フランチャイズのファストフード店を開業するメリットとデメリット・本部のサポートは?
タイムパフォーマンスを重視する傾向が強くなる中、待ち時間が少ないファストフードの需要が増えています。
ファストフードの店舗が街中でも多く見られており、フランチャイズに加盟しての開業も散見されるようです。
この記事では、ファストフード屋をフランチャイズに加盟して開業する場合の収益性や本部のサポートなどについて詳しく解説します。
目次
ファストフードの現状や動向とは?
ここからは、ファストフードの現状や動向などについて詳しく解説します。
(1)ファストフードのフランチャイズとは?
ファストフードとはすぐに食べられる軽食などを指します。
代表的なファストフードというと、ハンバーガーやフライドチキン、牛丼などが挙げられるでしょう。
また、寿司やたこ焼きといったもののもファストフードのひとつです。
ファストフードの特徴として、デリバリーやテイクアウトとして対応しやすい点が挙げられます。
2019年以降、猛威をふるったコロナウイルスにより、たびたび出た緊急事態宣言やまん延防止法で、飲食店への出入りが制限されていました。
その中で急速に需要を伸ばしたのがテイクアウト業やデリバリー業です。
ファストフード業界もデリバリーやテイクアウトの追い風を受けた業種のひとつといえます。
(2)経済再開が追い風
2021年と2022年のファストフード業界の動向を解説します。
2021年はコロナウイルスの影響が大きく、経済も停滞し、外食産業は特に悪影響を受けていた年です。
コロナ禍により飲食店業界は苦境を受けている中、ファストフード業界は、持ち帰り特需や巣ごもり需要を確実に取り込みました。
2021年の業績は全体的にプラスとなり、堅調な推移となった年です。
2022年は行動緩和が規制され、外食需要が回復傾向になった年です。
ファストフード業界にも行動制限が緩和されたことは大きなメリットとなり、これも需要の拡大につながりました。
コロナ禍においても強い業界であることを証明しています。
(3)コストが増え値上げ傾向にある
コロナ禍においても堅調な推移を見せているファストフード業界ですが、世界的な原材料費の高騰やエネルギー価格の上昇、そして円安によって値上げせざるを得ない状況です。
国内経済は、停滞傾向にある上に、フードメニューなどの価格上昇は消費にとってマイナス要因となってしまいます。
そのため、ランチメニューの低価格化や、メニューのラインナップ改定などにより、値上げの対策をはかっています。
コロナ禍においても堅調な推移を見せる中でも、コスト増による値上げ傾向は、手軽に安い金額で食べられるファストフード業界において好ましい傾向ではありません。
今後、より一層の対策が必要になるでしょう。
フランチャイズによるファストフードの収益は?
ここからは、フランチャイズに加盟してファストフード店を開業した場合の収益性について詳しく解説します。
(1)ハンバーガーショップの収益モデル
ひとことでファストフードといっても、前述したように種類は多様ですので、客単価なども大きく異なります。
ファストフードの中でも代表的なハンバーガーについて下記に収益をまとめました。
モデルケースとして1ヶ月に500万円程度を売り上げる店舗の収益モデルを見てみましょう。
項目 | 収支 |
月間売上 | 500万円 |
材料費 | 190万円 |
人件費 | 130万円 |
家賃等経費 | 110万円 |
収益 | 70万円 |
家賃等経費の中には、フランチャイズ本部に支払うロイヤリティや広告費などが含まれています。
加盟する本部によってロイヤリティは異なり、投下する広告費などによっても収益は異なりますので、おおよその概算として見ておきましょう。
(2)最終的な利益率はどの程度?
月額売上が500万円に対し、70万円の収益ですので利益率は約14%程度です。
一般的なハンバーガーショップの利益率は12%前後といわれていますので、月額830万円の売上を上げると月額100万円程度の収益が確保できます。
ハンガーショップなどのファストフードにおいて、利益率を上げるためにはなるべく廃棄ロスをなくさなければいけません。
廃棄ロスが多ければ、それだけ余計な支出が増えます。
ファストフードや経営では、廃棄ロスの減少や最適な人員配置などに注意しましょう。
ちょっとのロスで利益率は大きく減少してしまいます。
事前のシミュレーションなどが安定収益のポイントです。
初期費用・ロイヤリティなどの費用
ハンバーガーショップにおける収益面を解説しましたが、開業するにあたりどの程度の初期費用が必要になるのかも気になるところです。
ここからは、初期費用やフランチャイズに必要なコスト面について解説します。
(1)開業における初期費用はどのくらいかかる
ハンバーガーショップを開業する場合、一般的な開業にかかる初期費用は2,500万円前後が必要です。
初期費用の中でも大きなコストとしてかかるのが店舗取得費です。
40坪前後の広さがある店舗を賃貸し、厨房の設備、空調、客席等の設置が必要になります。
非常にコストがかかりますので、自己資金だけでは足りないケースも多いといえます。
融資を利用する場合などは早めに申請しておくといいでしょう。
また初期費用とは別に運転資金も考えておかなければいけません。
おおよそ3か月程度を運転資金として確保すると考えると、1,100万円前後の費用を見ておきましょう。
開業時の費用と運転資金を合算すると、3,600万円前後の資金が必要になります。
非常に高額な資金が必要になりますので、事前の対策が必須です。
(2)加盟店料やロイヤリティは?
一般的な開業にかかる初期費用として2,500万円前後の資金が必要と解説しました。
この中にはフランチャイズに加盟するために必要な加盟金が加算されています。
加盟金とはフランチャイズに加盟する際、本部に納める入会金と考えるといいでしょう。
加盟金はフランチャイズ本部によって異なります。
ハンバーガーショップでフランチャイズに加盟する場合の加盟金は200万円前後が相場です。
また、フランチャイズに加盟して経営すると、本部のブランドやメニュー、経営ノウハウなどが利用できますが、毎月ロイヤリティが発生します。
ロイヤリティも本部ごとに異なり、定額のケースや売上の割合に応じた金額などさまざまです。
加盟金やロイヤリティなどを比較して、加入する本部を選択してもいいでしょう。
フランチャイズによる加盟店へのサポートは何を行う?
フランチャイズに加盟することにより、本部からのサポートが受けられますので、経営において大きな手助けとなります。
ここからはフランチャイズ本部のサポートについて詳しく解説します。
(1)研修により未経験でも開業可能となる
フランチャイズに加盟する大きなサポートとして、研修制度が充実している点が挙げられます。
本部の経営方針や調理の方法から接客のやり方など、複数の研修を受講できますので、未経験からでの開業も可能です。
未経験からの独立開業となると、どのようなオペレーションで進めていけばいいのかもわかりませんし確立するまでに多大な時間を要します。
本部の経営ノウハウや、業務のオペレーションなどをすべてマスターすれば開業ができますので、研修が充実している点は大きなサポートです。
(2)SNSによりいつでもサポートを受けることができる
いざ開業してしまうと、本部との連携や、質問、トラブルやアクシデントなど本部との連絡を必要とするケースも多くなります。
フランチャイズ本部の中にはSNSを有効活用して本部と加盟店との連絡を密にとる仕組みを確立しています。
わざわざ電話するまでもないが、ちょっと気になることがある場合などに、SNSがあれば気軽に質問ができますので、加盟店の安心感が増すでしょう。
(3)集客に関するコンサルティングも伝授
ファストフードで事業を始める際、やはり気になるのが集客ではないでしょうか。
店舗に来店するお客様を増やさなければいけませんので開業当初からの集客が大きな課題となります。
特にフランチャイズに加盟せずに開業するとなると、まったく知名度がありませんので、集客に苦労するかもしれません。
フランチャイズに加盟しての開業となると、ブランドや有名な屋号を備えた上での開業が可能です。
一定の集客が見込めるうえに、多数の加盟店とフランチャイズ契約をしている本部なら、集客に関するノウハウも兼ね備えています。
ブランで力の高さと構築したノウハウの提供も大きなサポートです。
(4)担当者による定期的な面談で不安を解消
経営を続けていくとともに悩みを抱えてしまうケースも多いのではないでしょうか?
気軽に相談できないような悩みを抱えたとしても、経営者の立場では他の従業員に相談できません。
フランチャイズ本部によっては担当者が定期的に加盟店を訪問し、経営者とのミーティングなどを開催します。
定期的な面談で悩みなどが相談できますので加盟店の経営者は、不安を解消しながらの経営が可能です。
フランチャイズでファストフードを開業するメリット
ここからは、フランチャイズでファストフードを開業するメリットについて解説します。
(1)ブランドが使用できる
前述していますが、フランチャイズに加盟することにより、本部の屋号やブランドを使用しての経営が可能です。
既に、知られている名前での経営ができますので開業当初から一定の集客も期待できます。
独立開業だと名前を知ってもらうことからスタートしますので、フランチャイズに加盟しての開業は非常に有利な状態でスタートできるといえるでしょう。
(2)ノウハウが利用できる
調理から接客、運営など構築されたノウハウをそのまま利用しての経営が可能です。
開業当初のオペレーションを決める作業が丸ごと省かれるうえ、非常に効率的なノウハウが利用できます。
(3)仕入れが安定している
独立開業となると、仕入れ先から探さなければいけません。
仕入れ実績もないので卸価格が高くなってしまう場合もあります。
フランチャイズに加盟しての開業となると、すでに提携している卸業者から仕入れられるうえ、複数の加盟店が利用していますので、当初から安い卸価格で仕入れられます。
安定した仕入れと安い仕入れ価格により、高い利益率も見込めるでしょう。
フランチャイズでファストフードを開業するデメリット
ここからはフランチャイズでファストフードを開業するデメリットについて解説します。
(1)加盟金など費用がかかる
加盟金やロイヤリティなど費用がかかる点が挙げられます。
さまざまなサポートやメリットがある一方で、開業にかかる費用で200万円前後の加盟金と毎月のロイヤリティがサポートの対価として必要なコストです。
独立開業に比べると損益分岐点が高くなってしまう点がデメリットのひとつといえます。
(2)独自サービスが提供できない
基本的にフランチャイズに加盟しての開業となると、本部の経営方針に従い、他の加盟店と横並びの経営を行わなければいけません。
オリジナルのサービスや、メニューなどが提供できない点がデメリットです。
オリジナルのメニューで経営したい方などには向いていないといえます。
(3)本部の不祥事に影響されやすい
本部のブランドや屋号などが使用できる反面、本部や他の加盟店が引き起こした不祥事に影響されやすくなってしまいます。
他の加盟店が引き起こしたトラブルにより売上の低下や集客が大幅に下がってしまうといったリスクを抱えます。
これも大きなデメリットです。
まとめ
コロナ禍でも堅調な動きを見せたファストフードは、今後も拡大傾向にあり、年々店舗数なども増えています。
特にフランチャイズによる開業が多いので、独立開業となると大きな差別化を図らなければ大手の資本力や知名度に負けてしまう可能性が非常に高いでしょう。
フランチャイズに加盟しての開業にはさまざまなサポートを受けられ、多くのメリットがあります。
しかし、加盟金やロイヤリティなどのコストや、横並びの経営が必要といったリスクもありますので、双方をしっかりと把握しておかなければいけません。
またファストフードの種類はハンバーガーやフライドチキンなど非常に多いが特徴です。
自分なりに分析、調査して自分に合ったファストフードや本部選びが必要といえるでしょう。