フランチャイズの空き家管理業の開業手順・失敗を避けるコツは?
人口減少傾向や人口都市偏在などの要因によって、全国的に空き家が増加傾向の社会現象があります。
空き家には、雑草が生い茂って害虫などが発生したり、放火のターゲットになったりするなどリスクがあります。
この空き家に関するリスクがある中で、空き家管理が重要になってきています。
そしてこの空き家管理問題の状況で、空き家管理を自らの運営で目指したり、サイドビジネスとして取り組もうと考えたりする会社も増えてきています。
一方で空き家管理業においては、法律とも関わることがあるなど、運営に複数の複雑な要素がある業種です。
ですがフランチャイズ加盟で業務をこなすことにより、空き家管理のノウハウを教えてもらえるなど、複雑な業務を進めていけやすくなる方法もあります。
今回はフランチャイズと空き家管理業について、初期費用とロイヤリティなどの費用や、空き家管理業の難点と失敗を避けるコツなどに触れながら解説します。
目次
フランチャイズの空き家管理の単価目安
フランチャイズの空き家管理に参入すると、まず月額基本料金で「2,000円から」に設定している傾向があります。
基本料金では毎月1度の巡回や、台風通過後の現地確認などをします。
そしてオプションサービスで月額500円や2,000円、そして3,000円などの料金設定もしています。
オプションサービスでは室内定期清掃や敷地内除草、そして害虫駆除や排雪などの業務があります。
高収入を目指すためには、以下のような点を心がけるとよいでしょう。
- 基本料金での対応について経験を積んで、要領よく進められるようになる
- シロアリや電気配線など、複雑なチェックポイントについても勉強しておく
- 各種専門業者について、相場費用で高品質対応をする業者を探しておく
- わかりやすく丁寧な、報告書作成を練習する
- 行政交渉に備え、士業家に相談しておく
- 顧客や関係先へ、迅速で丁寧な連絡をする
- 空き家の所有者へ、自分自身も営業をかける など
初期費用とロイヤリティなどの費用
(1)初期費用
初期費用として一般的に、100万円程度想定しておくことがおすすめといえます。
そして安価な本部では30万円程度で、期間限定により15万円程度になる時もあります。
本業とするケースでは売上を確保できるまでの、生活費や運転資金も別途考慮しておく必要もあります。
【初期費用内訳】
- 加盟費
- サイト制作費
- マニュアル提供費
- ステッカーなどの販売促進費 など
(2)ロイヤリティ
月額定額制:10,000~35,000円程度となっています。
ロイヤリティには、実務研修やサイト維持管理費の意味合いのところもあります。
空き家管理の業界事情
空き家管理には、次のような業界事情があります。
(1)増加傾向の空き家
全国の空き家数について、2013年時点の820万戸から2018年時点の846万戸と、26万戸で3.2%増加の数値もあります。
そして空き家率は14%ほどと、過去最高率ともいわれています。
これは、人口減少傾向などの要因が大きいです。
そして具体的には、子供たちは全員都市部に住んでいて、実家の父親は亡くなり母親は介護事業所で暮らしているなどの要因もあります。
(2)空き家の問題点
空き家には、次のような問題点や懸念点があります。
- 老朽化した屋根などが吹き飛び、人がケガをする
- 不衛生になり、虫などが繁殖する
- 放火のターゲットになる
- 地震の際の倒壊懸念
- 不法侵入など、何らかの犯罪ターゲットになる
- 資産価値が低下する など
(3)不動産テックの導入
不動産テックによって、元々各地方自治体が各々で管理していた空き家や空き地の情報を、一元化しました。
そして全国の物件を探す人が、空き家情報を容易に検索できるようになりました。
不動産テック:ITなどのテクノロジーによって、不動産に関わる活動をある程度管理する考え方のこと。
空き家管理の業務内容
空き家管理には、次のような業務内容があります。
(1)定期的な物件のチェック
まず定期的に自身が受託している物件について、何かトラブルなどがないかどうか見回りをします。
そして台風がきたり地震が起きたりした時などは、早めに行って念入りに確認し、破損個所などを把握する必要もあります。
またチェック内容を報告書にまとめ、顧客へ提出します。
(2)トラブル発生時の対応
壁破損などのトラブルが発生したら、トラブル対応をします。
顧客への連絡はもちろん、修理業者などへの連絡や手配も必要です。
また定期物件チェック同様、トラブル対応内容を報告書の形で顧客へ提出します。
(3)役所などからの郵便対応
役所などから、空き家世帯主や家族あての郵便物が届くこともあります。
このようなケースでは、転送含め郵便物内容への対応をします。
(4)具体的な対応内容
- 管理看板設置
- 敷地内ゴミ処理と庭木確認
- 通気や換気と雨漏り点検
- 草刈り
- 害虫対策
- 屋根の雪処理 など
フランチャイズによる空き家管理業の開業手順
(1)問い合わせ
最初に本部へ電話やメールなどの形で、問い合わせをします。
(2)業務説明
空き家管理の業務内容や、対象本部へ加入するメリットなどについて説明があります。
(3)詳細話し合い
本業かサイドビジネスかなど、加盟と業務開始のために詳細を話し合います。仕事の進め方など、ささいな点も含め話し合っておくことがおすすめといえます。
(4)加盟
加盟と業務開始が実現しそうなケースでは、審査を経て加盟段取となります。契約書は非常に大事なので、熟読する必要があります。
(5)開業
(1)~(4)の段階を経て、開業と空き家管理業務開始となります。
フランチャイズで空き家管理業を開業するメリット
フランチャイズの空き家管理業には、次のようなメリットがあります。
(1)ノウハウ提供
空き家管理業には、多くの企業や個人が参入してきています。
一方で、運営がうまくいっている業者は多くありません。
原因としては、空き家管理のノウハウを十分に確立できておらず、顧客の満足を得られていない業者もあるためです。
ですがフランチャイズでは、元々不動産業を営んでいる会社が本部のところもあります。
つまり、空き家管理に対してもある程度ノウハウが元々あるわけです。
よって空き家管理のノウハウを習得し、高精度な業務にできやすいといえます。
(2)専用サイトでの集客
実際の空き家管理において、依頼主は都心部で、対象の空き家は遠方の田舎部のケースもあります。
このようなケースで依頼主は「~県 空き家管理業者」のような検索ワードで検索します。
この検索で検索者の目に留まりやすくするために、数十ページから構成する専用ページが効果的ともいわれます。
一方でこのような専用サイト作成は、自力では容易でない傾向もあります。
ですがフランチャイズでは、本部が専用サイトを提供するところもあります。
(3)ウェブ報告書の設置
報告書について、活字印刷形式の紙媒体のみならず、ウェブ上で確認できるものを希望する人もいます。
一方でウェブ上の報告書設置は方法に精通していないと、作成は容易でない時もあります。
ですがフランチャイズでは、ウェブ報告書を既に構築してあるところもあります。
そして、海外からも閲覧可能なところもあります。
よって報告書についての手間を省けて、業務をスムーズに進めやすいです。
(4)コンビニ払対応
支払方法として遠方のケースでは、銀行振込などがあります。
一方で銀行振込は、仮に銀行ATMやコンビニATMが混んでいる時には意外と手間暇がかかり、振込者としては不便な時もあります。
ですがフランチャイズでは、コンビニ払込票を採用しているところもあり便利です。
(5)信用性
空き家管理業は依頼主からすると、他人にカギを預け自由に出入りすることを許可することです。
貴重品こそないものの、やはり他人が自由に家に出入りすることには抵抗がある人も少なくありません。
一方で、他人に管理を託さざるを得ない現実問題もあります。
フランチャイズでは本部の信用性の高さにより、仕事を得やすい傾向もあります。
(6)士業家と連携
空き家管理というと、空家等対策特別措置法などの法律と関係して、なかなか気持ちが前向きになりにくい人もいます。
ですがフランチャイズでは、弁護士や司法書士などの士業家と連携しているところもあります。
よって、法律に関するさまざまなアドバイスを受けられるところもあり、前向きになりやすいです。
(7)別のビジネスチャンスの可能性
仮に不動産会社が、空き家管理業に参入するとします。
空き家管理業では管理だけでなく、ゆくゆくは対象物件が売却対象になる可能性もあります。
つまり売却が成立した時に、仲介手数料などの収益を得られる見込みもあります。
(8)ビジネスエリアを拡大できやすい
空き家管理は、まだまださほど大きくは普及できていない現状もあります。
そして開業には、地方自治体などからの許可や特段必要な資格もありません。
よって本部のブランド性をもって、県境を越えて新たな仕事を取ることができやすいです。
次の内容は、空き家管理業一般についてもいえます。
(9)利益率が高い
空き家管理業では、オフィスも必要なければ製造原価もかかりません。
よって、高利益率を維持できる傾向もあります。
フランチャイズで空き家管理業を開業するデメリット
(1)契約期間内に空き家が激減
フランチャイズでは契約期間があるところもあり、原則契約期間内は解約できません。
空家はエリアによっては、そう多くないところもあります。
行政代執行や売却などにより、契約期間内にターゲットエリアの空き家が減少する可能性もあります。
そして空き家が減少すると、仕事そのものがなくなる可能性もあります。
ですが本部へ月々払う必要のある会費は、払わねばならない懸念もあります。
年齢と健康上の事情で、対象範囲を広げ新たな空き家を求め営業をかけにくい時はデメリットとなります。
(2)エリアによる価格調整を認められない
地域やエリアによって、顧客の経済事情はさまざまです。
そして空き家管理に対する、予算価値観もさまざまです。
つまり例えば顧客から「あと~円位何とかならないですか?」と、料金交渉をされるとします。
加盟者自身としては、顧客からのリクエスト金額で十分な時もあります。
ですがフランチャイズ本部より認められないと、せっかくの見込み顧客を逃してしまいます。
空き家管理業の難点と失敗を避けるコツ
(1)24時間緊急出動の可能性
万が一例えば、夜間に放火などによる火災が起これば、深夜でも対応する必要はあります。
こうなると夜中にしっかりと熟睡できないこともあり、体調不良にもつながります。
よって人一倍の、体調維持工夫も必要です。
(2)各種業者手配
例えば管理対象物件内で、電気系統配線故障や害虫トラブルなどがあるとします。
当然このようなケースでは、依頼主に代わり業者を手配し措置を講じる必要があります。
一方で害虫駆除業者など、特殊作業を請け負う業者の優良業者探しは、意外と容易ではありません。
よって時間がある時に、インターネット検索や知り合いなどに尋ねて、相場価格で高品質に仕上げる業者を探しておきたいものです。
(3)報告書の文面作成練習
クライアントへの報告書は、わかりやすい文面である必要もあります。
一方でわかりやすい文面作成は、慣れていないとスムーズには進められない傾向もあります。
とりわけ専門用語のみの羅列などは、わかりにくい文面になってしまう要因にもなります。
よって文面作成に慣れていないケースでは、時間のある時に文面作成の練習もしておくことがおすすめといえます。
(4)完全に管理できるわけではない
空き家管理業といえども、老朽化によるトラブルなどを完全に防げるとは限りません。
特に業務開始当初は、仕事を取るために「あれもできます、これもできます」とアピールしたくなる傾向もあります。
一方であまりにアピールし過ぎるがために、依頼主のイメージが非常に大きくなる可能性もあります。
つまり加盟者ができる対応と、依頼主の期待の間にギャップが生じる懸念もあります。
こうなると、クレームにつながります。
よって対応可能範囲について、丁寧に詳細に説明しておく必要はあります。
(5)行政側との交渉
空き家問題については、状況次第では行政代執行の事態もあります。
行政代執行とは行政側が所有者に代わり、危険物除去やゴミ撤去などを行い、建物そのものの解体に話が発展することもあります。
一方で依頼主としては「思い出が大きい」などの事情にて、行政代執行を避けたい時もあります。
そして依頼主は入院中や海外にいるなどの事情にて、行政側と電話もなかなかできにくい可能性もあります。
このようなケースでは、管理業者が依頼主に代わって行政側と話し合う必要もあります。
ですが行政側との話し合いは、一筋縄には進みにくい時もあります。
よって士業家などにも相談して、事前に戦略を練って望むことがおすすめといえます。
(6)仏壇対応
依頼主からのリクエストにより、位牌を大きい仏壇から小さい仏壇へ移す必要があるとします。
一見物理的に、大きい仏壇から小さい仏壇へ位牌を移すだけの単純作業のようにも思えます。
一方で位牌の移動については、依頼主のなじみのあるお寺へ連絡をして法要を行う時もあります。
よって位牌をはじめ仏壇対応をする時には、宗教が関係する時もあるので、念入りに自分なりに調べたり本部へ相談したりすることも大切です。
(7)営業のかけ方
本部ホームページによる集客は、もちろん効果的です。
そして、自身での営業ももちろん大切です。
空き家管理の営業は、空家の所有者に営業をかける方法もあります。
空き家の所有者探しには、次のような方法もあります。
- 不動産登記情報の閲覧
- 空家のある近所へ情報聞き取り
- 空家へ郵送したら、所有者へ転送される可能性もある など
上記のような方法も、有効に活用できたいものです。
(8)保険
空き家管理業では、さまざまな対応をすることになり、専門業者に措置をお願いすることもあります。
一方で専門業者といえども何のアクシデントで、管理物件を破損してしまう可能性を完全には否定できません。
そして直接の責任者は専門業者とはいえ、管理加盟者も幾分か経済的責任を負う可能性もあります。
このようなリスクに備え、火災保険や請負業者賠償責任保険などへの加入もおすすめです。
まとめ
ここまで、フランチャイズと空き家管理業について考察してきました。
押さえておきたい点は、ノウハウ提供がある点や、士業家からのアドバイスを請えることもあるなどのメリットです。
そして行政側との交渉など、空き家管理業の難点と失敗を避けるコツもポイントといえます。
空き家管理業は、まだまだ参入余地の大きい業種です。
業務要領に早く慣れて、法律や交渉方法なども勉強し、依頼主や自治体双方から貴重な存在と認められる空き家管理業を創造なさってください。
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