日本公庫の新創業融資制度は資金調達におすすめ!特徴や注意点を解説!
事業の開始・維持には多少なりとも資金が必要であり、これは多くの経営者を悩ませる点です。
とくに、自己資金の少ない経営者は、外部からの資金を調達を検討しなければなりません。
とはいえ、新規事業を始める場合、過去の実績がなく、民間の銀行金融機関から融資を受けられないことも多いです。
こういった場合に選択肢の一つとなるのが、日本政策金融公庫(日本公庫)の新創業融資制度です。
無担保無保証で融資を受けられ、1,000万円以内であれば貸し付け融資の条件も比較的が優しいというメリットがあります。
この記事では、日本公庫の新創業融資制度について、その特徴や融資の条件などを紹介します。
新創業融資制度とは何か?
日本政策金融公庫では、創業者向けに多くの融資制度を提供しています。
新創業融資制度は、新企業育成貸付に分類される以下の融資制度を、より低いハードルで利用できるオプション制度です。
【新創業融資制度を利用できる融資制度(一例)】
- 新規開業資金(新企業育成貸付)
- 女性、若者/シニア起業家支援資金
- 再挑戦支援資金(再チャレンジ支援融資)
これらの制度では、通常借り入れのために担保や保証人が必要です。
新創業融資制度は、一定の条件を満たす事業者に対し、これらの融資を無担保無保証で利用できるなど、より手軽に申し込めるようにしたものです。
(1)融資限度額
新創業融資制度により調達できる資金の限度額は3,000万円です。
そのうち、運転資金として借り入れられるのは1,500万円までとなっています。
なお、制度上の限度額は3,000万円とされていますが、実際は希望額が1,000万円を超えると審査の通過難度が大幅に上昇します。
これは、1,000万円を超える融資では審査を本店で行うためです。
(2)利率には幅がある
新創業融資制度を利用して資金を借りる場合、基準金利は2.36%から2.855%です。
このほか、一定の条件を満たした事業者に対する特別利率が8パターン用意されています。
【新創業融資適用時の利率一覧】
基準利率 | 2.36%~2.85% |
特別利率A | 1.96%~2.45% |
特別利率B | 1.71%~2.20% |
特別利率C | 1.46%~1.95% |
特別利率D |
1.71%~2.00% |
特別利率E | 0.96%~1.45% |
特別利率J | 1.31%~1.80% |
特別利率P |
2.16%~2.45% |
特別利率Q | 1.96%~2.45% |
なお、上記の利率は2021年10月現在のものです。
融資制度の金利は頻繁に見直され、申込のタイミングによって適用利率が異なるため、最新の利率は以下より確認してください。
(3)借り入れの条件
新創業融資制度を利用するには、借入に関する以下のすべての条件を満たす必要があります。
【申し込みが可能な事業者の条件】
事業を新規に開始、または開始後税務申告を2期終えていない方が対象です。
【自己資金に関する条件】
事業を新規に開始、または税務申告を1期終えていない方は、創業資金の総額のうち10分の1を自己資金でまかなう必要があります。
ただし現在勤務している業種と同業の事業を始める場合や、各都道府県の認定特定創業支援事業を受けて事業を始める場合など、特定の要件を満たす場合、自己資金が不足していても融資を受けられることがあります。
参考:新創業融資制度の「自己資金の要件を満たすものとする要件」|日本政策金融公庫
(4)返済期間
返済期間は、新創業融資制度を上乗せする各融資制度に応じて異なります。
新規開業資金の融資と併用するのであれば、設備資金は20年、運転資金は7年が返済期間となります。
新創業融資制度のメリット
新創業融資制度の利用には、以下の3つのメリットがあります。
- 他の金融機関と比べ金利面で有利な場合がある
- 担保や保証人が不要
- 借り入れ限度額が大きい
それぞれのメリットを詳しく見ていきましょう。
(1)他の金融機関と比べ金利面で有利な場合がある
銀行やノンバンクよりも、低い金利で融資を受けられる場合があります。
例えば、地方銀行やネット銀行のビジネスローンでは、金利が5%から10%超というところが多いです。
新創業融資制度では、基準利率の最高金利で貸し付けを受けた場合でも、金利は2.85%です。銀行と比べると大幅に金利が低いといえます。
もちろん、金融機関の貸付金利は審査結果しだいのため、一概にはいえません。
しかし、業績面で不安の大きい新創業者に対する貸し付け金利としては、非常に有利であるといえます。
(2)担保や保証人が不要
新創業融資制度は担保や保証人が原則不要であり、事業が失敗した場合でも経営者個人には責任が発生しません。
万一の場合に失うものが少ないという点は大きなメリットです。
なお、代表者が連帯保証人になることで、金利を0.1%下げることも可能です。
(3)借り入れ限度額が大きい
民間の金融機関と比べ、借入限度額が大きいのもメリットの一つです。
1,000万円までであれば、比較的優しい条件で資金調達できます。
ビジネスローンでも、限度額1,000万円までとうたっている金融機関はありますが、新規取引では別途上限が設けられていることも珍しくありません。
この点、実績のない創業者でも高額の融資を利用できるのは大きな強みといえます。
新創業融資制度のデメリット
新創業融資制度は、事業を始めたばかりの事業者にとって、メリットが大きいといえます。
ただし、他の制度と比較するとデメリットも存在します。
(1)制度融資よりも金利が高い
資金調達の方法としては、地方自治体の制度融資もあります。
自治体の窓口で申し込むことで利用でき、1%未満の金利で資金を借りられるのが特徴です。
新創業融資制度よりも金利が低い分、融資条件は厳しいですが、総合的な返済額を抑えられる点は大きな魅力です。
新創業融資制度と並行して検討することをおすすめします。
(2)入金に時間がかかる
新創業融資制度により資金を調達するには、日本公庫による審査を待つことが必要です。
申請から融資の実行まで1ヶ月以上かかるため、民間の金融機関から資金調達するよりも時間がかかります。
創業資金を日本公庫から調達する場合はスケジュールに余裕をもって申し込みましょう。
新創業融資制度の審査に合格するには?
日本公庫の融資には審査があり、合格しなければ借り入れはできません。
審査に合格するためのポイントは、大きく分けて以下の3点です。
- 融資希望額を低くする
- 業務を経験しておく
- 実現可能な事業計画を立てる
それぞれのポイントを簡単に解説します。
(1)融資希望額を低くする
無担保無保証で資金を貸し出す新創業融資制度では、自己資金に対して、大きすぎる金額の借り入れを受けるのは難しいです。
一般的には、希望額は自己資金の3倍程度に留めておくと、比較的審査に通りやすいといわれています。
(2)業務を経験しておく
事業を始めたい業種を経験している人のほうが、未経験者よりも失敗する可能性が低いです。
そのため、審査でも有利になります。
可能であれば、事業開始前に同業の会社で働き、実業務を経験しておきましょう。
(3)実現可能な事業計画を立てる
融資の審査では、事業計画や、それに対する借入金の返済計画を必ず確認されます。
計画が現実的でないとされると、見直しを求められる場合や、審査で合格できない場合があります。
持続的に利益を出し、成長できる事業かどうかは非常に重要なポイントです。
不安であれば、税理士など専門家に相談してみましょう。
まとめ
新創業融資制度は、事業を新規に始める人が、より資金調達をしやすいように作られた制度です。
銀行など他の金融機関と比べると、金利が低く融資限度額が大きいといったメリットがあります。
審査に当たっては、しっかりと事業計画書を作り込み、現実的な返済プランを練ることが大切です。
まずは、事業にあたり資金はいくら必要なのか、どの程度の利益が見込めるのかなど、詳細をシミュレーションしてみましょう。
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