高齢者向けサービスやビジネスで起業したい方におすすめの業種
高齢者向けサービスやビジネスで起業する場合におすすめの業種は、介護分野や飲食分野、サービス分野など多岐に渡ります。
少子高齢化の波を受けて高齢者の割合が急拡大していることもあり、高齢者向けサービスやビジネスで起業を目指す方も少なくありません。
高齢者向けサービスやビジネスで起業する場合、どのような業種を選べばいいのでしょうか?
この記事では高齢者向けビジネスの特徴やメリット、デメリット、おすすめの業種などについて詳しく解説します。
目次
高齢者向けビジネスの特徴
高齢者向けビジネスの市場は拡大されていますが、高齢者向けビジネスとは具体的にどのようなビジネスなのでしょうか?
高齢者向けビジネスの特徴について詳しく解説します。
(1)高齢者とは? ターゲットになる年代は?
高齢者とは、どの年代を指すのでしょうか。
世界保健機構でシニアと位置付けられているのは65歳以上です。
65歳〜74歳を前期高齢者、それ以上を後期高齢者と定義付けしています。
しかしビジネスの世界では、もう少し年齢を下げており60歳以上を高齢者としているケースもあります。
これは、今まで60歳を迎えると定年退職し、勤務している会社をいったんリタイアするためです。
しかし、近年では定年退職も65歳に伸びている会社も多いため、やはり65歳以上からを高齢者としているのが一般的といえるでしょう。
(2)高齢者向けサービスがおすすめの理由
高齢者向けサービスがおすすめの理由として挙げられるのは今後、大きな市場になるといった点です。
高齢者の数は年々増加しており、日本は超高齢化社会を迎えます。
最もマーケットの規模が多い市場にさまざまなサービスを提供するのは、ビジネスの上ではある種当然の流れです。
また、高齢者向けのサービスにはさまざまな種類がある点も挙げられます。
ビジネスになり得るものが非常に多いため、どんな分野でも高齢者を対象としたビジネスになりうるのです。
新たに起業を検討する場合、最もマーケットが大きく、サービスできる種類が多い高齢者対象のビジネスがおすすめといえるでしょう。
(3)高齢者向けの市場動向
すでに高齢者向けの市場は大きく広がっています。
2007年には高齢者向けの市場が63兆円規模だったのに対し、2025年予測では101兆円と、100兆円を超える市場に成長しています。
ここ20年程度で約1.6倍の成長を遂げており、今後も市場は拡大していくとの想定です。
他の年齢層でここまでの市場規模が伸びているものはなく、若年層は逆に市場規模が減少しています。
あらゆる分野で市場規模が拡大しており、公的な支出も個人支出も大幅に増えています。
すでに、高齢者向けのさまざまな分野に参入している企業も多いのですが、まだまだサービスが拡充はしていないというのが現状でしょう。
(4)高齢者向けビジネスの種類
高齢者向けのビジネスは前述したように非常に多岐にわたっています。
大きく4つの分類に分けてみると「介護」「飲食」「サービス」「娯楽」に分けられます。
それぞれの分野でよくみられるサービスをさらに深堀してみましょう。
① 介護分野のビジネス
介護分野ビジネスは、老人ホームや介護訪問などの介護施設が該当します。
介護施設といってもサービスの内容は異なり、「居住サービス」「施設サービス」「在宅サービス」の3種類があります。
- 居住サービス
居住サービスは、老人ホームやグループホームなど24時間体制で利用者を見守ることができるサービスです。
リハビリを行いながら、日常生活が行えるように介助することを主としています。
- 施設サービス
デイサービスなどの介護施設が該当します。
老人ホームとは異なり、居住せずに利用者が施設に出向くスタイルです。
利用者が日常生活を安心して過ごせるように、施設にて運動や食事などのサービスを提供しています。
- 在宅サービス
在宅サービスは、訪問介護や訪問リハビリなどが挙げられます。
理学療法士やホームヘルパー、介護福祉士が自宅に訪問し、サービスを提供します。
日常生活を過ごすための介助をするだけではなく、医療処置を行うこともあります。
② 飲食分野のビジネス
高齢者ビジネスの中でも近年需要が高まっている飲食分野サービスには、宅配や配食サービスが挙げられます。
高齢者になると食品を買いに行くことや、自炊をすることが困難になることも多いです。
宅配や配食サービスでは、栄養バランスの取れた弁当を届けることができるため、健康面に気遣うことができます。
また、宅配の際に安否確認も行えるため、離れて暮らす家族にも安心を与えられるサービスといえます。
③ サービス分野のビジネス
サービス分野は幅広くなりますが、代表的なものとして家事代行が挙げられます。
高齢になると炊事や洗濯、掃除などの家事をすることが難しくなり、家事代行サービスを利用するケースが増えています。
近年では共働き夫婦の増加により、高齢者以外からの需要も高まっています。
また、サービス分野では訪問医療マッサージもあります。
高齢者の自宅に訪問し、医療マッサージを行うサービスです。
④ 娯楽分野のビジネス
高齢者ビジネスには、娯楽分野というものも存在します。
高齢者の娯楽には、ゲートボールなど高齢者向けスポーツやカラオケ、園芸や料理などの各種教室などが挙げられます。
趣味や娯楽によって脳を活性化させることや、他社との交流を増やすことにより、高齢者がより元気に生活することが目的とされます。
高齢者向けビジネスのメリット
ここからは高齢者向けビジネスに関するメリットについて詳しく解説します。
(1)市場規模が急拡大している
最も大きなメリットは市場の急拡大が挙げられます。
前述したように、今後の日本の年齢推移などを見ても高齢化社会になるのは明らかです。
避けられない流れですので、最も多くの年齢層をビジネスの対象とするのは当然といえます。
2025年でもすでに100兆円を超える市場規模で今後も市場が拡大する想定です。
今まで以上に市場規模の大きい分野になることは明白ですので、ビジネスに参入するメリットは非常に大きいといえるでしょう。
(2)業種が多く参入がやりやすい
ひとことで高齢者ビジネスといっても業種は非常に多種多様です。
前述しましたが、少し事例を挙げただけでも多種のビジネスが想定され、ニッチな分野でのビジネスまで含めると、高齢者向けビジネスの種類は挙げきれないほどといえます。
高齢者向け対象のビジネスに参入しやすく、高齢者向けサービスを複合させたビジネスなどもできるでしょう。
いくつもの高齢者向けサービスを組み合わせたビジネス展開などにより、あなただけしかできない独自サービスを提供することも可能です。
業種が多いので可能性が広がる点も大きなメリットといえます。
(3)収益性が見込める
収益性が見込めます。
市場自体の成長性が高いのは、そのまま収益性の高さに繋がります。
平均貯蓄額が最も多いのは、実は60代〜70代のシニア世代です。
もっとも貯蓄額が多い年齢層をビジネスの対象とするのはむしろ当然のことで、今後も高齢者の中でも前期高齢者に対するビジネス展開が増加していくでしょう。
まだまだお金が必要で、貯蓄の余裕がない世代を顧客の対象にするよりも、余裕のある世代を対象にする方が、メリットが多いといえます。
(4)社会貢献へとつながる
高齢者向けビジネスは、収益性の高さもありますが、社会貢献へとつながる点もメリットとして挙げられます。
年を重ねるごとに、身体の自由が利かなくなってきており、介護などはまさに社会貢献を実感できるビジネスです。
宅配など、高齢者向けのビジネスは、サービスを提供しているだけで社会貢献性を実感できます。
社会に大きく貢献できるビジネスといった点も大きなメリットのひとつです。
高齢者向けビジネスのデメリット
高齢者向けビジネスは市場規模も年々増加しており、収益性も高く、社会貢献も実感できるといったメリットばかりのビジネスのように感じます。
しかし、いくつかのデメリットもありますので、メリットとデメリット双方をしっかりと理解しておく必要があるでしょう。
ここからは、高齢者向けビジネスのデメリットについて詳しく解説します。
(1)保険制度の見直しなどで状況が変わりやすい
介護が必要になった高齢者は、自分たちの費用だけで介護を受けるには負担が大きくなってしまうでしょう。
特に、収入があるわけでもないので貯蓄を崩しながら介護を受けていかなければいけません。
貯蓄があればいいのですが、まとまった貯蓄がない場合、介護すら受けられないかもしれないでしょう。
介護が必要になっている高齢者を社会全体で支える仕組みとして成り立っているのが介護保険制度です。
介護に関するビジネスも介護保険制度を上手く活用しながら展開していく必要があります。
しかし、この介護保険制度は3年に一度見直しがなされており、現行の保険制度の下で行っているビジネス展開がまったく変化することもあるのです。
今まで得られていた収益が減少するといった事態にもなってしまいます。
高齢者ビジネスのデメリットのひとつです。
(2)認知されていない
認知されるまでに相当の時間を要してしまいます。
高齢者になればなるほど、情報を届けるのに時間がかかってしまうのです。
例えば、若者世代などに情報を発信する場合、最も効果的なのはSNSの活用ではないでしょうか。
若者世代は情報に関して非常に敏感ですので、サービスを見つけるペースも早く、口コミなどによりすぐに広まりやすい点が特徴です。
しかし、高齢者はSNSなどの活用が非常に少なく、情報を届けにくい年齢層といえます。
せっかく良いサービスを確立し提供できる体制が整ったとしても、認知されなければ広まりません。
集客や認知度が遅くなってしまう点もデメリットとして挙げられます。
(3)実績が少ない
年々大きな市場規模になっていますが、まだまだ実績が少ないのが現状です。
高齢者ビジネスが急速に認知され始めたのがここ数年の出来事ですので、実績やデータが蓄積されていないのが現状といえるでしょう。
つまり成功したモデルケースがあまり多くはないので、お手本となるビジネスモデルが少ないことを表しています。
自分たちで試行錯誤する必要があり、地域ごとに内容を変化させるといった取り組みが必要かもしれません。
まだまだ実績が少ない点もデメリットのひとつです。
高齢者向けビジネスを起業するためのポイント
高齢者向けビジネスにはメリットもあればデメリットもあるため、メリットとデメリットを理解した上で起業することが大切です。
高齢者向けビジネスで起業する際に、押さえておきたいポイントを紹介します。
(1)ターゲットを明確にして事業展開を考える
高齢者向けビジネスに限ったことではありませんが、起業する際にはターゲットを明確にしてビジネスプランを考える必要があります。
高齢者といってもターゲット層は幅広いです。
介護サービスが必要な人や、高齢でも元気に活動している人、裕福な人など、どのような人に対してサービスを提供したいのかによって事業展開が変わっていきます。
まずは、高齢者の中でもどのような層にアプローチしていきたいのか具体的に決めましょう。
(2)馴染みのあるサービスや商品を提供する
高齢者向けビジネスでは、これまでになかった新しいものよりも、馴染みのあるものを提供する方が成功しやすいといえます。
若年層は新しいものや革新的なもの、流行に敏感であり、そういったものが受け入れられやすいです。
一方で高齢者は、馴染みのあるものや親しみやすいものを好む傾向にあり、新しいものが浸透するのに時間がかかるといえます。
高齢者に認知度のあるようなサービスや商品を取り扱うことや、新しいサービスにも親しみを感じやすいものを含めることが大切です。
高齢者向けビジネスにおすすめの業種
ここからは、高齢者向けビジネスにおすすめの業種について解説します。
(1)介護タクシー
自力での歩行ができない方が訪問介護に向かう場合の送迎を行うサービスが介護タクシーです。
一定の条件を満たすことができれば介護保険も適用できます。
車いすでの送迎も可能で介護の有資格者が送迎しますので高齢者は安心して利用できる点が特徴です。
送迎だけではなく、介護まで含まれているケースも多く、送迎から介護までのサービスが受けられます。
身体的な受有が効かない高齢者にとって必要なサービスといえるでしょう。
(2)パソコン教室
高齢者に対してパソコンを教える教室もおすすめの業種です。
インターネットなどパソコンを使いこなせるようになると利便性が大きく向上します。
例えば通販などが活用できるようになると、外出することなく手元に商品が届きますので高齢者にとっては最適なサービスです。
しかし、パソコンやスマホを使いこなさなければいけません。
パソコン教室でパソコンやスマホを教えることで、高齢者の生活を豊かにできます。
パソコンを準備すればいいだけで、ご自宅での教室開催なども可能です。
高齢者がパソコンを使いこなせるようになると、社会貢献も感じるおすすめの業種といえます。
(3)リハビリなどのデイサービス
健康維持やけがをした高齢者に対してリハビリするサービスです。
若しくはただ単に健康維持のため身体を動かしたいといった高齢者に対してフィットネスジムのような役割を持ったサービスを提供するといいでしょう。
高齢者ともなると四肢のどこかを傷めている方も多く、少しでも痛みがない状態に戻すサポートができるビジネスです。
収益面だけではなく人の役に立っていることを実感できるおすすめの業種といえます。
(4)宅配飲食サービス
高齢者はどうしても体力面が低下してしまう点や、前述した免許証の返納などにより、買い物などが難しくなってしまいます。
宅配飲食サービスにより自宅に食事が届くうえ、栄養までしっかりと考えられていますので、健康維持にも役立つサービスです。
特にひとり暮らしをしている高齢者などは、栄養も偏りがちで、料理をしたこともないといった方も多いので、おすすめのサービスといえます。
(5)整体・整骨院
リハビリが必要な高齢者向けの整体や整骨院も挙げられます。
国家資格を持った柔道整復師がマッサージにより、身体のメンテナンスを行います。
日常生活の中で身体的な痛みがあると、気分的にも落ち込んでしまいますが、マッサージによって少しでも身体の痛みを和らげ、よりよい生活を送るサポートができるでしょう。
健康保険証も利用できますので、保険診療費用の中で、治療が受けられます。
これも高齢者にとっては欠かせないサービスですので、おすすめの業種です。
高齢者向けビジネスの起業についてよくある質問
高齢者ビジネスについて解説してきましたが、まだ疑問や不安に思っている部分が解決されていない方もいるでしょう。
ここでは、高齢者向けビジネスの起業でよくある質問と、その質問に対する回答をご紹介します。
(1) どのような種類がありますか?
高齢者向けビジネスの主な種類は、「介護」「飲食」「サービス」「娯楽」の4種類の分野に分けられます。
介護は老人ホームやデイサービス、飲食はお弁当などの配食サービス、サービスは家事代行など、娯楽には各種教室やスポーツ大会の運営などが挙げられます。
(2) 起業はどれくらいの初期投資が必要ですか?
どのような分野の高齢者ビジネスを行うのかによって初期投資にかかる費用は異なります。
例えば、デイサービスならば開業資金として1000万円~2000万円ほど必要になるでしょう。
配食サービスは200~500万円、訪問医療マッサージは100から300万円と費用は抑えやすい傾向にあります。
(3) 収益性が高いジャンルはなんですか?
収益性の高い高齢者向けビジネスは、デイサービスや老人ホームなどの介護分野でしょう。
国から介護報酬を受給できることもあり、他の高齢者向けビジネスよりも利益率は高く、初期投資も早い段階で回収しやすいです。
(4) フランチャイズ募集している高齢者向けサービスはありますか?
フランチャイズ募集している高齢者向けサービスは多数存在します。
- 一軒家で行うデイサービス「だんらんの家」
【だんらんの家】での独立・開業・起業/日本介護事業株式会社|フランチャイズ加盟募集.net
- 在宅・訪問マッサージ治療院「オネスト」
【在宅・訪問マッサージ治療院「オネスト」】での独立・開業・起業/株式会社クニカネクスト|フランチャイズ加盟募集.net
- 訪問入浴事業「OWL訪問入浴」
【OWL訪問入浴】での独立・開業・起業/株式会社ランバード|フランチャイズ加盟募集.net
まとめ
今後、高齢者向けの市場は、どんどん規模が増加し、今後は100兆円を軽く超える市場となります。
業種も多様なサービスが参入できますので、自由度が高く社会貢献も実感できる市場とえいます。
高齢者向けビジネスには、たくさんの企業が参入していますが、まだまだ日が浅いため、ロールモデルなどもあまり多くはありません。
独自のサービスなどが提供できると、先行者の利益を得られる可能性も高くなる市場といえるでしょう。