フランチャイズで牛タン専門店を開業する場合の収益と初期費用
仙台を発祥とする牛タン料理は、もともと珍味程度の扱いでしたが、仙台市民や仙台に転勤してきた会社員などに徐々にその美味しさが浸透してきました。
仙台市内での浸透とともに仙台における牛タン専門店が増加。
観光客にも牛タン料理が受け、日本全国に広がる大きなきっかけとなったのです。
今では日本全国で牛タン専門店があり、フランチャイズを募集している企業などもあります。
では、実際にフランチャイズに加盟して牛タン専門店を開業する場合、どの程度の収益を得ることができるのでしょうか?
また、コストはどの程度かかるのでしょうか?
この記事ではフランチャイズに加盟して牛タン専門店を開業する場合の収益やコスト、フランチャイズのサポートや開業までの流れについて詳しく解説します。
牛タン専門店の売り上げは?
新たに事業を起業しようと考えた場合、最も気になるポイントのひとつがどのくらいの収益を上げられるかということでしょう。
まずは、フランチャイズに加盟し牛タン専門店を開業した場合の収益について解説します。
(1)原価率は25%程度なので利益率は高い
高収益を上げるためには当然ですが利益率が高い方が儲かりやすいといえます。
つまり、仕入れと販売価格の差が大きければ大きいほど利益率は高くなるのです。
一般的に牛タンの仕入れの原価は25%程度といわれています。
これは他の料理屋飲食業と比較しても高い利益率です。
原価率が低ければ利益率は高くなるので、利益率の高い商品と低い商品では売れば売るほど収益に差が出てきます。
牛タンは原価率が低いため利益率が高く、売れば売るほど高収益を得られるということに繋がるでしょう。
(2)高級部位のため客単価も高く設定できる
一般的に、牛タン料理は高級食材といった位置づけです。
仙台は別格で、仙台牛の牛タンが一つのブラントといえますが、そのほかの地域では、特別の和牛指定の牛タンというものはありません。
その地域で特選された和牛のタンが美味しいとなると、その和牛だけ極端に値段が高いということも考えられます。
しかし、牛タンに関しては基本的にコストを抑えるために外国産を利用していることが多いのです。
仙台以外の都市では特に和牛など牛の種類に対しこだわりが無く牛タンを楽しめる環境であるといえます。
高級な食材といった位置づけでも外国産を使い原価率は低いので、価格設定に苦労することはありません。
競合相手が少なければ単価を上げることも可能です。
経営上、扱いやすい部位だといえるでしょう。
(3)冷凍処理できるので廃棄ロスが少ない
飲食業の場合、いくら利益率が高くても売れずに廃棄処分となってしまうと一気に利益率が下がってしまいます。
いかに保存期間が長い食材を選択するのかという点も飲食店経営においては大切なポイントです。
牛タンは、基本的に国産ではなく外国産を利用するというのは先ほど前述しました。
外国産の冷凍物を使用することにより、長期間の保存が可能となり、廃棄率を極端に落とすことができます。
廃棄ロスを減らすことで利益率の高さを維持することに繋がるといえるでしょう。
フランチャイズによる牛タン専門店のコストは?
収益面が分かると次に事業を行う際に気になるのは当然ながらコスト面です。
開業にかかるイニシャルコスト、経営におけるランニングコスト、フランチャイズの契約期間などは開業を考える上でチェックしておけなければいけない点といえます。
ここからは、牛タン専門店を開業する場合のコスト面について解説しましょう。
(1)加盟店料などのイニシャルコストは?
フランチャイズに加盟して開業する場合、開業に必要な費用が加盟店料です。
加盟店料とはフランチャイズに加盟するために支払う費用で、フランチャイズ契約を行う際に支払われます。
加盟店料はフランチャイズ本部によって異なり、業種によっては加盟店料がかからないケースもあるのです。
牛タン専門店など飲食関係の加盟店料は、一般的に100万円~300万円程度だといわれています。
このような加盟店料のほかに物件取得費や店舗の内装費、厨房機器の設備費などを含めると一般的な牛タン専門店の開業資金は約1,000万円前後です。
さらに安く上げるためには、居抜き店舗などを活用する方法も効果的といえます。
加盟店料もフランチャイズ本部によって異なりますので、コスト面からのフランチャイズ本部選びもポイントとなるでしょう。
(2)ロイヤリティなどランニングコストは?
次にランニングコストについて見てみましょう。
フランチャイズに加盟することで看板や屋号、経営ノウハウを利用した経営ができるので最初から知名度や成功ノウハウを持ったうえでの経営が可能です。
しかし、その使用料としてロイヤリティを支払わなければいけません。
ロイヤリティもフランチャイズ本部によって異なります。
定額の場合や売り上げに応じた割合で支払うなど、さまざまです。
ある牛タン専門店のフランチャイズ本部が設定するロイヤリティは売り上げの6%程度で設定されています。
売り上げが月500万円程度の店舗でロイヤリティ6%と仮定するランニングコストは、およそ400万円程度です。
ロイヤリティもフランチャイズ本部によって大きく異なりますので、ロイヤリティからフランチャイズ本部を比較することもポイントといえるでしょう。
(3)契約期間は5年程度が一般的
フランチャイズに加盟する場合、どの程度の契約期間となるのでしょうか?
飲食店のフランチャイズ契約は5年程度であることが一般的です。
あまりにも長ければ、いざ経営が上手くいかずに廃業となった場合に契約期間内の解約ということで違約金を請求されるかもしれません。
逆に短すぎると、本部側からの解約も可能なため、不安な気持ちで経営しなければいけないかもしれません。
フランチャイズは5年程度をひとつの目安として契約期間を考えておきましょう。
フランチャイズに加盟するとどんなサポートが期待できる?
ここまでは、フランチャイズに加盟して牛タン専門店を開業した場合の収益やコストについて解説しました。
では、フランチャイズに加盟することにより、どのようなサポートに期待できるのでしょうか?
ここからは、フランチャイズに加盟して開業する場合、本部のサポート体制について解説します。
(1)融資の紹介
牛タン専門店の開業には1,000万円前後の初期投資が必要なことをコスト面で解説しました。
1,000万円の自己資金が無ければ融資を受けて資金を得なければいけません。
金融機関の融資を受ける際に、付き合いがある金融機関があればいいのですが、付き合いが無い場合、多額の融資となると融資元が見つからないかもしれません。
フランチャイズ本部によっては、このような融資において金融機関を紹介してくれる場合があります。
融資してくれる金融機関の紹介がサポートのひとつとして挙げられるでしょう。
(2)店舗の紹介
開業にあたり、店舗を見つける必要がありますが、これもどのような規模でどの場所に構えていいのかあまりわからないかもしれません。
適切な場所に事業規模にあった店舗探しの紹介を、本部によっては行ってくれる場合があります。
フランチャイズ本部は、牛タン専門店の開業に適している店舗の情報などを持っている場合もありますので、店舗の紹介もサポートとして挙げられるでしょう。
(3)什器や備品の手配
店舗を構えるにあたり、什器の設置や備品の準備などを考える必要があります。
しかし、依頼する業者によって金額は異なるでしょう。
特にフランチャイズの場合、本部の意向に沿った店舗つくりが必要となります。
什器や備品もある程度統一する必要がありますので、このような什器や備品を設置する業者の手配を行い、加盟店の統一を行うのも本部のサポートです。
(4)研修
何度か繰り返しになりますが、フランチャイズに加盟することにより本部が成功した経営ノウハウを持って事業を行うことができます。
しかし、しっかり理解しておかなければ、経営ノウハウを生かし切れません。
フランチャイズ本部は、開業前にきちんと研修を行い、フランチャイズ経営の統一を図ります。
(5)新商品開発
牛タン専門店でもいつでも同じメニューしかなければ、常連客ができてもいつか飽きられてしまうかもしれません。
つまり、新メニューなどを開発し新鮮味を出す必要がありますが、なかなか経営しながら新たなメニューも開発するとなると大きな負担となるでしょう。
新メニューの開発などもフランチャイズ本部が行い、加盟店に新たなメニューを提供します。
これにより新規顧客の獲得や常連客の継続来店に期待ができるでしょう。
本部の大きなサポート業務のひとつです。
フランチャイズに加盟するまでの流れ
フランチャイズに加盟して牛タン専門店での開業を考える場合、オープンまでにどのような流れからオープンへと繋げるのでしょうか?
フランチャイズに加盟して開業する流れを解説します。
(1)資料請求や説明会への参加
まずは、どのフランチャイズに加盟するかを決める必要があります。
気になるフランチャイズ本部への資料請求や、本部が開催する説明会に参加しましょう。
できればこの時点では一つに絞り込むのではなく、複数の本部から資料を請求し、さまざまな面からの比較を行うことをおすすめします。
(2)担当者との面談や店舗の見学
フランチャイズ本部を比較し、気に入った本部が見つかると、担当者との面談や、店舗を見学しましょう。
実際に現場をみることでイメージも具現化され、担当者との相性なども判断することができます
これも是非ともやっておきたいことです。
(3)フランチャイズ契約の締結
加盟したい本部が決定すると加盟申込みを行い、フランチャイズ契約を締結します。
契約締結時に加盟店料の支払いなどが必要になりますので、ある程度の資金を準備しておかなければいけません。
(4)物件の紹介から完成工事まで
フランチャイズ契約を締結後、構える店舗の物件探しを行います。
本部からの紹介などで物件を見つけ物件が決まると、内装工事など店舗つくりを行わなければいけません。
この時にはさらに資金が必要になりますので、この時点までに自己資金の準備か金融機関の融資が必要です。
(5)研修
店舗工事には多少の時間がかかります。
この間に研修を行いスムーズに開業できるように、経営ノウハウの研修や社員研修を行わなければいけません。
この時点になるとオープンの日程は決まっているでしょうから、スケジュールに合わせて研修を受けてしっかりと理解する必要があります。
そうしなければ、せっかくオープンしたとしてもうまくお店が廻らないかもしれません。
しっかりと研修で経営ノウハウなどを学びましょう。
(6)オープン
いよいよオープンです。
研修をしっかりと理解し、オープン直後からしっかりとした店舗経営を行い、早めの黒字化を目指しましょう。
まとめ
牛タン専門店は利益率も高く、全国展開しているフランチャイズ本部があるとはいえまだまだブルーオーシャンの市場です。
この時点での開業となると、成長性のある業種に取り組むことになりますので、安定性や高収益体制をつくることができるお店になるかもしれません。
フランチャイズに加盟しての開業となると当然ながらパートナーとなるフランチャイズ本部のサポートや信頼関係は欠かせないものとなります。
いくつかのフランチャイズ本部を比較して自分の理想となる店舗造りのため、最適な本部を選びましょう。