訪問マッサージビジネスの普及を目指し独自のFCシステムで急成長
株式会社みんなの笑顔治療院 代表取締役 上野 健史
今後需要が増える訪問マッサージビジネス
訪問マッサージという言葉が浸透してきたのは、ようやくここ数年のこと。
訪問マッサージとは、国家資格を持つ、あん摩マッサージ指圧師が、自宅や入居している施設などに訪問し施術をすることで、痛みの緩和、身体機能の維持や改善を目的に行うもので、基本的に歩行困難な方や歩行が不可能な方が対象者となる。
「もともと訪問マッサージというのは、知名度はありませんでした。普通のお年寄りに訪問マッサージを知っているかどうか聞いたとしても、おそらく100人に1人くらいの認知度でしょう。
私の父親も脳梗塞で倒れたのですが、その時は私自身この訪問マッサージのことを知らなかったので、もし知っていたら利用していたはずです。それでも、ここ数年で段々と認知度が上がってきました。それにともない、訪問マッサージを開業したいという方も増えてきましたね」
と語るのは、株式会社みんなの笑顔治療院の代表取締役・上野健史さん。
みんなの笑顔治療院にフランチャイズ加盟しているオーナーさんの数は、この2年で急速に伸び、現在150人を超えた。
事業者、利用者どちらにもメリットがある
高齢者ビジネスというと、介護やデイサービスに代表されるように肉体的にも精神的にも負担が多いものとイメージされているが、その点、訪問マッサージビジネスは、施術を専門に行うものなので、そのような負担はほぼない。
このビジネスの最大の特徴は、健康保険が適用されるため、利用者は1割負担で済むという点。利用に際しては、医師の同意書が必要となるが、1回25分程度の施術を行った場合、往療費・交通費を含めても、利用者側の負担額は300~560円程度と少額だ。
そのため、利用者は無理なく月に10回程度の利用が可能となる。
また、残りの9割は国から支払われるため、取引先の入金の遅延や倒産リスクとは無縁で、これは事業者側にとっても大きなメリットとなっている。
事業者側としては、どれだけの利用者を確保できるかが焦点となるわけだが、上野さんによると、開業する方のほとんどが営業未経験だという。
「ビジネスが軌道に乗るためには、多少、運やタイミング、地域性も関係してきますが、そこまで多くの利用者を獲得できなくても、1人の利用者が何度もサービスを利用するという特性もあり、黒字化までにそこまで苦労することはありません。ただ、その地域のケアマネージャーさんと仲良くなって、人間関係を作り、そこからお客さんを紹介してもらうというのが大前提なので、コミュニケーション能力や人間力の方が、営業力よりも大切だと感じています」
これから開業する方への独自サポート
これから訪問マッサージビジネスを始めるオーナーさんにとっては、何もかもが初めてのことであり、右も左もわからないといった状況。みんなの笑顔治療院では、フランチャイズ加盟するオーナーさんに、どのように運営していけばいいのかを具体的に研修で学んでもらうという。
「営業の際はどんなものを持って行けばいいのか。どのようなことを話せばいいのか。どのようなタイミングで営業に行ったらいいのか。そういったところを研修で学んでもらっています。もちろん、営業なので正解があるわけではありません。それぞれの人にあったいろんな営業スタイルがあると思います。『こういう方法もありますよ』という他のオーナーさんからの有益な情報を、メーリングリストなどを活用し、オーナーさん同士で共有してもらうといったことも積極的に行っています」
また、みんなの笑顔治療院のシステムは、開業するオーナーの方が最短で黒字化できるためのさまざまなシステムがあり、それがフランチャイズオーナーを急速に増やしている背景にある。
「うちの場合は開業しても、ランニングコストがほとんどかからないようにアドバイスをしています。人を最初から雇ってくれとか、事務所を借りてくれといったことを他のフランチャイズ本部ではいわれることもありますが、そうするとお客さんがたとえいなくても、人件費や家賃がかかってしまいます。そういった意味でも、自宅開業から始めていただくのがいいと考えています」
と上野さん。
ほかにも、屋号は自由であったり、追加費用なしでの他店舗経営や、加盟店自体がフランチャイズ本部として運営することも認めているなど、みんなの笑顔治療院のシステムは業界では独特なものとなっている。
「ぜひ、他のフランチャイズ本部の説明会も聞いてから、うちに来てほしい」
と上野さんが言うのは、自社のシステムに絶対の自信を持っているからだろう。
「訪問マッサージのおかげで良くなった、とか、もっと早く知っておけば良かったという利用者の方もたくさんいるので、これからもこのサービスの認知度を高めていかなければいけないと思っています。と同時に、加盟店の方に利益が出ていると、間違っていなかったなと思います。この仕事をしていると、開業したばかりのオーナーさんから、いちばん最初のお客さんが入った時に、だいたい自分のところに連絡が来るんです。『はじめて連絡がありました!』って。そういうのを聞くと本当嬉しいですね」