独立する?フランチャイズにする?
近年いろいろな業種にて独立開業を考える方・実行する方が増えてきている現象がみられます。
独立開業には自力で独立開業する一般的な独立開業とフランチャイズとして加盟する独立開業という形があります。
そしていろいろな業務事情・業務内容により、独立開業・フランチャイズについて説明する必要がある方もいらっしゃいます。
そこで今回は独立開業につきまして、一般的な独立開業とフランチャイズによる独立開業それぞれの特徴や難点などを解説します。
目次
一般的な独立開業の特徴
(1)個人事業主と法人について
個人事業主と法人で開業方法・開業費用が異なります。
①個人事業主
個人事業主の場合、申請費用はゼロ円です。手続きは開業届を税務署へ提出するのみで、1日で完了となります。
②法人
法人には合名会社・合資会社・株式会社・合同会社などがあります。
ここでは一般的に設立されるのが多い株式会社・合同会社について触れます。合同会社は設立時に10万円程度を要するのみであるのに対して、株式会社は24万円程度必要となります。
そして会社設立には公証人役場・法務局・税務局へ行く必要があり、書類準備や登記申請などで1週間程度もしくはこれ以上かかります。
(2)税金について
①個人事業主
個人事業主には所得税・住民税・消費税・個人事業税があります。
②法人
法人には法人税・法人住民税・法人事業税・地方法人特別税・消費税・固定資産税があります。
一見法人の方が多くみえますが、事業の規模では法人の方が少なくなる場合もあります。
(3)費用計上範囲について
①個人事業主
個人事業主では消耗品費・旅費交通費・接待交際費・水道光熱費といった出費が経費とみなされます。
②法人
法人では個人事業主で計上できる経費をすべて計上できるうえ、給料・保険料・日当も経費として認められます。住宅費も8割程度が経費にできる場合があります。
そして確定申告で控除を受けられる費用が多くなります。
(4)社会的信用性について
法人の方が国から認められた存在として、社会的信用性は大きい傾向にあります。
独立開業で成功するためには?
(1)所属している会社から結果的に独立という形になる
例えば現状勤めている会社にて、何らかの事情で独り立ちすることになるわけです。
もちろん上司や代表の方と喧嘩別れという形ではなく、「もう自分でできるだろ」と言われ事業譲渡のような状況になるのです。
この際自分が主に担当しているお客様は、そのまま自分の新しい会社のお客様となります。
そして元々所属していた会社からはその後もお客様・仕事を紹介され続けるという、非常に他事業家がうらやむような形になっていきます。
また元々所属していた会社から各種士業者さん・税理士さんまで紹介して頂けるという場合まであり得ます。
さらに元々所属していた会社から「何か困ったらいつでも連絡しておいで、いつでも遊びにおいで」と声をかけてもらえるわけです。
(2)事業のノウハウがある・情報網をもっている・税金系の深い知識がある
①事業のノウハウがある(折衝経験を含む)
何らかの形で商品を持っている・商品を作れる・サービスを供給する体制をもっていて、新規お客さんを獲得するための自信を持った販売戦略も準備できているという場合も商いには強い要素です。
②情報網を持っている
大手有名企業・都市銀行・国家公務員一種・海外の有名企業に直接なり間接なり、知り合い・友人などがいるとします。
そして様々な情報を得られれば、事業の大きなチャンスに巡り合う可能性もあります。
また話次第では、自社製品を全国世界規模のカタログに載せてもらえる・仮想通貨取引などだけで生計を立てていけるという場合すらあります。
③税金系の深い知識がある
税金系の深い知識があれば、決算書をある程度まで自力で作成し最後は税理士さんに幾分か安価でしてもらえるという時もあります。
こうなれば、幾分か経費節約になります。そして民間金融機関や政府系金融に融資を申請する際、可決の可能性が高い書類を作りやすいです。
そして5年計画10年計画で事業計画を考える際、なるべく多く純利益が多い事業計画を考えられます。
(3)自己資金がある程度ある
自己資金がある程度あれば、売上を上げるための諸活動に費やせる時間を確保できます。
大まかには、いろいろな人と会って話しをできる・自社のホームページ整備やSEO施策をじっくりとこなせるなど販売戦略を具体的に進められます。
そして融資を申請する時も、現金で既にいくらかもっていれば可決しやすいと思われます。
(4)ネットショップ開業やクラウドソーシングビジネスをする
ネットショップ開業やクラウドソーシングビジネスをすれば、オフィス家賃・各種設備維持費などが大幅に軽減されます。
ネットショップの場合手作りの商品ならば、原価もとても安価で済みます。
そしてクラウドソーシングビジネスの場合、クラウドソーシング元がお客様をある程度確保した状態に保ってくれます。
よって、営業活動の手間が大幅に省けます。ただクラウドソーシングの場合、売上からクラウドソーシング元にいくらか手数料が引かれます。
半分フランチャイズをしているようなものとも考えられます。
独立開業の難点
(1)想定した売り上げが上がらなかった
独立開業でよくある最初の難点として、思ったほど売れなかったという場合です。
最初の半年間はずっと軽いマイナス・収支トントンだったという場合が珍しくありません。
以前いた会社と同じ業種で独立したところ、今までのお客様が一気に去っていったというパターンがあります。
知り合いが多いエリアで起業するので、知り合いが購入してくれるであろうと想定したものの皆手のひらを返したように購入してくれなくなるのです。
(2)代金を回収できなかった
初めて新規お客様から問合わせ・注文があった時というのは、新しい起業家にとっては嬉しいものです。
ただこの新しい起業家の心理状態につけこんで、良からぬことを考える人もいるわけです。
例えば新規購入者が「ちょっとここの所支払いが重なって経済的にきついから待ってもらえませんか?」と言ってくるのです。
新しい起業家としては固定客になって欲しいので、あまり強くは言い難いわけです。
ところが待っても待っても払ってくれず、ついには連絡がつかなくなるのです。
仮に何とか連絡がついて弁護士に相談しても、着手金・弁護士費用などを引いたらほとんど残りませんねとなるのです。
結局は代金を回収し損ねます。
(3)リピーターがなかなかつかまらない・単価をなかなか上げられない
新規問い合わせがあって一時的に売れはするものの、なかなかリピーターになってもらえない・単価をなかなか上げられない場合もあります。
売り上げアップに単価アップ・リピーターの存在は重要です。
まだ余裕がないことによる、特典をつけられない・大割引セールをできない・諸バックアップサービスといった大きい販売会社並みの保証をつけられないといったようなことに起因します。
(4)実力が高い士業者さん・税理士さんに相手にしてもらい難い
ある程度まとまった資金・安定した会社の体制などが整っていないと、力量と経験豊富な士業者さん・税理士さんに顧問として諸アドバイスをもらい難い傾向もあります。
(5)融資申請がなかなか通らない
新設備導入などで、追加の費用が必要になることがあります。
ここで民間金融機関や政府系金融に融資を申請しても、事業実績不足・信頼不足などの理由でなかなか融資してもらえないわけです。
フランチャイズ開業の特徴
(1)開業手順
①フランチャイズ元に接触
フランチャイズ業務説明会参加・本部から資料を入手するなどして、フランチャイズ元に何らかの形でコンタクトをとります。
②フランチャイズ契約段取り・契約決定
事業内容打ち合わせ・契約内容打ち合わせなどを経て、フランチャイズ契約決定となります。
③フランチャイズ開業準備・開店・事業開始
店舗準備・商品搬入・サービス準備などを完了して、晴れて開業・事業開始となります。
④加盟金
一般的に数十万~数百万円が相場となっています。
ただ近年は加盟金実質ゼロ円のフランチャイズもあるようです。このように業種によって多少違いはありますが、加盟しやすくなってきている傾向もあります。
ただ審査がありますので、申請すれば誰でもフランチャイズ開業できるというわけではありません。
(2)一気にブランド性と販売戦略の骨子を入手できる
フランチャイズビジネス最大の利点といっても過言でないかもしれない、商標・看板を使用できる権利を入手できるわけです。
そして全国ネットのCMが放映される・本部のホームページに加盟店舗として掲載される、などといった販売戦略も利用できるようになります。
(3)フランチャイズの税金
フランチャイズの税金には、所得税・源泉所得税・消費税・個人事業税・住民税があります。
税金については独立開業とフランチャイズ、どちらの方が有利不利とは言い難いです。
ただフランチャイズの場合、本部から経営指導といったサポートがなされる所もあります。
フランチャイズ開業で成功するためには?
(1)事業ノウハウを知っている(折衝経験を含む)
こちらは一般的な独立開業と同じですが、商品の製造方法・販売方法・ある程度の店舗運営方法などを知っていると事業を進めやすいです。
フランチャイズ申請時の審査も通りやすく、契約・開店がスムーズに進みやすいです
早く開店できれば、売ろうとする商品の需要が高いタイミングに販売のタイミングを合わせやすいです。
こうなると要領よく販売でき、売上・利益も上がりやすいです。
(2)自己資金がある程度ある
自己資金がある程度あれば、審査が通りやすいです。
一般的な独立開業の時同様、民間金融機関・政府系金融からの調達も実現しやすいです。
(3)先見性がある・高精度な事業計画書を作成できる
フランチャイズながら、店のこと・店周辺地域事情のことを観て聞いて精通しているのは店のオーナーである加盟者です。
自分の周辺で次そして次の次に何が求められるのか、把握しておくのは大切なことです。
そして本部の方・金融機関の方・その他関係者の方々を説得するために、緻密に計算された事業計画書・提案書は有効的です。
フランチャイズ開業の難点
(1)審査に通るか否か
まずは本部が求める契約条項を細かい部分までそろえて、フランチャイズ審査を通過できるか否かが第一の難点です。
(2)危機管理策を準備しておけるか否か
想定した売り上げが上がらなかったことに起因するロイヤリティの支払いが難しいなどといった、難しい局面をある程度想定し危機管理策を作っておくというのも容易ではありません。
本部の営業マンをはじめとしたスタッフの方はもちろん、時には外部の方に相談するなどして策を練る必要があるときもあり得ます。
(3)本部とうまく付き合えるか否か
本部のおかげで事業を営めているわけですので、本部の方針に沿うのが求められます。そして本部の方針に沿うだけでなく、自分自身で試行錯誤するのも重要です。
ただ自分自身でも試行錯誤したアイディアが、本部の意向に沿っているか否かも難しさの一つではあります。
この本部の意向に沿ったものにするという点で、手間暇をかけたすり合わせが必要となります。
独立開業とフランチャイズ開業の違いは?
(1)開業の段取り
開業の段取りとしては、似たような条件下ではフランチャイズの方が参入しやすい傾向にあるのではと予想されます。
(2)フランチャイズの方が売れやすい
フランチャイズでは本部から様々な権利の提供・サポートがなされますので、商品やサービスが売れやすいと思われます。
(3)フランチャイズでは経費やコストを抑えられる場合も
販売や店舗運営には何かと経費が掛かりますが、フランチャイズの場合本部がいくらか負担してくれる場合には加盟者の負担が軽減されます。
(4)ロイヤリティの存在
フランチャイズではロイヤリティの考えは切り離せず、重くのしかかってくることもあります。
ただ昨今はフランチャイズを募る側も諸事情により、加盟者が運営しやすいようにロイヤリティを低く抑えている業種・会社も増えてきているようです。
まとめ
以上独立開業とフランチャイズについて述べてきました。それぞれの強み・利点・難点をある程度把握及び認識できたのではと思います。
やはりとても強い自信・根拠・ノウハウがあるのでなければ、ブランド力・様々なサポートが豊富なフランチャイズの方がおすすめではと予想されます。
長年夢見た事業を形にして、皆さんの人生を豊かなものにしてください。