地方移住して起業するメリットとデメリット・利用できる補助金は?
地方に移住して起業しようと検討する場合、地方と都心部の違いをしっかりと把握し、地方のメリットやデメリットを理解した上で起業する必要があります。
この記事では、地方に移住して起業するメリットやデメリット、利用できる補助金などについて詳しく解説します。
地方移住して起業する場合のメリットとは?
ここからは、地方移住して起業するメリットについて解説します。
(1)コストが安く起業できる
起業には、いくつかのコストが発生しますので収益とコストのバランスをしっかりと見極める必要があります。
地方と都心部のコストで最も大きく異なるのは家賃です。
地方の家賃は都心部と比較して家賃が安く、ランニングコストが抑えられます。
さらに都心部と比較しても広いスペースでも安い家賃で賃貸可能です。
駐車場スペースも十分取れますが、駐車料金は都心部と比較すると非常に安く借りられるため、都心部ほど立地による影響を受けにくいといえます。
他のコストも都心部よりも地方の方が安いので、ランニングコストが大きく抑えられる点がメリットです。
(2)競合が少ない
たくさんの企業が混在する都心部では、どのような業種で起業したとしても競合が存在するでしょう。
人気の業種となると起業する際にも競合が多いでしょうか、起業後にも新しい競合と戦わなければいけません。
しかし地方での起業となると、都心部と比較すると企業自体の数が圧倒的に少ないので競合の心配をあまりすることなく開業が可能です。
場合によっては、まったく競合がおらず、その地域の仕事が独占できる可能性もあります。
競合が少ないので、利益幅を減らして値段を下げる必要がありません。
高い利益率にも期待ができるでしょう。
(3)補助金や助成金を活用して起業できる
地方自治体などは地域創生や地域経済の回復に力を入れています。
そのため、地方移住者や地方での起業をサポートするために補助金や助成金を出している自治体なども多いといえるでしょう。
詳しい助成金や補助金については後ほど詳しく解説します。
また、国も起業支援金という制度を取り入れており、地方移住者や地方での起業を検討している方を支援しています。
最大200万円の支援金を出しますので、地方での起業時には是非チェックしておきたい制度です。
これらの補助金や助成金がある点も地方起業の大きなメリットといえます。
(4)市場の開拓が期待できる
実店舗を構えた経営をする場合は、新たな市場開拓にも期待ができます。
先ほど前述しましたが地方起業では都心部と比較すると競合が非常に少なく、もしかすると独占できる可能性もあります。
今まで地方にはなかったサービスが提供できると、新たな需要を生み出すカギになり、他のサービスが始められるかもしれません。
市場の開拓が期待できる点も大きなメリットのひとつです。
地方移住して起業する場合のデメリットとは?
地方移住しての企業はメリットばかりではありません。
ここからは、地方移住して起業するデメリットについて解説します。
(1)人手不足
都心部と地方の大きな違いとして挙げられるのが、人口です。
都心部は比較的人数が多いので、きちんとした条件で求人すれば一定の求人は集まります。
しかし地方では、人口自体がどうしても少ないので、人手不足に陥るケースも多く、良い条件で求人したとしても人口が少ないので集まらない可能性も考えられるでしょう。
特に注意が必要なのが、有資格者がいないと開業できない業種です。
人が少ないので有資格者が見つからず、起業したくても起業できないといった事態にもなりかねません。
あまり人手がかからないビジネスなどを検討するなどの対策が必要です。
(2)市場規模が小さい
前述したように、地方は都市部に比べると人口が少ないため、市場規模がどうしても低くなってしまいます。
少ない人口の中で起業しなければいけませんので、利益率が少ないビジネスを選択してしまうと、経営に苦労してしまうかもしれません。
また集客するビジネスなども、市場調査を間違えてしまうと立て直しが難しくなるでしょう。
市場規模が少ないため、ECなどを上手く活用したインターネットビジネスなどによる全世界を商圏にするといった工夫が必要です。
市場規模が小さい点も大きなデメリットといえるでしょう。
(3)情報が得にくい
最新の情報に触れにくくなる点も大きなデメリットです。
都心部では頻繁に最新のセミナーや勉強会などが開催されていますので、地方と比べると最新の情報に触れやすく、安定した技術の向上や知識の蓄積ができます。
地方での起業となると、インターネットの普及により情報は得やすくなっていますが、セミナーなどの受講に参加しにくくなってしまうでしょう。
知識が遅れ、新たな技術も取得しにくくなってしまいます。
これも大きなデメリットのひとつです。
(4)新規参入には不向き
都心部と地方を比較すると、地域のつながりが非常に強いのは地方です。
地方の場合はすでに深く入りこんでいる企業も多いので、新規参入しても顧客が獲得できない可能性も考えられます。
オープンな雰囲気がない地方で起業する場合は、新規参入に不向きです。
地方にて起業する場合は、市場調査をしっかりしなければ、まったく何もできないまま事業を閉める可能性も考えられるでしょう。
地方移住での起業における補助金や助成金制度
前述しましたが、地方移住で起業する場合、自治体や国が行っている補助金や助成金制度を利用できるかもしれません。
ここからは地方移住して起業する際の補助金や助成金制度について詳しく解説します。
(1)地方創生起業・移住支援金
東京などの都心部からUターンやIターンして起業した方を対象として利用できる制度です。
内閣府や各都道府県が支援しています。
起業支援金が最大100万円(単身者は最大60万円)と移住支援金最大200万円を給付しています。
利用できると非常に大きな助けとなる制度です。
いくつかの条件がありますが、そこまで難しい条件はありません。
最大で300万円もの支援金が受けられますが、起業支援金と移住支援金でそれぞれ要件が異なります。
東京近郊から地元へ移住といった制限にも注意しておきましょう。
(2)自治体の補助金や助成金
各地方自治体も自治体独自の補助金や助成金制度を設けています。
自治体によっては、前述した地方創生起業・移住支援金と同時に申請が可能な場合もありますので、地方移住からの起業だと自己資金と補助金だけで開業が可能かもしれません。
近年よく見られる補助金としてはIT系事業者を対象としている補助金制度です。
福島県南相馬市や、福岡県直方市などがIT事業者に特化した補助金制度を設けています。
起業する自治体のHPなどでチェックしておきましょう。
(3)日本政策金融公庫の補助金や助成金
日本政策金融公庫とは、政府が100%出資している金融機関です。
補助金や助成金とは若干異なりますが、創業時の起業に向けた融資などを原則無担保・無保証で融資を受けられる制度を設けています。
起業するとなると開業資金などにおいて融資が必要になるかもしれません。
しかし担保も保証もない場合など、融資を受けられないため起業ができない可能性があります。
日本政策金融公庫の新創業融資制度とは、起業、もしくは起業して間もない事業者を対象に「無担保・無保証人」で融資を受けることができる制度です。
融資限度額は最大3,000万円ですので、この融資だけで新規事業の資金としては十分確保できるでしょう。
(4)地方支援移住型住宅ローン商品(フラット35)
こちらも補助金や助成金ではありませんが、地方移住後の起業に利用できます。
長期金利固定型住宅ローン商品のフラット35では、地方自治体が設けた移住支援を交付された場合、フラット35の借入金利を当初10年間0.3%引き下げる制度です。
移住支援金の交付決定日から5年以内に借入した場合までのリミットですので、起業後しばらくしてからのマイホーム購入などに役立てられます。
地方移住から起業する際はフランチャイズがオススメの理由
地方移住してからの起業にはフランチャイズへの加盟がオススメです。
ここからは、フランチャイズがオススメの理由について解説します。
(1)経営ノウハウを引き継いで起業できる
フランチャイズとはある業種で成功し、知名度もあるフランチャイズ本部が加盟した企業に対し、屋号やメニュー経営ノウハウを使って起業してもらうビジネススタイルです。
本部は、加盟店料やロイヤリティといった収益を上げられます。
加盟店は、経営ノウハウなどを使って経営できますので起業しやすく、初心者でも起業しやすいのが特徴です。
(2)知名度を持った状態で起業できる
前述したようにフランチャイズ本部は、すでに成功した経営ノウハウを持っており加盟店はそのノウハウを使っての経営が可能です。
さらに、本部の屋号は一定の認知度を持っているケースが多いので、フランチャイズに加盟することで、一定の知名度を持った状態での起業が可能です。
地方などでは市場規模が小さい場合が多く、名前がわからない企業の利用は避けられやすい傾向です。
すでに名前が知れているフランチャイズ本部の屋号を使えるとお客様の不安も消えますので、集客面でも期待できます。
(3)研修などが実施されているので教育しやすい
フランチャイズビジネスの特徴として、本部と同じレベルの経営が求められることが挙げられます。
同じレベルの店でなければ、本部だけではなく他の加盟店の評判も落としてしまうからです。
加盟店には、本部と同レベルの経営が求められるため、本部は研修などにより経営をサポートします。
調理研修や技術研修、接客応対の仕方など、フランチャイズ本部によって研修の内容は異なります。
研修制度などの充実ぶりからフランチャイズ本部を比較してもいいでしょう。
(4)仕入れ先を探す必要がない
例えば、独立開業して飲食店を開業する場合、苦労するのが仕入れ先です。
仕入れ先をしっかりと確保しておかなければ、在庫の不足などでサービスが提供できない場合があります。
フランチャイズに加盟して起業すると、仕入れなどは本部が一括して行います。
さらに、他の加盟店などの仕入れもすべて本部が仕入れますので、ボリュームが多いため仕入れ値が落ちる可能性も多く、利益率のアップになるでしょう。
仕入れ先で心配する必要がない点もメリットです。
まとめ
地方に移住して起業するメリットやデメリット、利用できる補助金などについて解説しました。
コストが安くなり、上手くいけば、地域独占の可能性もある地方移住からの起業ですが、市場規模の小ささや、人手不足の可能性などのデメリットに対する対策も必要です。
未経験からの起業や地方での起業に自信がない場合などはフランチャイズの加盟を検討してみてはいかがでしょうか。