キッチンカー開業資金は?開業までの流れと注意点も解説
「キッチンカーでの開業ってどんなメリットがあるの?」、「キッチンカーで開業する場合の資金はどれくらい?」
近年、飲食店の開業において、よく利用されているのがキッチンカーでの開業です。
この記事ではキッチンカーで飲食店を開業する場合の開業資金やメリット、開業の流れといった点について詳しく解説します。
キッチンカー開業の現状や将来性
キッチンカーとは車内で調理できる設備を備え、飲食の販売などを行える車両のことを指し、新たなビジネススタイルとして注目されています。
ここ近年、急速に出店が増えているのが特徴です。
キッチンカー開業の現状や将来性といった点について詳しく解説します。
(1)キッチンカーでの開業は急速に増えている
キッチンカーでの開業は急速に増えているのが現状です。
キッチンカーが浸透する以前は、出店場所に困る状況が続いていました。
例えば、ホームセンターなどの大きな駐車場前に出店したいといっても、企業担当者もキッチンカーで何をするのかわからないので断られるといった状態です。
しかし、徐々にキッチンカーが街中で目に付く存在となるとビジネススタイルが認知され始めましたので、交渉がやりやすくなりました。
結果、キッチンカーによる開業が急速に増えていったという現状となっています。
(2)コロナ禍で利用者が急増したことで開業ペースが増加
キッチンカーでの飲食店開業は、その場で飲食するといったスタイルもありますが、一般的にはテイクアウトによる利用が多いといえるでしょう。
コロナ禍において大きなダメージを受けたのは飲食業でしたが、その中でも中食産業といわれるテイクアウトやデリバリーの需要は大幅増となっています。
また、キッチンカーで販売した料理を飲食する際も、室内ではなく、青空の中で美味しいフードを食べられるので、室内よりも安心して利用できる点も挙げられるでしょう。
コロナ禍における利用者の急増も昨今のキッチンカー開業に拍車をかけているといえます。
(3)食品衛生法の改正でさらに増加している
キッチンカーがここ数年で急速に増えた要因のひとつとして2021年6月の食品衛生法改正も大きいといえます。
キッチンカーに対する規制緩和により、今まではキッチンカー開業ができなかった人も開業がしやすくなったのです。
今までより多くの方がキッチンカーによる開業が可能になったことで増加に拍車をかけたといえるでしょう。
(4)自由度の高さから将来性も期待できる
キッチンカーの魅力のひとつとして非常に自由度が高い点が挙げられます。
短時間で転々と販売箇所を変えるスタイルや、毎日ではなく、決まった曜日だけ開店するスタイル。
逆に一ヶ所にずっと停滞して販売していくことも可能です。
非常に自由度が高く、本業としての開業だけではなく、副業として取り組みやすいビジネススタイルであるともいえます。
近年では、さまざまなライフスタイルを模索する動きが増え、本業の他に収益の柱を欲しい方が、週末などにキッチンカーを稼働するスタイルも増えています。
さまざまなワークスタイルに対応できる点もキッチンカー開業において、将来性に期待が持てるといえるでしょう。
キッチンカーを開業する場合の開業資金は?
実際にキッチンカーでの開業を検討するにあたり、気になる点が開業資金ではないでしょうか。
ここからはキッチンカーを開業する場合の開業資金について詳しく解説します。
(1)店舗を構えるよりも安い資金で開業が可能
キッチンカーでの開業が増えている要因のひとつとして、店舗を構えるより安い資金で開業できる点が挙げられます。
店舗を構える場合は、家賃などの他に敷金や礼金、店舗の内装費用から設備の設置まで、場合によっては非常に高額な資金が必要になります。
キッチンカーだと、車両に調理設備が設置されていますので店舗を構えるよりも割安での開業が可能です。
場合によっては、キッチンカーのレンタルやリースなどもあり、まとまった資金がなくても開業ができるケースもあります。
安い資金で開業できる点はキッチンカー開業における魅力のひとつといえるでしょう。
(2)一般的には300万円前後での開業が可能
実際のキッチンカーにおける開業資金は250万円~300万円前後で開業が可能といわれています。
一般的に店舗を構えて開業する場合、1,000万円以上の費用がかかるケースもあり、エリアによってはさらにかかるかもしれません。
前述したように、キッチンカーでの開業だと、レンタルやリースなどでの開業も可能です。
250万円以下での開業も可能なため、開業資金という点ではキッチンカーでの飲食店開業が大幅に開業資金を抑えられるといえるでしょう。
(3)キッチンカー開業費用の内訳
キッチンカーを購入した上で飲食店を開業した場合の内訳について解説します。
キッチンカーの費用は200万円~250万円で購入が可能です。
さらに新たな設備を設置したい場合は30万円程度見ておけばいいので、300万円以内で、キッチンカーで開業できるまでの準備が整います。
あとは容器の準備や販促品の準備が必要ですが、容器は使い捨ての紙製品などで安く抑えることが可能です。
販促品もそこまで費用がかかるものではありませんので、10万円程度の費用を見ておくといいでしょう。
(4)キッチンカーを開業した場合の運転資金
キッチンカーで飲食店を開業する場合のランニングコストも気になるところです。
キッチンカーの月額運転資金を下記の表にまとめました。
項目 | 月額費用 |
駐車場代 | 5万円前後 |
保険料 | 5,000円前後 |
車検費用 | 5,000円前後 |
容器代 | 5万円前後 |
出店費用 | 5万円前後 |
合計 | 16万円前後 |
あちこちにピンポイントで移動する場合は、ガソリン代が追加されます。
運転資金もそこまで費用がかかるものではありません。
店舗を構えると家賃などがかかりますので、キッチンカーよりも大幅に運転資金がかかります。
運転資金も店舗と比較すると大幅に抑えられての経営が可能です。
キッチンカーで開業した場合のメリットとは?
ここまではキッチンカーでの開業における需要や将来性、開業にかかる費用や運転資金などについて解説しました。
ここからは、キッチンカーで開業した場合のメリットについて詳しく解説します。
(1)安いコストで開業が可能
先ほどから繰り返しになりますが何より大きなメリットは、安いコストで開業が可能という点です。
前述した通り、店舗を構えて開業する場合と比較しても大幅に安いコストで開業することができます。
さらに、自分の車をキッチンカーに改造して開業することで費用を抑えられる点やリースなども利用できるので、大きな開業資金がかかりません。
運転資金も家賃などがかからず、安い駐車場代を支払うことで、キッチンカーでの事業が開業できます。
開業資金や初期費用という点では店舗を構えるよりも大幅に安い資金で開業できる点がメリットです。
(2)集客が見込める場所へ出向くことができる
店舗を構えて営業する場合、どうしても来店客を待ってサービスを提供するという待ちの営業になってしまいます。
キッチンカーで飲食店を開業する場合、自分たちで集客が見込めそうなポイントへ移動できる点がメリットとして挙げられます。
イベントが開催されるときなどに、キッチンカーでの販売を許可してもらうと、多くの売上が見込めるでしょう。
また、複数の販売ポイントに許可をもらっていると、一日の集客が見込める時間帯だけその場所に出向くと安定した集客に期待ができます。
店舗などを構えておくと、どうしても忙しい時間帯と集客が少ない時間帯に分かれてしまいます。
キッチンカーだと、集客が見込める時間帯が分かれている場所をあらかじめ抑えておくことで効率的な集客ができるといえるでしょう。
(3)自由度が高い
自由度が非常に高い点もメリットといえます。
自分の都合に合わせて開業の日にちを設定することも可能です。
店舗だと、待ちの営業となるため、せっかく来店してくれたお客様が休みとなると次に来店してくれなくなってしまい、なかなか休むことができません。
キッチンカーだと、自らが出向くスタイルになりますので、店舗ほど必ず開店する必要性がないのです。
休む時にはしっかり休むことができる自由度の高さもキッチンカーの開業が増えている要因といえるでしょう。
(4)コロナ禍において安定した需要が見込める
前述しましたが、キッチンカーでの経営は飲食業と中食業も兼ねているような側面があります。
キッチンカーで提供したフードを自宅で楽しむといった方も多く、テイクアウト的な意味合いもあり、コロナ禍にマッチしたビジネスといえるでしょう。
キッチンカーで開業する流れ
キッチンカーで開業するには、いくつかの手順を踏む必要があります。
しっかりと手順を踏まなければ、無駄な動きも多くなり開業まで時間がかかってしまうかもしれません。
ここからはキッチンカーで開業する流れについて詳しく解説します。
(1)コンセプトや事業計画書により予算を決める
まずは、開業にかかる資金がどれくらいになるかを把握しましょう。
どのような商品を提供するのか、ターゲットは誰なのかといった点をしっかりと詰めなければいけません。
事業計画書を作成し、コンセプトやターゲットが決まると、準備するキッチンカーの規模などが把握できますので開業資金がある程度わかります。
事業計画書は、ターゲットや将来の計画、コストなどを決めるために重要な書類です。
しっかりと作成し、今後の経営における指針としなければいけません。
(2)開業資金を準備し、車両の確保、出店する場所を確保する
開業資金が把握できると、資金調達が必要です。
自己資金で準備できなければ、金融機関などからの融資を使うなどして資金を調達しましょう。
資金調達が終わるとキッチンカーの確保と、出店する場所への駐車場を確保しなければいけません。
駐車場自体は、貸主の了解が取れればすぐにでも使用可能ですが、キッチンカーでの開店となると、断られるケースもありますので早めの契約交渉が必要です。
(3)キッチンカー開業に必要な届け出などを行う
キッチンカー届け出に必要な届け出として、食品衛生責任者や営業許可などの届け出が必要です。
食品衛生資格者の資格は、食品衛生協会の講習などに参加して取得可能ですので早めに取得しましょう。
営業許可は保健所で届け出となりますが、提供するサービスによって書類が異なりますので事前に保健所に確認しておくと良いでしょう。
(4)集客など開業前の準備を行う
集客活動として、HPの開設やチラシの配布などが挙げられます。
特に近隣へのチラシ配布は、労力もかかりますが効果的です。
チラシ持参の方に開店サービスなどを付けておくと開店当初に一定の集客が見込めるかもしれません。
あわせて開業前の準備として、設備がきちんと稼働するか、食材の手配、容器の手配など、オープン時に慌てないように準備しておきましょう。
(5)開業
いよいよオープンとなります。
あとはオペレーションを確立し定期的な広告で安定集客を確保し、早めの黒字化を目指しましょう。
まとめ
キッチンカーでの開業は、コロナ禍による中食業の需要増や、食品衛生法の改正といった追い風もあり、開業しやすくなっています。
それだけ、ライバルも増えることになりますので、綿密な計画や、分析が必要です。
開業前の準備として事業計画書を作成することを解説しましたがコンセプトやターゲットの設定が何より大切なポイントです。
ターゲットやコンセプトの設定をしっかりと設定しましょう。
キッチンカーのメリットを十分に生かし、店舗にはない自由度を発揮して成功すると、複数台数での経営も可能ですので将来有望な業種といえるでしょう。