フランチャイズビジネスは副業でもできる?収益があげやすい業種は?
企業の働き方改革や、リモートワークの浸透などにより、プライベートの時間が増加し、空いた時間を活用して副業を検討する方も増えてきました。
副業の形態は、アルバイト、個人事業主などさまざまですが、今注目を浴びているのがフランチャイズビジネスです。
今回は副業としてのフランチャイズビジネスをテーマに、おすすめの業種や開業の流れなどを解説します。
目次
副業に向くフランチャイズビジネスの業種
「本業として取り組むビジネス」というイメージの強いフランチャイズビジネスですが、業種によっては副業に向くものも存在します。
具体例を三つ見てみましょう。
(1)コインランドリー
コインランドリーは、管理者が常駐する必要がないため、副業向きのビジネスとして知られています。
共働き夫婦や高齢者の増加に伴い需要が増しており、将来性の見込める業種といえます。
洗濯機の進化により仕上がりのクオリティも向上しており、一度始めると継続的な収益が期待できます。
(2)ネットショップ
インターネット通販の市場は拡大の一途を見せており、既に私たちの生活になくてはならないものの一つです。
フランチャイズビジネスでも、ネットショップの運営が可能です。
パソコンとインターネット環境さえあれば開業できるため、初期投資が低額で済み、手軽に事業を始められます。
安ければゼロ円から開業と出品が可能で、本格的に開業する場合も20万円程度から始められます。
(3)各種習い事教室
英会話や絵画教室などの習い事もおすすめの業種といえます。
加盟時にかかる初期費用も、安い場合は10万円未満で済むところもあります。
少子化に伴い、子ども一人当たりにかける教育費用は増加傾向にあり、習い事の需要は依然高い状態にあるといえます。
家事や本業の合間の2時間から3時間程度といった空き時間でも取り組めるのが魅力の一つです。
フランチャイズビジネスを副業で始めるメリット
フランチャイズビジネスを副業で始める場合、さまざまなメリットがあります。
(1)収入の柱が増える
収入が、本業と副業の二本柱になることにより、家計の安定化が図れます。
仮に本業の収入が低下した場合でも、副業の収入があれば経済的なダメージは最小限に抑えることができるのです。
安定化が図れるだけでなく、本業も順調な場合は収入増に繋がります。
(2)退職後の収入源ができる
若年層はもちろんですが、50代中盤から60歳の方は、退職後の収入と生活に不安を感じていることが少なくありません。
副業として事業を始めれば、退職後の収入源を確保することができます。
また、早いうちから始めることで、本業のある間に経験やノウハウを蓄積でき、退職時には副業だけで安定した収入を得られることもあります。
(3)未経験・ゼロからの開業でも成功しやすい
フランチャイズを活用して副業をするメリットの一つは、事業運営のさまざまなサポートを受けられることです。
具体的には、フランチャイズ本部から以下のようなノウハウの提供や補助を受けられます。
- 屋号を使える
- 開業の段取りを教えてもらえる
- 集客をフランチャイズ本部が集客してくれる
- フランチャイズ本部の道具やシステムなどを使わせてもらえる
- トラブル発生時にサポートをしてもらえる
ゼロからの開業であっても、個人でイチから始める場合と比べ、大幅に有利にスタートできるのがフランチャイズならではの強みといえます。
(4)リスクを抑えて独立への準備ができる
将来的に自分で事業を始めて本業としたい場合、副業から始めることでリスクを抑えることができます。
退職してから新たに事業を始めるケースでは、初めて挑戦する事業にすべての収入を依存することになります。
当然、上手くいかなければ収入は激減しますし、赤字が膨らめば借金を負う可能性もあります。
まずは小さい規模から副業で始めると、うまくいかない場合でも本業の収入を頼ることができます。
リスクを抑えながら事業の経験を積めるという点は、大きなメリットといえるでしょう。
副業でフランチャイズビジネスを始めるデメリット
フランチャイズビジネスを副業で始めることにはメリットもありますが、本業として始める場合にはないデメリットもあります。
具体的なデメリットについて説明します。
(1)業種が限定される
副業でフランチャイズビジネスを始める場合、少なからず業種は限定されます。
事業に割ける時間が少ないため、稼働時間が収入に直結するタイプの業種は諦めなければならないこともあります。
ただし、人を雇う場合や、システムが集客や販売を代行してくれるスタイルの業種を選ぶ場合は副業としても取り組める可能性があります。
また、こうしたケースでは、本業でも副業でも収入はあまり変わらないこともあります。
自分の開業スタイルや事業規模も考慮しつつ、フランチャイズ本部との面談の際に相談してみることをおすすめします。
(2)短い稼働時間で利益を出さなければならない
副業の場合は本業と平行して取り組むため、フランチャイズビジネスに全力を注ぐことはできません。
そのため、短い稼働時間で利益を出す必要があるという点には注意してください。
稼働時間が収入に比例する場合、短い時間でいかに利益を出せるかは重要な課題です。
必然的に、効率を重視した事業運営が必要になるでしょう。
特に、初期投資の回収と、毎月の支出には敏感でなければなりません。
何カ月で投資を回収できるのか、支出を考慮して稼働時間に見合った利益が出るのかは、慎重に判断しなければなりません。
最初は大きな収入が見込めない場合、小規模で事業をスタートさせられないか、手持ちの道具や場所を流用して初期費用を節約できないかを検討してみましょう。
支出を抑えることで、副業でも挑戦できる幅は広くなります。
(3)プライベートの時間が圧迫される
本業に加えて副業に挑戦する場合、プライベートの時間は相応に圧迫されます。
休みの日も事業に時間を充てなければならないこともあるでしょう。
業種にもよりますが、自分の時間や休息は、ある程度犠牲にしなければならないことも多いです。
小さな子供がいる場合や、介護が必要な家族がいる場合などは、副業での開業自体が現実的に難しいケースもあります。
ただし、この場合も、オーナー本人の稼働があまり必要ない形のビジネスを選ぶことで解決できる可能性があります。
自分の副業に向くのは?フランチャイズビジネスの3つの種類
フランチャイズビジネスは、オーナー自身の実働の有無や業務への関わり方によって、3つのタイプに分類できます。
人によって適したものは異なるため、まずは特徴を理解しておきましょう。
(1)オーナー自身が業務を行う「実務型」
オーナーが自ら業務を行い、商品・サービスを提供するのが「実務型」です。
オーナーのスキルが商品やサービスの品質に直結するため、「腕一本で勝負したい」という場合におすすめです。
フランチャイズビジネスの多くが実務型に分類され、未経験の場合は事前の研修が必要となるケースも多いです。
- 各種飲食系フランチャイズ
- ハウスクリーニングやビルメンテ系
- 建築施工系
などは実務型の代表例です。
(2)資金を提供して運営を任せる「投資型」
投資型とは、場所や施設に資金を投入し、運営をフランチャイズ本部に任せるタイプのビジネスです。
管理に人の手を必要としないものが多く、副業としても注目されています。
いわゆる「不労所得」が欲しいケースでは、最もイメージに近い運営ができるタイプです。
初期コストとしてまとまった金額が必要ですが、ランニングコストは少なめで、本業に集中しやすいというメリットがあります。
などは、投資型ビジネスに該当します。
(3)悩みを解決して社会貢献する「アドバイザー型」
特定の属性を持った顧客の悩みにアドバイスを行うビジネスは「アドバイザー型」と呼ばれます。
物ではなくコンサルティングサービスを提供するのが主な仕事なので、広い店舗や在庫が必要なく、コストを抑えて開業できるケースが多いです。
「人の相談に乗るのが得意」「人助けができる仕事が良い」という方には特におすすめです。
などは、アドバイザー型ビジネスの代表例です。
副業としてのフランチャイズビジネスに向く人の特徴
フランチャイズビジネスを副業として始める際、「自分に向いているだろうか」と悩む方は少なくありません。
では、どのような方が副業としてのフランチャイズビジネスに向いているのでしょうか。
(1)本業以外にある程度時間が確保できる
副業の業種にもよりますが、本業の勤務時間が定まっていてプライベートの時間が確保しやすい場合、副業に挑戦しやすいといえます。
予定が立てやすいので、ある程度のゆとりをもって、副業のスケジュールを立てることができます。
また、まとまった時間を使える分、収入増にも繋がりやすいです。
(2)副業に生かせるスキルがある
既に何らかの専門的なスキルをお持ちの場合、副業で成果を出しやすいといえます。
たとえば、何らかの習い事の講師をしていれば教室の副業に挑戦しやすいですし、文筆業の経験があればライター業務を始めやすいです。
このように過去に何らかのご経験をお持ちの方も、副業に適しているといえます。
(3)初期費用を捻出できるお金の余裕がある
フランチャイズビジネスを始めるにあたり、金額の大小はありますが、店舗や設備の用意、加盟金の支払いなど初期投資が必要となります。
副業でできるフランチャイズビジネスのなかには、数万円から始められるものもありますが、100万円単位の初期投資が必要なところもあります。
そのため、ある程度貯金があり、かつ生活に直接影響しない余剰資金で副業を始められる方に向いているといえます。
実際にフランチャイズビジネスの開業を考える際は、自分の経済事情に見合ったビジネスかもしっかりと検討しましょう。
(4)基礎的なビジネススキル、マナーがある
業種に直接関係するスキルはもちろんですが、接客スキルやトラブル対応、一般的なマナーなども、フランチャイズビジネスでは重要です。
たとえばネットショップの副業なら、顧客からの問い合わせ対応やクレーム処理、メールのやりとりなど、オフィスワークで培った力を生かすことができます。
ハウスクリーニングなど、客先に出向くタイプのビジネスであれば、基礎的な接客スキルがあれば気持ちよく仕事を依頼してもらえます。
このように、副業とはいえ相手のいるビジネスですので、基礎的なビジネススキルやマナーは重要となります。
(5)自分で考えて創意工夫ができる
自分で考えて、工夫しつつ事業運営ができる人は、フランチャイズビジネスで成功する可能性が高いといえます。
事業には課題やトラブルが付きものであり、直面する度に対処法を検討し、試行錯誤を繰り返さなければならないからです。
副業であれば、本業とのバランスを取ることが必要なため、必要性が高い素養だといえます。
また、自分のアイデアにより課題を解決できた時に喜びを感じる人も、事業を楽しみながら運営できるでしょう。
総じて「船長として船の進行方向を決める」ことに意義を感じる人は向いているといえます。
副業でフランチャイズオーナーとして開業する問題点
せっかくフランチャイズビジネスを始めても、運営がうまくいかず事業が頓挫してしまうことは珍しくありません。
では、副業として開業する場合、どのような問題が発生するのでしょうか。
具体例を見てみましょう。
(1)本業との両立ができるかどうか
フランチャイズビジネスに副業で取り組む場合、本業との両立が一つのポイントとなります。
本業が多忙になり、副業に使える時間が減少すると、売上の低下に繋がることもあるためです。
また、フランチャイズ契約には年単位で契約期間が設けられていることが多いため、仮に副業の時間を確保できなくても、中途解約はできない、または違約金が発生する場合があります。
本業優先のなか、いかに作業時間を確保するかが一つのキモといえるでしょう。
(2)フランチャイズ本部とうまくやっていけるか否か
フランチャイズビジネス全般にいえることですが、フランチャイズ本部との相性は大切です。
仕事の進め方やブランド本部の対応、担当者との相性などによっては、事業に集中できない場合や、売上の減少に繋がることもあります。
加盟先候補のフランチャイズブランドが複数ある場合は、時間をかけて自分と相性の良い加盟先を探しましょう。
事業内容やサポート内容、担当者の対応を比較しつつ、慎重に判断してください。
(3)フランチャイズビジネス一本に切り替える際の注意点
フランチャイズビジネスが軌道に乗っている場合、加盟先のブランドから、事業に専念しないかと打診を受けることがあります。
事実、副業の収入が本業を上回り、本業を退職する方も少なくありません。
しかし、事業というものは「調子のよいとき」「悪い時」があるものです。たまたま好調の時期に一本化してしまうと、業績が悪化した際のダメージが大きくなります。
退職を検討するのであれば、収入の柱を一本失っても問題ないほどお金を稼げるのか、慎重に考慮する必要があります。
勤め先が副業禁止だとフランチャイズに加盟できない?
副業をしたい場合でも、勤め先の就業規則で禁止されている場合は気軽に挑戦できない場合もあります。
実際のところ、勤め先が副業禁止だと、フランチャイズビジネスを始めるのは難しいのでしょうか。
(1)副業の一律禁止は憲法上の問題から合理的とはいえない
ご存じのとおり、憲法は国民に「職業選択の自由」を認めており、副業を一律に禁止するのは合理的とはいえません。
事実、判例や専門家の見解では、法的には原則自由とすべき、とされる見方が強いです。
ただし、副業によって勤め先に不利益を与える可能性が高い場合、例外的に副業禁止を認めた判例もあります。
- 業務に支障が出る場合
- 業務上の秘密保持義務に違反する場合
- 競合に該当する場合
- 副業によって会社の名誉を傷つける場合
こうしたケースでは、副業禁止が合理的とされる可能性があります。
(2)公務員の副業は原則禁止
なお、副業が一律禁止とされる仕事もあります。それが公務員です。
公務員は、その立場上、民間企業との癒着や必要以上の関わりを避けなければならず、副業も禁止されています。
この点は、国家公務員法という法律に明記されています。
“(私企業からの隔離)
第百三条 職員は、商業、工業又は金融業その他営利を目的とする私企業(以下営利企業という。)を営むことを目的とする会社その他の団体の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ね、又は自ら営利企業を営んではならない。“
引用元:国家公務員法|e-GOV法令検索
(3)民間企業の場合は就業規則を確認
一般企業の場合、前述した通り、一律の副業禁止は合理的とはいえません。とはいえ、勤め先とのトラブルはなるべく避けるのが望ましいので、まずは就業規則を確認してみてください。
一律厳禁ではなくとも、申請制や許可制の場合もありますので、職場のルール内で解決できないか検討してみましょう。
フランチャイズオーナーとして副業で開業するまでの流れ
フランチャイズオーナーとしての開業を検討し始めてからは、どのように進行するのでしょうか。
開業までの流れを見てみましょう。
(1)フランチャイズブランドへ問い合わせ
まず副業での取り組みが可能なフランチャイズ会社へ問い合わせてみましょう。
インターネットに情報を掲載しているフランチャイズブランドも多いため、情報を比較しながら簡単に絞り込んでみてください。
めぼしい加盟先を見つけた場合、資料請求や説明会の予約をします。
(2)資料の確認と説明会への出席
取り寄せた資料や説明会の内容をもとに、フランチャイズビジネスの内容を把握します。
次のような内容が特に重要です。
- 運営元の事業内容
- 運営元の経営方針や事業方針
- 初期費用の額や支払方法
- 実際の加盟者による体験談
- フランチャイズ元のサポート体制
説明会には、現役の加盟店オーナーが来ており、実際に話を聞けることがあります。
事業運営の具体的なイメージを持つため、体験談を聞いてみましょう。
話の内容を自分の状況に置き換えて、向き・不向きを判断する材料の一つにできます。
(3)加盟に向けた打ち合わせ
説明会の参加や本部の訪問を経て、気に入った加盟先があれば、具体的に加盟と開業に向けた話し合いを行います。
たとえば、以下のような内容を詰めていきます。
- 開業にかかる費用
- 店舗や設備・機材の調達について(必要な場合)
- 開業後のサポート内容とその提供方法
- いつから事業を始めるのか
- 開業にあたって必要な公的手続きについて
- スタッフの雇用や社会保険について
打ち合わせで確認したいことがある場合、事前に整理したうえで臨むと話し合いがスムーズに進みやすいです。
(4)フランチャイズ契約の締結
話し合いの内容について合意できれば、いよいよ契約となります。
契約書は書式が煩雑で内容も多いため、つい読み飛ばす方もいらっしゃいますが、話し合いの内容が正しく反映されているか必ず確認しましょう。
なお、依頼すれば契約書の複製をもらえることもありますので、事前に読んでおくことをおすすめします。
不安な点があれば、フランチャイズビジネスに知見のある弁護士などに確認してもらうこともできます。
(5)開業の準備
機材や店舗の調達、設備工事など、事業開始に向けた具体的な準備が始まります。
たとえば、習い事教室の場合はこの段階でフランチャイズ元から教材などが支給され、コインランドリーの場合は店舗や機械の準備などが行われます。
(6)事業開始
設備や店舗の準備が完了すると、実際に事業を開始できます。
フランチャイズ元のサポートは、事業開始後も継続されることが一般的です。
事業運営や集客などで、不安な点があれば遠慮なく問い合わせてみましょう。
まとめ
副業でフランチャイズビジネスに挑戦するのであれば「自分が副業に向いているか」「副業でも可能な事業内容か」が非常に重要なポイントとなります。
今回の内容を参考に、この点を慎重に検討してみてください。
具体的に加盟先を選ぶ段階では、最初は特定のブランドにこだわらず同業種のフランチャイズブランドを複数比較することをおすすめします。
比べることで、各事業の長所や短所、自分に合っているか否かが浮き彫りになるためです。
まずは、「どのような加盟先があるのか」からチェックしてみてください。