飲食店での開業を検討している場合、まったく未経験からの参入としても経営ノウハウを知っておくと、経営後の困りごとにも比較的早く対処できるのではないでしょうか。

この記事では、飲食店の開業において経営ノウハウが必要な理由や経営前後で必要なノウハウなどについて詳しく解説します。

飲食店経営には経営ノウハウが必要な理由

ここからは飲食店経営に経営ノウハウが必要な理由について解説します。

（1）競合先が多い

飲食店経営は非常に競合が多く、差別化や顧客満足度の高い店舗づくりが非常に重要です。

経営ノウハウがないと、まずは経営ノウハウを学ぶために、他の店舗状況などを真似るケースも多くなってしまいます。

そうなると、他店舗との差別化が図れずに、ノウハウを身に着ける前に廃業してしまうかもしれません。

飲食業の廃業率は他業種と比較しても高いので、経営ノウハウを身に着けた上で、差別化やブランディングを考えた出店が重要です。

できる限り経営ノウハウを身に着けた上で、差別化を図った経営を心がけましょう。

（2）開業にかかる費用が高額

飲食店は、開業費用が高額な点も挙げられます。

開業費用として店舗の取得費や厨房設備の設置、客席の確保などが必要になりますので、場合によっては1,000万円以上のコストになることも珍しくはありません。

自己資金だけで開業できると、万が一失敗したとしても借金することはありませんが、融資を受けての開業となると廃業した場合、負債だけが残ってしまうことになるでしょう。

いきなり経営ノウハウも満足にない状態で開業すると失敗する可能性も高く、場合によっては再チャレンジできないほどの負債を背負ってしまうかもしれません。

負債を背負わないように、経営ノウハウを身に着けた開業がオススメです。

（3）利益率があまり高くはない

そもそも飲食店自体の利益率はあまり高くありません。

飲食店の場合、店舗関係の維持コストや原材料のコストが比較的高いので、経費関係がどうしても高くなってしまいます。

少しでも無駄な経費が出てしまうとあっという間に赤字経営になってしまうかもしれません。

経営ノウハウをしっかりと身に着けておかなければ、無駄な経費がわかりにくく利益が出ないといったケースが考えられます。

また頑張って経営していても、おさえるポイントが間違っていて、収支が改善しないなども挙げられるでしょう。

利益率がもともと低い分、経営ノウハウを身に着けて無駄な経費を抑えなければいけません。

（4）集客に時間とコストがかかる

集客に関する時間とコストも挙げられます。

独立開業して間もなくは、飲食のお店が開業されたことをしっかりと認識してもらうための宣伝広告に時間とコストをかけなければいけません。

宣伝広告も飲食店経験者や経営ノウハウをすでに身に着けている方などは、効率的な時間とコストの使い方ができるでしょう。

集客に関してノウハウを持っていなければ、時間とコストばかりかかってしまっても成果が出ない可能性も考えられます。

集客面でも経営ノウハウは非常に役立ちますので、身に着けておかなければいけない理由といえるでしょう。

飲食店開業前に必要な経営ノウハウ

経営ノウハウが必要な理由について解説しました。

必要な経営ノウハウは開業前後で少し異なります。

ここからは飲食店開業前の準備段階において必要な経営ノウハウを解説します。

（1）ターゲット層を決める

ターゲット層を決めなければいけません。

経営ノウハウを持っていなければ、ターゲットを明確化することの重要性がわからないかもしれません。

全年代を対象としてしまうと、メニューなどが明確に決まらず、来店数が増えない要因となってしまいます。

例えば、ローカロリーが売りの店と、大盛りが売りの店は共存できません。

この場合はローカロリー向けのメニューだと若い女性向け、大盛が売りの店だと若者男性向けとしっかり差別化されています。

どんな人を対象のお客様とするのかによって、メニューの種類や価格設定が決まります。

（2）物件の立地にこだわる

物件の立地にはとにかくこだわりましょう。

立地が悪い店舗は、条件面で非常に不利な状況からのスタートとなってしまいます。

ターゲット層が多いエリアを想定し、交通の便がいいエリアがオススメです。

ただし交通の便が良いエリアだと、どうしても家賃が高くなってしまいます。

交通の便だけではなく徒歩500ｍ以内にターゲット層が多いエリアの中心など、十分にマーケティングしたうえで店舗を決めなければいけません。

（3）資金調達はなるべく早く準備しておく

先ほど、飲食店経営の初期費用が高い点を挙げました。

自己資金だけでは初期費用が足りず、開業時に融資を受けて開業するケースも多く見られます。

融資を受ける場合は早めに準備しなければいけません。

融資は必ず承認されるとは限らずに、もしかすると融資を受けられない可能性も考えられます。

融資が受けられなかった場合、最悪の場合開業できないといったことも考えられ、今までつぎ込んだ自己資金部分が無駄になるかもしれません。

そこまではいかなくても、融資が遅れると、そのまま開業予定日まで遅れてしまう可能性もありますので、早めの準備を心がけましょう。

（4）経費をおさえる

経営ノウハウが必要な理由について述べましたが、利益率が低いので、なるべく経費を抑えなければいけません。

経費を抑えるためには、どのような経費がかかっているのかを把握しておく必要があります。

経費は、固定費や変動費、人件費などに分けられますので、自分なりに細かく経費を記入してくると、自ずと経費の性質や抑えられるポイントなどが理解できるでしょう。

細かく書き出しながらしっかりと管理しなければいけません。

（5）集客にはSNSが効果的

集客のノウハウとして挙げられるのがSNSの活用です。

集客に利用できるSNSとしてInstagramやX(旧：Twitter)、Facebookなどが挙げられます。

これらのSNSは無料で利用可能です。

開店準備の様子などをアップしたり、SNSを見た方にはサービス券を配布したりといった方法で開店前からお客様を掴みましょう。

飲食店開業後に必要な経営ノウハウ

次に開業してからの経営ノウハウについて解説します。

（1）売上の分析

飲食店の経営に限りませんが売上高は必ず分析しましょう。

分析の方法として、曜日ごとの売り上げ分析や、時間ごとの売り上げ分析などにより投下す人員などを効率的に配置できるでしょう。

またメニューごとの売上を分析し、不採算なメニューを外すと、仕入れの額が減りますので、経費の削減につながります。

客単価も分析の対象となりますが、売上の増減が客単価の減少か客数の減少かなどが理解できますので、売上が落ちていた場合、効果的な対策が取れるでしょう。

売上の分析は、飲食店の現状を把握することにも繋がりますので、長所や短所を理解する効果的なノウハウです。

（2）QSCを徹底する

QSCとは、品質のQualityと接客のService、清潔のCleanlinessを指します。

どれも飲食業にとっては絶対に怠ってはいけない部分です。

QSCがひとつでも欠けている飲食店は、まず成功しません。

これらを徹底するためには、自分や社員だけではQSCをきちんと把握しているかどうかわかりません。

お客様の声を聞くために、アンケートしてみるなどの方法が効果的です。

安定した飲食業経営には多くのリピーターを確保する必要があります。

QSCの徹底が、何度でも来店して食べたいと思わせるような環境づくりにつながるでしょう。

（3）食品の原価と人件費を分析する

経営ノウハウにおける重要性として何度か繰り返しているのが、経費を抑える点です。

もともと、利益率が高い業種ではありません。

経費を抑えるためには経費を分析する必要があります。

経費の中で占める割合が多いのは、食品の原価や人件費ではないでしょうか。

これらをしっかりと分析し、効果的に経費を投入しなければいけません。

あまり売上が上がらない時間帯に多くの人員を配置したとしても経費がかさんでしまう要因となります。

効果的な経費負担には、これらの分析が欠かせません。

（4）定期的なメニューの入れ替えと開発

固定客が常につくような飲食店にするために必要なのは、飽きさせないという点も挙げられます。

いつも決まったメニュー構成だと、お客様も若干飽きてしまうので、来店するペースが落ちてしまうと売上が減少する要因となってしまいます。

お客様を飽きさせず、来店のペースを上げるための効果的な方法が新メニューの開発です。

定期的にメニューの開発や、季節メニューの提供などにより、来店客数が増加する対策のひとつとなるでしょう。

しかし、飲食店のコンセプトに合う必要性や、新メニューによる食品原価の増加といった点には注意しなければいけません。

人気のメニューを無くして新メニューを提供すると逆に売上が落ちてしまう可能性も考えられるでしょう。

いくつかの点に注意しながら新メニューの開発に取り組まなければいけません。

飲食店経営にはフランチャイズがオススメの理由

飲食店経営にはフランチャイズがオススメです。

フランチャイズとは本部とのフランチャイズ契約によって、本部の商標や経営ノウハウを引き継いて飲食店を経営することです。

ここからは、フランチャイズがオススメの理由について解説します。

（1）研修により未経験でも開業可能となる

本部の経営ノウハウを使って飲食店を開業しますので、飲食業が未経験の方でも開業しやすい点が特徴のひとつです。

開業前に本部の研修などがありますので、事前に経営ノウハウを身に着けることができます。

前述したように、未経験からの参入はノウハウもないため、効率的な経営ができず廃業してしまう可能性が非常に高くなってしまいます。

未経験からの開業だと、必ずフランチャイズに加盟した方がいいというくらいオススメです。

（2）安定した安いコストで仕入れが可能

飲食店経営において経費削減の重要性についても前述しましたが、フランチャイズだと安定した安い原価での仕入れが可能です。

自分で仕入れ先を探す必要がなく本部が指定した卸業者での仕入れが可能です。

本部は加盟店全部の仕入れ契約が結べますので、大量に仕入れできます。

大量に仕入れる分、安い価格で加盟店が仕入れできる体制が整っているといえるでしょう。

（3）本部ブランドを利用して集客にも強い

フランチャイズとは本部の看板や知名度を使って経営ができますので、開業時には既に知られているお店で開業ができます。

つまり、開業時には一定のファンがいますので独立開業ほど集客に苦労せず、固定客を既に一定数掴んでいることになるでしょう。

本部ブランドの利用により集客面でも大きな効果をもたらす点もフランチャイズがオススメの理由です。

（4）メニューやサービス開発は本部に任せられる

先ほど、飲食店開業後のノウハウとして定期的なメニュー開発を挙げました。

非常に重要な取り組みなのですが、個人でメニュー開発となると思ったように進まず手間と時間もかかってしまう可能性が考えられます。

フランチャイズに加盟して開業すると、メニュー開発などはすべて本部が一括して取り組みますので加盟店がメニュー開発に苦労することはありません。

まとめ

飲食店の経営ノウハウについて解説しました。

人気の業種であると同時に、競合店がどうしても多くなってしまい、廃業率も比較的高い点が懸念点といえるでしょう。

経営ノウハウをしっかり身に受けなければ、あっという間に失敗してしまう可能性も考えられます。

経営ノウハウを持たない場合は、開業前にはどこかで修業したり、アドバイザーを頼ったりするなどの対策が必要です。

またフランチャイズによる飲食店開業もオススメです。

飲食店での開業を検討している方は、フランチャイズなどを候補に挙げながら経営方針を決定するといいでしょう。