開業前に社会保険をチェック!フランチャイズで必要な保険とは?

カテゴリー : FCコラム

「フランチャイズ店舗を開業したいけど、社会保険が分からなくて不安」

「必要な社会保険に申し込む方法や注意点について知っておきたい」

お店を開業して従業員を雇うようになると、社会保険に加入することが必須となります。

未加入のままだと法的に処罰される可能性があり、人々からの信用を失う場合もあります。

経営面のリスクを減らすために、フランチャイズで開業するときに必要な社会保険について簡単に見ていきましょう。

投稿者・コラム執筆者

フランチャイズで必要な社会保険とは

多くのフランチャイズでは店舗経営のために従業員を雇うことが必要です。

自分が開業したお店で従業員を働かせるには、労働基準法に従って社会保険に加入する義務があります

基本的に保険の種類によって適用対象は異なり、働く時間が長くなると必要な保険が増える仕組みです。

例えば週40時間働く従業員を5人以上雇用した場合、以下の5種類ある保険に加入しなければなりません。

  1. 健康保険
  2. 労災保険
  3. 厚生年金保険
  4. 雇用保険
  5. 介護保険

それぞれの社会保険・労働保険について詳しく解説します。

(1)健康保険

健康保険は労働者やその家族に適用される社会保険の1つです。

従業員が病気になったり怪我をしたりした時に、治療に必要な手当金を与えることで生活を安定させるのが健康保険の目的です。

フランチャイズ店舗を個人事業主として経営する場合、自分を除く5人以上の従業員を雇用していると健康保険に加入する義務が発生します

しかし次のような業種の場合、従業員の数に関わらず任意加入です。

  • 飲食店や娯楽等の接客サービス
  • ヘアサロンや美容、理容院
  • 運送、物品販売業
  • 集金案内広告業
  • 教育研究調査業

検討しているお店の業種が分からない時は、フランチャイズ本部に相談して健康保険に加入する必要があるのか聞いておきましょう。

健康保険にかかる保険料はオーナーと労働者が折半して負担します。

(2)労災保険

日本では労働者の生活等を守るための労働保険があり、労働保険の1つに労災保険があります。

仕事中に労働者が病気やケガをしたときに、国が事業主の代わりに手当金を給付する制度です。

仕事中に労働者が病気・ケガになると、労働基準法によりオーナーは医療費や休業補償を負担することが必要です。

もしオーナーが労働災害を補償できなくても、従業員が補償を受けられるよう労災保険が設立されました。

基本的に従業員を1人でも雇用したら、法律によって労災保険に加入する義務があります

しかし個人事業主として農林水産業を行い、従業員数が5人未満の場合は任意加入です。

労働時間に関わらずパート・アルバイトも労災保険の対象となり、保険料はオーナーが全額負担することが必要です。

(3)厚生年金保険

高齢になって働けなくなった従業員を補償するために、年金を給付する制度が厚生年金保険です。

障害を患った従業員や、従業員の死亡により拠りどころを失った遺族への補償にも活用されます。

法人としてお店を経営するオーナーは、必ず厚生年金保険に加入することが必要です。

また個人事業主であっても、お店で常に5人以上の従業員を働かせる場合は加入義務があります

しかし飲食店や理容・美容店等のサービス業を営んでいる場合、厚生年金保険が強制的に適用されません

サービス業や従業員の数が少ないといった理由があれば、オーナーは保険料を節約できます。

もし従業員の半数以上が厚生年金を希望して、厚生労働大臣から認可されると厚生年金保険を任意で適用することが可能です。

厚生年金保険の加入で発生する保険料はオーナーと従業員が折半します。

(4)雇用保険

事業縮小や廃業等により、失業してしまった従業員を補償するための制度が雇用保険です。

以下の条件を満たした従業員を雇用する場合、雇用保険に加入する義務が発生します

  • 勤務を始めた日にちから最低でも31日間以上は働く見通しがあること
  • 1週間に20時間以上働いていること
  • 原則として学生でないこと(卒業後も働き続ける見込みがある場合は除く)

加入によって発生した保険料はオーナーと従業員が双方で負担する仕組みです。

(5)介護保険

少子高齢化によって介護サービスを受ける人が増えた今では、社会保険として介護保険にも加入する義務があります。

40歳以上の健康保険加入者は自動的に介護保険の対象となるのです。

介護保険制度によって介護利用者の負担が少なくなり、高齢になっても安心して暮らせる社会となります。

健康保険と同じく介護保険料はオーナーと労働者が折半することが必要です。

各種社会保険に申し込むには

「各種保険の特徴や加入条件は分かったけど、どのように申し込めばいいのか分からない」と思う人はいるはず。

フランチャイズオーナーがそれぞれの社会保険に申し込む方法を簡単に解説します。

(1)厚生年金保険・健康保険に申し込む方法

健康保険及び厚生年金保険は事業所として加入することが必要です。

保険が適用されると事業主やお店で働く従業員は被保険者となり、医療手当や年金を受け取れるようになります。

申し込むには被保険者資格取得届の必要事項を記入して、事業所の近くにある年金事務所で手続きすることが必要です。

日本年金機構の「従業員を採用したとき」から書類はダウンロードできます。

被保険者資格取得届は郵送やオンラインで申請できるほか、窓口に持参することでも手続きできます。

CD又はDVDに書類をコピーして、電子媒体を提出することも可能です。

提出すべき時期は加入義務が発生してから5日以内であり、未加入だと法的に罰せられる場合があります

多数の従業員を雇用したら、なるべく早めに年金機構へ申請しましょう。

(2)労災保険に申し込む方法

労働保険の一種である労災保険は事業内容によって申請する方法が異なります。

一般的なフランチャイズは一元適用事業となり、所轄の労働基準監督署で手続きすることが必要です。

オーナーが労働基準監督署に保険関係成立届、概算保険料申告書を提出することで申請は完了します

書類は窓口で受け取るか、労働保険関係各種様式からダウンロードすることが可能です。

オーナーには従業員を雇用してから10日以内に労災保険を申請する義務があります。

お店でアルバイト等を雇ったら、早めにお近くの労働基準監督署で手続きしましょう。

(3)雇用保険に申し込む方法

長期的に働く従業員を1人でも雇用したら、労災保険と同様に雇用保険に加入することも必要です。

事業所を管轄する公共職業安定所(ハローワーク)にて雇用保険は申請できます。

手続きに必要な書類は雇用保険適用事業所設置届と雇用保険被保険者資格取得届の2つ。

前者は事業所を設置した翌日から10日以内が期限であり、後者は従業員を雇用した翌月10日が申請期限です。

窓口や郵送のほか、ハローワークのインターネットサービスでも雇用保険は申請できます。

忙しくて窓口まで訪問する暇がないときは、印刷した書類を郵送で送ることがオススメです。

社会保険に加入するときの注意点

従業員を雇用してお店を経営するには社会保険が必須であり、基本的には保険に加入して保険料を支払うことが必要です。しかし業種や従業員の条件によっては保険に加入しなくて良い場合があります。

これからフランチャイズ店舗を開業する人が知っておくべき社会保険の注意点は次の3つです。

  1. 短期労働者なら社会保険は不要
  2. 社会保険の加入が任意となる業種がある
  3. 事業主自身の保険料は経費にならない

それぞれの注意点について詳しく解説します。

(1)短期労働者なら社会保険は不要

コンビニ飲食店等のフランチャイズ店舗を経営する場合、学生などの短期アルバイトを雇うことはよくあります。労働時間が短い従業員を雇うならば、社会保険の加入は不要です。

従業員数が500人以下の事業所であるとき、以下の条件に当てはまる従業員は任意加入や加入対象外となります。

  • 1週間に働いている時間が20時間未満であること
  • 月々の給料が88,000円未満(年収で106万円未満)であること
  • お店で働く期間が1年未満の見通しであること

もしこれらの条件に当てはまらなくても、学生であれば基本的に社会保険は対象外になるものです。社会保険に加入しないことで保険料が少なくなり、より安定した経営を実現できます。

(2)社会保険の加入が任意となる業種がある

個人事業主としてフランチャイズ店舗を経営する場合に限り、業種によっては社会保険が任意加入となります。フランチャイズで任意加入の対象となる業種は以下の通りです。

  • レストランや居酒屋、ファーストフード、ネットカフェ等の飲食業
  • ヘアサロンやコインランドリー、理容、美容等のサービス業

例えば個人事業主として飲食店を経営していると、従業員を5人以上雇っていても社会保険は任意加入となります。

加入しなければ保険料を削減できて、利益をより残すことが可能です。

コンビニエンスストア等の販売業は任意加入の対象外であり、従業員数が5人以上になれば社会保険に加入する義務があります。

業種によって社会保険のコストが発生するため注意しましょう。

(3)事業主自身の保険料は経費にならない

従業員に適用される社会保険や雇用保険のコストは経費の対象となり、保険料が増えれば税金負担も減らせます。

しかしオーナーに対する保険料は経費の対象とはなりません

事業を行っていなくてもオーナーは社会保険料を支払う必要があり、事業で利益を得るためのコストにならないからです。

同様の理由によりオーナーの家族にかかる社会保険料も個人負担となります。

しかし個人負担の社会保険料は所得控除の対象となり、確定申告時に申請することで節税は可能です。

税金を少しでも減らすために、確定申告時に社会保険料控除を税務署に申請しましょう。

社会保険料控除について詳しく知りたい場合は下記を参考にしてください。

参考:No.1130 社会保険料控除(国税庁)

まとめ

以上、フランチャイズで必要な保険について述べてきました。フランチャイズ店舗を経営するには従業員が必要であり、基本的に5人以上の従業員が働いている場合は社会保険に加入する義務があります。

年金機構等の指示に従って、正しく社会保険に加入しましょう。


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