整骨院を開業する手順・年収やコスト、利益を出すポイントも解説
関節痛や骨の傷み、靭帯などを損傷したときに施術してくれる整骨院。
柔道整復師という国家資格を持つ整復師が治療し、体のケアを行います。
街でも時々整骨院の看板を見かけることも多いのですが、独立開業した場合、どの程度の年収を得ることができるのでしょうか。
また、開業にはどのような費用がかかるのでしょうか。
この記事では、整骨院を開業した場合の年収や開業にかかる費用、開業までの流れなどについて詳しく解説します。
目次
整骨院を開業する方法には何がある?
整骨院で独立開業するのはいくつかの方法が挙げられます。
まずは開業する方法について説明しましょう。
(1)個人経営で開業する
最もオーソドックスなのが、個人経営での開業です。
柔道整復師の資格を取得し、自らが店舗を構え独立開業します。
個人事業主として、管轄の税務署に開業届を提出し、開業することが可能です。
(2)分院展開する
いわゆるのれん分けといわれる方法により独立も可能です。
今まで勤めていた整骨院の分院として独立します。
(3)フランチャイズに加盟する
分院展開と似ているかもしれませんが、フランチャイズにより開業することも可能です。
フランチャイズとは全国展開している整骨院などの看板や屋号、経営ノウハウといったものを使って加盟店が経営するスタイルのことを指します。
最初から実績のある看板などを使えるので、開業当初から一定の集客が見込める点が大きなメリットです。
屋号は同じですが経営母体はまったく異なります。
最初から、知名度を持って開業したい場合などに効果的な開業方法といえるでしょう。
整骨院を開業した場合の年収はどのくらい?
整骨院を独立開業した場合、気になるのがどの程度の年収を得ることができるのかといった点ではないでしょうか。
ここからは整骨院を開業した場合の年収などについて詳しく解説します。
(1)一般的な客単価は4,000円前後
まず開業した場合、施術に対してどの程度の客単価が一般的かというと、一時間程度の施術として単価は4,000円前後となっています。
整骨院の特徴は、健康保険扱いで施術できるケースがある点です。
健康保険が使える内容での施術費用は、もっと安い金額で施術を受けることができるでしょう。
また施術技術が上がり、集客が見込めるようになった場合は、高単価でも患者さんを集めることが可能で、8,000円〜10,000円といった高単価の整骨院などもあります。
(2)初年度の年収は400万円前後
整骨院を独立開業した場合、開業時の年収は一般的に400万円前後といわれています。
もちろん、繁盛具合によっては開業してあまり日が経っていなくても、800万から1,000万円といった年収を得ているケースもあります。
逆に400万円の年収も得られないケースなどさまざまといえるでしょう。
開業を見据えたマーケティングを行い、集客しやすいようなエリアで開業することも年収アップの大きなポイントです。
(3)3年目以降は800万円程度まで上がることも
整骨院の売上は、患者数×客単価で算出することができますが、患者数を増やすためには、リピーターの存在が欠かせません。
3年目以降ともなると、一定のリピーターもついていますので、それなりの年収を得ることができるでしょう。
整復師がひとりだった場合は800万円程度の年収を得ることができます。
ただ施術技術が良いだけでは安定した経営は望めません。
施術の回転率を高める方法を検討し、定期的な広告によって新規患者の集客など、経営に対する工夫が必要といえるでしょう。
(4)人気店になれば、1,000万円超えも可能
人気店ともなると、年収は1,000万円を超えることも可能となります。
例えば、整復師の数を増やして施術の数を増やせばさらなる収入アップになるでしょうし、多店舗展開なども可能です。
また、人気の整復師ともなれば、整骨院が休みの時にセミナーや教室などを開いて、収入を得る方法も考えられるでしょう。
ひとりで施術して年収を上げる方法には限界がありますので、店舗の数や整復師の数を増やして施術数を増やすことが年収アップの近道といえます。
整骨院を開業する際に必要な初期費用は?
整骨院を開業する場合、次に気になるのが開業にかかる費用です。
ここからは開業にあたる初期費用などについて解説します。
(1)開業における初期費用はどのくらいかかる
一般的に、整骨院を開業する場合にかかる初期費用として1,000万円前後の費用が必要といわれています。
整骨院の開業において、まず必要なのが物件の取得費です。
店舗を構える物件を購入か賃貸で取得しなければいけません。
物件の取得費は、構えるエリア、広さなどによっても異なりますので一概には言えません。
店舗を賃貸で取得する場合にかかる費用として以下のものが挙げられます。
- 敷金や保証金
- 礼金
- 仲介手数料
- 前家賃
一般的には家賃の7カ月前後が費用といわれています。
家賃が30万円の物件を賃貸する場合は210万円程度の初期費用が必要になるでしょう。
また治療器や備品などの設備導入も欠かせません。
設備の費用には300万円程度見込んでおくといいでしょう。
それ以外では内装費用や広告費用、運転資金などの準備が必要になり、1,000万円前後の初期費用が必要といえます。
(2)開業費用を抑えるコツは?
開業にかかる費用は決して安くありません。
できればもう少し費用を抑えて開業したいと考える方も多いのではないでしょうか。
開業費用を抑えるコツとして挙げられるのが以下の2点です。
- 居抜き店舗を利用する
- 中古品の設備を導入する
居抜き店舗とは、内装や造作物が残っている状態で退居された店舗で、新たな借主はそのままの状態で店舗を賃貸することが可能です。
整骨院の居抜き店舗を利用することができると、設備費や内装費などを大幅に抑えた状態で開業することができます。
中古品の設備購入だと新品の購入よりもコストを抑えて準備することが可能です。
近年は、リサイクルの品数も大幅に増えており、メンテナンスもしっかりとしているケースが多いといえます。
中古品を準備することで開業費用の抑制につながるでしょう。
接骨院を開業するために必要な資格や流れは?
接骨院を開業し、自分で施術するためには柔道整復師の資格が必要です。
指定された専門学校や養成施設、大学などで3年以上の修学経験の上、試験に合格しなければいけません。
国家資格を取得した後の、開業に向けた流れについて解説します。
(1)施術管理者の届出
開業にあたり、施術管理者の要件をクリアしなければいけません。
施術管理者とは、柔道整復施術療養費の受領委任の取扱いを管理することができる人のことを指します。
柔道整復師の資格を取得したのち、2年から3年の実務経験及び2日間の施術管理者研修の受講を行うと施術管理者として届け出が可能です。
(2)店舗を取得し、内装工事や設備を搬入する
店舗の取得と内装工事、設備の導入が必要です。
特にポイントとなるのはやはり店舗選びではないでしょうか。
どのようなエリアに店舗を構えるのかによって集客に大きく影響します。
開業前にターゲットやコンセプトを明確にしておくと、ターゲットが多いエリアに出店することでイメージに近い店舗経営が可能になるでしょう。
ターゲットやコンセプトが不明瞭だと、人が多いだけのエリアへの出店となってしまい、家賃が高くなってしまうことにもなりかねません。
店舗の取得に関しては、慎重かつ分析したうえで店舗を選択する必要があるでしょう。
(3)開業の手続きを行う
整骨院の開業には複数の機関に届け出や申請を行わなければいけません。
届け出する書類と届け出先を以下にまとめました。
- 保健所に開設届
- 地方厚生局に受領委任取り扱い契約の届け出
- 都道府県労働局に労災保険指定医療機関への届け出
- 福祉事務所に生活保護法等指定施術機関への届け出
- 税務署に開業届
などの届け出が必要になり、多くの届け出先があることがわかります。
届け出から受領までどの程度かかるのかといった点などをしっかりとチェックしておきましょう。
(4)集客
開業前に集客のため広告が必要です。
自社HPの開設やSNSの活用などの他、商圏に対してチラシの配布やポスティングといった広告などを行います。
特に開業前は、どの程度の集客が見込めるのかが全くわかりません。
開業した後も定期的に宣伝広告を行い、常に新規顧客を集客し続ける必要があるでしょう。
(5)開業
ここまでの手順が完了すると晴れて開業です。
開業当初は評判や口コミ、広告も浸透していない場合が多く、苦戦する可能性も考えられます。
コツコツと丁寧な施術を行うことで徐々に患者さんが増え、売上も安定します。
早めの黒字化を目指しましょう。
接骨院を開業した場合、成功のポイントは?
ここまでは整骨院で開業する場合の年収、コスト、開業までの流れについて解説しました。
接骨院を開業した場合、成功するためにはどのような点に注意しておくと良いのでしょうか。
ここからは接骨院開業における成功のポイントについて解説します。
(1)ターゲットを明確にする
どのようなお客様をお客様として狙っているのかを明確にしておきましょう。
女性をターゲットにしたいのであれば、女性が来院しやすい内装などにしておく必要があります。
ターゲットを明確にしておくと、イメージが固まりやすくニーズに合わせたサービスの提供を行いやすいといったメリットにつながるでしょう。
老若男女誰でもが対象となると、ターゲットがぶれてしまい、かえって集客にはマイナス要因となってしまいます。
(2)施術方法の種類を増やす
保険対応の施術と、自費対応の施術などバリエーションを増やすことも効果的です。
保険施術だけだと収益を上げにくく、自費施術だけだと患者さんから高い整骨院といったイメージを持たれるかもしれません。
保険施術と自費施術を上手く組み合わせたうえで、お客様にとってベストの診療を提案するといいでしょう。
無理に自費施術ばかり進めてしまうと、リピート率が大幅に下がってしまい、逆に収益が上がらない要因になってしまいます。
(3)継続的な集客が必要
リピート率を高めるのは非常に重要な取り組みですが、併せて行いたいのが新規患者さんの獲得です。
チラシの配布やSNSの活用、HPの継続的なアップといった取り組みは継続的に行う必要があります。
ここでも重要になるのがターゲットに向けた集客という点です。
ターゲットが定まっていなければ、広告費も高額な資金投下が必要になってしまいますが、効果は定かではありません。
ターゲットを絞って集客することで支出を抑えることができ、より効果的な広告方法に特化することも可能です。
継続的な集客を心がけましょう。
(4)既存患者との密接なコミュニケーション
患者さんとしっかりとコミュニケーションを取り、信頼を深めていくことがリピーター獲得にとって大きなポイントです。
施術だけではなく、普段の生活で患部に効果がある運動などちょっとしたアドバイスを行っていると、信頼関係を深める要因となります。
既存顧客はリピーターになるだけではなく口コミや評判を広めてくれる存在ともなるでしょう。
既存顧客をないがしろにしてしまうと評判が落ちてしまい、周りに悪影響となってしまいます。
既存患者との密接なコミュニケーションを心がけましょう。
まとめ
整骨院の開業について解説しました。
開業に関するさまざまな届け出が必要で、手順も簡単ではありません。
スケジュールをしっかりと組んでおくことが必要ですが、フランチャイズだと、さまざまな本部のサポートを受けることが可能で開業に向けた手続きサポートも行います。
柔道整復師としての経験も浅く、開業に関してサポートを受けたいと考える方はフランチャイズに加盟しての開業も効果的といえるでしょう。