健康寿命を延ばす新たなビジネス 国民総カラオケ社会を目指して。

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名前 一般社団法人日本カラオケ健康寿命延伸協会 代表理事 宇野穣 氏

カラオケは健康寿命を延ばす最適なツール

 代表理事の宇野穣さんは、株式会社うたプロモーションの代表取締役として、カラオケハウス「銀の夢」をチェーン展開している。その宇野さんが一般社団法人『日本カラオケ健康寿命延伸協会』を設立した理由は、たったひとつ。カラオケが日本人の健康寿命を延ばす有効な手段である。そのことを広く知ってもらいたいという思いからだった。

 「健康寿命という言葉は、WHOが提唱した概念で、日常的に継続的な医療や介護に依存することなく、自立した生活が送れる生存期間を意味します。日本人の平均寿命が世界一というのは、誰もが知っている事実で、とても喜ばしいことではありますが、実は日本人の男女とも、平均寿命と健康寿命の間には10年近くの期間があるんです。つまり日本人の人生の終末の10年間は寝たきりか要介護になっている、それが大々的にニュースになったのが2013年でした」。

 もともと、カラオケハウス「銀の夢」は、宇野さんの目指す新たな業態を体現するお店としてスタートしたもの。それはこれまでのどんなカラオケの業態とも違い、高齢者の人たちが、純粋に歌を歌って楽しめる憩いの場所であることを目指した。また、それが健康につながることを、宇野さんは確信していた。

 「最近になって、ようやく医学的にもカラオケを楽しむことが健康につながるということが実証されてきましたが、私は現場でそれを実感してきました。だからこそ、高齢社会にとって、どれだけカラオケが重要なものか、それを伝えるために『日本カラオケ健康寿命延伸協会』を設立したんです」と宇野さんは言う。

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スナックのイメージを払拭するために

 カラオケがまだ娯楽として認識されている現在、それを健康ツールとして捉える人はまだまだ少ない。カラオケの歴史はすでに半世紀近く、その出現は1970年代まで遡ることになる。それまでは歌声喫茶に代表される、ピアノの伴奏で合唱したり、歌唱リーダーのリードにより合唱して楽しんでいたものが、カラオケ装置が飲食店などに普及することで、多くの人がその当時の流行歌を歌って楽しめる時代となっていった。さらに1980年代半ばにカラオケボックスが登場すると、カラオケは日本の娯楽の代表とも言えるものとなった。カラオケが急速に広まっていった背景には、実はスナックの存在が大きいと宇野さんは言う。

 「カラオケが普及していったのは、スナックがサービスの一環としてカラオケ装置を導入していったことと切り離すことはできません。私自身、昔はスナックを経営していたこともあり、カラオケにはずいぶんと助けられました。要するに、お客さんに歌を歌っていてもらえば、その分サービスは手抜きができたからです(笑)。カラオケとスナック、その相乗効果もあって、日本全国に38万店ものスナックができることになります。しかし、近年はそのスナックの数も減少の一途を辿り、現在は15万店になってしまいました。時代の変化、スナック経営者の高齢化などの理由で、今後もこの数は減っていくでしょう」。

 ただ、このスナックのイメージが、“高齢者の健康ツールとしてのカラオケ”の普及に対する障害になっていると宇野さんは語る。

 「どうしても、スナックというと、健康志向とは真逆のイメージを持たれています。実際うちのお店の看板には、スナックでもカラオケボックスでもありません。健康志向のお店です、と書いているのに信じてもらえない。店構えはスナックと同じようなものですから。スナックはいったいいくら取られるかわからない。入るにはかなりの勇気がいる。それがスナックのイメージです。これを払拭するには大変なことだと思ったんです。一般社団法人を設立した理由は、そのイメージを払拭して、カラオケに高齢者の健康ツールという新たな役目を担ってもらうためです」。

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国民総カラオケ社会を目指す

 宇野さんが、全国規模で広げていこうとしている健康志向のカラオケハウスの特徴は、①店内禁煙、②低価格・明朗会計であること(宇野さんのお店「銀の夢」ではオールタイム1000円)、③年中無休、④ステージを設置、⑤カラオケ装置がある、⑥清潔で明るい店内、⑦行き届いたスタッフの接客サービス、⑧カラオケハウスの名称を用いる、といった8つの特徴を持っている。

 現在、宇野さんが経営する7つのカラオケハウスの店舗は、それらの特徴を生かし、順調に業績を伸ばしている。今後は上記の条件を満たしたお店に、『日本カラオケ健康寿命延伸協会』による認定証を出すなどの展開を宇野さんは考えている。

 「国は、健康寿命関連の事業が、今後10兆円規模になると言っていますが、そのための具体策は何も示されていません。カラオケを健康促進のツールとして活用していくことで、国民総カラオケ社会を作り、それが健康寿命を伸ばす大きな文化になったとしたら、日本は大きく変わると思います。ただ、そのためには、高齢者のための健康志向のカラオケ店舗が少なくとも30万店は必要で、私はその実現のために情報を発信し続けていきたいと思っています」。

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