ラーメン屋の開業資金や運転資金は?資金調達の方法も解説
飲食店の開業において比較的数が多いのがラーメン屋での開業です。
しかし、開業数が多いということはそれだけ廃業数も多いことにつながるでしょう。
しっかりと準備しての開業が必要です。
この記事ではラーメン屋の開業に必要な初期費用や運転資金、資金調達の方法などについて詳しく解説します。
目次
ラーメン屋の開業に必要な初期費用は?
ラーメン屋の開業に必要な初期費用について解説します。
(1)ラーメン屋開業における初期費用
ラーメン屋の開業における初期費用は、取得する店舗のエリア相場や広さなどによって大きく異なります。
立地が良いとされるエリアで開業すると家賃が高くなりますので家賃に関連する敷金や礼金の額が高くなってしまうでしょう。
一般的なラーメン屋開業の初期費用としては、1,000万円~1,500万円前後が一般的です。
ラーメン屋に限らず、飲食業を開業し店舗を構えて経営する場合、初期費用が高額になりやすいといえます。
特に店舗の予算や立地などは十分に調査した上で、開業する場所を決定しなければいけません。
(2)ラーメン屋開業における初期費用の内訳
ラーメン屋の開業にかかる初期費用の内訳を見てみましょう。
前述したように店舗の取得費が必要になりますが、その他には内装や外装の工事費用、設備の設置費用、食器の購入などが挙げられます。
開業費用の内訳と金額を下記の表にまとめました。
項目 | 金額 |
店舗取得費用 | 約300万円 |
内装費 | 約250万円 |
外装費 | 約250万円 |
設備設置費 | 約200万円 |
調理器や食器 | 約100万円 |
合計 | 約1,100万円 |
取得する店舗の状態によっても内装費用の金額は大きく異なります。
外装費に関しては、店舗の広さが影響しますので、広ければ広いほど外装費が高額になる要因といえるでしょう。
設備なども中古品の使用などで費用を抑えられます。
さまざまな工夫によっては初期費用の抑制が可能です。
ラーメン屋の開業に必要な運転資金は?
開業にかかる初期費用だけではなく、ランニングコストにおいても開業前に把握しておかなければいけません。
ここからは、ラーメン屋の開業後にかかる運転資金について解説します。
(1)ラーメン屋開業における運転資金
ラーメン屋の経営に必要な運転資金は、一般的に200万円~500万円程度といわれています。
ラーメンに必要な食材費やスタッフの人件費、水道光熱費や広告費用などが運転資金として挙げられるでしょう。
運転資金が抑えられると利益率が上昇しますので、運転資金の抑制も安定したラーメン屋経営には欠かせないポイントです。
また開業後まもなくは、認知されていないので売り上げも上がりません。
運転資金としてまとまった資金を準備しておく必要があります。
一般的には半年分程度の運転資金が開業当初には必要とされています。
開業にかかる初期費用に自己資金をすべて投下せず、運転資金を一定額準備しておきましょう。
(2)ラーメン屋開業における運転資金の内訳
先ほど運転資金として挙げられる主な項目を前述しました。
運転資金をよく把握しておくためにも、まずは固定費と変動費に分類しましょう。
固定費として挙げられるのが、家賃、通信費用、保険やリース料などが挙げられます。
また、財産の価値が目減りしていく減価償却費も実際にお金が出るわけではありませんが固定費に分類されます。
変動費として挙げられるのは、水道光熱費や人件費、食材費などです。
運転資金もできるだけ抑えるような対策が必要ですが、食材の質などを落としてしまうと根本的な味の面が落ちてしまうでしょう。
そうなると売り上げ自体が落ちる原因となります。
運転資金をうまく抑え、利益率を上げるように継続的な対策が必要です。
ラーメン屋の開業に必要な資格
ここからはラーメン屋の開業に必要な資格について解説します。
(1)食料品衛生責任者
食料品衛生責任者とは、お店の衛生面に関する役割を担う人で、ラーメン屋を含む飲食業を構えている店舗では食料品衛生責任者を設置しなければいけません。
食料品衛生管理者は、都道府県知事が開催する講習会に参加して、約6時間の講義を受けると取得可能です。
また、調理師免許や栄養士の免許を取得している方は、すでに資格を有することと同等ですので講義を受ける必要がありません。
ラーメン屋開業時には必ず必要な資格です。
開業前には所得しておくことがオススメです。
(2)飲食店営業許可
飲食店営業許可の申請も忘れてはいけません。
ラーメン屋に限らず飲食店を開業する場合は、保健所に飲食店営業許可を申請する必要があります。
飲食店営業許可を取得するためには、工事が着工する前に図面などを持参し、保健所に相談しましょう。
その後、飲食店営業許可申請書などの必要な書類を準備し、許可申請を行います。
お店が完成すると保健所から竣工後の検査があり、問題なければ営業許可が交付されます。
飲食店営業許可が下りなければ開業できませんので、早めの対応を心がけましょう。
(3)防火管理者
防火管理者が必要な場合もあります。
防火管理者が必要なケースはラーメン屋の収容人数が30人を超えるときです。
防火管理者とは、建物の火災被害を防止する責任を担い、防火管理計画などをたてる役割を持ちます。
都道府県知事などが指定する防火管理講習を受講し、試験に合格すると資格が取得できます。
ラーメン屋の開業における資金調達の方法
ラーメン屋の開業においては、初期費用が高額になり、運転資金も一定額必要な点を前述しました。
ここからは、ラーメン屋を開業する場合の資金調達方法について詳しく解説します。
(1)自己資金で開業
自己資金で開業する方法が挙げられます。
開業にかかる初期費用や運転資金をすべて自己資金で払えると、万が一廃業したとしても負債を負うことはありません。
前述したように、ラーメン屋などの飲食店開業には1,000万円以上の費用がかかるだけではなく、運転資金も必要です。
自己資金だけで開業できる方はそう多くはないでしょう。
多くの方が、自己資金以外の方法で資金調達しラーメン屋を開業しています。
その分自己資金だけで開業ができると、他よりも優位性が高いのでチャレンジしやすい経営が可能といえるでしょう。
(2)親族からの借り入れ
親や親族からの借り入れも挙げられます。
親や親族からの借り入れによるメリットとしては、返済日や利息などに関して金融機関ほどの負担を強いられない点です。
ちょっと経営が苦しい時期などに返済を待ってもらうなどのお願いも比較的やりやすく、延滞利息などを払う必要もありません。
注意点としては万が一廃業などしてしまい、返済ができなくなったときの関係性です。
これからも親族間のお付き合いがある中で、非常にきまずい関係性に陥ってしまうかもしれません。
最悪の場合、関係性が断絶される可能性も考えられます。
親や親族からの借り入れに関しては最後の手段と考えておくといいでしょう。
(3)金融機関からの融資
資金調達方法として、最もよく利用されているのが金融機関からの融資です。
金融機関からの融資を受けるためには、本人の属性や自己資本の額、事業計画書などがしっかりと作られてなければいけません。
返済期間や利息などは融資の希望額などによって異なります。
また、金融機関には民間と、日本政策金融公庫のように公的な金融機関があります。
日本製各金融公庫からの融資は、民間の金融機関より比較的審査が厳しくはなく、創業時には融資が受けやすい点が特徴です。
金融機関の融資を受ける場合は、1ヶ月程度の期間は必要になりますので、早めの申請を心がけましょう。
(4)ソーシャルレンディングの利用
ソーシャルレンディングとは、インターネット上で融資を募り、多数の個人投資家から、融資が受けられる手法です。
新たな融資方法として近年注目されています。
金融機関ほど、審査に対して厳しくはないといった反面、事業内容に制限があるケースや金融機関の融資よりも利率が高いといった懸念点があります。
ラーメン屋の開業資金を抑えるコツ
資金調達方法を解説しましたが、できる限り初期費用を抑え、借入金などを減らして開業したいといった方も多いのではないでしょうか。
ここからは、ラーメン屋の開業資金を抑えるコツについて解説します。
(1)居抜き物件で開業する
居抜き物件とは、前の借り手が厨房設備や家具などがそのままの状態で残した物件を指します。
設備などがある程度揃っていますので、新たに設備を設置する必要がなく、工事費用などの抑制につながります。
工事費用だけではなく、工事の期間が短縮できるといった点もメリットです。
(2)メニューを広げ過ぎない
メニューの数を厳選することにより、食材費の抑制につながります。
メニューの数やトッピングなどを増やしてしまうと食材の数だけではなく設備の追加などが必要かもしれません。
メニューを絞ることにより、単体メニューの質が上がり、来店客が増加するといったメリットが考えられます。
(3)麺を外注する
自家製面を使ってラーメン屋を開業してしまうと、製麺機の設置が必要です。
製麺機は高額な点とメンテナンスの費用も必要になる点がマイナス要因といえます。
メンテナンス中は麵が打てませんので店が開けません。
麺を外注すると、設備設置の費用が抑えられ、安定した品質の麺が利用できるでしょう。
ラーメン屋の開業で成功するポイント
ここからはラーメン屋の開業で成功するポイントについて解説します。
(1)自分の店オリジナルのセールスポイントをつくる
ラーメンは、麺とスープだけなので味の差別化がしにくいと思われやすいですが、スープだけでも、しょう油や味噌、トンコツなどがあり、麺も太麺から極細麺までさまざまです。
他の店とは一味違ったメニューの提供も比較的できやすいといえます。
店独自のセールスポイントがあると、他の店との差別化ができますので、人気店となる可能性が高くなります。
ひとつだけでもオリジナルのメニューが提供でき、人気となるとその店でしか楽しめないので、安定した集客が見込めるでしょう。
(2)立地にはこだわる
立地にはこだわりましょう。
単純に人通りが多いというだけではなく、コンセプトに合ったお客様の来店が期待でき、家賃が安いといった物件を選択しなければいけません。
ボリュームたっぷりのコンセプトならば若い男性が多いエリアなどを選ぶ必要があります。
店舗ビジネスでは、立地面が成功のカギを大きく握りますので立地分析は十分にしたうえで開業しなければいけません。
(3)コンセプトを明確にする
飲食店ビジネスでは、他との差別化などを図るためコンセプトを明確にしなければいけません。
コンセプトにあったデザインにする必要がありますし、男性向けか女性向けかによってもメニューの内容が大きく変化します。
集客方法にも大きく影響しますので、コンセプトの明確化は非常に重要です。
(4)有名店で修業する
有名店で修業すると技術や知識、経営についても学べるうえに有名店で修業したというのがアピールポイントにもなります。
有名店で修業しながら資金を貯め、経験を積むことができますので、メリットをいくつも得られる方法のひとつといえるでしょう。
まとめ
ラーメン店の開業資金などについて解説しました。
飲食店の開業費用は高額になりやすいのですがラーメン屋も例外ではありません。
また、ラーメン屋は競合店も新規出店も多いので、常に競争しなければいけません。
早期に経営を軌道に乗せたい場合は、フランチャイズへの加盟を検討してもよいでしょう。