飲食店経営の年収を業種別に紹介・年収アップのコツは?
飲食店を経営したいと検討している方も多いのではないでしょうか。
料理が好きな方、飲食店に憧れがある方、親が飲食店を経営している方、飲食店を経営したい方の理由はさまざまです。
なかには、高収入を求めて飲食店経営を行いたい方も多いのではないでしょうか。
しかし、ひとことで飲食店経営といっても、業種は多様で、当然ながら業種別に年収も異なります。
この記事では飲食店経営における業種別の年収や飲食店経営において年収アップのために行うことなどについて詳しく解説します。
飲食店経営における業種別の年収比較
前述したように、ひとことで飲食業経営といっても業種は多岐にわたります。
当然ながらそれぞれ業種によって経営している場合の年収は大きく異なります。
業種別の年収を比較してみましょう。
(1)喫茶店経営者の年収
喫茶店経営者の年収は250万円前後の年収であるケースが一般的です。
夜も経営する場合は、飲食の収益が増える可能性が高くなりますので、500万円前後の年収も期待できます。
喫茶店は、ここ数年外国資本が入ったコーヒー専門店が急速に需要を増やしているのが現状です。
大手チェーン店との厳しい競争に巻き込まれることも多く、個人経営での喫茶店経営は非常に厳しい経営になってしまうことも考えられます。
価格や味といった点以外に経営している喫茶店が醸し出す雰囲気造りなども必要になるでしょう。
一旦リピーターがつくと、安定した経営になりやすいのも喫茶店経営の特徴です。
(2)居酒屋経営者の年収
自らが独立して居酒屋を経営する場合の年収としては500万円前後であるケースが一般的といえるでしょう。
居酒屋経営も、ライバルが多くなってしまう傾向です。
立地に左右されることもありますし、酔客を相手にしないといけませんので、トラブルが起きやすいのも特徴といえます。
しかし、お酒をメインとして提供し、複数のメニューを頼まれるので一人当たりの客単価が飲食店の中でも高く、利益率が高い点も特徴のひとつです。
最初は1店舗から出店になります。
しかし、最初から複数店舗経営を視野に入れた戦略で経営するといいでしょう。
複数店舗の経営もやりやすいので、高収入が期待できる業種といえます。
(3)ラーメン店経営者の年収
国民食ともいえるほど人気のラーメンはお店も多く、ラーメン店も競合との争いが非常に激しくなりやすい業種です。
居酒屋経営などと比較すると、基本的にメニューはラーメンがメインとなりますので、厨房の設備にコストがかかりません。
ラーメン店経営は、とにかくラーメンの評判が大きく影響します。
ラーメンが美味しいと評判になればすぐに繁盛店となり、あっという間に年収1,000万円超も不思議ではありません。
しかし、あまり評判がよくなければなかなか集客が増えず、年収も上がらないどころか閉店に追い込まれるケースも非常に多いといえます。
一般的には、比較的順調に経営しているラーメン店で800万円前後の年収と見ておくといいでしょう。
(4)定食店経営者の年収
定食店経営の一般的な年収は300万円前後です。
たくさんのメニューを提供しなければいけませんので、食品のロスが出やすいのが難点ですが、家庭料理がメインですので特別高度な調理技術が必要ではありません。
設備にもそう大きな費用をかける必要がなく、比較的手軽に始められる業種といえるでしょう。
前述したように食材にロスが出やすいので、仕入れなどを計画的におこなう必要があります。
たくさんのメニューから一つでも売りのメニューができると、息の長い経営も期待できるといえるでしょう。
(5)レストラン経営者の年収
レストランを経営する場合の年収は一般的に500万円前後といわれています。
高級志向のレストランか気軽に楽しめるレストランかによっても、利益率が異なりますので年収にも若干の違いがあるといえるでしょう。
食材の量も多いので定食店同様、計画的な食材の仕入れが必要になります。
また、調理技術もこれまで紹介した飲食業種よりも高度な技術が求められることも多く、自分が調理できない場合の人件費が高くなりがちです。
しかし、複数店舗経営も可能ですので、1店舗経営だけだとあまり高年収ではなくても複数店舗経営により一気に高年収も狙えます。
飲食店経営者は難しい?
街中でも個人経営の飲食店を見かけるのは決して珍しくはありません。
出店率も非常に高いのですが、廃店率も高いので出店してからも決して安泰の業種ではないのです。
ここからは飲食店経営が非常に難しい理由について解説します。
(1)競合相手が非常に多い
飲食店経営が難しい理由のひとつとして、競合が多い点が挙げられます。
飲食店経営は、あまり難しい許可や申請が必要ではありません。
提供するメニューや、店舗の広さなどによって許可や申請の種類は異なります。
しかし開業に関係する許可や申請は、比較的容易に取得することが可能です。
そのため店舗の出店が非常に多く、競合店ができやすい環境ともいえます。
集客は出店しているエリアの人口によっても異なりますが、競合店舗が出店するとエリアのお客様を食い合う形になってしまうのです。
一気に収益が落ちてしまうといったことも考えられ、常にそのエリアで勝ち続ける必要があります。
競合相手の多さが難しい理由のひとつです。
(2)売上が安定しない
売上が安定しないケースが多い点も飲食店経営が難しい理由のひとつです。
飲食店経営は、毎月安定した収入が得られるという訳ではなく、月のイベントなどにより売り上げが大きく左右されます。
また天候にも影響を受けやすく、屋外のイベントで一定の集客が見込めたのに雨で中止になってしまったなど、外的な要因によって売上が激減してしまうことも珍しくはありません。
あらかじめ仕入れていた食材がだめになるなども起こりがちで、悪い天候が続いてしまうと資金繰りに苦労することも考えられます。
次の仕入れに苦労して、売上に影響するなどといった悪影響を及ぼしてしまうでしょう。
(3)コストと売り上げのバランスが重要
料理がおいしいからといって必ず高収入を得られるという訳ではありません。
飲食店経営にこだわりを持ちすぎていると、コストと売上のバランスが悪く、いくら売上が良くても利益が全く上がらないといったケースもよく見られます。
経営ですので、いかに効率的な収益を安定して上げ続けるのかを考えながら事業を続けていく必要がありますが、経営意識が低いと陥りがちなケースです。
利益率を全く考えていないメニューを提供し続けてしまうと、まったく儲からずに閉店してしまうといったことにもなりかねません。
(4)集客面で苦労するときが多い
飲食店で独立開業する場合、最初に苦労するのが集客です。
当然ながら誰も名前を知らない状態から始めますので。ある程度の集客ができ、安定するまでにしばらく時間が必要になるでしょう。
なかなか黒字に転換できなければ、あっという間に閉店してしまうかもしれません。
立地が良ければ、開店当初から集客にも期待できますが、その様なエリアの出店では、店舗を借りる家賃が高くなり、収益自体は低くなってしまう可能性も考えられます。
黒字転換するまでの運転資金を確保していなければ軌道に乗るまで持ちこたえられない可能性も考えられるでしょう。
(5)従業員満足度が低い
特に居酒屋などお酒を提供する場合、トラブルが起こりやすくなってしまいます。
また、飲食店は1日のうち忙しい時間帯とそうではない時間帯があり、忙しい時間帯に人員を確保していなければ、お客様の不満につながってしまうでしょう。
忙しい時間帯に出勤している従業員にも不満が貯まることになり、従業員満足度が高まりません。
従業員の不満が募ってしまうと、当然ながらお店を辞めてしまい、従業員を確保する必要がありますが、従業員の入れ替わりが激しいと、従業員のクオリティが低いままです。
このようなお店にお客が集まるはずもなく、売上が上がらない原因となってしまうでしょう。
年収を上げるために行うこと
飲食店経営において年収を上げるためにはどのような点に注意しておくといいのでしょうか。
ここからは、年収をあげるために行うことについて詳しく解説します。
(1)店舗を増やすことを念頭に経営を行う
最初から複数店舗経営することを念頭に置いて経営を行いましょう。
すぐにマネージャー候補としてできる人材を教育し、2店舗目を出店すると同時にマネージャーとして投入すると、自分が動く必要はなく、スムーズな経営に期待できます。
複数店舗経営することにより、仕入れの量が多くなりますので、仕入れの単価を落とすことができるかもしれません。
自分の店舗の利益率が高まることになるでしょう。
人気のメニューをつくっておくと、次の店舗を出店するときにそのメニューを売りにした出店なども可能ですし、1店舗経営したノウハウを引き継ぐこともできます。
複数店舗経営は、高年収に一番近道の方法です。
ただしリスクも多くなりますので、リスク対策を万全にしておきましょう。
(2)人件費を抑える
人件費を抑えることで支出が抑えられます。
しかし、人件費を抑えすぎてしまうと、従業員ひとりにかかる負担が増えてしまい、お客様ひとりに満足できるサービスを提供できなくなってしまうでしょう。
さらに、負担は増えても給与は増えませんので、退職する従業員やアルバイトが増加してしまい、募集広告に費用がかかるかもしれません。
また、従業員が集まったとしても労働条件が悪いわけですので、すぐに辞めてしまうでしょう。
効率的な配置と無理させ過ぎないようにする必要があります。
オーナー自らがシフトに参加するなどは、効果的な人件費抑制案です。
経営にかかるコストをなるべく抑えることも検討しましょう。
(3)利益率を常に意識する
売上を伸ばすことや、コストを抑えることを言い換えると利益率を上げることにつながります。
売上が少なくても利益率が高ければ大きな売上を上げる必要はありませんが、利益率が低ければ売上を上げなければ利益を得られません。
利益率を上げることを重視した経営を行うことで効率的な経営や、飲食店舗の損益分岐点を抑えることにつながります。
1店舗当たりの利益率を上げて、高収入を目指しましょう。
(4)開業する場所の立地をよく検討する
開業する場所も非常に需要です。
ひと通りの多い場所で飲食店経営ができると、一定の集客が見込めますが、当然ながらそのような立地は家賃などが高くなり、利益率に影響します。
逆にあまり目立たない場所は、家賃は安いでしょうが集客が見込めず、売上が全く上がらないかもしれません。
開業する場所の立地と家賃をしっかりと分析し最もコストパフォーマンスの良い場所での開業を検討しなければいけません。
(5)テイクアウトなどを行う
飲食店経営と共にテイクアウトやデリバリーなど複数の業種に取り組んではいかがでしょうか。
テイクアウトやデリバリーはコロナ禍において需要が急成長しましたが、飲食店だと設備はすでにありますので、すぐにでも取り組むことができます。
複数業種に取り組むことで、リスクヘッジにもなりますので、収益を上げる点と、リスク対策として効果的です。
まとめ
飲食店経営は、業種によって想定される年収が異なります。
比較的、飲食店経営は誰もが進出しやすいといえますが、簡単に成功するわけではありません。
年収を上げることも大切ですが、まずは店舗を安定経営に乗せることが高収入への近道になるでしょう。