飲食店は廃業率が高い?廃業しないためのポイントを解説

カテゴリー : 独立開業コラム

飲食店 廃業率

飲食業界は市場が大きく、新規参入する会社や店舗も多い反面、廃業に追い込まれることも珍しくありません。

実際に同じ場所で何十年も店舗を維持し続けている飲食店は「老舗」として評価されていますが、老舗の数はどんどん減っています。なぜ飲食店は廃業率が高いのでしょうか。

今回は、飲食店の廃業率が高い原因や、廃業しないためのポイントなどについて解説します。

投稿者・コラム執筆者

飲食店の廃業率は高いのか?

飲食業界は廃業率が高い業界だといわれていますが、一方で、新規の開業率が高いのも飲食業界です。

このことから、飲食業界は入れ替わりが激しい業界であることが分かります

一般的に、飲食店の廃業率は1年以内で30%、3年以内で70%、10年以内で90%といわれています。

とくにここ数年ではコロナ禍や材料費の高騰などの影響を受け、さまざまな店舗が廃業に追い込まれています。

しかし、入れ替わりが激しい業界だからこそ、一度廃業しても再び別の業態で再度チャレンジしやすい業界ともいえます

飲食店の廃業率が高い理由

廃業率が高いといわれる飲食業店ですが、なぜ廃業に追い込まれることになるのでしょうか。飲食店の廃業率が高い理由をみていきましょう。

(1)利益を出すことが難しい

飲食店で利益を出すことは簡単ではありません。

飲食店は他の業種に比べても人件費や材料費など運転資金が高額になりやすく、開業後すぐには利益を出せないことも多いです

しかも、環境の変化も利益に影響を与えます。

飲食の流行は移り変わりが激しく、流行りのものだから売れるというわけではありません。

感染症の流行や材料費の高騰など情勢も利益に打撃を与える原因になるため、情勢に応じた柔軟な対応力が求められます。

(2)初期投資額の回収に時間がかかる

飲食店の業態や規模によって異なりますが、基本的に飲食店の開業では初期投資額が高額になることが多いです

店舗の契約費用や設備費用、厨房機器、人件費、広告費など開業に向けて多くの費用がかかります。

こうした初期投資の費用を開業の利益から回収する必要がありますが、開業後すぐに黒字化できるとは限りません。

利益が少なければ返済に追われてしまい、最終的に初期投資額を回収できないまま廃業に追い込まれることもあります。

(3)運転資金が不足しやすい

飲食店はなかなか黒字化できず、赤字が続くようなケースも少なくありません。

しかし、店舗の家賃や人件費、材料費、設備のメンテナンス費用、光熱費などのランニングコストは多くかかります。

安定するまでは資金繰りが厳しく、運転資金に余裕を持っていなければお店が軌道に乗る前に運転資金が底をついてしまいます。

そのため、開業時に綿密な資金計画を立て、黒字になるまで持ちこたえられるように準備をしておくことが大切です

(4)経営戦略や計画の準備不足

開業から1年という短期間で廃業してしまう飲食店も多いですが、その理由として計画や戦略、準備不足が挙げられます。

飲食店を黒字化するには事前に経営戦略を立てて計画する必要があります。

マーケティング不足により地域の需要に合わない商品や店舗を展開し、集客できないまま廃業するようなケースも多いです。

また、個人経営だと利益管理がずさんになることが多く、気付けば資金が底をついてしまうというケースも珍しくありません。

飲食店の経営を持続するには、料理や接客のスキルだけではなく、経営ノウハウや経営計画が必要です

(5)競合店が多い

飲食店は人気がある業種なので、競争が激化しやすいです。

近隣に顧客のターゲット層が被る店舗が新規オープンすることもあれば、メニュー内容やコンセプトが重複する店舗が並ぶこともあるでしょう。

競合店が多いほど顧客の奪い合いが起こり、売上が分散されてしまいます

(6)人手不足になりやすい

飲食店は人手不足が起きやすい業界です。

激務であるにも関わらず給与が低く、従業員が離職しやすい職場環境といえます

人手不足になるとオペレーションが上手くいかなくなり、結果的に売上の減少につながってしまいます。

飲食店の廃業を避けるためにすべきこと

飲食業界で多くの経験を積んでいる人でも必ず飲食店の開業が成功するとは限らず、反対に未経験で成功するようなケースもあります。

飲食店の廃業を避けるためにも、開業前に以下のことを確認しておきましょう。

(1)事業計画をしっかり立てる

飲食店に限ったことではありませんが、起業する場合は事前に事業計画をしっかり立てることが大切です

勢いだけで飲食店を開業しても、資金不足や戦略ミスで廃業に追い込まれる可能性があります。

どのようなお店を作るのか事前に以下のことを具体的に考え、計画書としてまとめましょう。

  • お店のジャンル
  • メニュー内容
  • ターゲットの設定
  • 出店場所の選定
  • お店の規模
  • 他店と比較した時の強み
  • 集客方法

こうした計画をまとめれば、より明確な戦略を立てることができ、必要資金の算出も詳細に出すことができます。

(2)お金の流れを把握する

飲食店の経営をするにはお金に関する知識が必要です。

お金の流れを把握できていなければ、いつの間にか運転資金が底をついてしまい、廃業せざるを得なくなるような事態を引き起こす可能性があります。

売上とコストを正しく把握し、どの時点から利益が得られるようになるのか分岐点を把握しておきましょう

コストを抑えるほど利益は多く得られやすくなるため、経費に無駄が出ていないか確認することも大切です

経理業務の知識がなくて不安な場合には、税理士への依頼や経理を雇うなど専門家に任せるという選択肢もあります。

(3)マーケティングと競合店の分析をする

飲食店は競争が激しい業界になるため、マーケティングをしっかり行うことが廃業を避けるためのポイントになってくるといえます

マーケティングとは、どのようにお店の商品やサービスを効率的に売れるような仕組みを作るのかという点を分析することです。

立地やターゲット層、時代のニーズに見合ったメニューや商品提供、宣伝方法を考えてみましょう。

また、近隣の競合店を分析することも大切です。

成功している飲食店の良い部分を研究して取り入れることや、競合店と比較した際の強みを明確にすることなど、競合店の分析は成功の一歩につながります。

(4)宣伝・広告に力を入れる

新規開業する際には、お店の知名度が全くない状態からのスタートになります。

認知度を高めるためにも宣伝・広告が必要です

近隣住民への宣伝・広告ならば、チラシや店頭の看板などが有効でしょう。

チラシには初回クーポン券などを付けておけば、より集客を見込みやすくなります。

より幅広い集客を目指す場合には、SNSやインターネットの広告などを利用して宣伝活動を行いましょう。

(5)従業員の教育をマニュアル化する

小さな店舗にて一人で切り盛りする場合や、無人店舗なら従業員の教育の必要はありませんが、飲食店では従業員を雇うことが多いです。

そのため、従業員用のマニュアルを作成して、効率良く従業員の教育を行うことが大切です

マニュアル化しておけば、仕事内容を従業員が効率的に学べるだけではなく、サービス内容を統一化することができます。

従業員によって接客方法や調理方法が異なれば、クレームやトラブルの原因になってしまいます。

マニュアルを作成するには手間がかかりますが、サービス向上のために必要な手間であるといえます。

(6)フランチャイズに加盟して開業する

飲食店を開業したいものの知識や経験不足で廃業が心配だという場合や、少しでも廃業のリスクを抑えたいという場合には、フランチャイズに加盟して開業することがおすすめです。

フランチャイズなら本部の知名度や商品力を利用できるため、開業当初からある程度の集客が見込めます

また、経営に関するノウハウの提供も受けることができるため、経営の知識がない方でも開業することが可能です

ただし、フランチャイズで開業するには初期費用として加盟金が必要になり、毎月のロイヤリティも発生します。

フランチャイズで飲食店を失敗させないためのポイント

フランチャイズに加盟して飲食店を開業すれば、すでに成功しているビジネスモデルやブランド力を利用できるため、廃業のリスクを軽減できます。

しかし、必ず成功するとは限りません。

フランチャイズで失敗しないためのポイントを紹介します。

(1)本部に頼りすぎない

フランチャイズに加盟すれば、本部が開業までさまざまなサポートをしてくれます。

本部によっては開業後も手厚いサポートが受けられるため、本部任せになってしまうケースもあるでしょう。

そうなると、利益や経営について考える力を養うことができません

急なトラブルや問題にも適切に対処できず、運営が上手くできなくなることも考えられます。

本部のサポートを受けることは大切ですが、あくまでもオーナーは自分自身であるという自覚を持って経営にあたりましょう。

(2)しっかりリサーチして本部を選ぶ

フランチャイズビジネスは近年活発化しており、本部の数も増え続けています。

飲食業界のフランチャイズはとくに数が多いため、加盟する本部を選ぶ際はしっかりリサーチすることが大切です

本部が展開する店舗の人気度やメニュー内容、加盟後に受けられるサポート内容などを調べ、自分に合う本部を探します。

実際に店舗へ足を運び、体験してみることも大切です。

資料請求や説明会の参加なども積極的に行い、複数のフランチャイズ本部を比較検討してみてください。

まとめ

今回は、飲食店の廃業率が高い原因や、廃業しないためのポイントなどについて解説しました。

飲食店は競合も多く、入れ替わりの激しい業界です。そのため、1年など短い期間で廃業してしまう飲食店もあります。

飲食店を開業して成功させるためには、事前の準備をしっかり行うことが大切です。

新規開業では認知度が低く、利益が出るまでに時間がかかってしまいます。

廃業のリスクを軽減するためにも、フランチャイズに加盟して開業することも選択肢として考えてみてはいかがでしょうか。


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