フランチャイズでの社会保険は必須?経営者が知るべき保険の基本とは

カテゴリー : FCコラム

「開業後に社会保険が必要になるのか気になる」

「フランチャイズオーナーが加入すべき保険を知りたい」

従業員を雇ってお店を経営するフランチャイズオーナーは社会保険に加入することが必要です。

法律により社会保険への加入が義務付けられていて、違反すると罰せられる可能性があります。

経営者は実際にお店を開業する前に、加入すべき社会保険の内容を知っておくことが重要です。

この記事ではフランチャイズオーナーに向けて社会保険の基本を解説します。

投稿者・コラム執筆者

オーナーが加入できる社会保険とは

社会保険は会社で働く労働者や経営者を保護するために生まれた制度。

基本的に5人以上のスタッフを雇うオーナーは、社会保険に加入して保険料を支払うことが必要です。

労働基準法により経営者は社会保険に加入する義務があり、未加入が発覚すると50万円以下の罰金または半年以下の懲役により罰せられる場合があります。

また、社会保険料の時効は2年間と長く、期間を遡って保険料を請求されるのもデメリット。

長期間の社会保険未加入が続くと、いきなり多額の保険料を請求されるリスクがあるため注意しましょう。

お店の安定した経営を続けるために、前もって社会保険に加入しておくことがオススメです。

フランチャイズオーナーが意識しておくべき社会保険は主に4種類あります。

  1. 厚生年金
  2. 健康保険
  3. 雇用保険
  4. 労災保険

それぞれの保険制度について詳しく見てみましょう。

(1)厚生年金

国民年金に給付額が上乗せされて老後に支給される年金が厚生年金です。

厚生年金保険は会社単位で加入する制度であり、経営者と労働者が毎月の保険料を折半して負担します。

従業員を5人以上雇っている個人事業主や法人は厚生年金保険に加入することが必要です。

また、従業員数が5人未満であっても経営者が申請することで厚生年金に加入できます。

これから経営者が厚生年金に加入する場合、健康保険・厚生年金保険 新規適用届に必要な情報を記入して郵送しましょう。

申請には登記簿謄本や経営者の住民票が必要になります。

(2)健康保険

法人化したり従業員を雇用したりする場合、経営者は健康保険にも加入することが必要です。

健康保険により経営者や労働者は医療費の一部を支払うだけで治療を受けられます。

経営者は年金機構に新規適用届を出すことで、協会けんぽの健康保険に加入することが可能です。

健康保険の保険料は厚生年金と同じく、経営者と労働者が折半して支払います。

一般的に社会保険と呼ばれるのは厚生年金保険と健康保険であり、従業員数の多い個人事業主や経営者は社会保険に加入することが必須です。

(3)雇用保険

会社で働く労働者を守るための保険制度として雇用保険があります。

失業してしまった労働者の安定した生活や再就職を支えるために、経営者は雇用保険に加入することが必要です。

雇用保険の対象となるのは「1週間の労働時間が20時間以上」と「1ヶ月以上の雇用見込みがあること」を満たした労働者。

短い時間だけ働くアルバイト・パートは雇用保険の対象外になります。

もしお店のために従業員を雇った場合、管轄の労働基準監督署に労働保険保険関係成立届を提出することが必要です。

そして受理された書類の事業主控えを取得して、お近くのハローワークに雇用保険適用事業所設置届と雇用保険被保険者資格取得届を提出します。

各書類のテンプレートは厚生労働省の「Q&A~事業主の皆様へ~」からダウンロードすることが可能です。

雇用保険料は労働者に支払う給料額に応じて変動し、確定申告時に経営者が支払います。

(4)労災保険

労働保険には雇用保険のほかに労災保険があります。

労働基準法により経営者は業務上のケガや病気に対する補償を行う義務があり、もしもの労災を対策するのが労災保険の目的です。

従業員を1人以上雇用する法人や個人事業主に労災保険の加入は義務付けられます。

雇用保険に比べて労災保険は対象となる労働者の種類が多く、平均給与により保険料が変動するもの。

労災保険に加入するには管轄の労働基準監督署に「労働保険の保険関係設立届」「労働保険概算保険料申告書」「履歴事項全部証明書」を届けます。

期限は保険関係が成立した翌日から10日以内です。

そして毎年6月1日から7月10日の間に経営者は労働基準監督署で保険料の申告・納付の手続きをします。

特別加入制度により経営者や事業主が自ら労災保険に加入することも可能です。

社会保険の加入が任意になる条件

4種類ある社会保険・労働保険には保険料が定められていて、加入してしまうと人件費が増えるデメリットがあります。

資金繰りが気になる経営者にとって、社会保険料はなるべく避けたいものです。

ある条件を満たすことで一部の社会保険は任意加入となり、経営者は保険に加入することなくお店を営業できます。

社会保険の加入が任意となる条件は次の通りです。

(1)雇用しない個人事業主・法人

従業員を雇わずにお店を経営している個人事業主は社会保険に加入する必要はありません。

加入条件を満たさない個人事業主は国民年金・国民健康保険を利用することで将来のリスクを対策できます。

また、従業員をまったく雇っていなく、役員報酬が約1万円以下の法人は年金機構から社会保険の加入を断られる可能性が大きいです。

年金機構から断られた経営者は国民年金や国民健康保険に加入することになります。

すべての法人が必ず社会保険に加入できるとは限らないため注意しましょう。

(2)雇用数が少ない個人事業主

雇用している従業員が5人未満である個人事業主は社会保険の加入が任意となります。

社会保険に加入しなくても罰則はなく、保険料を負担せずにお店の経営を続けることが可能です。

(3)任意適用事業所

もし従業員を5人以上雇用している個人事業主であっても、任意適用事業所となる業種であれば社会保険の加入義務を逃れることができます。

任意適用となる業種は「サービス業」「飲食業」「農林水産業」などです。

そのため個人事業主としてフランチャイズ店舗を経営することで、社会保険料というコストを抑えられる場合があります。

社会保険をうまく活用するには

フランチャイズ店舗の経営を続けるには利益を残す必要があり、保険料が増えれば利益は減ってしまうもの。

これからフランチャイズで起業する人にとって、社会保険にはマイナスなイメージがあるでしょう。

オーナーがコストのかかる社会保険をうまく活用するには、以下にある3つのポイントを参考にすることがオススメです。

  1. 不要な保険に加入しない
  2. 保険料を含めて人件費を考慮する
  3. 余裕ができたら任意保険に加入する

それぞれのポイントについて詳しく見てみましょう。

(1)不要な保険に加入しない

開業して間もない頃は雇用する従業員の数が少なく、資金繰りの余裕も少ないはず。

規模が小さい間は社会保険に加入することを避けておき、保険料を減らすことがコスト削減のコツです。

フランチャイズでは個人事業主がカフェ居酒屋を経営することが多く、飲食業を営むことで任意適用事業所となる場合があります。

任意適用事業所に指定されれば、5人以上の従業員を雇っていても社会保険に加入しなくて問題ありません。

一方、コンビニなどの小売業は強制適用事業所の対象であり、5人以上の従業員がいると社会保険の加入義務が発生するため注意しましょう。

(2)保険料を含めて人件費を考慮する

お店のスタッフを雇うときは保険料を含めた人件費で利益やコストを検討することも重要です。

もし社会保険料を考慮せずに従業員を雇用すると、コストが増大して経営難に陥るリスクがあります。

(3)余裕ができたら任意保険に加入する

フランチャイズ店舗の経営がうまくいき、利益が残るようになったら任意保険に加入することがオススメです。

経営者向けの保険を活用することで、リスクに備えつつ節税できるメリットがあります。

例えば東京海上日動では役員の退職金対策として99歳満了定期保険を用意。

従業員と同じような法的保護を受けられない経営者が、景気に左右されずに退職金を準備する方法として役に立ちます。

経営者向けの保険とは

「フランチャイズオーナーにオススメの任意保険を知りたい」と思う人は多くいるでしょう。

これから独立する人が知っておくべき経営者向けの保険は次の2つです。

(1)小規模企業共済

個人事業主や小規模な法人が利用できる保険制度が小規模企業共済です。

中小機構が退職金制度として用意していて、支払った金額がそのまま所得から控除されるメリットがあります。

加入者は毎月1,000円から70,000円の間で掛け金を設定して、余裕をもってお金を積み立てることが可能。

開業して資金繰りに余裕がなくても、少額から加入できるのが魅力です。

また、小規模企業共済には貸付制度があり、資金繰りが厳しいときにお金を借りることができます。

積み立てた金額の範囲内で借りる金額を希望でき、融資にかかる金利は年1.5%と低めです。

ただし、掛金を納付した年数が20年を下回る場合、元本割れしてしまうリスクがあるため注意しましょう。

「老後の退職金を準備したい」と思う人に小規模企業共済はオススメです。

参考:小規模企業共済とは(中小機構)

(2)経営セーフティ共済

経営セーフティ共済は中小機構が提供している保険制度です。

正式名称は「中小企業倒産防止共済制度」であり、取引先が倒産してしまったときに連鎖倒産を防ぐ役割があります。

毎月5,000円から200,000円まで5,000円単位で掛金を設定でき、積立限度額は800万円までです。

加入してから40ヶ月経過した後に解約すると、積み立てた掛金が全額返還されるメリットがあります。

小規模企業共済だけでは将来が不安な経営者に、倒産防止を目的とした経営セーフティ共済はオススメです。

参考:経営セーフティ共済とは(中小機構)

まとめ

フランチャイズオーナーは雇用しているアルバイトや従業員の数に応じて、社会保険や労働保険に加入することが必要です。

従業員が増えると必要な保険が増えて、保険料が大きくなります。

なるべく保険料を抑えるために、不必要な社会保険に加入しないことがコスト削減のコツです。

経営者は人を雇い始めたら社会保険に加入する必要があることを知っておきましょう。


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