フランチャイズで幼児教育業のメリットと注意点・将来性も解説
現在、我が国は少子高齢化の道を進んでおり高齢者の数が増え、子どもの数が減少していく動きが今後も顕著になるといわれています。
ビジネスの世界においても、シルバービジネスは今後活況になると想定されていますが、いわゆる幼児関係のビジネスは人口減少に伴い、衰退していくともいわれているのが現状です。
本当にそうなのでしょうか?
実は幼児教室など多くのフランチャイズ本部が加盟店を募集しており、幼児教育ビジネスは活況といえる状況なのです。
この記事では幼児教育ビジネスにスポットをあてて、現在の需要や将来性、収益といった点などを詳しく解説します。
目次
幼児教育業の将来性や需要は高いのか?
前述しましたが少子高齢化のなか、子供関係のビジネスは斜陽だと唱える声も多く、ビジネスとして新たに参入するにはリスクがあると感じる人も多いのではないでしょうか?
まずは、幼児教育の需要や将来性をしっかりと分析し、今後ビジネスとして参入する余地はあるのかどうかを判断する必要があります。
幼児教育の需要と将来性について解説しましょう。
(1)少子化の中幼児教育の需要は増えている
現実的に幼児教育の需要は増えているのが現状です。
2018年から2019年にかけて教育産業の規模は0.3%上昇しています。
つまり人口は減少していても幼児教育に費用をかけている世帯が増えているといえるのです。
共働き世帯が増加したことと、一世帯当たりの子供の数が減ってしまったために子供にかける教育費に少し余裕ができたことなどが挙げられます。
またニュースなどでも裕福な世帯の子供ほど、学力が上昇している傾向が見られていますが、これも幼児教育に力を入れる要因のひとつです。
裕福ではなくとも子供の学力に力を入れて学力格差を無くそうと考える親御さんが増加していることも挙げられます。
(2)幼児の頃からの教育に力を入れる家庭が増えている
子供の学力格差をなくすために早いうちからしっかりとした教育を受けさせたいと幼児の頃から学ばせようとする家庭が増えています。
先ほど解説したように費用をかける家庭の子供ほど学力が上がっている背景が、各家庭が教育費にお金をかける原因だと述べました。
なるべく頭の柔らかい、基礎的な段階から学力をつけることができる幼児教育はまさに、学力重視の親御さんにとって大切な時期と感じるのです。
このような要因から幼児教育への関心が高まっているといえるでしょう。
(3)市場規模は2兆円超の大規模市場で将来性にも期待がある
実際に幼児教育も含めた教育産業の市場規模は、2兆7,000億円程度だといわれています。
非常に大きな市場規模でありながら、少子化の中じわじわと市場規模を拡大しているのが現状です。
2016年には2兆6,900億円の市場規模でしたがその後も右肩上がりを続け2019年には2兆7,500億円程度まで増加しています。
2020年はコロナウイルスの影響が大きく、2兆6,900億円程度に減少する予想です。
しかし、幼児教育の環境は底堅くニーズが年々増加しているといえるでしょう。
フランチャイズによる幼児教育業の平均収益
では、実際にフランチャイズなどに加盟して幼児教育業をスタートした場合、どの程度の収益を得ることができるのかが気になるところです。
まずは開業した場合の収益部分について解説します。
(1)園児集めが収益アップのポイント
やはり、収益アップの最も大きなポイントはいかに園児を集めることができるかに尽きるのではないでしょうか?
質の高い教育を提供し、その教室の園児が学校などで成績が良くなると口コミなどで自然とその幼児教室で学ばせたいと思う親御さんも増えるでしょう。
口コミが口コミを呼び、幼児教室の園児が増えるといった好循環になることが一番望ましい収益アップの方法です。
また、フランチャイズ本部の募集に対する力の入れ具合などによっても園児の数は変わりますので、募集に力を入れる本部選びなども重要になってくるでしょう。
(2)園児の数による収益モデルの比較
ここからは実際にあるフランチャイズ本部が提示している収益モデルを見てみましょう。
生徒数 | 80名 | 100名 | 120名 |
月間売上 | 1576,000円 | 1970,000円 | 2364,000円 |
利益率 | 37% | 37% | 37% |
営業利益 | 583,120円 | 728,900円 | 874,680円 |
80名程度の園児を集めることができると、60万円近い月収ですので年収720万円程度の営業利益を得ることが可能です。
ここで注目したいのは利益率が高い点が挙げられます。
事業の特徴として商品の仕入れや大きな設備投資の必要がありません。
つまりかかってくるコストがあまり多くはなく、不良在庫を抱え込むといったリスクが全くないのです。
園児数によって、収益は大きく異なります。
生徒を集めることができると利益率が高いので、大きく収益がアップすることに繋がるといえるでしょう。
(3)複数校の開校で大幅収益アップも期待できる
エリアにおける園児の数はどうしても限られてしまいます。
収益を上げ安定した経営にはやはり、園児が多いようなエリアに開校することが大切です。
ある一定数の園児が集まると、次は別のエリアに開校することも収益アップのポイントとなるでしょう。
どこに開校しても良いというわけではありません。
きちんと物件のリサーチを行い、周辺における園児の数などをきちんと調査した上で理想の立地に開校すると、更なる収益アップが見込めます。
先ほど、収益モデルを表にして解説しました。
生徒数は80名でも2校だと160名の園児を集めることになりますので、大幅な収益アップにつながるといえるでしょう。
幼児教育業の初期費用・ロイヤリティなどの費用
ここまでは、フランチャイズによる幼児教育業の開業による収益部分について解説しました。
その中で商品の仕入れや大きな設備投資が余りないと経費部分にも少し触れましたが、開業するにあたり、どの程度のコストを見込んでいるといいのでしょうか?
また開業の資金だけではなく毎月のランニングコストなども気になるところです。
ここからは、開業する場合や経営を続ける場合のコストについて解説します。
(1)幼児教育開業の費用はどのくらい
一般的に幼児教室を開校する場合にかかる開業資金は600万円~1,500万円程度を準備しておく必要があるといわれています。
準備する店舗の広さやエリアによって費用が大きく異なります。この点が、金額に開きが出ているように感じる最も大きな原因です。
幼児教室の開校により最も費用がかかるのは店舗の取得費用になるでしょう。
店舗に十分な広さだけではなく、親御さんたちの送迎に関する駐車場なども確保する必要がありますので一定の広さが必要となります。
また、人件費や教材費なども必要となりますが、そう大きな費用をかけて準備しなければいけない設備は少ないといえるでしょう。
フランチャイズによって販促費を準備しなければいけない場合もありますので、なるべく開業資金が安く済みそうなフランチャイズ本部選びも開業資金を抑えるポイントです。
(2)運営に関する運転資金は
次に運転資金はどのくらいかかるのかが気になります。
幼児教育における教室の運営資金は1か月あたり300万円前後を見ておく必要があるでしょう。
運転資金に関しても、店舗の家賃などで大きく異なりますのでそれだけ店舗選びが収益において非常に大切といえます。
また人件費の関してもしっかりと想定しておかなければいけません。
コストを抑えたいからと従業員の数を減らしてしまうと、園児に満足なサービスが提供できなくなる可能性も考えられます。
かといってあまりにも多すぎると収益が悪くなってしまうでしょう。
採用活動など綿密な準備や分析が欠かせません。
(3)加盟店料やロイヤリティはどれくらいのか?
フランチャイズに加盟しての開業となると、自主独立して開業する場合より開業資金や運転資金が増えてしまいます。
これは、開業時にフランチャイズ本部に支払う加盟店料や運転資金として毎月支払う必要がある、ロイヤリティなどが影響しているのです。
まず、加盟店料とはどのようなコストかといえば、フランチャイズに加盟するときに本部に支払う入会金といえばいでしょう。
加盟店料はフランチャイズ本部によって大きく異なります。
一般的には数百万円程度の加盟店料が必要ですので、開業資金としてしっかりと把握し準備しておかなければいけません。
ロイヤリティとは、売り上げの数%を毎月本部に支払うのが一般的です。
フランチャイズでは、本部の知名度や看板、経営スタイルをそのまま利用して開業することができる点が大きなメリットといえます。
しかし、これらのノウハウを利用する代わりに対価としてロイヤリティを本部に支払わなければいけません。
幼児教育業におけるロイヤリティは一般的に売り上げの20%前後だといわれています。
しかし、これもフランチャイズ本部によって大きく異なりますので、どの程度のロイヤリティがかかるのか?
またどのようなサービスを本部が行うのかを理解しておきましょう。
いくらロイヤリティが安くてもあまりサポートしないフランチャイズ本部ならそもそも加盟する必要性を感じないかもしれません。
フランチャイズを決定する際には加盟店料とロイヤリティ、そしてサポート内容をきちんと押さえておきましょう。
フランチャイズで幼児教育業を開業するメリット
幼児教育業を開業するにあたり樹種独立するのかフランチャイズに加盟するのかが悩みどころです。
では、フランチャイズに加盟して開業する場合、どのようなメリットがあるのでしょうか?
フランチャイズに加盟して開業した場合のメリットについて解説します。
(1)成功ノウハウが利用できるので、安定経営ができやすい
幼児教室など開業する場合、まだあまり幼児教育に経験がない人もいるのではないでしょうか?
この場合、フランチャイズに加盟することにより本部が成功したノウハウや知名度を利用した経営が可能です。
事業として成功したノウハウを使うことができますので、安定経営になりやすいといったメリットがあります。
(2)従業員の募集なども行う本部もある
フランチャイズ契約の内容にもよりますが、フランチャイズによっては従業員の募集を行ってくれる本部もあります。
初めての開業となると、どのような人材を採用したらいいか悩むこともあるでしょうが、本部が幼児教育にふさわしい人材の採用を手助けしますので心強く感じるでしょう。
(3)OJT研修により未経験からでも開業が可能
フランチャイズに加盟することで未経験からでも開業は可能です。
本部が研修を行い、経営に関することや実務に関することなどフランチャイズ本部のやり方を学ぶ場を設けます。
実際の現場で学ぶことができるOJT研修など、机上の研修だけではありません。
効果的な研修で未経験からでも開業を可能としています。
(4)集客、園児募集の協力も期待できる
集客面でもフォローし経営の手助けをしてくれます。
本部のHP上による園児募集などで、早期黒字化に一緒になって取り組んでくれますので大変心強い存在です。
前述しましたが、やはり、園児の数が経営にとって非常に大切なポイントとなります。
本部の協力体制がしっかりしている点もフランチャイズのメリットといえるでしょう。
フランチャイズで幼児教育業を開業する場合の注意点は?
フランチャイズに加盟しての経営はメリットばかりではありません。
デメリットもありますので、双方をしっかりと理解した上でフランチャイズによる経営を行わなければいけません。
ここからは、フランチャイズに加盟すること際の注意点について解説します。
(1)自由な経営ができない
フランチャイズに加盟することで本部の経営スタイルに沿って、教室などを運営しなければいけません。
その中で、独自色を出して新たな取り組みをしようとしても本部がダメだといえばできないのが注意点です。
本部からすれば加盟店がそれぞれ独自色を出して経営されると、ブランドイメージが分かりにくくなってしまい、時にはイメージを損なわれたと感じることもあります。
加盟店は、基本的に本部のノウハウによる経営しかできませんので自由度が低くなってしまいますので注意しましょう。
(2)自主独立するより収益を上げる必要がある
フランチャイズに加盟することにより、看板や経営ノウハウなどを利用できますが、その代わり毎月一定のロイヤリティを支払わなければいけません。
つまり自主独立するよりもロイヤリティを支払わなければいけない分、余計に収益を上げる必要があります。
ロイヤリティに関しては前述しましたが、売上の20%程度が一般的な相場です。
フランチャイズに加盟せず開業する場合よりも20%以上の売り上げを上げる必要があります。
(3)本部の悪評に影響されやすい
フランチャイズは、本部の知名度や看板が利用できる点がメリットですが、本部の悪評や他の加盟店が不祥事などを起こしてしまうと、これがデメリットになることもあります。
経営母体は違うといっても顧客や一般人にはそのようなことはわかりません。
同じフランチャイズの動向により経営が大きく左右されることがある点も注意点となるでしょう。
(4)契約期間のせいで解約できない場合がある
さまざまな理由により、幼児教育業を廃業したいと思っても契約期間の関係などで、かんたんに廃業できません。
無理やり解約しようとすると大きな違約金を請求される場合もあります。
経営の内容だけではなく、契約の終了に関しても本部の意向に沿う必要がありますのでこれも注意点といえるでしょう。
まとめ
幼児教育は、少子化の中においても着実に市場規模を広げているのが特徴です。
今後も底堅い需要が見込まれます。
フランチャイズによる開業でさまざまなサポートを受けることができますので、特に経験が浅いケースや未経験の場合などは、フランチャイズに加盟することがおすすめです。
しかし、メリットばかりではなく注意点もありますので、是非この記事を参考に幼児教育業の開業を考えている場合にはフランチャイズを検討してはいかがでしょうか?