フランチャイズで黒字化するポイントは?赤字から黒字へ転換するプロセスも解説

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フランチャイズ 黒字化

事業を始めた多くの人のハードルとなるのが、黒字化への転換です。

思うように利益が得られず、短期間で廃業してしまうオーナーもいるなか、どのように生き残ればよいのでしょうか。

フランチャイズビジネスでは、屋号の利用や本部サポートの活用により、一般的に個人で開業する事業主より有利に事業を運営できますが、それでも失敗するケースは珍しくありません。

この記事では、フランチャイズビジネスを黒字化するためには何をするべきなのか詳しく説明します

投稿者・コラム執筆者

黒字化までの期間

黒字化までの期間は事業者によって異なりますが、以下の期間を要する事業者が多数派となっています。

安定的に単月黒字化できるまで:約3年程度

累積黒字(初期投資の回収完了)まで:約4年以内

この期間内に廃業してしまう事業主も多いため、まずは上記の期間中に黒字化することを目指して事業運営を行ってみましょう。

比較的売上を上げやすい業種

売上をいかに出すかは事業者の能力による部分も大きいですが、売上を伸ばしやすい業種も存在します。

例えば、以下の業種は需要が安定しており、比較的黒字化しやすいといえます。

  • ハウスクリーニング
  • 家事代行
  • リペア業
  • 移動販売
  • 高齢者配食サービス
  • 映像授業型学習塾
  • テイクアウト型飲食店
  • 福祉と介護
  • クリーニング
  • リサイクル
  • インターネットビジネス

一般的に、在庫の保有や店舗を構える必要がないビジネスや、初期費用の少ないビジネスは失敗しにくいといえます

黒字化しやすい本部の特徴と視点

本部選びも、黒字化のために重要となります。

黒字化しやすい本部の特徴を見てみましょう。

(1)経営状況と方針を開示している

本部自身の経営状況を開示しているかは、加盟先選びで非常に重要です。

①売上状況を開示しているフランチャイズ本部自身の経営状態と経営方針を開示しているかは大切な基準となります。

一般的に、本部のフランチャイズ事業に本部に大きな資金力がある方が、加盟者も開業や運営を進めやすい傾向があります。

サポートや商品開発の余力が大きく、結果的に加盟者側が事業を運営しやすくなります。

②経営者の理念

また、経営理念も大切なポイントです。

企業の運営には、経営者の考え方が反映されるともいわれているため、理念に共感できる経営者のもとに加盟するのが望ましいでしょう。

③フランチャイズビジネスの今後の方針フランチャイズ事業の今後の方針も確認しておきましょう。

加盟者を募集していても、将来的には縮小を予定していることもあるためです。

事業の長期存続のためにも、運営方針や今後の予定も本部選びの基準となります

(2)支援体制が充実している

フランチャイズ本部から加盟店へのサポートが充実しているかどうかも、開業・運営にあたって非常に重要です。

①開業手続き支援開業準備は、オーナーひとりで行うのは難しいのが現実です。

そのため、開業の手続きに関する支援があるかは確認しておきましょう。

例えば、開業にあたっての市場調査や、店舗の立地の選定を本部が代行してくれる場合、開業後の滑り出しがよくなる効果があります。

②人材確保支援採用と人材育成についても、サポートがあると安心です。

スタッフの募集や教育、知識のないオーナーが一人で効果的に行うのは難しいためです。

良い人材の確保は売上に直結するポイントのため、この点も考慮して加盟先を選びましょう。

③運営支援

事業の運営中は、想定外のトラブルが起こることは少なくありません。

こういった場合に、本部の担当者が助けてくれると非常に心強いです。

ほかにも、売上が伸び悩んでいるときや、節税や資金調達など、総合的な相談役としてサポートしてくれれば、事業の良きパートナーになるでしょう。

開業資金を低く設定する代わりにサポートを縮小している本部も存在するため、開業時・開業後の対応はしっかりと確認しておきましょう。

(3)契約への姿勢・態度が良い

契約に際しての言動・態度なども大切なポイントです。

フランチャイズ契約でしばしばトラブルになるのが、本部側から急かされて契約したり、内容をよく把握しないまま契約したりしてしまうことです。

内容を理解する時間を与えない、メリットばかりを強調するといった場合、契約内容に加盟店側が不利になる点があるのかもしれません。

フランチャイズ契約では、数百万円の大金が動くため、信頼できるパートナー選びが不可欠です。

質問にしっかりと答えてくれる、きちんと検討する時間を与えてくれる本部を選びましょう

(4)売上保証制度がある

「売上保証制度」は、売上が一定水準に満たなかった際に、不足分をが保証金から補われ本部が保証する制度のことです。

売上の伸び悩む開業直後に売上保証制度を利用できると、事業の体力を維持しつつ対策を練ることができます

注意点は、売上=収入ではないため、必ずしも加盟者の収入が保証されるわけではないという点です。

「売上保証制度があるから、大丈夫だろう」という、安易な気持ちでの加盟はおすすめできません。

黒字化へのステップ

現時点で赤字の事業を黒字化するには、事業を分析し、最適な対策を打つ必要があります。

具体的な黒字化へのプロセスは、次のような流れです。

(1)現状を分析する

まずは、現状を分析する必要があります。

数値上どの程度赤字であり、黒字化のためには毎月いくら必要なのかを確認しましょう。

その後、個別の商品・サービスの売上強化の対策や、固定費など支出の見直しを行います。

現状の分析のための目安の一つが、損益分岐点です。

簡単にいうと、事業運営のコストを収益でまかないきれる最小の数値のことです。

損益分岐点を超過した分は利益が出ることになります。

計算式は次のとおりです。

損益分岐点売上高=固定費÷{(売上高−変動費)÷売上高}

まずは、現時点での損益分岐点売上高がいくらなのか確認してみましょう

(2)収益改善のための方法を考える

算出した損益分岐点売上高にいかに近付けるかを、具体的に検討していきます。

単純な単価の上昇は客離れに繋がるため、まずはその他の部分を見直してみましょう。

対策としては、時代や需要を掘り下げたうえでの新規商品の開発や、既存の人気商品・利益率の高い商品の販売強化などが例として挙げられます

(3)固定費の見直し

固定費が下がると支出が減少するため、この点を見直すことも利益を出すために効果的です。

固定費に分類されるのは、以下のような支出です。

  • 人件費従業員の給料
  • 店舗や倉庫の賃料家賃
  • 通信費
  • 広告宣伝費
  • 備品のリース料など

人件費や賃料は削減が難しい一方、通信費やリース料は比較的削減しやすいといえます。

契約先変更や、プランのを見直しによって、質を落とすことなく固定費を削減できることもあります

(4)売上高を伸ばす方法を考える

売上を伸ばす方法に必ずしも正解はありません。

一般的には「既存商品の売上強化」「新規事業への参入」という二種類のアプローチが検討されることが多いです。

①既存商品での売上高アップ

既存商品の売上を伸ばす場合、次のような方法が考えられます。

【品質改良】

既存の商品の質や内容を、顧客の希望やトレンドに合わせて随時修正・変更します。

【キャンペーンの実施】

期間限定でキャンペーンを行い、販促を強化します。

例えば、期間限定のセット販売割引や、おまけなどの付加価値をつけることが挙げられます。

【販路の見直し】

現在の販売方法を変更・または見直します。

例えば、自社自社店舗のみオフィスで行っていた販売を、ネット販売との併用したり、代行会社に委託する方法もがあります。

②新規事業の立ち上げ

資金と人材に余裕があれば、新たな事業を立ち上げることも選択肢の一つです。

新規事業といっても、全くの異業種である必要はありません。

例えば、飲食店でお店のメニューを食品として販売するなど、既存の事業を拡張する形で小規模に始めることも、立派な新規事業の一つです。

既存のノウハウを生かす形で事業を立ち上げられれば、成功する確率も高くなります。

新規事業を始める手順については、考案のポイントを後ほど詳しく紹介します。

赤字の本質

赤字=対策が必要で危険なもの、といったイメージを持っている方も多いのですが、実は赤字には問題ではない赤字と、対策が必要な赤字の二種類が存在します。

(1)一過性の赤字

設備投資やオフィスの移転など、一時的な支出の増加によって、短期の赤字になっている場合があります。

また、細かい支出の増加と、業界の閑散期が重なった場合なども、短期的な赤字を計上することがあります。

こうした「一過性かつ理由がはっきりしている赤字」については、あまり危険性は高くないケースが多いです。

(2)慢性的な赤字

一方で、売上そのものが不振な場合や、材料費の高騰による長期的な支出の増加による赤字の計上は、対策が必要となります。

利益の減少は事業の体力の低下に繋がるため、一つ一つは小さな問題でも、重なると事業が傾きかねません。

それぞれ原因を明らかにし、確実に手を打っていきましょう。

赤字から黒字へ転換するための新規事業開発のポイント

黒字転換に向けて新規事業や新商品の開発を行う場合、新規事業について次のポイントを考慮して進めます。

(1)商品・サービスのコンセプトを確認する

まずは、商品・サービスのおおまかなコンセプトを考えます。

具体的には、需要がどの程度あるかと、ビジネスとして成り立つかを評価します。

①市場の需要を捉えられるか検討する

対象の商品やサービスに、どの程度の需要が見込めるかを、データとともに評価します。

このとき、以下の要素を明確にして進めると、商品のコンセプトが具体化し、ニーズがある層が明らかになりやすいです。

  • Who: 誰が
  • When:いつ
  • Why:何のために
  • What:何を
  • Where:どこで
  • How:どのように
  • How much:どの程度の価格で

②ビジネスとして成り立つかを検討する

需要の有無を確認できたら、次にビジネスとして成立するかと検討してみましょう。

原価や販売予定価格をシミュレーションし「やるか」「やらないか」を総合的に評価します。

(2)ビジネスモデルを考案する

需要があり、ビジネスとして成立させられそうだと判明したら、次にどのように実現するかを具体的に決定していきます。

このときに大切なのが以下の3つの要素です。

①開発と製造

どのように製品のを提供を実現するのか、量産できるかを検討します。

既存の商品の製造設備が流用できるのであればコスト減に繋がりますし、難しいのであれば新たな設備や拠点の確保が必要となります。

②広告方法

広告・宣伝をどのように行うか方法を、検討します。

ネット広告やダイレクトメールの送付など、予算や規模を考慮しつつ具体化しましょう。

予算に余裕があれば、展示会への出典やテレビ・ラジオへのCM提供なども視野に入れることができます。

③販売方法考案

商品・サービスをどのような方法で消費者に届けるかを決定します。

販売方法には、例えば、次のような方法があります。

  • 店舗を確保して店頭販売
  • キッチンカーなどによる移動移動販売
  • 自社サイトを含めた通信販売
  • 既存店舗に依頼しての委託販売など

こちらも往々にして追加の投資が必要となるため、需要が見込める層や予算を考慮して決定していきます。

(3)事業計画の立案

シミュレーションが完了したら、新たな事業の実現に向けて、事業計画の立案を行います。

以下の内容を明確化し、計画に盛り込んでみましょう。

  • いつから販売するのか
  • 販売量はどの程度を見積もるのか
  • どこで販売するのか
  • どの程度の売上を想定するのか
  • どの程度の利益になりそうなのか
  • 危機管理体制はどうするのか

事業運営に関わる人全体で複数名で話し合うことはもちろん、フランチャイズ本部の担当者にも意見を聞いてみましょう。

過去の事例や、他の加盟店で類似サービスを扱ったことがあれば、アドバイスをしてくれるでしょう。

まとめ

フランチャイズビジネスを黒字化させるうえで重要となるのは、現状の赤字の問題点を明らかにし、適切に対策することです。

フランチャイズ本部のサポートを得られるため、一人で事業を運営している場合と比べると、赤字の状況を打開しやすいことが多いです。

開業前の方であれば、本部選びと業種選びを慎重に行うことで、黒字化しやすい環境を整えることもできます。

まずは、現状分析をしっかりと行い、黒字化のために何が必要なのかを整理してみましょう。


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