シニア起業におすすめの業種・起業のメリットとデメリットも解説
シニア世代になっても健康で活力がある方も増えており、シニア世代からの起業といったケースが増加しています。
シニア世代が起業しているケースがなぜ増えているのかが気になることころです。
この記事では、シニア世代の起業が増えている理由や、シニア世代から起業するメリット、デメリット、シニア起業におすすめの業種といった点について詳しく解説します。
シニア起業が増加している理由とは
シニア世代の起業が増えている理由が気になりますが、そもそもシニア世代とは、どのような年代の方を指すのでしょうか。
シニア世代の定義や、シニア起業が増えている理由などについて解説します。
(1)シニア世代の定義や現状
シニア世代とは、明確な定義があるわけではありません。
一般的には、公的年金の受給開始年齢である65歳以上を高齢者と定義しています。
世界保健機構も65歳以上をシニア高齢者と定義づけしていることから、65歳以上をシニア世代と呼ぶのが良いようです。
定年を迎え、シニア世代となると、家でゆっくりと健康的に過ごすといったイメージでした。
しかし、健康年齢が大幅に上昇した点や生産労働人口の減少などにより、高年齢者雇用安定法が2021年4月に改正されました。
希望によっては70歳まで働けることになり、シニア世代も精力的に働く人が急増しているといえます。
(2)シニア起業は増加しているのか?
シニア世代がまだまだ元気に働けり環境下において、シニア起業も増加しています。
中小企業庁が公表した「中小企業白書2017」を見てみると、1979年における起業家の年齢構成は、60歳以上の男性が全体の8.4%、女性は全体の4.6%にしかすぎませんでした。
これが2002年になると60歳以上の男性が全体の28.1%、女性が15.1%まで増加しています。
さらに2012年には男性が全体の35%と、起業された方のうち、1/3以上がシニア世代となっているのです。
女性も全体の20.3%と起業家のうち5人にひとりがシニア世代となっており、シニア起業が年々増加していることがわかります。
(3)シニア起業する理由とは?
シニアからの起業が増えている理由が気になるところです。
シニア起業が増加している理由については以下の点が挙げられます。
- 自由に働きたい
- 収入を得たい
- 年金以外の収入源を確保しておきたい
健康年齢が上がり、年齢を重ねていても健康な方が増えている点は大変好ましいのですが、昔のように60歳や65歳で仕事を退くことが現代のニーズには合っていません。
また、少子高齢化による人口減少が急速な日本においては、労働人口の減少により、他国との経済競争に後れを取ってしまう可能性も考えられます。
労働人口を確保するためにもシニア世代でも頑張って働ける環境が整いつつある点も、シニア起業が増加する理由のひとつでしょう。
実際に政府全額出資の日本政策金融公庫では55歳以上のシニア起業を応援する融資制度があります。
融資限度額7,200万円を最大20年の融資が可能となっている制度です。
シニアが起業しやすい環境になっている点も大きいといえるでしょう。
シニア起業するメリットとは?
実際にシニア世代が起業するケースにおいてどのような点がメリットとなるのでしょうか。
シニア起業するメリットについて解説します。
(1)今までの勤務経験や人脈を活かしたビジネスができる
今まで会社員として従事していた業種について、シニア起業することにより、勤務経験や人脈を活かせる点がメリットのひとつです。
若くしての起業よりも、その業種においてスキルと人脈を持っていますので成功する可能性が高くなります。
さらに今までの経験を活かして、アドバイザーやコンサルタントなどといった、特定業種のスペシャリストとして活躍することも可能でしょう。
せっかくの会社員時代の実績や経験を、定年したからといって捨ててしまうのは非常にもったいないといえます。
シニア世代となっても健康なうちは、経験や実績、人間関係を活かせる点がメリットのひとつです。
(2)やりがいができる
今まで定年退職してしまうと、残りの人生をゆっくり、健康的に過ごすといったケースが多いのではないでしょうか。
シニア起業を検討する理由として、老後のやりがいを求めて起業される方も増えています。
健康年齢が延びているなか、まだまだ刺激的でやりがいを持った生活を送りたいと考える方が増えているといえるでしょう。
シニア起業することにより、やりがいを持って、日常を過ごすことができるといった点もメリットひとつとして挙げられます。
(3)退職金などで比較的資金が多い
起業するとなると、当初にまとまった資金が必要となります。
若い世代が起業するとなると自己資金をあまり持っていない中でスタートしなければいけません。
いきなり大きな借金を背負ってしまうケースも多く、失敗してしまうと大きな負債を抱えてしまう可能性も考えられます。
シニア世代は、退職金などで若い世代よりは金銭的に有利な点も多く、当初の起業資金も自己資金からスタートできる方が多いのではないでしょうか。
比較的、起業しやすい環境下にあり、万が一うまくいかなかったとしても、自己資金で起業できれば、残りの人生を借金に追われてしまうことは少ないといえます。
退職金などにより、起業しやすいといった点もメリットとして挙げられるでしょう。
(4)収入が得られる
労働人口の減少や、少子高齢化による高齢者の増加などといった理由により、日本の年金制度にはいつも不安がささやかれています。
今後4人に1人が高齢者となってく中、いつまでも安定した年金を得られるとは限りません。
シニア起業することにより、年金以外の収入を得ることが可能です。
年金不安から、退職金などの自己資金を経験がない投資などに使うよりも、今までの経験やスキルがある分野で起業した方が収入を得られる可能性は高いといえます。
年金以外の収入が得られるといった点もメリットといえるでしょう。
シニア起業するデメリットとは?
シニア起業はメリットばかりではありません。
デメリットもありますので、こちらもしっかりと認識しておく必要があります。
ここからはシニア起業におけるデメリットについて解説しましょう。
(1)体力や健康面のリスク
若いうちの起業と比較して、やはり体力面や健康面での不安という点は避けられません。
もしかすると、起業直後に大きな病気になってしまう可能性も考えられ、そのリスクは若い方よりも高くなってしまいます。
特に、起業するとなると自らが経営者となって、会社員時代よりも多くの困難が待ち受けていることも考えられるでしょう。
体力面では若い世代どうしても劣りがちになってしまうため、経営者としての激務をこなせない可能性も考えられます。
体力が必要となる業種にて起業した場合は特に注意が必要です。
シニア起業における体力面の不安はデメリットとなってしまう可能性が高くなってしまうでしょう。
(2)時代のニーズに乗れていない
今までの経験や実績をフル活用できるシニア起業ですが、今までのやり方が通用しなくなっているかもしれません。
特にインターネットが急拡大している昨今、今までのやり方が非効率的とされ、デジタル機器を使った効率的な方法に変化している可能性も考えられます。
シニア起業ともなると、インターネット環境に慣れていない方も多くなってしまい、時代のニーズに乗り切れないかもしれません。
今までのやり方が時代に取り残されているリスクも、シニア起業におけるデメリットといえるでしょう。
(3)過去の名声にこだわりがち
サラリーマン時代、組織の上層部にいた場合にありがちなケースとして過去の名声にとらわれてしまう点が挙げられます。
過去の実績から、プライドが高くなったまま過去の名声が時には邪魔になってしまうかもしれません。
お客様との交渉や、関係業者との取引などでトラブルになってしまうこともありえます。
過去の名声を捨て、一から出直すつもりがなければ、失敗してしまうリスクも大きくなってしまいますので、過去の名声がある点がデメリットになるかもしれません。
(4)再起がかけにくい
シニア起業ともなると、今までの業種で起業したとしても経営者として新しいフィールドに立つ必要があります。
もし失敗したとした場合、年齢的に次のチャンスがやり直せないといったリスクを負ってしまうでしょう。
特に借金してまで起業してしまうと、再起のチャンスは非常に低くなってしまい、起業したことを後悔してしまうかもしれません。
起業に失敗して再起する場合、残された時間が少ないといった点も大きなデメリットです。
シニア起業におすすめの業種とは?
ここまでは、シニア起業の現状やメリット、デメリットなどについて解説してきました。
では実際にシニア起業した場合、今までの業種だけではなく、どのような業種がおすすめなのでしょうか。
シニア起業におすすめの業種について解説します。
(1)教室や講義
シニア世代と若手世代が最も異なる点は、経験と知識です。
シニア世代は経験と知識が豊富なケースが多く、若手世代の中にはこのような経験と知識を勉強したいと願う方も多いといえます。
自分の知識や経験を講師となり、若い世代に継承していくことができるでしょう。
さらに収入を得られるわけですので、シニア起業にはおすすめの業種です。
(2)コンサルタント
今まで培った、特定の業種における経験や実績をフル活用するコンサルタントもおすすめです。
コンサルタントとは経営などにおいて特定の企業に経営改善のお手伝いをします。
例えば、病院の経理、事務を長く経験した方は、経理上の改善点やスリム化、効率化に対し、優れた能力を発揮するかもしれません。
病院経営のコンサルタントとなって、経営面のアドバイスをすることができるでしょう。
特定分野における経験や実績を存分に発揮する業種となりシニア起業にはおすすめです。
(3)カウンセリング
カウンセリングに関してもシニアの経験がうまく活用できるでしょう。
会社で行き詰まっている方などに対し、自分の経験談や成功事例、失敗事例から起こる反省点などを伝えることにより、困っている方を救うことができます。
大きな失敗から立ち直ったあなた自身の姿を見せることによって、カウンセリングを受けた方の支えとなるかもしれません。
年齢を重ねてもまだまだ頑張れるといった姿を率先して見せることも可能です。
シニアであるあなたの存在自体がカウンセリング効果となるケースも多いので、カウンセリングでの起業もおすすめといえるでしょう。
(4)不動産賃貸業
退職金などにより、不動産を購入して賃貸経営を行うことも可能です。
不動産経営は難しいと考えられがちなのですが、実績と信頼のある不動産会社をパートナーとすることにより経験の浅い部分をカバーすることができます。
いったん入居が決まると、安定した家賃収入を得られる可能性が高くなり、そこで得た収益を次の不動産購入に充てることも可能です。
不動産賃貸業には、当初に大きな資金が必要になることが多いのですが、退職金などを利用することにより若い世代よりも自己資金が有利な中で始めることができます。
こちらもおすすめといえるでしょう。
まとめ
シニア起業が年々増加しているのは、日本における少子高齢化における人口減少や、健康年齢が上がっていることが大きく影響しています。
シニア起業にはメリットも多いのですが、反面デメリットもありますので、両方をよく理解した上で、起業するかどうかを判断する必要があるといえるでしょう。