工務店がフランチャイズに加盟するメリットと注意点を解説
あまり規模が大きくはない工務店経営は、自力での商品開発ができない、社員のスキルアップが上手くいかないなどさまざまな悩みを抱えています。
中小企業の悩みを解消する方法のひとつがフランチャイズへの加盟です。
工務店が住宅フランチャイズに加盟すると、さまざまなメリットを受けた経営ができます。
この記事では、工務店がフランチャイズに加盟するメリットや注意点、住宅フランチャイズの仕組みといった点について詳しく解説しましょう。
目次
工務店がフランチャイズに加盟する住宅フランチャイズの概要
そもそも住宅フランチャイズとはどのような仕組みで利用されるものなのでしょうか?
ここからは、住宅フランチャイズの仕組みについて詳しく解説します。
(1)住宅フランチャイズとはどのような仕組み?
住宅フランチャイズとは、フランチャイズ本部に工務店が加盟し、本部の看板や知名度を掲げた経営を指します。
全国各地にある、大手住宅メーカーもフランチャイズ制度を利用している場合、ブランド名は同じでも会社自体は全く違う場合も少なくはありません。
加盟店は、本部の看板や知名度を最初から兼ね備えた経営ができ、本部は加盟店からロイヤリティや全国的な知名度が高められます。
双方とも上記のようなメリットを受けられるのが、住宅フランチャイズの仕組みです。
(2)未経験でも起業できる
住宅フランチャイズへの加盟により、加盟した工務店はさまざまなサポートを受けた経営ができます。
そのため、初めて工務店を立ち上げて経営する人や、例えば親の跡を継いで工務店を経営するのに全くの未経験といった人におすすめです。
本部が開催する研修へ参加し、本部の経営方法や営業ノウハウが取得できますので未経験からでも経営ができます。
工務店が住宅フランチャイズに加盟した場合の収益やコストは?
では実際にフランチャイズに加盟すると、工務店はどの程度の収益を上げられるのでしょうか?
また、フランチャイズの加盟によりかかるコストにはどのようなものがあるのでしょうか?
ここからは、フランチャイズに加盟した場合の収益やコストについて解説します。
(1)収益には大きな差があるが月額1,000万円も可能
収益面に関しては、加盟する工務店によって大きく異なります。
加盟する工務店は事業規模なども大きく異なる上に、フランチャイズに加盟してもどこまで実績が伴うのかについては加盟店次第です。
フランチャイズに加盟したからといって必ず収益が上がるわけではありません。
しかし、加盟店によってはフランチャイズのノウハウを活かし、今までの営業体質を大幅に変えたため、収益アップも見込めます。
月額1,000万円の利益を上げるのも不可能ではありません。
しかし、うまくフランチャイズのノウハウを活かせなければ、全く今までと収益が変わらないといった場合もあり得ます。
とはいえフランチャイズへの加盟によって、収益を上げる可能性は大きく高まるといえるでしょう。
(2)加盟店は加盟店料やロイヤリティが必要
フランチャイズ本部に加盟するにあたり必要なコストがあります。
加盟店料とは、フランチャイズに加盟する際、本部に支払う入会金のようなコストです。
ロイヤリティとは、フランチャイズ本部の屋号や経営ノウハウ、商品を利用できる代わりに本部に毎月支払う使用料となります。
加盟店料やロイヤリティは加盟するフランチャイズ本部によって異なります。
加盟店料は百万円単位で必要な場合も多く、初期投資としては大きな割合を占めるかもしれません。
ロイヤリティは毎月の売り上げから一定割合がかかる場合や月額が定額の場合もあります。
このようなコストがかかりますので、もしフランチャイズに加盟したとしても、売上が加盟前と変わらなければ逆に減収にもなりかねません。
工務店がフランチャイズに加盟するメリットは?
先ほどからフランチャイズへの加盟により、本部のさまざまなサポートが受けられると述べてきました。
では実際に住宅フランチャイズに加盟した場合、加盟店にはどのようなメリットがあるのでしょうか?
ここからは、住宅フランチャイズに加盟するメリットについて解説します。
(1)商品を開発する必要がない
最も大きなメリットのひとつとして挙げられるのが、商品開発する必要がない点です。
自社で商品開発するとなると大きな資金や時間がかかってしまいます。
中小工務店の場合は、自社開発といっても簡単にできるわけではないでしょう。
フランチャイズへの加盟により、本部が開発した商品をお客様へ提供できます。
商品開発にかかるコストや時間の節約が可能です。
本来であれば必要となる開発にかかるコストや時間を省けるので経営には大きなメリットとなります。
さらに商品開発は一度行えば終わりというわけではなく、新しい商品開発が定期的に必要です。
中小工務店には常に最新スペックを提供するだけの人材開発や資金面に対する不安が多いためフランチャイズへの加盟により、これらの不安材料を払しょくできます。
(2)最初から知名度がある看板を利用できる
何度か繰り返し述べていますが、フランチャイズへの加盟により本部の看板や屋号を使っての経営が可能です。
一般的に、マイホームの購入を検討する場合、多くの人はやはり知名度が高く誰もが知っているマイホームを購入しがちです。
よく名前もわからない工務店に依頼するよりは、全国展開しているブランドに頼みたいと思うのではないでしょうか?
フランチャイズへの加盟により、本部の看板や知名度を掲げた経営が可能です。
一般的な工務店よりも多くの集客ができる可能性が高くなります。
知名度を上げるためには、工務店は広告宣伝費に大きなコストをかける必要がありますが必ず知名度を上げられるかは不明です。
フランチャイズはすでに知名度が高い屋号を利用できますので、最初から知名度がある状態での経営ができる点もメリットといえるでしょう。
(3)成功した経営ノウハウを活用できる
フランチャイズへの加盟で、本部の経営ノウハウを使った経営ができます。
この経営ノウハウは、フランチャイズ本部が成功した経営方法のパッケージですので非常に再現性が高いのが特徴です。
また、全国展開しているフランチャイズ本部にはさまざまなデータを蓄積しており、これらの使用もできます。
成功のノウハウや全国的なデータは中小の工務店ではなかなか蓄積が難しく、非常に長い時間がかかってしまいます。
しかし、フランチャイズ本部への加盟で、成功したノウハウやデータの利用が可能です。
収益性の向上に期待ができるでしょう。
(4)材料仕入れの心配をあまりしなくていい
フランチャイズ本部は多くの加盟店を持っています。
そのため、一括で材料の仕入れができますので、スケールメリットを生かした価格で材料の仕入が可能です。
また、本部に一括で材料の発注ができますので、わざわざ仕入れルートを構築する必要がありません。
このような点も、フランチャイズに加盟するメリットとなるでしょう。
工務店がフランチャイズに加盟する場合の注意点は?
フランチャイズへの加盟はメリットばかりではありません。
加盟した後にデメリットを感じてしまい、後悔する場合もあります。
ではフランチャイズに加盟する際には、どのような点にデメリットを感じるのでしょうか?
ここからはフランチャイズに加盟する場合の注意点について解説します。
(1)自主独立よりもコストがかかってしまう
前述しましたが、フランチャイズへの加盟により、加盟店料やロイヤリティといったコスト負担があります。
そのため、自主独立した工務店よりもコストがかかってしまうでしょう。
自主独立した工務店とフランチャイズに加盟した工務店の場合同じ売り上げでは自主独立した工務店の方が利益率は高くなります。
これらのコストがかかる点をしっかりと理解した上でフランチャイズに加盟するかを決めなければいけません。
(2)フランチャイズ本部の経営方針に従う必要がある
例えば、自分たちでオリジナリティのある住宅ブランドを開発したとしても、フランチャイズに加盟しているとその商品は販売できません。
基本的にフランチャイズ本部は加盟店に横並びの経営や商品提供を求めます。
それ以外のサービスや商品を提供していると、加盟店によってばらつきが出てしまうためです。
フランチャイズに加盟しての経営は、本部の意向に沿った経営を行わなければいけません。
本部の意向に背いた経営を行ってしまうと場合によっては損害賠償の対象になるでしょう。
オリジナルの商品提供やサービスを提供したい場合は自主独立がおすすめです。
(3)ノウハウをきちんと活用する理解力が必要
経営ノウハウやサービスを使った経営がフランチャイズの特徴ですが、きちんと理解した上で活用しなければ意味がありません。
ノウハウをしっかりと活用できる理解力や活用できる体制作りが必要です。
つまり、工務店の経営スタイルを本部の経営スタイルに合わせる必要が出てきます。
きちんと理解できていなければ、経営効率が大幅に下がってしまいますので、これもデメリットといえるでしょう。
(4)本部の不祥事に左右される場合がある
少し述べましたがフランチャイズ本部が加盟店に求めるのは横並びの経営です。
自分たちの看板や屋号を利用して商品を提供するわけですので、ある種当然でしょうしお客様にも多くの店舗がある会社といった信頼感に繋がります。
しかし、別の加盟店やフランチャイズ本部自体が不祥事を起こした場合や評判が悪くなってしまうと、別の加盟店にも大きな悪影響となってしまいます。
会社母体自体は全く違いますが、お客様や一般の人たちにはそこまでわかりません。
同じ屋号だから同じ会社と思ってしまいます。
フランチャイズ本部の不祥事などに大きく影響される点も注意が必要といえるでしょう。
工務店がフランチャイズに加盟する際にチェックすべきポイントとは?
ここまでは、フランチャイズに加盟するメリットや注意点などについて詳しく解説してきました。
では、実際に加盟店を選ぶときや比較するときにはどのような点をチェックすればいいのでしょうか?
フランチャイズ本部を選ぶ際のチェックポイントについて解説します。
(1)本部の経営方針に合わせた経営に共感できるか?
本部の経営方針をしっかりと理解しておく必要があります。
どんなに知名度や販売実績が高くても、本部の経営方針に共感できなければうまくいかなくなるケースが多いでしょう。
特に商品については、自社の社員が納得して販売したいと思われる商品でなければいけません。
本部の意向に沿った経営がフランチャイズ経営ですので、本部の経営方針に共感できなければ社員のやりがいを無くすでしょう。
(2)どの程度知名度が広がっているか?
フランチャイズ経営にとって最初に知名度を持てる点は非常に大きな特徴ですので、事前にどのくらい知名度が高いのかをチェックしておく必要があります。
フランチャイズ本部によっては地域に特化して知名度が高いケースもありますので、自分が事業をしている場所での知名度は十分に把握しておきましょう。
(3)どのくらいの収益を上げられるのか?
経営において最も大きなポイントのひとつが収益性です。
いくら知名度や集客が高くとも収益が上がらなければ意味がありません。
収益性の高さをしっかりと調査する必要がありますが、ロイヤリティなどによる比較が可能です。
ロイヤリティが経営に及ぼす影響などについてしっかりと理解しておきましょう。
(4)契約期間や違約金はどのくらいかかるのか?
契約期間内に解除してしまうと多額の違約金が発生する場合がありますので、契約期間や違約金の額による比較も必要です。
万が一、フランチャイズ経営をやめる場合のケースを想定しておきましょう。
まとめ
中小の工務店では商品開発の資金力や人材がない場合や、なかなか人材教育が上手くいかない場合などにおすすめなのがフランチャイズへの加盟です。
看板や知名度をもっての経営ができ、商品も提供されるので開発に関するコストを大幅に減らせます。
さらに経営ノウハウの活用や研修制度により、人材育成もやりやすくなりますがロイヤリティや加盟店料などコストも理解しておかなければいけません。
しかし、フランチャイズの上手い活用により収益が劇的に上がる可能性にも大いに期待できるといえるでしょう。