フランチャイズで黒字化するポイントは?赤字から黒字へ転換するプロセスも解説
フランチャイズの方法で、独立開業を検討したり実行したりする人が増えてきています。
フランチャイズ独立開業と運営がうまくいけば、収入アップや自己の裁量による時間の確保といったメリットがあります。
一方で独立開業一般に、開業そのものはもちろん繁盛実現も容易ではありません。
繁盛にはまず最低限黒字化が必要ですが、この黒字化が大きな第一関門といえます。
フランチャイズではブランド性の効果や本部のサポートにより、一からの独立より黒字化をしやすい傾向があります。
今回はフランチャイズと黒字化について、黒字化までの期間や利益を上げやすい業種などに触れながら解説します。
黒字化までの期間
(1)安定して単月黒字実現
- 開業2か月以内:1割程度
- 開業半年以内:1割程度
- 開業1年以内:1.5割程度
- 開業2年以内:2割程度
- 開業3年以内:2割弱程度
7.5割程度の加盟者が、3年以内の安定した単月黒字を実現できる傾向にあります。
(2)累積黒字の実現
累積黒字の実現は、初期投資額の回収が完了できたことを意味します。
- 開業2か月以内:1割程度
- 開業半年以内:0.5割程度
- 開業1年以内:1割弱程度
- 開業2年以内:2割弱程度
- 開業3年以内:1割程度
- 開業4年以内:1割程度
半分弱程度の加盟者が2年以内に、6.5割弱程度の加盟者が4年以内に、初期投資額を回収完了できる傾向にあります。
一般論として起業後3年で、半数が経済上の問題で廃業する数字もあります。
よって単月黒字と累積黒字実現の観点から、いかにフランチャイズが黒字化と初期投資額回収をできやすいか理解いただけるでしょう。
利益を上げやすい業種
次のような業種が、利益を上げやすい業種です。
- ハウスクリーニング業
- 家事代行業
- リペア業
- 移動式販売業
- 高齢者配食サービス業
- 映像授業型学習塾業
- テイクアウト型飲食店業
- 福祉と介護業
- クリーニング業
- リサイクル業
- インターネットビジネス業
まず上記業種は、底堅い需要が見込めます。
そして在庫を抱える必要がなかったり、別途に店舗を構える必要がなかったりの特徴があります。
また上記業種は、利益を上げやすい業種の一部です。
黒字化しやすい本部の特徴と視点
次のような、特徴のある本部を選びたいものです。
(1)経営状態と方針を開示している
①売上状況を開示している
本部に大きな資金力がある方が、加盟者も開業や運営を進めやすい傾向があります。
正確な決算状況とまではいわなくとも、大まかな売上状況だけでも開示してほしいものです。
②経営者の理念
会社には、経営者の考え方が反映されるともいわれます。
理念に共感できる経営者の本部に、加盟するのが好ましいです。
③フランチャイズ方針
自分が得意とする業種を取り扱っていながらも、実は他業種に方針転換を検討中の可能性もゼロではありません。
今後の、フランチャイズ事業方針も要チェックといえます。
(2)支援体制が充実している
①開業手続き支援
開業に関する段取りなども、素人ではなかなか要領よく進めにくいケースが少なくありません。
この点についての、支援は大切です。
例えば、市場調査や立地選定などといったことです。
②人材確保支援
採用と人材育成ノウハウは、専門職といっても過言でないくらい特殊な内容です。
高精度な人材育成は、順調な運営につながります。順調な運営は、黒字化にもつながります。
③運営支援
事業を営んでいると、複数の想定外トラブルがあります。このケースで本部のスーパーバイザーが迅速に、回避策を提供してくれると大きな助けになります。
事業一般に、危機管理及び解決策は最重要事項の一つともいえます。
そして加盟者の裁量についても、本部全体でも話し合いをもってもらえると有難いです。
また節税や資金調達についてのアドバイスも、効果的です。やはり現金の確保は、黒字化に大きくつながります。
(3)契約への姿勢
①急かすような文言をいわない
「弊社の加盟者には、短期間での黒字化と高収入実現者が続出しています」
「今のうちの加盟がお得です」というように、収益に関する大した議論もせずに契約を急かそうとする本部はあやしいです。
②契約書についての説明が明確
契約書は大金を動かせる可能性がある、非常に重要な書類です。
契約書そのものはもちろん、加盟希望者の疑問点と不明点に対して、明確な回答ができるか否かもポイントといえます。
売上保証制度
「売上保証制度」は、売上が一定水準に満たなかった際に、不足分が保証金から補われる制度のことです。
注意点として、加盟者の給料が保証されるわけではない点です。
「売上保証制度があるから、大丈夫だろう」という、安易な気持ちでの加盟はおすすめできません。
一方で売上保証制度が適用されている間に、商品や提供サービスそのものと広告方法について、見直しと改善ができれば黒字につながる可能性があります。
この意味で、売上保証制度の活用は効果的といえます。よって、売上保証制度の有無も要参考ポイントといえます。
黒字化のステップ
黒字化へのプロセスは、次のような流れです。
(1)現状分析
【収支分岐点売上の算出】
収支分岐点売上=(固定費+借入金返済額)÷限界利益率
- 収支分岐点売上:必ず達成の必要がある売上額
- 限界利益率(粗利益率):一般的に25%以上が目安
- 限界利益率= 限界利益÷売上高
※限界利益率(売上高に占める限界利益の割合のこと)
- 限界利益=売上高―変動費
※限界利益(会社が儲かっているか否か確認する指標の一つ)
(2)収益改善シミュレーション
収支分岐点売上額に、どう近づけるかを検討する段階です。単純に機械的に商品単価を上げることは、容易ではありません。
よって、発注数と利益率の高い商品やサービスの、増産や拡充を検討及び実行していきます。
そして、不良品の発生や返品の発生防止策も考えます。
(3)固定費の見直し
固定費には、次のような要素があります。
- 従業員の給料
- 家賃
- 通信費など
従業員の給料や家賃は、なかなか削減しにくいでしょう。
一方で通信費などといった費用項目は、幾分かでも削減可能なケースがあります。
契約先変更や、長期間同じ状態だったプランを見直すと意外と不要な部分が出てくる可能性があります。
(4)売上高アップ
①既存商品での売上高アップ
次のような方法にて、既存商品の売上高拡充を目指します。
I.品質改良
まず、品質改良です。お客様の要望や世の中の流れに合わせて、自社製品を改変するわけです。
世の中の流れは、様々な出来事や法律の改正などといったことを意味します。
II.各種キャンペーン
期間限定のセット販売割引や、おまけなどの付加価値をつけます。
III.販売方法変更
自社オフィスで行っていた販売を、ネット販売との併用やネット販売代行に委託する方法もあります。
②新規事業
資金的に人材的に可能なケースでは、異業種への参入も一つの方法です。業種では上記でも触れていますが、今後は次の三要素が成長産業のキーワードといえます。
- 介護と福祉
- インターネット
- 環境
そして次の二要素も、集客と利益率アップのカギと考えられます。
I.ロボットや人工知能を使ったオートメーション化
生産過程や供給過程に人を経由しないことで、人件費を節約できます。
II.業種の融合
例えば「本を読みながら、コーヒーを飲める」形です。これは「本の小売業」と「カフェ」の融合といえます。
つまり、同時に複数の目的を達成できることです。
新規事業については、考案のポイントを後ほど詳しく記します。
(5)資金策
仮に黒字化までに、半年かかるとします。この半年間の運転資金確保に対し万策が尽き、あともう少しで黒字実現の時点にて、廃業の事態が少なくありません。
このようなケースで融資を調達できれば、大きな助けになる時もあります。
融資申請の際に、自己資金でなるべく多くの現金を準備できていれば、可決しやすい傾向もあります。
そして、助成金の活用もあります。
雇用に関する助成金もあるので、活用できれば経費節約にもなり便利です。
赤字の本質
黒字化への方法は赤字化を防ぐ、赤字へ対処措置をとることとも考えられます。
一方で赤字と一言でいっても、三つのタイプがあり次の通りです。
(1)一過性で特段の処置は要しない赤字
売上閑散期で、かつ今月はたまたまオフィス移転でいつもより経費が大きくかかったなどの要因による赤字です。
(2)慢性的で処置を要する赤字
商品やサービスが数か月にわたって著しく売れなくなり、大きな見直しや改善策の検討を要する赤字です。
(3)組織の構造そのものも原因の一つで、非常に深刻な赤字
売上が著しくよくなく、経費も必要以上にかかっている状況です。
各種支払いが難しくなる可能性があり、会社の信用や経営そのものに致命的な悪影響を及ぼしかねない赤字です。
赤字になると、まず自分たちで処置を施そうと考える傾向があります。
一方で一見「慢性的で処置を要する赤字」 にみえながらも、潜在リスクとして「非常に深刻な赤字」の状況になりつつある可能性があります。
このケースでは、税理士などの士業家や外部の事業経験者の、知識や知恵が必要になります。
そして少しでも「慢性的で処置を要する赤字」の状況を感じたら、士業家や事業経験者に相談し、リスクの芽を除去しておくことがおすすめといえます。
赤字から黒字へ転換するためのポイント
黒字転換に向けて、既存事業や新規事業について次のポイントを考慮したいものです。
(1)コンセプト
既存事業や新規事業について考える段階です。
①需要性
対象の商品やサービスが、需要があると考えられる根拠は何なのかの点です。
そして何の商品やサービスに改変すれば、需要性があるのかとも考えられます。
この点については熟慮を重ねると、新しい発想やアイディアが生まれる可能性があります。
この際、次の要素を熟慮に加えると、スムーズにいく傾向もあります。
- Who: 誰が
- When:いつ、何のときに
- Why:何のために
- What:何を、どんな内容を
- Where:どこで、何の場所で
- How:どのように
- How much:どの程度の価格で
②ビジネス性についての審議
需要性がある物事に対し、原価や販売予定価格からビジネスとして意義があるのか否か検討します。
つまり、どの程度収益や利益が生まれるのかのことです。
(2)ビジネスモデル考案
具体的に、売上につなげる方法を考える段階です。
①開発と製造
どのように製品を販売可能な形に実現させ、量産するかを検討します。
②広告方法
広告方法を、検討します。費用の都合で、大規模なネット広告などをできない間は、ダイレクトメール作成と送付などの方法があります。
費用に余裕があれば、展示会への出展も効果的です。
③販売方法考案
販売方法には例えば、次のような方法があります。
- 店頭販売
- 移動販売
- 自社サイトを含めた通信販売など
(3)事業計画立案
組織や会社規模で、実行に向けて次のような内容を話し合います。
- いつから販売するのか
- 販売量はどの程度を見積もるのか
- どこで販売するのか
- どれくらいの売上を想定するのか
- どれくらいの利益になりそうなのか
- 危機管理体制はどうするのかなど
複数名で話し合うことはもちろん、できれば社外の人の意見も参考にしたいものです。
またB to Bのケースでは、実際の使用者と決裁者が違う可能性があることも大切な考慮点といえます。
まとめ
ここまで、フランチャイズと黒字化について考察してきました。
押さえておきたい点は、利益をあげやすい業種と本部の特徴です。そして、黒字化のステップもポイントといえます。
本記事前半でも記しているように、フランチャイズは累積黒字の実現を目指しやすいビジネス方法といえます。
徹底した業種見極めと、高精度な戦略で黒字化を目指してください。
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