テイクアウト業をフランチャイズで開業するメリットと注意点
ここ数年、テイクアウトに新規参入するケースや、外食産業がテイクアウト事業に乗り出すケースが増加しています。
そのため、テイクアウト専門のフランチャイズも増えており、さまざまなタイプのテイクアウト専門店を選択することが可能です。
この記事では、最近急増しているテイクアウト業をフランチャイズで開業した場合の収益やコスト、将来性などやメリット、注意点などについても詳しく解説します。
目次
フランチャイズのテイクアウト業の将来性
なぜ、ここ数年テイクアウト業の開店数が増え、外食産業がテイクアウト事業に乗り出しているのでしょうか?
また、今後の需要や将来性にも期待が持てるのでしょうか?
ここからは、テイクアウト業の将来性について解説します。
(1)外食産業の衰退を受けて、テイクアウト業への参入が増大
ここ数年、テイクアウトを取り扱う店が増えている最も大きな原因はコロナです。
2020年に発生したコロナウイルスにより、度重なる緊急事態宣言による営業自粛や時短営業などで集客が大きく減少。
外食産業は大きなダメージを受けてしまいました。
コロナ前の2019年とコロナ後の2020年では市場規模が約16%も減少し、倒産件数も2020年は過去3番目となる高水準です。
2021年にかけても外食産業の苦境は、改善する気配を見せていません。
その中で増えているのがテイクアウトやデリバリーの需要です。
緊急事態宣言により、自宅で過ごす機会が多くなりましたので、自宅で食事するケースが増えています。
テイクアウトでおいしい食事を持ち帰り、自宅で食事するのが一般的に浸透し始めて、2020年のテイクアウト業は2019年よりも約9,000億円も増加しているのです。
まだまだコロナは終息の気配を見せず、今後もテイクアウト業の需要は増加すると想定されています。
コロナ終息後も新しいライフスタイルが確立され、家での時間を大切にする人が増えてくる点からもテイクアウト業の将来性は有望といえるでしょう。
(2)集客が厳しい昨今、飲食店と同時にテイクアウト業に参入している
コロナ禍における外食産業のダメージは非常に大きく、ホテル業と同様落ち込みが激しい業種として挙げられます。
外食産業は、時短営業や酒類の禁止など、夜に営業を行う店舗が特に大きな影響を受けているといえるでしょう。
集客による夜の収益が見込めなくなった店舗が取り組み始めたのが昼夜のテイクアウトやデリバリー事業です。
お弁当のテイクアウトやデリバリーなどさまざまな取り組みを行い、何とかお店を閉めないようにテイクアウト事業で経営を維持していこうという考えからといえます。
外食店舗がテイクアウトに参入している場合は、収益拡大よりも収益維持といった観点から参入しているケースが多いのです。
コロナ禍の苦境が外食産業をテイクアウトに参入させているといえます。
フランチャイズにおけるテイクアウト業の平均年収
テイクアウト業の需要や今後の将来性などについて解説しました。
ここ数年で需要は大きく伸びていますが、実際にテイクアウト業を開業した場合、どの程度の収益を上げることができるのでしょうか?
まずはテイクアウトで開業した場合の収益面について解説しましょう。
(1)リピーターが一定数見込めるので安定した売り上げに期待
コロナ禍前に外食産業がテイクアウトに参入する最も大きな理由のひとつがリピーター獲得の手段として、テイクアウトの利用です。
利用客が気軽に立ち寄って購入できる点や、テイクアウトした商品を家族層に知ってもらえる点などから、店舗の集客を増やすための方法でした。
つまり、テイクアウト業の特徴として、一旦利用者が定着するとリピーターが付きやすいといったことが挙げられます。
お弁当屋さんなどは近くに企業などが多いエリアに開業すると、一定のリピーターなどによる安定的な売り上げが期待できるでしょう。
またフランチャイズに加盟すると、フランチャイズ本部の知名度が利用できます。
集客にも期待が持てる上に、事業の性質上リピーターが掴みやすくなるので、開業当初から安定した収益確保をしやすいといえるでしょう。
(2)テイクアウトと同時に宅配への参入でさらなる収益アップも可能
テイクアウト事業は、その性質上基本的に自分達から売り込むのではなく、来店してきたお客様に対して商品を販売するので、商圏がある程度限られてしまいます。
更に収益を増やすためには、自分達からエリアを広げる取り組みとしてデリバリーへの進出が挙げられるでしょう。
わざわざ買いに行くのが面倒だと考える顧客層も一定数ありますので、そのような層を掘り起こすことや、少し遠いと感じている層に自分達が配達することで集客に繋げます。
近年では店舗と契約し、商品を配達することに特化したウーバーイーツを代表とするサービスも利用可能です。
デリバリーを同時に行うことで更なる収益アップが見込めます。
(3)1店舗経営でも収益1,000万円超も現実的に期待ができる
テイクアウト業と言っても種類は非常に多く、弁当に特化したテイクアウトやパンのテイクアウトなどさまざまです。
それぞれによって収益が異なりますので一概にはいえませんが、1店舗経営でも1,000万円以上を超える収益を上げる店舗も少なくはありません。
更に、テイクアウト業は事業の性質上、店舗あたりの商圏は限られてしまいます。
1店舗である程度目標の収益が確保できましたら、他のエリアへ出店することで、更なる収益アップも期待ができるビジネスです。
初期費用・ロイヤリティなどの費用
多岐に渡るテイクアウト業なので売り上げに関してはそれぞれの職種においてさまざまですが、開業にかかる費用についても異なるのでしょうか?
ここからはテイクアウト業に参入した場合の開業費用やランニングコストといった面について解説します。
(1)飲食店と併用ならばコストダウンが期待できる
テイクアウト専門店でも、その場所で調理をするケースと、セントラルキッチン方式で、既に調理済みの商品を盛り付け、提供するケースでは設備によっても金額が異なります。
また、既に飲食店を経営しておりテイクアウトに参入する場合もコストは大きく異なるでしょう。
飲食店がテイクアウトを行う場合のコストは既に調理機器がありますので大きな資金投下は必要ありません。
しかし、フランチャイズに加盟し新規で事業を行う場合には、調理設備などの設置などが必要なことも少なくないでしょう。
フランチャイズ本部のやり方によって投下する資金には大きな違いがでます。
どのような飲食のテイクアウト事業を行うのかをまずは決定し、その中からいくつかのフランチャイズ本部を比較する必要があるでしょう。
(2)初期費用、ロイヤリティがかからないフランチャイズ本部もある
フランチャイズに加盟する場合、欠かせないのが加盟店料やロイヤリティの確認です。
テイクアウト業を自主独立する場合や、既に経営している外食店舗の商品をテイクアウトする場合は、フランチャイズに加盟しているわけではないので、これらの費用は必要ありません。
加盟店料とは、フランチャイズに加盟する場合に最初に支払わなければいけない入会金のような位置づけの費用です。
この加盟店料はいったん支払うと、フランチャイズ加盟から撤退したとしても返金されるものではありません。
フランチャイズに加盟する場合にはほとんどかかってくるコストです。
もうひとつフランチャイズに欠かせないのがロイヤリティ。
フランチャイズに加盟すると本部の経営や販売のノウハウが利用できる点が特徴ですが対価としてロイヤリティが発生します。
このような経営ノウハウを利用する利用料といったものと考えていればいいでしょう。
ロイヤリティは、毎月の売上の数%程度で設定されているものから毎月定額となっているものまでさまざまです。
しかしフランチャイズに加盟したからといって、必ず前述した加盟店料やロイヤリティがかかるとは限りません。
フランチャイズ本部の中にはこのような加盟店料やロイヤリティをもらっていないところもあります。
フランチャイズ本部を選ぶ場合の選択肢としてとして加盟店料やロイヤリティで比較してもいいでしょう。
フランチャイズでテイクアウト業を開業するメリット
テイクアウト業をフランチャイズに加盟して開業する場合、知名度が利用できる点を前述しました。
しかし、その他にもフランチャイズに加盟して開業する場合はさまざまなメリットがあります。
ここからは、フランチャイズに加盟して開業するメリットについて解説します。
(1)調理済の食材を盛り付けるだけのスタイルも可能
フランチャイズの中にはセントラルキッチン方式を採用している場合があります。
これは、大きな調理センターで調理した商品を各加盟店に卸し、加盟店では商品を温め、盛り付けるだけでお客様に提供する方法です。
この方式ならば、フランチャイズ加盟店の店舗内で調理する必要はないので、開業にかかるコストを抑えることが可能です。
(2)知名度や看板が利用できるため開業当初から一定の売上が期待できる
フランチャイズに加盟する最も大きな特徴として、フランチャイズ本部が成功した経営ノウハウをパッケージ化したものがそのまま活用できることが挙げられます。
更に看板により、知名度も最初からある中での開業となるので、独自で開業する場合よりも有利な状況で事業をスタートすることが可能です。
開業当初から一定の収益が見込める点もフランチャイズに加盟する大きなメリットといえるでしょう。
(3)高齢者向けの宅配で社会貢献もできる
高齢者向けのお弁当テイクアウトや宅配サービスもコロナ禍において非常に需要が高い分野といえるでしょう。
高齢者向けの場合は基本的に宅配の需要が高いのが特徴といえます。
テイクアウト業が一定の収益を上げることができると、併用して高齢者向けの宅配に進出することで更なる収益拡大の可能です。
フランチャイズ本部の承諾は必要ですが、需要は非常に高い上に社会貢献にも繋がります。ぜひ進出したい分野といえるでしょう。
フランチャイズでテイクアウト業を開業する問題点・失敗を避けるコツ
ここまではフランチャイズに加盟して開業した場合のメリットについて解説しました。
しかし、フランチャイズに加盟しての出店にはいくつかの注意点もありますので、注意点を確認し回避する方法を考えておく必要があります。
ここからは注意点と回避法について解説します。
(1)テイクアウト業は認知度がポイントとなり、構えている店舗の立地が決め手
テイクアウト業は、開業するエリアにも十分注意しなければいけません。
お弁当屋さんを開業する場合は、近くに会社等がたくさんあるエリアの方が好ましいでしょう。
から揚げに特化したテイクアウトならば、住宅地やスーパーの近くに開業しても面白いかもしれません。
フランチャイズに加盟して認知度をフルに活用するためには開業するエリアにも十分注意する必要があります。
自分が開業しようとするテイクアウトに対し需要があると思われるエリア選びは必ず行いましょう。
(2)テイクアウトを認知させる広告戦略も大切
認知度を高めるための宣伝広告も欠かせません。
自主独立よりも最初から知名度は高いのですが、フランチャイズに甘えるだけではなく、さらに知名度を高めるためにも広告戦略をしっかりと考えておきましょう。
ネット広告や折り込み広告など色々な広告媒体を利用した広告戦略も欠かせません。
しかし、無駄に広告をしても費用が大きくかかりますので、コストと効果度合いをしっかり分析して広告費用をかけましょう。
(3)独自の運営ができない
フランチャイズ経営の特徴としてフランチャイズ本部の指導に沿った経営を行わなければいけません。
加盟店が独自で経営すると契約違反となってしまいフランチャイズ契約の解除対象となってしまいます。
一定の決まりごとを守って経営する必要がありますが、加盟店にとっては窮屈に感じる場合もあるのではないでしょうか?
フランチャイズに加盟する場合は、どこまで自由な経営を認めてくれるのかを前もって確認しておく必要があります。
フランチャイズ本部によっては自由度の高い経営をできる場合がありますので、自分独自のプランがある場合はこのようなフランチャイズ本部を選んでもいいでしょう。
まとめ
テイクアウト業はコロナ禍の折、非常に需要が高まっている事業です。
フランチャイズの募集も多く、さまざまなタイプのテイクアウト専門店が開店しています。
また飲食店舗でも弁当などのテイクアウト品を販売していますので、テイクアウト市場規模は年々増加しているのです。
テイクアウトは持ち帰りの気楽さから手軽に購入する人も多く、一旦お客様となればリピート率も高くなります。
フランチャイズに加盟し知名度がある店舗であれば安定した経営を当初からできる可能性も高いのです。
しかし、フランチャイズに有利さに甘えずに店舗を開業するエリアの状況や広告戦略などを充分に行い開業にこぎつけましょう。
また、フランチャイズ本部選びも非常に大切なポイントです。
加盟店料やロイヤリティ、サポート内容などいくつかの本部を比較して選択することをおすすめします。