宅配ピザのフランチャイズ経営のメリットとデメリット・将来性も解説
多くの人がデリバリーといわれて、一番頭に思い浮かぶのが宅配ピザのデリバリーではないでしょうか? すでに日本でも当たり前のように存在しています。
現在では多くのピザ屋さんが進出しさまざまなサービスで、顧客層を拡大しています。
では、この宅配ピザ業をフランチャイズ経営しようと思ったときにどのくらい稼げるのでしょうか?
また、開業手順や必要な資格などはあるのでしょうか?
この記事では、宅配ピザをフランチャイズにより開業した場合のポイントなどについて解説します。
目次
フランチャイズの宅配ピザ業の将来性は今後も堅調?
自分が開業しようとする業種の現状や将来性分析は、開業前に必ず行わなければいけません。
まずは、宅配ピザの将来性や現状について見てみましょう。
(1)コロナ禍のなか宅配業は順調に推移している
2020年に突如起こったコロナウイルスのパンデミックにより、緊急事態宣言が発令されました。その影響でなかなか外出することができなくなっています。
多くの外食産業は大きなダメージを負い、外食業の倒産件数も大きく上昇しているのですが、堅調なのがデリバリーサービスです。
コロナ禍において外食を控えなければいけない環境の中、ピザ屋さんに象徴されるデリバリーサービスは前年比5%程度上昇し、1,500億円に到達しようとしています。
コロナが終息した後の動きにおいても、手軽に利用できるデリバリー業は堅調と想定されており、今後の需要に期待が持てる業種です。
(2)ネットで注文ができるため手軽に頼めるようになっている
堅調な要因の一つにスマホやパソコンから気軽に依頼できるようになったことも挙げられます。
以前は、電話のみでの受付でしたがスマホアプリで気軽に注文ができる昨今、多くの人が注文しやすくなっているといえるでしょう。
実際に2019年にはインターネットによるフードサービスの依頼経験がある人が全体の30%を切る程度でしたが、2020年には46%以上の人が経験していると答えています。
注文の方法がいろいろ選べるようになった点も今後の需要増に期待が持てる要因です。
(3)宅配ピザの市場規模は年々上昇している
このような環境下の中、宅配ピザの市場規模は年々上昇しています。
2004年度におけるピザ専門店の売上高は1,200億円に届かない程度でしたが、2020年には1,500億円に迫る勢いで年々市場規模が拡大していることがわかるのです。
今後も、動きが堅調と予想され、さらなる市場規模の拡大に期待が持てる業種といえるでしょう。
フランチャイズで宅配ピザ業を開業したらどれくらい稼げる?
開業して最も気になる点はどれくらい稼げるのかという点です。
宅配ピザを開業した場合の売り上げや年収といった点に注目して解説します。
(1)利益率が高い宅配ピザ
宅配ピザはデリバリーなどの交通費や人件費など、一般の外食よりも多くのコストがかかると思いがちですが、実際に利益率は高いことが特徴です。
よくキャンペーンなど期間限定でテイクアウトを利用した場合、もう一枚が無料になるといったサービスが目に付きます。
つまり、2枚分の売り上げを1枚で上げることが可能ということになるのです。
また、ピザだけの注文ではなく飲み物やサイドメニューも充実しており、そこでの売り上げが見込めます。
一般的にピザの原価率は15%程度だといわれており、飲食店の原価率よりも非常に安いコストで作られています。
宅配のコストを十分に賄えるほどの利益率があるという点がポイントです。
(2)1店舗経営でもうまくいくと年収1,000万円越えも
ある大手宅配ピザ屋さんのフランチャイズモデルを見てみますと、20坪程度の店舗を構えたとすると、月収70万円程度になります。
年収ベースで計算すると840万円程度となり、高い年収が期待できます。
更に需要が高まると年収1,000万円もけして不可能ではありません。
1店舗だけではなく、2,3店舗と事業を拡大すると、さらなる年収増も期待できますので稼ぐことができるビジネスといえるでしょう。
宅配ピザをフランチャイズで開業したときの初期費用やロイヤリティは?
宅配ピザは非常に稼ぎやすい業種であることを述べました。
しかし、いざ開業しようと考えてみても初期費用にどれくらいかかるのか?
またフランチャイズに加盟した場合、気になるのがロイヤリティなどの月額コストです。
開業した場合の初期費用やロイヤリティはどのくらいかかるのでしょうか?
開業費用を考えた場合、一般的な話として飲食店での開業は1,000万円前後の費用が必要だといわれています。
しかし、宅配ピザ業の場合は2,000万円程度を見込んでおく必要があるでしょう。
およその内訳としては下記の通りです。
項目 | 費用 |
加盟金 | 200万円 |
内装費用 | 700万円 |
厨房機器やバイク他 | 1,100万円 |
加盟金はフランチャイズに加盟するときにフランチャイズ企業に支払う手数料です。
他のフランチャイズ開業と比較すると割高ですが、大手企業の看板や知名度が利用できるので、開業当初から高い売り上げに期待が持てます。
次に初期費用としてフランチャイズに加盟した場合気になるのがロイヤリティ。
ロイヤリティとは、フランチャイズ企業の経営ノウハウや販路、知名度が利用できるのに対する使用料と考えましょう。
ロイヤリティは、企業ごとに異なるので一概には言えませんが、ある企業のロイヤリティは月額15万円を上限として、売り上げの2%~2.5%程度だと記載されています。
費用はかかりますが、さまざまなメリットを利用できる対価と考えると、そう大きな費用ともいえないのではないでしょうか?
ロイヤリティや加盟店料は各企業で大きく異なりますので、フランチャイズ企業を選択する判断材料の一つとも考えられるでしょう。
フランチャイズによる宅配ピザの開業手順
フランチャイズに加盟するには、いくつかの段階を踏んで開業に結び付ける必要があります。
大きく4つのステップを踏んでの開業が可能です。
(1)ステップ1 フランチャイズ企業の選択、決定
まずは、どのフランチャイズと契約するかを決めましょう。
いくつかの企業を調査し、説明会や担当者との説明を受けます。その中で、自分に合った企業を選択します。
(2)ステップ2 審査、契約
フランチャイズを決めると、審査を受けなければいけません。
事業計画の甘さや資金不足などにより審査を断られるケースがあります。
フランチャイズ企業の審査を通過してフランチャイズ契約です。
(3)ステップ3 物件取得 内装
フランチャイズ契約が通過しましたら店舗を決定します。
審査中から物件探しを行っておくと、開業までの道筋がスムーズです。
物件決定から契約、内装までの期間を1ヶ月から1ヶ月半程度見ておくといいでしょう。
その間に合わせて、従業員採用、教育を同時に行います。
(4)ステップ4 開業
ここまでのステップを踏んで開業となります。
ステップ1からここまで、およそ2か月から2ヶ月半程度の時間が必要です。
しかし、スムーズにいかなければもっと時間がかかる場合がありますので、きっちりとスケジュールを組んで動きましょう。
宅配ピザ業を開業するための必要な資格や技術
宅配ピザ屋の開業は未経験でも可能なのですが、開業に向けて取得していかなければいけない資格があります。
ここからは開業に必要な資格について解説しましょう。
(1)食品衛生責任者は必須
食品を扱う場合に必須となるのが食品衛生責任者の資格です。
調理師や栄養士の資格を持っていると、養成講習を受講して取得しなければいけません。
食品衛生責任者として保健所に申請を行い、保健所の立ち入り検査をクリアすることで開業が可能です。
(2)防火管理責任者の届け出も欠かさずに
規模にもよりますが防火管理責任者の資格が必要な場合があります。
こちらも資格を保有していなければ講習を一定期間受講し取得しなければいけません。
講習を修了し消防署への申請することで防火管理責任者となります。
(3)資格は必要ないがピザの技術を学んでいる人もいる
民間資格としてピザ職人検定なども取得しておくと店舗経営に役立ちます。
2次試験まであり、合格すると認定証が授与され検定修了者のアピールができるでしょう。
資格を取ることで自分の技術に自信を持つことができるようになります。
フランチャイズなので、独自の商品を提供するのは難しいでしょう。
しかし、定められたメニューを自分の技術でハイクオリティに仕上げた商品を提供することでリピーターの獲得にも繋がります。
民間の資格とはいえ、さまざまなピザに関する資格取得は大きな力となるでしょう。
宅配ピザをよく利用する顧客層を把握しよう
宅配ピザの顧客層は非常に広い範囲にわたります。
あるサイトが調査した結果によると、30代の約半数は直近1年間で宅配ピザを利用したとの結果が出ています。
低年齢層ほど、宅配ピザの注文が多く、一人暮らしのシングル層などを取り込むことができると安定した経営に期待できるでしょう。
フランチャイズで宅配ピザを開業するメリット
宅配ピザ屋さんを開業しようと考えた場合、フランチャイズにするかどうかが悩みどころです。
フランチャイズに加入することのメリットやデメリットを理解し、メリットは伸ばし、デメリットは克服しなければいけません。
ここからはフランチャイズに加盟することのメリットについて解説します。
(1)実績がある企業が多く、信頼感がある
宅配ピザは実績のある企業が複数フランチャイズ展開をしているので、大手フランチャイズに加入することで、実績と信用感を得ることができます。
大手に参画することで、最初から知名度のある店の経営が可能です。
フランチャイズ経営における最も大きなメリットを宅配ピザ業界では受けやすいということになるでしょう。
(2)利益率が高いので収益性に期待が持てる
前述しましたが、システム化されたフランチャイズビジネスでは、原価計算もきっちりとされていることや、大量仕入れで価格も抑えることができる点から利益率が高いです。
大手フランチャイズのモデルケースでは、1店舗でも1,000万円近い年収を得ることができます。
収益性に大きな期待が持てるでしょう。
(3)研修制度など、教育システムが充実している
宅配ピザ事業は、1人ではできません。複数の従業員を雇い、経営する必要があります。
しかし、しっかりと教育しなければ、クレームに繋がり顧客減、ひいては収益源となるでしょう。
フランチャイズ傘下で経営できると、研修制度や教育システムも充実していますので、社員教育も安心です。
フランチャイズで宅配ピザを開業する場合のデメリットや注意点は?
フランチャイズ経営はメリットばかりではありません。
デメリットをしっかりと掴み、対策を行っておくとリスクを最小限に抑えることができます。
ここからはフランチャイズのデメリットについて解説します。
(1)初期費用が高い傾向にある
前述しましたが、一般的なフランチャイズ経営よりも初期費用が高くなる傾向にあります。
これは、厨房機器にピザ釜が必要になる点や配達のためバイクをそろえる必要があるからです。
きちんと事業計画を立てて取り組まなければ、準備中に資金が枯渇するということにもなりかねません。
(2)ロイヤリティがかかるので経費が高くなる
宅配ピザに関わらず、フランチャイズに参加する場合ロイヤリティの支払いは避けられません。
売り上げの何%かをロイヤリティとして支払わないといけませんので、フランチャイズに加盟していない場合よりも余計に売り上げを上げる必要があります。
フランチャイズにおいて、特に注意しておくべきコストといえるでしょう。
(3)自由に販売ができない
フランチャイズに加盟するということは、そのブランドの商品を売るということに繋がります。
つまり、フランチャイズに加盟している以上オリジナルなサービスや商品を売ることができません。
大手になればなるほど、ブランドカラーやメニューがしっかりと統一されています。
自分のオリジナル商品が販売できないので、職人肌の人は特にフランチャイズを敬遠しがちとなるでしょう。
まとめ
宅配ピザに需要は今後も上昇傾向が見込まれており、フランチャイズ参入するには魅力的な市場です。
大手フランチャイズも複数ありますので、しっかりとした経営ノウハウを得た経営も可能といえるでしょう。
しかし、初期費用が高いことや開業による資格取得などいくつかのクリアすべき問題もあります。
しっかりと事業計画を立て、資金にゆとりを持った事業展開が必要といえるでしょう。
ぜひ、宅配ピザのフランチャイズを検討している人はこの記事を参考にしてはいかがでしょうか?