受けることは可能です。
ですが日本政策金融公庫で資金調達することで、次の3つのメリットがあります。
- 銀行から融資を断られてもチャンスがある
- 融資を相談するハードルが低い
- 金利が銀行よりも低い
それぞれのメリットについて詳しく知っておきましょう。
(1)銀行から融資を断られてもチャンスがある
民間の金融機関が提供する金融を補完するのが日本政策金融公庫の役割であり、銀行よりも融資のハードルが低いメリットがあります。
信用が低い小規模の事業者でも資金調達できる魅力があるのです。
事業を始めたばかりの経営者に資金を融資してくれる銀行は少ないもの。
経営の実績がなければ収入の安定性も分からず、融資しても資金が返済されないリスクがあるからです。
もちろん長期的に事業が続いていて、経営が安定しているなら銀行の融資は通りやすくなります。
開業したい人にとって銀行から資金調達するのは審査が通りにくいのがデメリット。
日本政策金融公庫であれば銀行から融資を断られた人でも申し込めて、実績がなくても審査が通りやすいメリットがあります。
(2)融資を相談するハードルが低い
日本政策金融公庫には経営や事業についてアドバイスするコンサルタントがいて、知識の少ない経営者とも気軽に相談してくれます。
情報を提供してくれるだけでなく、融資についても相談することが可能。
コンサルタントと相談するには日本政策金融公庫の店舗に来店するか、メールで相談する方法があります。
日本政策金融公庫の店舗案内ページでお近くの支店を探せます。
融資について相談する場合、支店に来店する前に予約相談しておくとスムーズです。
「相談予約・メール相談・資料請求」から予約相談に進んで都合のよい日程に予約を入れましょう。
忙しくて来店できない人には創業メール相談サービスを活用することがオススメ。
メールで新規開業融資と申込方法を手軽に相談できて、資金調達の悩みを解決できます。
(3)金利が銀行よりも低い
日本政策金融公庫から資金を借りる場合、銀行で資金調達するよりも返済額は少なくなる傾向です。
金利が低い日本公庫で融資を受けることで返済の負担を減らせるメリットがあります。
例えば無担保無保証人で資金調達できる新創業融資制度の場合、基準利率は2019年4月現在で2.51%から2.90%です。
地方で事業を始める場合は2.11%から2.50%まで金利が下がります。
もし民間の金融機関で資金調達する場合、金利が大きくなる傾向です。
りそな銀行でビジネスローン「活動力」を利用すると金利は6%から14%まで高くなります。
金利が大きくなると返済額も大きくなるものです。100万円を借りて2年間で返済する場合、金利が2.5%なら返済額は1,026,249円ですが、金利が14%だと1,152,309円になります。
事業の経営を安定化させるには金利の低い融資制度を活用して、返済額を減らすことが重要です。
金利の低い日本公庫は事業が不安定である経営者に便利で役に立ちます。
日本政策金融公庫で資金調達するデメリット
低金利で資金調達することが可能であり、融資について相談して悩みを解決できるのが日本政策金融公庫を利用するメリットです。
便利ですが経営者にとって日本公庫にはデメリットもあります。
- 資金の借入まで時間がかかる
- 保証人が必要な場合がある
それぞれのデメリットを詳しく知っておきましょう。
(1)資金の借入まで時間がかかる
日本政策金融公庫で資金を調達するには銀行から資金を借りるよりも時間がかかります。
民間の金融機関では数日から1週間程度で融資が実行されるのに対して、日本公庫では最大1ヵ月もかかるのです。
金利が低い日本政策金融公庫では経営者の信用を厳しく審査するため、融資を実行するまでに時間がかかります。
毎月の収支やキャッシュフローなどについて担当者が細かくチェックしているのです。
すぐに資金調達して事業を始めたいと思っていても融資を受けるのに時間がかかるのがデメリット。
スケジュールに余裕をもって日本政策金融公庫で融資を申し込むことを勧めます。
(2)保証人が必要な場合がある
民間の金融機関では無担保無保証で資金調達できますが、日本政策金融公庫では資金調達するために保証人が必要。
経営がよくても保証人がいないと資金調達できない場合があります。
日本政策金融公庫の新創業融資制度を利用することで、無担保無保証人で資金を調達することが可能です。
新創業融資制度を申し込むには以下の条件を満たす必要があります。
- 新規で事業を始める人か税務申告を2期終えていない人
- 融資額が1,000万円以内か雇用創出条件を満たすこと
- 創業資金総額の1/10以上の自己資金を用意できること
新創業融資制度の細かい条件は新創業融資制度の公式ページにアクセスすることで確認可能です。
興味のある人は日本政策金融公庫の支店窓口で相談することを勧めます。
日本政策金融公庫から資金調達する手順
「開業のために日本政策金融公庫から資金調達したいけど、手順が分からない」と悩む人もいるはず。
融資を受けるには以下の手順に従って手続きすることが必要です。
- 手続きに必要な書類を準備する
- 申請して担当者と面接する
- 審査が通ったら借入が実行される
それぞれの手順について詳しく解説します。
(1)手続きに必要な書類を準備する
日本政策金融公庫から融資を受けるには、必要な書類を作成して提出することが必要です。
初めて融資を申し込む人が準備する必要がある書類は以下の3つ。
- 創業計画書
- 借入申込書
- 前年度の収入証明書
借入申込書や創業計画書は日本政策金融公庫の個人小企業の方からダウンロードできます。
日本公庫の支店窓口で手渡しするか郵送で送ることで必要書類を提出することが可能です。
(2)申請して担当者と面接する
必要な書類を日本公庫に提出すると、1週間から10日後に担当者との面接日が決められます。
担当者からの心象を悪くしないために、面接時には身だしなみや態度に注意しましょう。
面接では提出した必要書類を説明することが必要です。
面接前にあらかじめシミュレーションしておき、担当者から聞かれることに対してスムーズに受け答えできると良いですね。
審査をクリアするためには事業を成功させて、資金を返済する意思を伝えることが重要です。
弱気な態度で担当者の質問に対応すると、融資を受けられない場合があります。
ビジネスプランや条件が良くても、経営者に熱意がなければ信用されにくいものです。
面接では担当者のプレッシャーに負けることなく、毅然とした態度で対応しましょう。
(3)審査が通ったら借入が実行される
担当者と面接することで融資される金額は仮決定されます。
もし必要な資金を借りることが難しい場合、金融機関や銀行から資金調達することを視野に入れることが必要です。
日本政策金融公庫と民間の金融機関に並行して融資を申請することがオススメ。
複数の金融機関に申し込むことで開業するまでの時間を短縮できます。
日本政策金融公庫から資金調達するコツ
「初めて融資を申し込むから審査が通るか不安」と悩む人もいるはず。
少しでも資金調達できる確率を上げるには、以下の2つのコツを活用することがオススメです。
- 小口融資を申し込む
- 保証人の能力に適した金額を申し込む
それぞれのコツを詳しく解説します。
(1)小口融資を申し込む
新規で融資を申し込む場合、公庫側としては実績がないから資金を融資しにくいものです。
公庫から借り入れして返済した実績を作るために、最初は小口で融資を申し込みましょう。
100万円から300万円程度の融資額であれば新規でも通りやすく、スムーズに資金調達できます。
資金が足りなければ後から追加で融資を申し込むことが可能です。
重要なのは融資額が事業用途に適していること。
思い付きで融資額を希望するのではなく、事業用途をしっかりと考慮したうえで適切な金額の融資を申し込みましょう。
(2)保証人の能力に適した金額を申し込む
日本政策金融公庫から融資を受ける時に保証人を用意する場合、保証人の収入能力に適した金額を申し込むことが重要です。
保証人が返済できないほど希望の融資額が高いと、融資が断られる場合があります。
経営が悪化して債務者が返済できなくなったとしても、保証人が返済できるなら問題は少ないです。
事業用途だけでなく保証人の能力も考慮して融資額を決めることを勧めます。
まとめ
日本政策金融公庫は国の金融機関であり、開業するために資金調達しやすいメリットがあります。
銀行から融資を断られても公庫から融資を受けられる可能性がありますし、銀行のビジネスローンよりも金利は低めです。
資金の融資が実行されるまでに時間がかかり、保証人が必要になる場合があるのがデメリット。
日本政策金融公庫から資金を調達するときはスケジュールに余裕をもって申し込むことを勧めます。