フランチャイズで花屋を開業する際の初期費用・フラワー業界の将来性は?
普段の生活の中に花があると華やかな気分になるものです。
誕生日、結婚式、開店、昇進など、さまざまなシーンで花を贈られたりすることがあります。
花はお互いの関係性をさらに深いものにできるアイテムにもなるでしょう。
また、部屋に花を飾るだけで気分が華やぎ、普段の生活を豊かな気持ちにさせる効果もあります。
つまり、花は普段の生活において欠かせないものです。
花屋さんは小学生の女の子がなりたい職業ランキングでも常に上位に位置しており、小さな女の子の憧れの職業でもあります。
実際に花屋さんを開業するとなると、 年収はどれくらいになるのでしょうか?
また、開業手順などはどうしたらいいのでしょうか?
この記事では花屋さんの経営とフランチャイズについて、さまざまな点から解説します。
目次
フラワー業界の将来性
花屋を開業しようと考える前に、まずは、フラワー業界の将来性について知っておきましょう。
先行きが明るくなければ、せっかく独立したとしても長く続けることはできないかもしれません。
将来性の分析はその業界に入る前にしっかりと確認しておく必要があります。
フラワー業界の将来性について解説します。
(1)花屋の市場規模は1兆円規模
花や木の市場規模は1.1兆円と1兆円を越える市場規模をほこっています。
出典:農林水産省「花きの現状について」
市場規模でいうと酪農や果実、野菜ほどではないにしろ大きな市場規模といえます。
次に国内の消費推移について見てみましょう。
出典:農林水産省「花木の需要について」
切り花類の需要は若干減少傾向にあり、他の鉢物、球根類などといったものも若干ながら減少傾向なのが現状です。
これにはいくつかの要因が重なっていますが、次の項目で解説します。
(2)冠婚葬祭の花需要は減少傾向
日本において花木類の消費が多いのは冠婚葬祭です。
世界第2位の消費国として知られていますが、冠婚葬祭によるシェアが約70%程度あるといわれています。
近年、コンパクトな結婚式や家族葬による小規模の葬儀といった部分で花木の需要が減少しています。
これだけ見ると、将来性がないと判断されがちですがそうではありません。
世界第2位の消費国というと消費が多いように見えます。
家庭用の花における市場はまだまだ開拓の余地があり、今後は家庭用の市場に目を向けた戦略などにより、これからも需要の可能性を秘めた市場といえます。
(3)AIにはできないフラワーアレンジメントで需要は継続
家庭用市場を狙う中で注目されるのがフラワーアレンジメントです。
既存の花をただ販売するだけではなく、アレンジメント分野に進出することで花の需要を高めることができるのです。
フラワーアレンジメントはAIでは難しく、その人のセンスが問われます。
フラワーアレンジメントも含めたコーディネートを加えることで花屋の可能性は高くなるといえるでしょう。
フランチャイズの花屋業の平均年収
実際に花屋を経営した場合、売り上げや年収はどのくらいの利益が出るのでしょうか?
出典:農林水産省「花きの現状について」
現在15,903店の花き専門小売業者の年間販売額が3,683億円となっています。
1店舗あたりの販売額を見てみると、3,638億円÷15,903店=約2,300万円の売り上げとなります。
実は花の利益率は高く、仕入れ値に対して50%以上の利益率があるといわれています。
完売できずに在庫を残したとして40%の利益率で計算しても2,300万円×40%=920万円と1,000万円近い収益を挙げることが可能です。
花屋の経営によって年収1,000万円を越えることも珍しくはないといえるでしょう。
(1)減少しているも需要はなくならない
順調に経営ができると、年収でも期待が持てる業界ですが気になる点は需要の減少です。
年間購入額の推移を見てもわかるように需要が減少していることが表からもわかります。
しかし、需要は減少していても決してなくなることはありません。
前述しましたが家庭市場への取り組みにより需要は改善する可能性も十分秘めていますのでこれからの回復にも期待が持てます。
(2)今後はオリジナルの経営が鍵
ただし、他と同じようにただ花を販売するだけでは需要の減少に巻き込まれる可能性もあるといえます。
今後のカギはコーディネートも含めた花屋展開といったオリジナリティが求められているといえるでしょう。
初期費用・ロイヤリティなどの費用
花屋経営は、利益率も高く比較的高収益が狙える業種であることを先ほどまで解説しました。
しかし、開業するにあたりどの程度の初期費用が掛かるのかといった点や、フランチャイズに加盟するとなると、どのくらいのロイヤリティがかかるのかといった点にも注意しておかなければいけません。
ここからは開業にかかる費用や運営資金面について解説します。
(3)初期費用の目安
開業にかかる費用として、物件の取得費用、内装や外装工事、什器の設置、広告費用、配達する場合ならば車の購入費用などがあります。
これらの項目と費用を表にしました。
物件の取得費用 | 約200万円 |
内装、外装工事 | 約300万円 |
什器設備設置 | 約100万円 |
広告費用 | 約30万円 |
車の購入(宅配、仕入れ用) | 約100万円 |
総合計 | 約730万円 |
店舗の規模や飾る花の品数などによっても異なりますが、一般的には700万円前後の開業費用がかかります。
更にフランチャイズに加盟するとなると、かかる可能性がある費用が加盟料です。
加盟料とはフランチャイズ締結するときに払う契約金の一種で本部への支払いが必要です。
しかし、加盟料に関してはかからないフランチャイズなどもありますので、フランチャイズにおける加盟店料なども前もって調べておきましょう。
(4)ロイヤリティは会社ごとに異なる
フランチャイズに加盟すると毎月発生するのがロイヤリティです。
ロイヤリティとは毎月一定の金額を支払うことで、フランチャイズ本部の営業ノウハウや広告などを利用することを指します。
ロイヤリティもフランチャイズ本部ごとに異なり、ロイヤリティが発生しないフランチャイズ本部などもあるのです。
またロイヤリティはかかりませんが、顧問契約やコンサルティング契約といった契約内容で顧問料やコンサルタント料といった名目の費用が掛かるケースもあります。
ロイヤリティに関しても加盟店料と同様に前もって調べておく必要があります。
(5)運営資金の目安はどれくらい
先ほど開業にかかる費用は700万円前後だということを述べました。
次に気になるのが毎月の運営資金です。
毎月の売り上げから運営資金を差し引いて収益となりますが、できるだけ運営資金を抑えることで経営リスクを引き下げることができます。
運営資金で必要な項目は、家賃、仕入れ費用、人件費。広告費といった部分です。
これらの項目と費用を表にしました。
家賃 | 約20万円 |
仕入れ代 | 約30万円 |
人件費 | 約20万円 |
広告費 | 約20万円 |
ラッピングなど雑費 | 約10万円 |
総合計 | 約110万円 |
運営費は毎月約110万円前後となります。
しかし、店舗の規模や加盟するフランチャイズ本部とのフランチャイズ料などで運営費用は変わりますのであくまでも目安として捉えてください。
フランチャイズによる花屋の開業手順
次に花屋を開業するまでの手順について説明します。開業までにはいくつかのステップを踏んで開業しましょう。
ステップをそれぞれしっかり理解していつまでに開業するのかを明確にしておくことがポイントです。
ステップ1 説明会参加や資料請求
まずは、加盟するフランチャイズをどこにするかを決めなければいけません。
フランチャイズの本部を決めなければ開業費用や運営費用の計画ができませんので、最初にフランチャイズを決定しましょう。
興味がある会社が見つかれば直接連絡し、担当者との面談や説明会への参加、資料の請求などで調べることが可能です。
ステップ2 フランチャイズ加盟契約を締結
フランチャイズする企業を決めるとフランチャイズ契約を締結します。
契約時に資金計画のサポートや物件の紹介などを行ってくれるケースもありますので、前もって説明会などの時に詳しく問い合わせしておくと、その後の流れがスムーズです。
ステップ3 店舗取得
フランチャイズ契約を締結すると、店舗選びから店舗契約を締結します。
あらかじめ気に入った物件があれば、内見を行い、内装や外装の見積もりを取っておくことも可能です。
早めに契約し、内装や外装を手早く行って開業までの期間を短縮しておきます。
ステップ4 内装や届け出
開業ができるように内装や店舗の開業申請が必要です。
内装工事中に開業における申請を同時に行うと効率が良く、早めの開業が可能です。
ステップ5 開業
いよいよ開業です。
開業後もフランチャイズ企業としっかり連携し、早期の黒字化を目指しましょう。
必要な資格や技術
花屋を開業するにあたり必要な資格は特にありません。
つまり未経験でも開業は可能です。
しかし、前述しましたが資格を持っているとさまざまな面で資格や知識が生かせます。
花を買いに来たお客様に適した花のアドバイスができたり、コーディネートができたりすると、お客様の満足感に繋がりリピーターが増えるので、とても効果的です。
では、どのような資格を持っていると経営に有利なのでしょうか?
(1)開業時に持っておくと便利な資格
開業時に持っておくと便利な資格は主に下記の資格です。
- フラワーデザイナー
- フラワー装飾技能士
- フラワーアレンジメント
これらの資格を保有していると、お客様の信用感も増しますし、どの花を購入すればいいか悩んでいるお客様への的確なアドバイスなどができます。
またアレンジメントした花を店頭に飾っておくと、お客様の目を引き付けるかもしれません。
資格は、花屋の経営において大きな武器になるでしょう。
花屋を利用する顧客層をしっかりと分析する
自分が経営する花屋さんがどのようなお客様を対象にするのかをあらかじめ明確にしておくと、非常に効率の良い経営ができるでしょう。
不特定多数のお客様を対象にしているとそろえる品数も増やすことになり運営資金を圧迫します。
そこで、あらかじめ大まかな顧客層を決めてターゲットとしておくことで、効率的な経営に期待が持てるでしょう。
(1)対象顧客は店舗を構えるエリアで異なる
まず、対象顧客は店舗を構えるエリアに大きく影響します。
例えば、ビジネス街にある花屋さんであれば企業から献花やお祝いの花といった注文が来ることが想定されます。
住宅街であれば自宅で楽しめる花の購入が多いでしょう。
繁華街であれば、パーティーなどによる注文も想定されます。
このように、エリアによる対象顧客層の違いを十分に認識し、対象を分析しましょう。
(2)冠婚葬祭の販売なら高収益も
また、冠婚葬祭が良く行われる式場の近くに店舗を構えると、お花の注文が多くなる可能性もあります。
減ったとはいえ我が国においては冠婚葬祭における花きの需要は、全体の約7割と非常に大きな割合です。
冠婚葬祭の受注が取れると、注文が安定して入りますので経営的には非常に大きいといえます。
(3)花関係の教室開催
フラワーアレンジメントの教室などを開催している教室などに花をおろすことで一定の収益確保が可能です。
自分たちで定期的に教室が開催できるようであれば、教室における花の需要が見込めます。
フランチャイズで花屋を開業するメリット
ここまでは、フランチャイズでも自主独立でも花屋を開業するといった点に注力した解説を行いました。
実際にフランチャイズにするかどうかは非常に悩みどころでしょうか、ここからはフランチャイズで経営することにおけるメリットについて解説します。
(1)本部のフランチャイズ経営ノウハウが手に入る
未経験でも花屋の経営は可能ですが、その場合はフランチャイズに加盟することをおすすめします。
花屋経営を長年行ってきたノウハウをもとに経営ができますので、未経験の人には大変メリットがあるといえるでしょう。
(2)ブランド力が使える
集客の際には広告に力を入れなければいけませんので、自主独立の場合は、広告費に負担がかかります。
大手ブランドのフランチャイズであれば、ブランド自体に広告効果があります。
また、フランチャイズ本部が広告を行うのであまり広告に力を入れる必要がありません。
これもフランチャイズに加盟する大きなメリットです。
(3)仕入れの心配がない
自主独立する場合気になるのが仕入れです。
いつも安定した仕入れができるかどうかという点も花屋経営では大切なポイントですが、自主独立の場合は、うまく販路が見つからない可能性があります。
フランチャイズであれば販路が確定しているうえに、スケールメリットを生かして安く仕入れることが可能ですので仕入れに心配することがありません。
フランチャイズで花屋を開業する問題点・失敗を避けるコツ
フランチャイズの加盟はメリットばかりではなく、注意点もしっかりと理解したうえで判断する必要があります。
ここからは、フランチャイズ加盟することによる注意点や失敗を避けるコツなどについて解説します。
(1)加盟店料 ロイヤリティを複数の本部で比較検討する
フランチャイズに加盟するとどうしても気になるのが加盟店料やロイヤリティの部分です。
大手の営業ノウハウやシステムが利用できるメリットは、逆にコストに跳ね返ってきます。
しかし、フランチャイズの中には、加盟店料やロイヤリティがかからないケースもあります。
大切なのは、複数の比較検討です。最初のフランチャイズ選定の際には、1社だけではなく複数の企業を比較し選択しましょう。
(2)自由な販売ができにくい
フランチャイズの場合、きっちりと販路が決定していますので、売りたいものが販路にない場合は販売しにくいといった側面があります。
このような場合は仕入れ先に相談してみましょう。
フランチャイズ本部の了解が必要かもしれませんが、販売できるものであれば、売り上げが上がりますのでフランチャイズ本部にとっても悪い話ではありません。
あきらめずに相談する姿勢がポイントです。
(3)オリジナリティがない
今後の花屋経営においては、差別化が大きなポイントと述べました。
しかしフランチャイズの場合、本部の営業ノウハウやシステムを利用できる代わりに、本部の意向に沿った営業スタイルで営業しなければいけません。
つまり、なかなか自由度が制限される場合があるということになります。
しかし、フランチャイズによっては自由度を持った経営スタイルを推奨しているところもありますので、フランチャイズ契約前にきちんと確認しておく必要があります。
契約してしまったあとに独自のアイデアを生かした経営をしたいと思った場合もあきらめずフランチャイズ本部に相談してみましょう。
キーポイントは緊密な連携です。
フランチャイズ本部との信用関係が安定した経営におけるポイントの一つですので緊密な連携を取ってお互いのメリットが出るように対応しましょう。
まとめ
冠婚葬祭の縮小化によって、花の需要が少なくなったとはいえ、今後は家庭用の花などにも期待が持てるフラワー業界です。
花の販売は利益率も高く、うまく経営できれば年収1,000万円も不可能ではありません。
しかし、未経験からの開業を考えている場合は、大手のノウハウが利用できるフランチャイズがおすすめです。
フランチャイズの中には、ロイヤリティや加盟店料がいらないところもあるし、研修制度がしっかりと確立しているところなどもあります。
フランチャイズを選択する際に1社にこだわらず複数社で比較検討することが最も大切です。
自分のスタイルに合ったフランチャイズ本部を選択し、早期の安定経営を目指しましょう。