飲食店経営の始め方・物件探しのポイントや開業手順を解説
「飲食店を経営したいが開業の流れがわからない」、「飲食店経営にはどんな注意点がある」
飲食店経営を始めたいと思っても、どのような点に注意したらいいかわからずに不安だといった方も多いのではないでしょうか。
この記事では、飲食店開業について、開業の手順や物件の探し方飲食店経営のポイントといった点について詳しく解説します。
飲食店経営の始め方について開業の手順
まずは、飲食店経営を始めるにあたってどのような手順で開業するかといった開業の流れについて解説します。
(1)事業計画書の作成と開業資金の把握
最初に行うこととして、事業計画書を作成しましょう。
事業計画書とは、
- どのような飲食事業を始めるのか
- 売り上げはどの程度想定しているのか
- 家賃や人件費、材料代などのコストはどの程度見ているのか
- 開業にあたる融資はどの程度必要なのか
といった点を書面にします。
事業計画書の作成にはいくつかの目的があり、そのひとつとして、開業資金の把握が挙げられます。
飲食店経営は、3年以内に70%が廃業してしまうというほど厳しい業界で、安易に開業できるものではありません。
開業資金をしっかりと把握して置くことで、自己資金以外の借入はどの程度必要かがわかります。
融資の金額を把握できると毎月の返済金や損益分岐点なども明確になります。
融資を受ける際にも金融機関から提出を求められるケースが多いので事業計画書は必ず作成しましょう。
(2)コンセプト設計
コンセプトの設定も非常に重要なポイントです。
ターゲットはどのような客層にするのか、客単価はどの程度に設定するのかといった戦略を考えなければいけません。
ターゲット層や客単価を決めると、店舗を構える立地や広告戦略なども明確になりやすく、独自サービスの提供や差別化を図りやすくなります。
ターゲットやコンセプトが明確でなければ、メニューと単価が全く合わないケースや、ターゲット顧客に対して立地が全く伴っていないといったマイナス要素が発生します。
当然ながら売り上げは上がらず、早々に廃業といった事態になりかねません。
コンセプト設計も非常に重要な内容といえるでしょう。
(3)物件探しから設備設置や内装
事業計画書の作成と、コンセプトが設定できると物件探しに入ります。
事業計画書で予算はあらかた決定していますので、事業計画書の予算に沿って物件を探さなければいけません。
内装も同様に事業計画書に記載した予算設定を守らなければ、開業資金が増えてしまい追加融資といった事態にもなりかねません。
事業計画書作成時に見積もりが甘く、追加予算が発生した場合は、再度事業計画書を見直しして別部分でのコスト削減などが求められます。
なるべく事業計画書に沿った、予算で物件探しや設備の設置を行いましょう。
(4)各種の届け出
最後に開業に向けた各種の届け出を行います。
飲食店開業は、その業態によって届け出の種類が異なります。
構える店舗の規模によっても届け出が異なりますので、自分が構える業種や店舗の規模などから必要な届け出はチェックしておく必要があるでしょう。
店舗の内装まで完了して開業を待つだけなのに届け出を忘れてオープンできなかったといった事態も考えられます。
届け出忘れがないように事前チェックも開業には欠かせません。
飲食店経営における物件の探し方
飲食店経営の中でも非常に重要な要素のひとつとして、店舗探しが挙げられます。
飲食店経営での物件の探し方はどのように進めていくといいのでしょうか。
ここからは、飲食店経営における物件の探し方について詳しく解説します。
(1)コンセプトに合った立地や広さの物件を探す
開業前の手順としてコンセプトを明確にしておくことを前述しました。
コンセプトに合った立地や広さの物件を探す必要があります。
例えば、ファミリーなどを対象としたアットホームな飲食店をコンセプトにしたのに、学生が多いエリアに出店してしまうと、ターゲットの集客が見込めません。
また、周辺の飲食店が多いエリアだったとしたら、激しい競争に巻き込まれてしまうことも考えられます。
大人数での来店を見込んでいたら一定の広さを確保できる物件探しが必要になりますので、コンセプトに合った立地や広さを明確にして探す必要があるでしょう。
(2)キッチンカーや居抜き物件を検討する
店舗の取得費用は、飲食店開業において非常に大きな割合を占めます。
エリアや広さによっては高額な店舗取得費となってしまい、開業における融資の返済で経営を大きく圧迫してしまうかもしれません。
物件を選択する際、費用を抑える方法として挙げられるのが、キッチンカーの活用や居抜き物件の賃貸です。
キッチンカーとは、車両の中で調理、販売ができる自動車のことで集客が見込めそうな時間帯や場所に直接出向き販売することができます。
店舗を借りるよりも比較的安価に利用することが可能です。
居抜き物件とは、前の店舗契約者が飲食業を行っており、設備や内装などが飲食店経営の状態のまま残っている物件のことを指します。
既に設備などが整っており、内装などの費用もかけずにオープンできるケースもあり、内装費などのコスト削減が可能です。
キッチンカーでの飲食店経営や、居抜き物件の利用などにより開業資金を抑えることもできるでしょう。
(3)内装のイメージなども想像して探す
内装のイメージなどを踏まえたうえで物件を見つけましょう。
単純に広さと家賃だけで決めてしまうと、内装時にイメージと異なり、大幅に修正してしまうことになるかもしれません。
例えば、トイレの位置が想定と異なってしまい、トイレの移動に費用がかかってしまうといったケースも考えられるでしょう。
どんな内装にするのかをあらかじめイメージしておきながら、イメージを想定したうえで物件を探すことも重要なポイントです。
(4)あらかじめ家賃の条件などは決めておく
物件探しでは複数の物件を内覧しながら最終的に決定しなければいけません。
あらかじめ家賃を決めておかなければ、もっと条件が良かったとしても家賃も大幅にアップする物件などが出てくることも想定されます。
家賃を上げてしまうと、事業計画書にも大幅な狂いが出てしまうことになりますし、家賃は毎月の経費ですので、収益性が悪くなるかもしれません。
あらかじめ明確に家賃などの予算を決めたうえで物件探しをしなければ、のちのち収支が圧迫する要因にもなりかねません。
家賃などの条件面について注意しておきましょう。
飲食店経営における届け出や資格
飲食店開業における届け出や資格にはどのようなものがあるのでしょうか。
飲食店経営の始め方にあたり、必要な資格や届け出について解説します。
(1)食品衛生責任者資格
衛生管理を受け持つ責任者として食品衛生者資格が必要です。
飲食店開業時には必ず一人の設置が義務となっています。
都道府県の食品衛生協会が6時間の研修を開催し、テストに合格すると取得可能です。
ただし、調理師免許や栄養士などの資格取得者は、食品衛生管理者になることができます。
飲食店を始める場合には必要な資格なので、持っていない場合は取得しておく必要があります。
(2)防火管理者資格
飲食店の規模が30人以上の収容ができる場合は、防火管理者の届け出が必要になります。
防火に対する管理を行う責任者です。
防火管理者の資格取得には防火管理者の講習を受講して取得可能で、最寄りの消防署で予約が必要になります。
防火管理者は乙種と甲種に分かれており、店舗の広さによって取得する資格が異なります。
受講日数は乙種が1日、甲種は2日間で取得可能です。
(3)開業届
開業届の提出が挙げられます。
個人で飲食店開業を検討している場合は、税務署に対し開業届の提出により開業が可能です。
開業届は、国税庁のHPや税務署でも取得可能です。
開業届自体は、記入するだけで住んで比較的容易に提出できる届け出といえるでしょう。
(4)飲食店営業許可
最後に保健所に対して提出する申請として営業許可申請があり、営業許可を受けるための検査を受けなければいけません。
店舗があるエリアを管轄する保健所に飲食店営業許可申請を提出し、保健所の検査に合格しなければいけません。
検査を受けて合格したあと3週間前後で営業許可となりますので、オープンの日を逆算しながら、営業許可申請を行ないましょう。
飲食店経営のポイントは?
飲食店経営の始め方において、経営のポイントはどのような点にあるのでしょうか。
飲食店経営のポイントについて詳しく解説します。
(1)コンセプトは明確に
前述しましたがとても大切なポイントとして、コンセプトは明確にしておかなければいけません。
コンセプトがぶれていると、内装やメニュー、集客面において統一感がなく、ターゲットがぶれてしまい思った収益を挙げられない可能性が高くなります。
ターゲット、客単価といったものをより明確化することで、施策や広告が打ちやすく効果が表れやすいといえるでしょう。
(2)集客の対策は必ず行う
集客の対策も忘れずに行っておきましょう。
固定客ばかりに頼った営業になってしまうと、経営基盤が弱くなってしまい、固定客が離れるとあっという間に経営難になってしまうかもしれません。
集客の対策は定期的に行いましょう。
集客に関しての対策として挙げられるのはターゲット向けの集客を考えるという点です。
若者層がターゲットとなる場合はインスタグラムなどSNSを活用すると効果的といえます。
また、ファミリー層だと、情報誌に割引チケット付きで掲載すると、より効果が見込めるでしょう。
ターゲットに合わせた集客がポイントです。
(3)損益分岐点はなるべく低く
損益分岐点とは、売上と経費を差し引いて収益がちょうどゼロになる時点の売上を指します。
損益分岐点を上回ると、黒字経営となり、逆に下回ると赤字経営になります。
かかる経費を抑えることにより損益分岐点を低くすることができ、利益が出やすい高収益体質の飲食店経営ができるでしょう。
無駄な経費をなるべく使用せずに、コストパフォーマンスの高い経営を目指しましょう。
(4)従業員教育は徹底して行う
飲食店経営では、美味しいメニューだけではなく、接客のサービスも非常に重要です。
いくらメニューが美味しかったとしても、お客様への対応が失礼で言葉使いなども悪い接客を受けてしまうと不愉快になり、二度とお店に来ることはありません。
従業員教育はしっかりと行い、お客様に対して失礼な対応がないような接客や、料理の提供を行う必要があります。
フランチャイズに加盟して飲食店を開業する場合だと、本部の研修などに参加するケースもあります。
この場合は、ノウハウが詰め込まれた社員研修を受けることも可能です。
しかし、自主独立した飲食店を開業する場合は、オーナーが社員教育を行う必要がありますので、自分自身もスキルと知識を高めておきましょう。
まとめ
飲食店開業について解説しました。
開業して3年間70%が廃業するので簡単に飛び込める業種ではありません。
しかし、飲食店経営に憧れている方も多いので、事業計画書の記載やターゲットの明確化などをしっかりと守って、飲食店開業を行う必要があるでしょう。
この記事では、物件探しのポイントや飲食店経営のポイントなどについても記載しています。
飲食店経営の始め方で悩んでいる方などは是非参考にしてはいかがでしょうか。