オープンアカウント制とは何か?

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オープンアカウント

大手フランチャイズへの加盟により、コンビニの開業を検討している人はいるはずです。大半のコンビニチェーンでは滞納トラブルを防止するために、オープンアカウント制が導入されています。

オープンアカウント制の仕組みは複雑であり、お店を開業する前にシステムを理解しておくことが重要です。会計システムであるオープンアカウント制の意味や仕組みについて解説します。

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オープンアカウント制とは?

フランチャイズの本部と加盟店の間で処理される会計システムがオープンアカウント制です。各事業者は、オープンアカウントによって以下のようなルールを守る必要があります。

  • 加盟店は営業により発生した売上を本部が指定した口座に毎日送金
  • 本部は加盟店の諸経費を立て替えておき、送金された売上と経費を相殺
  • 毎月決められた日に本部から加盟店に引出金を送金

本部がオープンアカウント制を導入している理由は、加盟店の滞納を防ぐためです。加盟店の経費を後払いにすると、オーナーが支払いを滞納してトラブルが起こる可能性があります。

オープンアカウント制により加盟店に毎日売上を送金させることで、滞納やトラブルを防げるのです。加盟店の信用がなくても問題なく取引できるのがオープンアカウント制のポイントです。

(1)加盟店のメリット

加盟店のオープンアカウントには与信や返済といった機能が付与されていて、面倒な手続きをしなくても資金を借りられるのがメリットです。オーナーはオープンアカウントを活用することで資金調達しやすくなります。

例えば売上が下がって従業員の給料を支払えない場合、資金調達できないと給料未払いが発生します。従業員とオーナーの間でトラブルが起きれば、お店の営業が難しくなるものです。

そこで本部が経費を立て替えることにより従業員に対する給料未払いを防げます。借り入れた金額には0.5%から5%の利息が発生して、後日に売上を送金することで負債を減らせる仕組みです。

金利が低い2019年5月現在では、資金を借りても利息は小さく、経営の負担が増加しにくい利点もあります。資金調達するために複雑な手続きをしなくて済むのが加盟店のメリットです。

(2)本部のメリット

加盟店に対して売上の送金を義務付けることで、本部は次のようなメリットを受けられます。

  • フランチャイズに加盟する店舗の売上を把握して、事業資金の流出を防止できる
  • 売上によって変動するロイヤリティの算出や徴収を確実に実行できる
  • 加盟店が支払う必要のある経費をオープンアカウントから確実に徴収できる
  • 本部と加盟店が一緒に経費を支払う場合、簡単に負担比率を計算できる
  • 売上の送金や経費の支払いなどの数字で加盟店の経営状況を客観的に把握できる

ロイヤリティや経費の支払いが確実になり、加盟店が資金を流出するのを防げるのが利点です。オープンアカウントがないとトラブルが発生しやすくなるため、本部は加盟店に売上の送金を守らせています。

(3)注意すべき問題点

加盟店が本部から資金を借りた場合は利息を支払う必要があります。しかし加盟店がお金を預けていても、一般的には利息が発生しないため注意しましょう。

ほとんどのフランチャイズでは借入に対する利息のみ設定しています。2002年3月の中小小売商業振興法の改正により、借入金に対する利息が加盟店に対して開示されるようになりました。

利息や返済の仕組みだけでなく、今では契約書でオープンアカウントの仕様を確認することが可能です。またオープンアカウントによる会計処理は複雑であり、細かくチェックしないと加盟店に不利な契約を結んでしまう場合があります。

フランチャイズに加盟する前に、契約書でオープンアカウントの仕様を理解しましょう。

オープンアカウントの仕組み

「実際にどのような流れでオープンアカウントを活用するのか分からない」と悩む人もいるはず。この記事では、セブンイレブンのフランチャイズ契約の要点と概説を参考にオープンアカウントの仕組みを解説します。

(1)アカウントの開設と閉鎖

オープンアカウント制度が導入されているフランチャイズの場合、一般的には開業日に加盟店のオープンアカウントが開設されます。契約期間中は1つのオープンアカウントを使い続ける方式です。

フランチャイズ契約が終了してお店が閉店した場合、オープンアカウントは会計処理が完了した時に閉鎖されます。もしオープンアカウントに債務が残っていた場合、債務の支払いが完了するまでアカウントは消滅しません。

本部から借りた資金を返済しないとトラブルが発生するため注意しましょう。債務を清算したらアカウントは消滅して、オーナーの負債は完全になくなります。

(2)アカウントの送金タイミング

加盟店はお店の営業により売上金や公共料金を預かった場合、翌日までにそれらの資金を本部が指定する口座に振り込む必要があります。オーナーが勝手に売上金を利用することは不可能です。

毎日売上を送金することで自己資本を積み立てることができて、毎月決められた日に自己資本からオーナーの口座に送金されます。セブンイレブンの場合は3つの引出金があり、それぞれの特徴は以下の通りです。

  • 月次引出金:生活費や従業員の給料を支払うために毎月25日に送金されるお金
  • 四半期引出金:3ヶ月間に増加した自己資本の70%を上限に引き出せるお金
  • 月次追加送金:自己資本の合計がその月の資産を上回る場合に送金されるお金

原則として売上を毎日振り込みますが、フランチャイズによって引出金の仕様が異なるところがあります。資金が足りなくなることを防ぐために、オーナーは加盟前に送金タイミングを把握しましょう。

(3)アカウントの利率

加盟店がオープンアカウントを通じて本部から資金を借りた場合、借り入れた資金に対して利息が発生します。例えばセブンイレブンのフランチャイズ加盟店の場合、以下のように利率が決められているのです。

  • 短期プライムレートが0.5%未満:適用利息は0.5%
  • 短期プライムレートが0.5%以上1%未満:適用利息は1%
  • 短期プライムレートが1%以上1.5%未満:適用利息は1.5%
  • 短期プライムレートが1.5%以上2%未満:適用利息は2%
  • 短期プライムレートが2%以上2.5%未満:適用利息は2.5%

2017年7月では短期プライムレートの最頻値が1.475%であり、資金を借りた場合にかかる利息は1.5%です。借入金の返済は自己資本の増加に対応して処理されます。

適用される利息が低めであり、フランチャイズ契約している間は返済期限もないのが加盟店に対するメリット。金融機関よりも安い金利で資金を調達できます。

(4)ロイヤリティの適用と支払い

フランチャイズでは毎月ロイヤリティを支払う必要があり、セブンイレブンでは粗利益でロイヤリティが計算されます。ロイヤリティの計算方法は以下の通りです。

  • お店を24時間営業していない場合は毎月の売上総利益の45%相当の金額
  • お店を24時間営業している場合は毎月の売上総利益の43%相当の金額

加盟店の売上が大きい場合、本部がロイヤリティの割合を減らす場合があります。セブンイレブンでは次のようにインセンティブを設定しているのが特徴です。

  • 1日あたりの平均販売額が30万円以上:ロイヤリティは-1%の減額
  • 1年間に発生した粗利益が5,000万円以上7,000万円未満:-1%の減額
  • 1年間に発生した粗利益が7,000万円以上:-2%の減額

これらの制度によって加盟店のロイヤリティは決定されて、毎月オープンアカウントからロイヤリティが支払われます。

フランチャイズ契約時に注意すべき点

オープンアカウント制度以外にも、開業したい人が注意すべきポイントはいくつかあります。特に注意すべき点はつぎの4つです。

  • 開業の制限
  • 商標の利用条件
  • 競業避止義務
  • 違反や中途解約

これらのポイントを簡単に解説します。

(1)開業の制限

フランチャイズでは店舗が増えすぎて売上が減ってしまうことを防ぐためにテリトリー制があります。テリトリー制により開業が制限されている場合、特定の地域で開業しにくくなるのです。

一部の地域に加盟店が集中しないため、加盟店の利益が守られるのがテリトリー制のメリット。ですが他の地域に出店しにくくなる欠点もあり、事業を拡大したい人にはデメリットが大きいです。

フランチャイズ本部によってテリトリー制の有無は異なるため、加盟前に開業の制限について確認しておきましょう。

(2)商標の利用条件

フランチャイズ本部の商標を利用できるのが加盟店の大きなメリットです。加盟店はブランドにより集客しやすくなりますが、利用条件によって制限されているデメリットもあります。

利用条件を守らなければ途中解約や損害賠償といったトラブルが発生して、事業で大きく損してしまう可能性が高いです。加盟前に商標の利用条件を確認して、ルールにしたがって商標を活用しましょう。

(3)競業避止義務

フランチャイズでは自社ノウハウを活かして独自に開業されるのを防ぐために、契約書に競業避止義務が記載されています。本部の利益を守るために加盟店の事業活動は大きく制限されるのです。

もし加盟店に競業避止義務が課せられた場合、契約期間中または契約後の一定期間は同様の事業を行うことは不可能になります。複数のフランチャイズに加盟して店舗を増やすにも、同様の業種だと事業拡大は難しいです。

不利な条件で契約しないために、加盟前に競業避止義務の対象業種や期間を確認しておきましょう。

(4)違反や中途解約

フランチャイズでは契約書に期間内の解約について記載されている場合、ルールに従って途中解約できます。解約の記載がない場合は原則として解約できないため注意が必要です。

またフランチャイズ本部や加盟店に契約違反があった場合、契約を一方的に解除できます。加盟店の契約違反に対して本部が損害賠償を請求できることが契約書に記載されているため、加盟前に必ずチェックすべきです。

まとめ

オープンアカウント制は加盟店が毎日売上を送金する仕組みであり、スムーズに経費を支払えるシステムです。本部や加盟店の滞納を防ぎ、資金調達しやすいのがオープンアカウントのメリット。

借入金に対する利息や送金タイミングは契約書に記載されているため、加盟する前に条件を確認することが重要です。不利な契約条件を結ばないよう十分注意しましょう。


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