住宅修繕・リペア業をフランチャイズ経営する場合の開業手順と注意点
ちょっとした住宅の修繕やリペアなどちょっとした傷をDIYで直そうとして、うまく直らなかったという経験はありませんか?
そんな時に力になるのが住宅修繕やリペアを専門に行っている住宅修繕・リペア業です。
思わずやってしまったフローリングの傷や柱の傷などをわからないように修理します。
この住宅修繕・リペア業は、フランチャイズとして経営することが可能です。
多くのフランチャイズ企業が参入していますが、実際の需要や年収などが気になるところです。
この記事では、住宅修繕・リペア業を取り上げ、フランチャイズに加盟して経営する際の需要や売り上げ、開業費用といった点を解説します。
目次
住宅修繕・リペア業の将来性
まずは、フランチャイズの有無にかかわらず、住宅修繕・リペア業の将来性について見てみましょう。
今後の成長性がないとせっかく住宅修繕・リペア業を経営しても長期的に安定した経営は難しいかもしれません。
経営しようとする業界の将来性を前もって分析しておくことはとても大切な取り組みです。
(1)国の住宅政策により2025年には12兆円産業へ
住宅修繕・リペアも含むリフォーム業は今後の成長性に大きく期待が持てる業種です。
この内容を裏付けるモノとして下の表を見てみましょう。
出典:国土交通省「住宅リフォーム市場の現状と国際比較」
若干の上下変動を繰り返しながらも2014年現在では約7.4兆円と非常に大きな市場規模をほこっています。
次に他国とリフォーム投資の割合を比較した表を見てみましょう。
出典:国土交通省「住宅リフォーム市場の現状と国際比較」
諸外国と比較しても日本のリフォームにかける費用の割合は高くありません。
つまり、今後の成長にも期待が持てるといえます。
あわせて、平成28年3月に閣議決定されたリフォーム市場の内容の下部に掲載しています。
出典:国土交通省「住生活基本計画」
これを見てもわかるようにリフォームの市場規模を今後12兆円まで政策として伸ばす方向性です。
これも、住宅修繕。リペア業の将来性があることも裏付けとなります。
フランチャイズでの住宅修繕・リペア業の平均年収
住宅修繕・リペア業として独立したとしても自分の期待できる売り上げが上がらなければ意味がありません。
では実際に住宅修繕・リペア業を開業した場合、どの程度の売り上げ若しくは年収を挙げることが可能なのでしょうか?
ここからは、平均年収について解説します。
(1)利益率の高いリペアなら年収1,000万円超えも可能
実は住宅修繕・リペア業は利益率が高い業種であることが特徴の一つでもあります。
住宅修繕・リペア業は、材料費にお金がかかるわけではありません。
修繕に関する材料もそう高いわけではなく、ほとんどが技術料ということになります。
たくさんの技術を取得することで取り扱いができる住宅修繕・リペアの範囲が広がり、高い報酬を得ることが可能です。
順調に注文が取れると年収1,000万円も夢ではない業種です。
また、仕事量が増えてくると、技術者を雇用することにより、さらなる収益を生み出すこともできます。
人を雇ってしまうと、そう利益率は高くはありませんが、収益は上がりますので、年収がさらに上がるでしょう。
初期費用・ロイヤリティなどの費用
ここまでは、将来性や年収といった点に触れてきましたがほかに気になる点が開業しようと考えた場合の開業費用です。
また住宅修繕・リペア業はフランチャイズ経営が可能ですが、フランチャイズに加盟するとなると気になる点が加盟料やロイヤリティ。
加盟料とは、フランチャイズの知名度や実績を利用できる看板料に似た費用で、加盟時に支払います。
フランチャイズ料は、営業ノウハウやシステムなどが利用できる利用料で毎月発生するコストです。
ここからは、開業費用やロイヤリティについて解説します。
(1)リペア業は店舗を構える必要がないので低額での開業が可能
住宅修繕・リペア業の最も大きな特色として店舗を構える必要がない点が挙げられます。
現地に行って作業することで報酬をもらうことや大きな設備が必要ありませんので店舗を構えなくても経営が可能です。
しかし、店舗の取得費はかかりませんが車両は確保しておく必要がありますので、車両の購入費用が必要になるでしょう。
開業にかかる目安を表にまとめました。
加盟店料 | 200万円前後 |
研修・教育費 | 30万円前後 |
機材・材料費 | 150万円前後 |
車両購入費 | 100万円前後 |
合計 | 480万円前後 |
当然ながら雇用の数や取り扱えるものによって材料費が異なります。
この表は、一人で開業した場合と想定した開業費用です。
加盟店料も大きな割合を占めていますが、フランチャイズ本部により異なりますのでどのフランチャイズを選択するかによって金額は変動します。
(2)ロイヤリティがない加盟店もある?
次にロイヤリティなど毎月の運営資金について触れてみましょう。
ロイヤリティもフランチャイズ本部によって大きく異なりますが、中にはロイヤリティがかからないフランチャイズ本部もある点はチェックポイントですね。
およその目安として売り上げが月150万円で、一人で開業した場合、およそ40万円前後の運営費がかかると見ておきましょう。
運営費の内訳としては、ガソリン代や、駐車場代、材料費、ロイヤリティが必要な運営費に入ります。
ロイヤリティに関しては各フランチャイズの条件を比較検討して選択の材料にしましょう。
フランチャイズによる住宅修繕・リペア業の開業手順
フランチャイズで住宅修繕・リペア業を開業する場合、開業するまでにどのような手順が必要なのでしょうか?
あらかじめ計画的にスケジュールを組むことで開業までの手順がスムーズに進みます。
何段階かのステップにより開業までの段取りを解説します。
ステップ1 フランチャイズ本部を比較検討する
まずは、どのフランチャイズに加盟して開業するかを決めなければいけません。
インターネットなどでフランチャイズ募集している企業は非常の多いので、いくつかの企業にコンタクトを取りましょう。
説明会に参加したり、資料請求したり、直接担当者との面談ができる企業などもあります。
ここで、疑問点や悩みを解消してフランチャイズ本部を選びましょう。
ステップ2 フランチャイズ本部を決定し、契約を交わす
フランチャイズ本部が決定したら、契約を締結します。
資金計画の相談に乗ってくれる企業などもあるので、あらかじめ契約前後で資金計画の算段も行っていきましょう。
自己資金ですべて行えるのであれば問題ありませんが、融資を受けるとなると融資審査や決定までに時間がかかりますので、資金計画も同時に行う必要があります。
ステップ3 研修に参加する
前述しましたが、住宅修繕・リペア業は技術料に関する利益が大きいので利益率が高い業種です。
その分、確たる技術が必要となります。
何年もかけてじっくりとやらなければ技術が身につかないというわけではありませんので、フランチャイズに加盟すると、開業前にじっくりと研修してリペア技術を身につけさせてくれます。
技術がしっかりしていないと、開業してもうまくはいきません。
技術や経営に関する研修に参加してしっかりと学びましょう。
ステップ4 開業
これらのステップを踏まえて開業となります。
早ければ1か月前後での開業も難しくはありませんが、綿密なスケジューリングもおさえておくべきポイントです。
だらだらと開業の日にちを延ばすことがないようにしましょう。
必要な資格や技術
住宅修繕・リペア業を開業するにあたり、例えばこの資格がないと開業できないといったような資格などは必要なのかも気になる点です。
開業にあたり必要な資格や技術などについて解説します。
(1)特に資格はいらない
基本的に、開業に際し必要な資格はありません。未経験からでも開業は可能なのです。
実際に企業の求人やフランチャイズ募集要項には未経験でも募集しています。
比較的、フランチャイズ経営の壁が低い点も、住宅修繕・リペア業の特徴です。
(2)住宅修繕に関する資格があると需要は増える
開業に関して特に資格が必要ではないし、未経験からでも可能と述べました。
しかし、安定した黒字経営といった点を考えると、住宅修繕・リペアに関する資格や技術を持っている方が有利であることは間違いないでしょう。
例を挙げると、
- 住宅の傷を修繕する「ウッドリペアマイスター」
- アルミサッシなどの修繕技術を持つ「アルミリペアマイスター」
- 住宅の点検に特化した「住宅点検マイスター」
などが当てはまります。
このような資格をもってリペアができると顧客の信頼感も大きく増します。
需要を増やすためにも、住宅修繕・リペアに関する資格はどんどん取得していきましょう。
住宅修繕・リペア業が対象となる顧客層は?
住宅修繕・リペアに関する顧客層はどのような層を対象としたらいいのでしょうか?
あらかじめターゲットを選定して、そのターゲットに向けた営業スタイルをとることで、経営に対するメリットを生み出します。
住宅修繕・リペア業の対象となる顧客層について解説します。
(1)築年数が経過している住宅街は需要が高い
住宅の修繕を希望する人が当然ながらターゲットとなるでしょう。
いわゆる新興住宅街というエリアは同じ時期に多くの住宅が建築されるので、同じ程度の年数で住宅の傷み具合があらわれるのです。
15年から20年程度経過している住宅エリアなどは、住宅修繕やリペアの需要が高く、このようなエリアに特化して広告を投下するなどにより受注が増える可能性が高まります。
フランチャイズで住宅修繕・リペア業を経営するメリット
住宅修繕・リペア業を開業する方法として、自主独立とフランチャイズがあると前述し、フランチャイズも含めた平均年収や開業費用、顧客層といった点について解説してきました。
実際に住宅修繕・リペア業を開業する場合、フランチャイズ加盟におけるメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。
ここからは、フランチャイズに加盟することのメリットやデメリットについて解説します。
(1)店舗を構えなくてよい
店舗を構える必要がないという点は大きなメリットとして挙げられます。
これはフランチャイズに加盟していなくても同じではないかといった意見も出そうですが、店舗を持たない経営のノウハウをフランチャイズ本部は持っています。
また、仕入れるリペア材料や機材などもフランチャイズ本部がコンパクトな材料をそろえていますので、非常に便利です。
自主独立となると特に未経験の場合、細かい部分に目が行き届かなくてコンパクトにまとめることができず、店舗が必要と感じるかもしれません。
店舗を持たない経営ができるようなノウハウを得ることができる点がメリットの一つです。
(2)比較的利益率が高い
これも前述しましたが、住宅修繕・リペア業は利益率が高い業種です。
材料費があまりかからずに技術料の占める割合が大きいのが理由の一つといえます。
利益率の高さを保つのもフランチャイズの大きなメリットとして挙げることができるでしょう。
自主独立の場合だと、どうしても材料などが安く仕入れることができずに高い利益率が確保できないときもあります。
きちんとノウハウや、修繕材の販路が確保されているフランチャイズのメリットです。
(3)大手の看板が利用できる
大手の看板が広告として利用できます。
これは住宅修繕・リペア業だけではなく、フランチャイズに加盟する最も代表的なメリットです。
大手の看板が利用できるので、広告宣伝費用に自主独立よりは大きな費用をかける必要がありません。
知名度がそのまま広告にも繋がります。
例えば前述した住宅エリアに広告を投下した場合、大手の企業と自主独立して全く名前がわからない企業ならばどちらを選ぶでしょうか?
実績から当然大手企業を選ぶ人が多いでしょう。
このように、大手の看板が利用できるのは非常に有利に経営が進められるといえます。
フランチャイズで住宅修繕・リペア業を経営するデメリットや失敗を避けるコツ
フランチャイズに加盟して開業することはいくつかのメリットを得ることができますが、逆にフランチャイズに加盟したからこそ注意しなければいけない点もあります。
ここからは、フランチャイズに加盟して開業する場合の注意点について解説します。
(1)リペアに対する技術は不可欠
フランチャイズに加盟することで、未経験でも開業することは可能です。
経営ノウハウやシステム、研修などで技術を取得できるからです。
しかし、知識も中途半端なままで開業したところでうまくいくはずがありません。
フランチャイズに加盟していようとも技術をしっかりと取得しなければ意味がないといえます。
フランチャイズ本部が開催する研修や勉強会に随時参加して、技術を持ち続ける努力を怠ってはいけません。
(2)メーカーとの競合
メーカーとの競合も注意しなければいけません。
住宅メーカーも住宅販売を増やすためにさまざまなサービスを提供しています。
住宅修繕保証期間の延長などもサービス提供の一つです。
修繕における保証期間が長くなってきていますので、メーカーと競合する可能性が高くなっています。
ただし、住宅修繕・リペアの範囲は保証対象外になっている場合もあるので、依頼を受けた場合は、顧客と保証の範囲に入っているかどうかを確認したうえで依頼を受けましょう。
(3)加盟店料やロイヤリティのコストがかかる
住宅修繕・リペア業に限ることではありませんが、フランチャイズに加盟するとかかってくる費用が加盟店料やロイヤリティです。
費用に内容に関しては前述いたしました。
これらの費用がフランチャイズの場合には発生しますので、自主独立よりもかかるコストが大きいということになります。
しかし、フランチャイズ本部の中にはロイヤリティがかからないケースもありますので、いくつかのフランチャイズを比較検討する必要があるでしょう。
まとめ
住宅修繕・リペア業について解説してきましたが、将来性も高く、今後の需要も見込める業種です。
未経験からでも経営は可能ですが、やはりしっかりとした技術の取得は欠かせません。
特に未経験から住宅修繕・リペア業を経営しようとする場合は、フランチャイズに加盟することをおすすめします。
研修制度なども充実していますので開業前にしっかりと勉強することが可能です。
さまざまな技術を学ぶことで仕事に生かせ、売り上げの上昇に繋がります。
年収1,000万円も不可能ではない業界といえるでしょう。