定年後に自営業を始めるメリットとデメリット・成功するためのポイントも解説
日本の高齢化が進み、定年後も現役として働くケースが増加しています。
定年後には趣味や興味があることにチャレンジしたいと新しい事業を始める方や、これまでの仕事の経験を生かして自営業を始める方も少なくありません。
定年後にアルバイトではなく自営業を始めたい場合、どのようなメリットやデメリットなどがあるのでしょうか。
この記事では、定年後に自営業を始めるメリットやデメリット、自営業を方法や、成功のポイントといった点について詳しく解説します。
定年後に自営業を始める場合の流れ
定年までは会社勤めを続け、定年後に新しく自営業を始める方がも増加しています。
定年後に自営業を始めることに、どのようなメリットがあるのでしょうか?
(1)これまでの人脈やスキルが活かせる
定年後の起業は、これまでの人脈やスキル、経験を最大限に活かして起業ができるという点が大きなメリットです。
こうした人脈やスキルを活かせる業種で起業できれば大きな強みとなり、事業を成功させられる可能性が高まります。
とくに、ひとつの業種で長く働いていた場合、その業種のスペシャリストとして起業が可能です。
その反対に、複数の業種を経験したという場合ならば、柔軟に色々な業種で新しいチャレンジをしやすく、これまでの経験で得たスキルの掛け合わせによって多くの需要があるかもしれません。
定年まで働いてきた方は社会人経験が豊富なので、トラブルの対応なども的確に処理できやすく、顧客からの信頼度を高めやすいでしょう。
(2)自由に働くことができる
定年後に限ったことではありませんが、起業をすれば自分の裁量で自由に働ける点がメリットです。
会社員勤めだと組織の一員として業務に従事しなければならないため、自由度は低くなります。
性格の合わない上司の下で働くことや、納得できない業務内容をこなさなければならないことなどへ、ストレスなどを抱えることも少なくありません。
また、定年後から再雇用などで会社勤めをすれば、年下の上司の下で働くことになります。
自分の方がスキルや実績、知識などが多くても、年下上司の指示に従わなければならず、大きなストレスを受けることが考えられます。
しかし、自分で起業すればすると、すべて自分の裁量で自由に働くことが可能です。
自分で思ったように働くことができ、社内の人間関係など余計なストレスを抱える必要もがありません。
もちろん全てが自分の責任になってしまいますが、その分やりがいを感じられるでしょう。
(3)ずっと働くことができる
定年後の起業では、同じ業種でずっと現役で働き続けられることも魅力です。
会社に属していれば、人事に関する権限を持つことはできません。
そのため、ずっと同じ業種で働きたいと考えていても、人事異動などで希望とは異なる部署で全く畑違いの部署で働く可能性があります。
そして、年齢の壁があり定年になってしまえば、どんなに健康で仕事への意欲があったとしても、いったん退かなければいけません。
しかし、定年後に自営業を始めれば、自分の希望する業種を選ぶことができ、自分が望む限りずっと働くことができます。
定年が無くなるため、生涯現役として働くことも可能です。
(4)収入が増える
定年後に会社を退くことで、大きく影響するのは収入面です。
これまではある程度の給与収入を得ていたものの、定年で会社を退けば年金生活になります。
定年後の再雇用で働くこともできますが、定年後の給与はこれまでよりも低い設定になるケースが多いです。
一方で、定年後に自営業を始めれば年金以外の収入を得ることができ、もしかすると、成功すれば会社員時代よりも大きな収入を得られる可能性もあります。
年金だけでは生活が厳しいと感じる方も多いため、定年後に自営業を始めることによって収入が増える点は大きなメリットといえます。
定年後に自営業で起業するデメリット
定年後に自営業を始めることはメリットばかりではなく、デメリットもあります。
メリットとデメリットをしっかりと理解し、自営業を始めることを検討しましょう。
ここからは、自営業を始めるデメリットについて解説します。
(1)体力が衰えている
定年後に起業するため、若い人に比べると体力が衰えていることがデメリットとして挙げられます。
年齢を重ねるごとに体力は落ちるため、今までできていた仕事が急にできなくなってしまうこともあるかもしれません。
また、納期前や繁忙期で無理をすれば、身体を壊してしまう可能性もあります。
加齢による体力の低下は避けようがないため、体力を考えながら業務量を調整することが必要です。
事業が軌道に乗れば、従業員を雇うことで体力面の負担は大きく軽減されるでしょう。
(2)柔軟性の欠如
年齢を重ねるほど考え方の柔軟性が低下し、視野が狭くなります。
新しい物事や状況への適応することが簡単ではありません。
しかも、定年まで仕事をしていたのであれば、経験が豊富で、会社でもある程度の立場にあったと考えられるため、これまでの立場にいる感覚のまま事業をで始めてしまいがちです。
しかし、これまでの地位や仕事のやり方は、あくまでも組織の中でしか通用しません。
その自覚がなければ、お客様や関係業者とトラブルになってしまう可能性が考えられます。
これまでの体験や知識も大切ですが、時代のニーズに対応できなければ事業が失敗する恐れもあります。
定年後に自営業で起業する場合には、柔軟性がポイントになるといえます。
広い視野を持って物事を柔軟に捉え、初心を忘れずに事業へ取り組みましょう。
(3)失敗しても再起がかけにくい
定年後の自営業が必ずしも成功するとは限りません。
失敗してしまう可能性も十分考えられ、1年や3年など早い段階で廃業になるケースもあります。
もし失敗してしまった場合、定年後の起業は再起がかけにくいことがデメリットになります。
年齢を重ねているので再就職は難しく、一度以前の会社も離れているので再雇用も難しい状況になることが予想されます。
再度起業しようと考えても、最初の起業で失敗した負債が残っているかもしれません。
事業が失敗する可能性も考え、リスクの低い業種を選ぶことや、小さな規模から事業を始めることが大切です。
(4)最初にまとまった資金が必要
定年後の自営業に限りませんが、新しい事業を始めるにはある程度の資金が必要です。
起業する業種によっては店舗を構える必要もあり、そうなれば賃料や店舗準備などのコストがかかるため、開業当初にまとまった資金を要します。
退職金だけでは足りなければ融資などを利用しなければならず、それだけリスクも大きくなるといえます。
最初にコストがかかる業種ばかりではないため、自己資金や開業後に見込める収益なども考慮して開業準備をすることが大切です。
定年後に自営業を始める場合の流れ
定年後に自営業を始める場合、開業に向けた流れを知っておく必要があります。
基本的に、自営業を始める流れについて年齢は関係ありません。
定年後に自営業を始める流れについて知り、開業に向けた準備を行いましょう。
(1)業種と屋号などを決める
自営業を始めるのであれば、まずはどのような業種で起業するのか決める必要があります。
飲食業もあれば教育関係、技術提供など業種はさまざまです。
起業する業種によって起業当初に必要となる資金も異なれば、資格取得の有無、店舗準備の有無なども違います。
どのような業界のどのような業種で起業したいのか明確にしましょう。
業種が決まれば、屋号を決めます。
フランチャイズで起業する場合は屋号が指定されるケースもありますが、個人事業として独自で開業する場合には自由に屋号を決められます。
屋号は集客にも影響するため、覚えやすい名前をおすすめします。
似たような名前や同じ屋号の会社があるとトラブルになる可能性があるため、あらかじめインターネットなどで検索しておくと良いでしょう。
(2)事業計画書を作成する
自営業を始めるにあたり、もっとも大切な工程になるのが事業計画書の作成です。
事業内容や収支見込み、戦略などを具体的にまとめ、書面化します。
事業計画書を作成すれば、開業に向けて必要な準備や、開業後の問題点を事前に見つけることができます。
そうすれば、開業に向けてスムーズに準備ができるだけではなく、問題点にもあらかじめ対策を講じられます。
また、金融機関などから融資を受ける際には、事業計画書の提出が必要です。
この場合は融資を受けられるように事業計画書を作成しなければならないため、弁護士や税理士などのサポートを受けることをおすすめします。
(3)資金調達
自己資金や退職金だけで起業できるかどうか確認します。
まとまった資金が必要になる場合や、資金不足の場合には、融資の検討が必要です。
金融機関や日本政策金融公庫からの融資などを利用すれば、資金調達ができます。
定年後の起業で融資を受ける場合には、日本政策金融公庫からの融資がおすすめです。
55歳以上で新規事業を目指す方向けの融資である「シニア起業家支援資金」と呼ばれる制度を利用できる可能性があります。
シニア起業家支援資金について詳しく知りたい方は、以下を参考にしてください。
参考:新規開業資金(女性、若者/シニア起業家支援関連)|日本政策金融公庫
最も有利な融資が引き出せる金融機関を選択できるように、資金調達方法についてしっかり調査することが重要です。
(4)開業の届け出
個人事業主として開業する場合、税務署に開業届の提出が必要です。
開票届は国税庁のHPから書式をダウンロードする方法、もしくは最寄りの税務署で取得できます。
事業を開始した日から1ヶ月以内に提出しなければならないため、速やかに開業届を管轄の税務署へ提出しましょう。
(5)開業のための準備
開業届を提出すれば、個人事業主として事業を始めることができます。
事業開始のためには開業届だけではなく、さまざまな準備が必要です。
確定申告についての届出や、地方税、社会保険金の加入、法人口座の設立などは開業届と併せて準備を進めると良いでしょう。
また、従業員を雇う場合には、労働法に関する届け出や雇用保険に関する届け出も準備し、労働基準監督署やハローワークへ提出しなければなりません。
定年後の自営業で成功するためのポイント
定年後に自営業を始めるのであれば、成功したいと考えることは当然です。
定年後の自営業で成功するためのポイントについて解説します。
(1)経験を活かした業種がオススメ
定年後の起業になれば長い社会経験を経ているため、社会人としての基本が身についています。
そのため、異業種や新しい分野での起業で成功する可能性もあるかもしれません。
しかしながら、起業を成功させるのであれば、これまでの得意分野を活かした業種がおすすめです。
スキルや経験、知識を活かせる分野で開業すれば、開業する業種でのノウハウがあるため、スペシャリストとして成功する可能性がも高まります。
そこへ柔軟な考え方と広い視野が加われば、時代のニーズにも合わせられることができ、より成功しやすくなるといえます。
(2)未経験の分野ならばフランチャイズがオススメ
定年後に昔からの夢や、自分の好きな分野のである業種での起業したいという方も多いです。
たとえば、営業職のサラリーマンだったものの、定年後に昔からの夢である飲食店経営をしてみたいと考えるケースもあるでしょう。
しかし、昔からの夢や趣味だったとしても、未経験の分野で起業することにはさまざまなリスクを伴います。
未経験で一から起業するよりもリスクを抑えた方法でできる起業が、フランチャイズです。
フランチャイズとは、成功した起業が加盟店を募り、加盟店は本部の屋号や運用システムを使って経営することを指します。
フランチャイズに加盟すれば、ブランドの知名度や商品力を利用できるので、一から起業するよりも成功しやすいといえます。
また、本部の運営ノウハウや技術などが研修で学べ、開業には本部のサポートを引き続き受けられるため、経営への不安やリスクは大幅に軽減されます。
未経験の分野での起業したい場合には、フランチャイズでの起業を検討してみてはいかがでしょうか。
(3)コストを抑え、事業を拡大しすぎない
定年後の自営業を始めるデメリットとして再起がかけにくいことを前述しました。
もし、多額の借金をして開業したものの失敗して廃業になってしてしまった場合、再就職が難しい中で大きな借金を背負うことになります。
そうなれば、老後の生活が非常に苦しくなることが想定されます。
開業はできるだけコストを抑え、小規模から始めることをおすすめします。
また、定年後の起業が軌道に乗ってきた場合でも、事業を拡大しすぎないようにすることが大切です。
手を広げすぎると負担が大きくなり、失敗する原因になってしまいます。
自分の体力面や金銭面の負担も考え、定年後の起業では無理をしすぎないことが重要だといえます。
(4)計画的に開業を進める
新たに自営業を始めるとなると、やるべきことは非常に多いです。
本業に集中できる環境を整え、開業に向けてどんな準備が必要か調べておかなければいけません。
とくに起業当初は、書類の提出や営業活動、事務作業といった慣れない作業も行う必要があります。
しっかり計画を立てて、開業向けた準備を進めていくようにしましょう。
こうした準備を含めて一人の力で開業することが難しいという場合にも、フランチャイズでの開業は本部のサポートを受けられるので起業準備の負担が少ないといえます。
まとめ
定年後も現役で働く方は多く、に自営業を始める方ケースもは年々増えています。
しかし、起業するケースが方が増えているからといって必ず成功するとは限りません。
事前準備や調査、資金などを踏まえたうえで起業を検討する必要があります。
しかし、社会人として長い経験があるというメリットを生かせば、成功する可能性もあります。
これまでの経験や知識を生かしつつ、健康面などは無理のない範囲で起業を検討することが大切です。
フランチャイズならば本部から多くのサポートを受けられるため、定年後の自営業にもおすすめだといえます。
定年後の新しいチャンスを広げるためにどのような業種での起業が向いているのか、資料請求や説明会などに参加して検討してみてください。