フランチャイズのペットシッター業の初期費用や開業手順を解説
日本では以前より、番犬や癒し的存在としてペットが重宝されています。
ペットにはケアが必要ながら、今は自力で十分にケアをできない人も少なくありません。
そしてこの状況で、ペットシッターの需要が増えてきています。
またこのペットシッター需要増加の中で、ペットシッターをビジネスとして営みたいと考える人も増加傾向にあります。
一方でペットシッター開業おいては、動物取扱業登録が必要など、開業の時点でハードルのある容易でない業種です。
ですがフランチャイズ加盟形式の独立によって、動物取扱業登録にアドバイスがあるなど、開業と業務開始をできやすくなる方法もあります。
今回はフランチャイズとペットシッターについて、開業に必要な要件や、フランチャイズで開業するメリットなどに触れながら解説します。
目次
フランチャイズのペットシッターの料金目安
フランチャイズのペットシッター料金として、まず登録料金で1,000円程度設定しています。
そして基本料金として、1回60分で2,000円から4,000円となっています。
料金額は対象ペットが小動物なのか中型犬なのかなど、ペットの種類によります。
延長する時には、30分か1時間で1,000円や15分800円などです。
また次のような、オプションやパック料金設定をしているところもあります。
- 飼い主に代わり1回4,500円で、ペットの病院受診を代行する
- 10回パック29,000円で、専門技量をもったスタッフがペットのリハビリを行う
- 30時間104,000円や50時間170,000円の、月々定額コース
- 週1回から7回の定期パックで、5%から20%の割引 など
高収入を目指すためには、以下のような点を心がけるとよいでしょう。
- 基礎的な業務の経験を積んで、要領を覚える
- 打合せの対応方法について、やり取りの練習をしておく
- 対象ペットに対する注意事項について、対策や措置を考えておく
- 顧客の希望に沿った連絡方法になるよう、スマホアプリなどの練習をしておく
- ペットホテルに対する、優位点を考えておく
- 連絡については、迅速さと丁寧さを意識する
- キャンセル料金含め、支払いについての意識を顧客と同認識にできるよう注意しておく など
初期費用とランニングコスト項目
(1)初期費用
初期費用として一般的に、70万円程度要する傾向にあります。
高いケースでは、120万円程度のところもあります。
そして安価な本部では46万円程度で、条件を満たすと27万円程度になる時もあります。
【初期費用内訳】
- 加盟費
- 保証金
- 研修費
- サイト制作費
- 備品費 など
(2)ランニングコスト項目
- ガソリン代
- 賠償責任保険料
- 通信費
- 作業着調達費(必要なケース) など
ペットシッターの業界事情
ペットシッター業には、次のような業界事情があります。
(1)ペットシッターの認知度
日本におけるペットシッターの認知度は、諸外国と比較するとまだそう高くはありません。
一方で日本のペット業界では、ペット専門のカットサロンが普及してきているなど、ペット関連業の必要性も少しずつ増えてきています。
よっていかにペットシッターの認知度を拡大させていくかが、課題にもなっています。
(2)ペットシッターの需要
ペットシッター利用者には、1人暮らしの比較的予算にゆとりのある高齢者もいます。
足腰が弱くなり、なかなか必要な時にすぐ病院へ連れていきだせない人も少なくありません。
そして実は、20代30代40代の層にも意外と需要があります。
今はペット飼育が可能な、アパートやマンションも増えてきています。
この状況でペットを飼う、若年層の単身者が増加傾向なわけです。
一方で出張が入ったり旅行に行ったりなどの用事で、ペットを一緒に連れて行けない時もあります。
このような時に、ペットシッターを利用します。
(3)将来性
ペット保有世帯が大きく減ることは、予想できにくいです。
よって需要はあるのでペットシッターの認知度が上がれば、ビジネス性は大いに期待できるといえます。
開業に必要な要件
ペットシッターとして独立開業するには、動物取扱業登録と動物取扱責任者の資格段取が必要です。
(1)動物取扱責任者の資格要件
次の①もしくは②、③かつ④か③かつ⑤に該当する必要があります。
① 獣医師法第三条の免許取得者である旨
② 愛玩動物看護師法第三条の免許取得者である旨
③ 申請業種に対して半年以上の実務経験がある、もしくは同等と承認される1年間以上の飼養経験がある旨
④ 申請業種に対する知識と技術を1年以上学ぶ、学校などの機関を卒業している旨
⑤ 専門性や公平性を有する団体や試験によって、資格要件を習得していると証明される旨
動物取扱責任者の資格について詳しく知りたい方は、以下を参考にしてください。
(2)提出
第一種動物取扱業登録申請書と、動物取扱責任者の資格要件を示す書類などの必要書類や、15,000円程度の申請手数料を準備します。
そして地方自治体の愛護センター窓口など、管轄の担当窓口へ提出します。
(3)検査
担当職員による、オフィスや自宅など対象施設への立ち入り検査があります。
(4)登録証発行
全段取が完了すると、動物取扱業登録証の発行となります。
フランチャイズによるペットシッター業の開業手順
(1)問い合わせ
まず本部へ電話やホームページからのアクセスによって、問い合わせをします。
(2)パンフレット送付
本部によっては、説明会前にパンフレットを送付するところもあります。
(3)説明会参加
説明会へ参加して、業務内容や本部の方針などを理解します。日程的に説明会へ参加できない時は、個別面談にて説明を聞けるところもあります。
(4)個別面談
今までの職務経歴や業務進行方針などについて、詳しく話し合います。特に自営経験が初になるケースでは、経営管理面についても念入りに話し合っておくこともおすすめといえます。
(5)加盟
個別面談で話が順調に進むと、話は加盟段取へと移ります。契約事項に注意しつつ、正式な契約締結にすることが大切です。
(6)開業準備
開業日程や営業方法など、業務開始に向けて具体的な話し合いをします。
(7)研修
ペットシッター業務進行について、まず資料を用い口頭で説明の研修があります。
(8)実務研修
実際のペットシッターに同行して、業務を見学できたり体験できたりするところもあります。なるべく、基礎的な内容だけでもマスターできたいものです。
(9)動物取扱業登録
ペットシッター開業に必要な、動物取扱業登録をします。
(10)開業
(1)~(9)のプロセスを経てホームページを開設し、ペットシッター業務開始となります。
フランチャイズでペットシッター業を開業するメリット
フランチャイズのペットシッター業には、次のようなメリットがあります。
(1)動物取扱業登録サポート
開業に必須の動物取扱業登録について、慣れていない人はスムーズに進められない時も少なくありません。
一方で想定した時期の業務開始に間に合わせるには、滞りなく進める必要もあります。
ですがフランチャイズでは、本部が登録をサポートします。
よって、落ち着いて業務開始準備に取り組みやすいです。
(2)本部からの顧客紹介
本部が、有名企業や団体などと業務提携を結んでいるところもあります。
そして、本部やペットシッター業の存在が多くの人に知られやすいです。
よって本部の紹介によって、顧客を紹介してもらえる傾向もあります。
(3)高精度な本部のホームページ
インターネット検索で「ペットシッター」と検索すると、1ページ目に表示される本部もあります。
難度の高いSEO施策を、施せているためです。
そして加盟者は、ホームページに加盟者として掲載してもらえるところもあります。
つまり自分の周辺でペットシッターを探す人に、自分を見つけてもらえやすいともいえます。
(4)業務体験コースもあり
加盟してから、実務研修があるところもあります。
一方で加盟前に、業務を体験してみたい人もいるでしょう。
このようなケースに備え有償ながら、2~3日日程にて業務を体験できるところもあります。
(5)メディアからの取材歴もあり
テレビや新聞、そして動物専門誌に特集されたことがある本部もあります。
ブランド性や認知度拡大につながり、本部はもちろん加盟者の信頼性アップにもつながります。
(6)オフィスは不要
新規に、オフィスを設ける必要はありません。
そして、自宅開業も可能です。
新規にオフィスを設けようとすると、場所取得費だけで少なくとも10万円から30万円かかってきます。
また、取得に時間がかかる時もあります。
オフィスの取得が不要なので、低初期費用で業務開始までの時間が早くなります。
(7)賠償責任保険有
ペットシッティング中には、何のアクシデントで破損事故などが起こるかわかりません。
散歩中にほかの犬にかみつき、ケガをさせてしまう可能性もあります。
このようなケースに備え、本部そのものが賠償責任保険に入っているところもあります。
(8)開業後サポート
いざ業務が始まると、さまざまな疑問点や困惑する要素が出てくるものです。
ですがフランチャイズでは、24時間対応する相談窓口があるところもあります。
よって不安点を解決できながら、業務を進めやすいです。
フランチャイズでペットシッター業を開業するデメリット
(1)ホームページ加盟者掲載内容はシンプル
本部によっては、ホームページに加盟者として掲載できるところもあります。
一方で掲載できる内容が、電話番号や住所など最低限のものとなっている時もあります。
ですが加盟者としては、自身なりのペットシッタースキルや経験なども掲載したいでしょう。
このようなケースでは、自身で別にホームページを設けたり、Facebookにリンクしたりするなど追加の段取も生じます。
(2)資格限定
本部によっては、応募対象を女性のみとしていたり、学生は不可としていたりするところもあります。
つまりペットシッティング力はあっても、活かせない時もあります。
このようなケースでは、開業エリアや料金などが自分の考えとは合っても不便となります。
初期費用もですが開業資格も、早めに確認できておきたいものです。
ペットシッター業の難点と失敗を避けるコツ
(1)ペットホテルも競合
ペットホテルも、競合業者となります。
ペットホテルでは、急な環境変化で体調を壊すペットもいて、利用を控える飼い主もいます。
よってペットシッターを選んでもらえるよう、ペットホテルに勝れる優位点も考える必要があります。
(2)なついてもらえるか否か
ペットは、すべてのペットが初対面の人にでもなつきやすいとは限りません。
なかなかなつかないペットでは、いつものようにご飯を食べなかったり散歩へ行きたがらなかったりする懸念もあります。
よってなつきにくいペットのケースでは、前もって訪問したり、なつくコツを飼い主から習っておいたりするなど、事前措置も大切です。
(3)注意点を聞いておく
ペットによっては、何気ない音やペットシッターの何気ない言動でびっくりしてしまう可能性もあります。
びっくりしてしまうと、精神的ショックによる体調不良を起こす懸念もあります。
つまりペットになつかれることに加え、ペットの不快にならないことも大切です。
よって飼い主より前もって、対象ペットに関する注意点も聞いておきたいものです。
(4)礼節をわきまえた対応
顧客としては、自宅のカギをペットシッターへ預ける時もあります。
この行動は顧客からみると、いくら信用性の高いペットシッター本部とはいえ、警戒心を抱き勇気が必要な時もあります。
よって少しでも信用してもらえるよう、身だしなみに気をつけ丁寧な言葉遣いで対応することも必要です。
礼節に不安がある時には、前もって本部にも相談することがおすすめといえます。
(5)スマホアプリに慣れておく
顧客によっては、ペットシッティング中に随時様子報告を望む人もいるでしょう。
そして今は、ラインだけでなくさまざまなコミュニケーションアプリがあります。
よって写真や動画なども随時迅速に送れるよう、複数のスマホアプリを練習しておくこともポイントの1つです。
(6)事前打ち合わせ練習
ペットシッターでは費用などについて、書類を用いて顧客と事前打ち合わせをするところもあります。
一方で人によっては、書類を読みながらの説明をうまくできにくい人もいます。
例えば書類には、日常生活ではなかなか使わないような難しい日本語が書いてあることもあります。
顧客によっては書類の文面について、質問をする人もいます。
この質問に対しわかりやすい説明ができないと、せっかくの仕事を取り損ねてしまう懸念もあります。
よってうまく説明する自信がない時は、前もって本部へ相談し、説明とやり取りの練習もできておきたいものです。
(7)ペットシッター士とドッグシッター
ペットシッター業開業に、動物取扱業登録が必要な旨は上記にても触れています。
そしてペットシッターに関する資格には、ペットシッター士とドッグシッターもあります。
取得しておくと、さらなる信用性アップにつながる可能性もあります。
よって本部へ、取得について相談しておきたいものです。
ペットシッター士:特定非営利活動法人日本ペットシッター協会による認定資格
ドッグシッター:一般社団法人日本ペット技能検定協会による認定資格
(8)キャンセル料金についての認識
支払に関する内容はもちろん大切ですが、キャンセル料金についての認識も大切です。
顧客によっては、さまざまな事情でキャンセルする必要の時もあります。
ここで「何日前までのキャンセルは無料、何日前のキャンセルは50%支払」などの説明を、誤解釈がないようにしておきたいものです。
まとめ
ここまで、フランチャイズとペットシッターについて考察してきました。
押さえておきたい点は、動物取扱責任者の資格要件など、動物取扱業登録の内容です。
そしてフランチャイズで開業するメリットや、ペットシッター業の難点と失敗を避けるコツもポイントといえます。
ペットシッター業は、今から認知度が上がってくると想定できます。
ペットの特性を早く把握し、上手な対応方法や説明方法も習得して、ペットそのものや飼い主に心から安心してもらえる皆さんだけのペットシッティングを実現なさってください。