弁当屋の始め方・個人経営で開業する場合の初期費用や必要な資格は?
近年、中食市場の需要が増えており弁当屋の市場規模も拡大傾向です。
そんな中、個人経営で弁当者を開業しようといった方も増えており、市場規模も大きくなっています。
この記事では、個人で弁当屋を開業する場合の営業形態や必要な資格などといった点について詳しく解説します。
目次
個人経営で弁当屋を始める場合の営業形態
個人経営で弁当開業する場合、考えられる営業形態は3つです。
ここからは、弁当屋の営業形態について詳しく解説します。
(1)店舗型
店舗型とは、お店の中で弁当を販売する形態を指します。
お客様が直接来店して商品を購入することで収益を上げなければいけません。
店舗型の大きなポイントとなるのは立地です。
人通りや交通量が多い立地を選べると売上が上げやすく安定しやすいといえるでしょう。
また、エリアにおける客層とうまくマッチしてなければいけません。
客層とターゲット層に違いが無いかをしっかりと把握しておきましょう。
店舗型は店舗を構える分、他の営業形態よりも初期費用や維持管理費用が高くなってしまいます。
そのため、他の営業形態よりも多くの集客や利益を上げなければいけない点も特徴といえるでしょう。
(2)宅配型
宅配型とは、オフィスや個人のお住まいなどから注文を受けて配達までを請け負う営業形態です。
宅配型の特徴として、店舗を構えなければいけませんが、お客様スペースを設ける必要がありません。
店舗型よりも抑えたコストで店舗が取得できるでしょう。
また、こちらから配達しますので店舗型のように立地を気にする必要がない点も大きな違いです。
立地環境が悪く、安い家賃の店舗でも開業できる点が挙げられます。
余分にかかるコストとしては、配達する費用です。
近年では、宅配事業も増えているので宅配業者と契約する方法や、自分たちで宅配用の車両を確保し、お客様に届ける方法などが挙げられます。
コロナ禍におけるステイホームの浸透から、需要が伸びている営業形態といえるでしょう。
(3)キッチンカー
調理などもできる車輌を取得し、キッチンカーで作った弁当を販売する営業形態です。
最も大きな特徴は、店舗を構える必要がない点が挙げられます。
店舗の取得費がかかりませんので、初期費用が大きく抑えられる点が特徴です。
また、自分たちからひと通りの多い場所へ出向いて販売しますので、他の営業形態よりもやや攻めの傾向が強い営業形態ともいえるでしょう。
大きなイベントがあれば、直接出向いての販売なども可能ですので、売上の増加も見込めますし、新たな顧客層を開発して、安定経営にもつなげられるでしょう。
販売場所の確保などに注力しなければいけない点も他の営業形態とは大きく異なります。
個人経営で弁当屋を始める場合に必要な資格
個人経営で弁当屋を始める場合に必要な資格について詳しく解説します。
(1)飲食店営業許可
弁当屋は飲食店といった位置づけです。
そのため、飲食店営業許可が必要になります。
飲食店営業許可は、管轄の保健所に申請しなければいけません。
まず、店舗を着工する前に図面などを持参し、保健所に相談しましょう。
その後、店舗が完成する10日前くらいに再度保健所を訪ね、飲食店営業許可申請をします。
保健所の担当者が店舗を訪れ、検査の上営業許可が公布されるといった流れです。
当然ながら飲食店営業許可が取れなければ、弁当屋を開業することができません。
手直しの必要などもありますので、開業までに余裕を持たせたスケジューリングが必要です。
(2)食品衛生責任者
弁当者の開業において、もうひとつ必要なのが食品衛生者です。
店舗型もキッチンカー型も食品衛生への配慮が必要な施設と位置づけされます。
弁当屋の施設に対して衛生面の全般を担うのが食品衛生管理者です。
食品衛生管理者になるためには、各都道県知事等が実施する食品衛生責任者の養成講習会を受講しなければいけません。
約6時間の講義を受講すれば取得できる資格といえるでしょう。
また、調理師や栄養士の資格を保有している場合は講習を受ける必要はありません。
衛生面は弁当屋などの飲食業にとって雑にはできない部分ですので、食品衛生管理者を中心として衛生面の徹底に努める必要があります。
(3)調理師免許は必ず必要という訳ではない
弁当者など食べ物を調理してお客様に提供する事業なので調理師免許が必要と考えている方も多いのではないでしょうか。
弁当者の開業において調理師免許は必要ありません。
基本的に従業員であれば調理した弁当を提供できます。
しかし、調理師免許の資格取得者が調理している弁当ともなると、信頼性も高まりお客様の獲得には好材料です。
弁当屋を開業するためにわざわざ調理師免許を取得する必要はありません。
しかし取得しておく機会があれば取得することで、料理に対する知識が高まります。
新たなメニュー開発や、提供している弁当をさらにおいしく提供できる工夫などもできるでしょう。
弁当屋開業に相性がいい資格といえます。
弁当屋を個人経営で開業する場合のメリット
ここからは、弁当者を個人経営で開業するメリットなどについて詳しく解説します。
(1)コロナ禍以降、需要が大きく伸びている
前述しましたが、コロナ禍以降、大幅に需要が伸びている点が挙げられます。
緊急事態宣言やまん延対策防止法など、外出制限や飲食店の営業制限など、ここ数年は大きく環境が変化した年といえるでしょう。
店舗に出向き直接食事を楽しむ状況が大きく減少した代わりに需要増となったのが弁当屋などの中食産業です。
自宅で美味しい食事を楽しむ目的や、コロナ禍であまり外出したくない方などが弁当屋を利用する機会が大きく増えたのが要因といえます。
コロナ禍において、宅配事業も大きく需要も伸ばしましたが、中食と宅配は相性が非常に良いので、今後も大きな需要が見込める点がメリットのひとつです。
(2)初期費用を抑えた始め方が可能
弁当屋の開業においていままでは店舗型の営業形態が多く、店舗の取得費から、設備の導入費用などどうしても高額になりやすいのが特徴といえるでしょう。
しかし、宅配に関する需要が高まったことで、宅配型やキッチンカー型の影響スタイルが増えています。
これらの特徴として前述しましたが、店舗の取得費が店舗型と比較すると大幅に抑えることが可能です。
また、省スペースでの営業ができると、人数も少ない人数で開業が可能となりますので人件費の抑制にもつながります。
営業形態によっては大幅に初期費用を抑えられる点が大きなメリットといえるでしょう。
(3)軽減税率で販売できる
弁当屋はデリバリーやテイクアウトの営業スタイルですので、軽減税率の対象となります。
1983年に導入された消費税は当初3%の税率でしたが、2023年現在の消費税率は10%です。
消費税の増額は消費者の消費マインドを大きく冷えさせてしまいます。
買い控えなどが起こりやすく、飲食店に出向いて食事を楽しむ期間が減ってしまう要因です。
しかし、弁当屋における商品については軽減税率が適用されますので、消費税は8%となっています。
飲食店に出向いて食事を楽しむよりも若干お得に飲食を楽しめる点もメリットといえるでしょう。
弁当屋の開業に必要な費用
弁当屋の営業形態やメリットなどについて解説してきました。
では実際に開業する場合、どれくらいの初期費用が必要になるのでしょうか。
ここからは営業形態ごとの開業に必要な初期費用について解説します。
(1)店舗型で開業する場合
店舗型では、店舗を取得して来店してくれたお客様に対して弁当を販売する営業形態です。
店舗型の特徴として、店舗の取得費によって初期費用が大きく変動する点が挙げられます。
立地のいい店舗だと家賃なども高くなりますので、敷金や礼金などが高くなるでしょう。
また、構える店舗の広さによっても店舗の取得費が大きく異なります。
一般的な弁当屋を店舗型で開業する場合の初期費用は300万円〜1,000万円と大きな幅があります。
立地面と、取得費とのバランスが非常に重要になる点がポイントといえるでしょう。
家賃が安いからと立地が悪い場所で開業すると、売上が上がりません。
立地が良いと集客には期待できますが、初期費用などが高くなる傾向です。
バランスを考えた開業が必要といえるでしょう。
(2)宅配型で開業する場合
宅配型の場合は、店舗型と異なり、店舗の取得にあたり立地面をそこまで心配する必要がありません。
宅配用のバイクや車両を駐車するスペースが必要ですので、駐車場などが充実している店舗を選択するといいでしょう。
しかし、店舗型と比較するとお客様のスペースが必要ありませんので、調理場が確保できるだけの広さで十分です。
初期費用としては600万円前後の初期費用を見ておくといいでしょう。
(3)キッチンカー型で開業する場合
キッチンカーでの開業が、弁当者の営業形態において最も安い初期費用で開業が可能です。
キッチンカーを確保する費用が最も大きな割合を占めています。
キッチンカーも購入だけではなくレンタルやリースといった方法で取得できるとさらに初期費用を抑えられるでしょう。
おおよその初期費用として安ければ100万円程度、かかっても500万円程度の初期費用を見込んでおきましょう。
弁当屋を開業した場合、成功のポイントは?
弁当者の初期費用について解説しました。
場合によっては1,000万円を超えるかもしれませんので、失敗してしまうと大きな負債を抱えてしまう可能性も考えられます。
ここからは弁当屋の開業における成功のポイントについて解説します。
(1)差別化したメニューを提供する
定番の弁当も必要ですが、価格面で大手フランチャイズやスーパーなどに負けてしまう可能性も考えらます。
また定番商品だけですと、目新しさと個性がないのでお客様がなかなかつきません。
差別化したメニューがあれば、弁当屋の明確なアピールポイントとなります。
差別化メニューが評判を呼んで人気のメニューとなれば、口コミなどでお客様が増えるかもしれません。
商品開発が大きなポイントのひとつとなるでしょう。
(2)立地の調査を欠かさない
特に店舗型の営業形態においては立地面の調査が欠かせません。
弁当屋のコンセプトに合った場所に店舗を構えるというのが非常に重要です。
例えば、若い女性などが多い立地で、大盛を売りにした弁当を販売したとしてもお客様はつきません。
開業前にしっかりとマーケティング調査を行いコンセプトに合った立地で開業しましょう。
(3)集客に力を入れる
集客は、開業前から積極的に力を入れましょう。
集客面ではSNSの活用が効果的です。
InstagramやX(旧Twitter)、Facebookなどを効果的に使うと無料で集客面に利用できます。
開業までの様子などをSNSにアップすることで、開業前からお店ができることを伝えられるでしょう。
また、開業後も常に新規のお客様獲得とりリピーターを増やす努力を怠ってはいけません。
お客様にたいしてポイントカードやクーポン券の発行などが効果的な集客方法です。
(4)ターゲット層を掴んだ価格を設定する
ターゲット層を掴んだ価格設定を心がけましょう。
若者向けの弁当屋ならば価格を安めに設定する、高齢者向けは、価格は少し高くなっても健康面に配慮したメニューにするといった差別化が必要です。
せっかくターゲットやメニューなども明確になっているのに、価格面がずれているとお客様が離れてしまいます。
商品の価格設定にも注意しておきましょう。
まとめ
弁当屋の始め方について解説してきました。
需要が伸びている点や、さまざまな営業形態が増えていますので、今後の成長性にも非常に期待が持てる分野ともいえるでしょう。
しかし、未経験からの参入は不安だといった方も多いのではないでしょうか。
そのような方におススメするのはフランチャイズに加盟しての弁当屋開業です。
本部の経営ノウハウや知名度、メニューなどがそのまま利用できますので、開業後でもすぐに一定の顧客がつく可能性が高いでしょう。
また、未経験者だと備えていない経営ノウハウも研修などにより本部の完成されたノウハウが学べます。
自分の経験や弁当屋開業でやりたいことなどを整理し、フランチャイズなども候補に検討するといいでしょう。