フランチャイズビジネスの仕組みを解説
業績が好調で事業規模のさらなる拡大をしたい経営者の方には、「フランチャイズビジネス化」することが効果的な手段の一つとして挙げられます。
ただ、フランチャイズオーナーを募集して出店することには、単なる店舗の増加とは異なる仕組みづくりが必要です。
この記事では、ビジネスのフランチャイズ化と、そのための具体的な方法を紹介します。
ビジネスのフランチャイズ化について
ビジネスをフランチャイズ化するためには、まずはフランチャイズビジネスについて知っておく必要があります。
まずは、フランチャイズビジネスについて解説します。
(1)そもそもフランチャイズビジネスとは
フランチャイズビジネスとは、個人事業主や法人がフランチャイズ本部と提携し、フランチャイズ本部の店舗の一つとして店を運営するビジネスモデルです。
フランチャイズオーナーになるには、フランチャイズ本部へ加盟金やロイヤリティが支払われます。
その一方で、フランチャイズブランド本部はオーナーに対し、てブランドの使用とノウハウや商品を提供します。
つまり、フランチャイズオーナーからすれば未経験でもすでに構築されたビジネスを行うことができ、フランチャイズ本部からすれば事業拡大しながら加盟金などの費用を受け取ることができるという双方に異なるメリットがあります。
(2)フランチャイズ化のメリット・デメリット
ビジネスをフランチャイズ化することには、メリットとデメリットがあります。
フランチャイズ化する前に、メリットとデメリットについて把握しておきましょう。
【メリット】
- 少ない資本で事業を拡大できる
- 短期間で多店舗化が実現できる
- 加盟金やロイヤリティによる安定収入が確保される
- ブランドの認知力が高まる
【デメリット】
- 本部構築のための労力と費用が必要
- 加盟店との関係構築が必要
- ノウハウが流出する恐れがある
フランチャイズ化するための準備
事業のフランチャイズ化のための仕組みを作るには、事前準備が必要です。
フランチャイズ化して成功するために行うためには、大きく分けて以下の次の4種類の準備を行うべきだといえます。
(1)加盟者にとって魅力的なビジネスか再確認する
フランチャイズ化したいと考えるビジネスが加盟者にとって魅力がなければ、加盟希望者を集めることはできません。
まずは、フランチャイズの加盟希望者にとって自社の事業は魅力のあるものなのか再確認する必要があります。
①:継続的な収益が得られるか
加盟希望者がフランチャイズを選択する理由として、効率良く継続的な収益が得られやすいという点が挙げられます。
そのため、加盟希望者は継続的な収益が得られるビジネスモデルであるかどうかという点を重視します。
自社の事業の売上推移から、どのように売上を伸ばすことができたのか再度確認しましょう。
そして、フランチャイズに加盟した店舗がどの程度の利益を期待できるのか具体的に算出してみることも大切です。
また、そのビジネスがフランチャイズ店舗でも再現できるか客観的に検討し直してみてください。
②:長期継続できる見込みはあるか
フランチャイズに加盟するのであれば、事業を長期的に継続させたいと加盟希望者が考えることは当然です。
加盟希望者の中には、店舗や運営資金の確保のために借り入れを行う人もいるため、数年で傾くような事業ならば参加してくれません。
将来的に需要が伸びる事業であり、長期継続できる見込みがあるからこそフランチャイズへの加盟を決めてもらえます。
そのためには、時代の変化や経済情勢の動きを読み取り、確かな裏付けを伴う必要があります。
③:取り扱う商品の他社に対する優位性
自社製品やサービスに競合他社がいる場合、他社との差別化が必要です。
差別化がなければフランチャイズ化しても売上を伸ばしにくく、加盟希望者にとっても魅力的なビジネスとはみられません。
例えば、「商品独自の強みがある」「価格を抑えて大量生産できる」などの優位性があれば、フランチャイズの参加を検討している事業主から選ばれやすくなるでしょう。
商品のブランド力やオリジナリティは、店舗を運営するうえでも大きな武器となるため、フランチャイズオーナーを募集する前にピックアップしておきましょう。
④:金融機関からの評価を得ているか
フランチャイズオーナーとして開業すると、状況に応じて融資を受ける必要が出てきます。
フランチャイズオーナーが融資を受ける際に、フランチャイズ本部の金融機関からの評価が高ければ資金調達がしやすくなります。
金融機関からの信頼を得ている点を説明できれば、安心してフランチャイズへ加盟してもらいやすくなるでしょう。
(2)フランチャイズ本部が利益を出す方法を考える
フランチャイズビジネス化するのであれば、運営元がいかに利益を出すかという点がも重要です。
フランチャイズビジネスの運営元の一般的な収入源は、を以下の3点になります。
①:加盟金や研修費の徴収
フランチャイズ本部へ個人事業主や法人が加盟する際には、フランチャイズ本部へ加盟金を支払うことが一般的です。
加盟金は、ノウハウやブランド力を提供する対価だといえます。
加盟金の額はフランチャイズ本部ごとに異なり、0円から300万円程度までと大きく差があり、業種や店舗の規模などによって変化します。
また、フランチャイズ本部が店舗のオーナーに対して教育を施す場合に研修費を徴収することがあります。
この研修費は、通常業務の指導や、新しい機械の導入など、必要に応じて都度発生します。
フランチャイズ本部によっては、開業前に実店舗で従業員として働くことで、初期の研修費は0円とするケースもあります。
②:ロイヤリティや手数料の徴収
フランチャイズ本部の主な収入には、加盟店から毎月支払われるロイヤリティと手数料が挙げられます。
ロイヤリティと手数料の徴収方法には、以下の3種類が存在します。
売上歩合方式 | 売上に対するパーセンテージで金額を決定する。 |
定額方式 | 毎月定額の費用を支払う。 |
粗利分方式 | 売上総利益に対して割合で支払いをおこなう。 |
売上歩合方式や粗利分方式の場合、店舗の業績が向上すると支払われるロイヤリティや手数料が増加するため、フランチャイズ本部ブランドの収入も増加します。
しかし、店舗の売上が伸び悩めば、フランチャイズ本部の収入も少額にとどまることがデメリットです。
一方で、定額制の場合は店舗の売上に関係なくフランチャイズ本部は一定の収入を確保できるというメリットがありますが、店舗の売上が伸びても本部の収入が増加しない点がデメリットになるといえます。
どちらにもメリット・デメリットは存在するため、自社の状況やビジネスに合った方式を選択するようにしましょう。
③:原材料費や紹介料を受け取る
フランチャイズ店舗より原材料費や紹介料を徴収し、本部が収入を得るという手法もあります。
原材料費とは、店舗で必要な商品や材料を本部から仕入れる場合に発生する費用です。
一方の紹介料は、取引先業者や設備のメンテナンス業者などを本部が紹介する際に受け取るマージンを指します。
原材料費や紹介料の徴収可否は業種や店舗の有無によって異なります。
これらの費用が増大すると店舗の運営に支障をきたす場合があるため、金額の設定は慎重におこないましょう行いましょう。
(3)加盟希望者募集の仕組みを構築
ビジネスをフランチャイズ化するためには、加盟希望者を募る必要があります。
加盟希望者が増大するほど事業拡大に繋がり、フランチャイズ本部の収益も伸ばせます。
フランチャイズの加盟希望者を募集するには宣伝活動が必要です。
フランチャイズビジネスで一般的に利用される宣伝媒体を紹介します。
①:自社のWebサイト
自社のWebサイトにて、フランチャイズオーナー募集のページを作成します。
自社サイトなので募集ページを作成することに費用がかからないことがメリットです。
しかし、自社サイトを見てもらわなければオーナー募集をしていることを知ってもらうことはできず、多くの希望者を集めることができません。
募集に自社サイトを利用する場合、ただページを作成してもオーナー募集はスムーズに進みません。
より多くの開業希望者の目に留まるようにするには、SEO(検索結果の上位に表示させるための施策)が必要な場合もあります。
また、検索サイトに募集広告を掲載するなどして検索経由で募集するなど工夫が必要です。
②:ラジオ・テレビでのCMを放送する
ラジオやテレビCMでフランチャイズ募集をすれば、より多くの人にフランチャイズ募集や本部について知ってもらうことができます。
ただし、CM放送をするには、制作費と放映料金を用意しなければなりません。
料金は放送局や時間帯、番組の視聴率によって異なりますが、東京キー局の場合15秒で40万円から80万円程度が相場です。
③:フリーペーパーへのに広告を掲載する
スーパーやショッピングモール、街頭などで配布されるフリーペーパーへの広告掲載するという手法もあります。
費用は広告サイズによって異なり、数万円から数十万円までと金額の幅は広いです。
地域のフリーペーパーに掲載すれば、出店したい地域に特化して宣伝できるというメリットがあります。
④:メールマガジンやLINE公式での募集をおこなう
近年増加している募集媒体として、メールマガジンやLINE公式が挙げられます。
ラジオや・テレビのCM、・フリーペーパーへの掲載他の広告媒体では費用が高いことや、広告作成の打ち合わせなどの時間と労力が必要ですが、メールマガジンやLINE公式は手間も費用も多くはかかりませんとします。
(4)加盟者への支援・研修の体制の構築を作る
フランチャイズビジネスでは店舗開業までが本部の役目というわけではありません。
開業後の店舗の運営が円滑に進むようサポートすることも本部の仕事です。
本部側で用意すべき支援・サポートを、以下の通りです。
①:業務内容の指導・教育
フランチャイズが選ばれる理由の一つとして、未経験でも開業できるという点が挙げられます。
そのため、フランチャイズオーナーが該当業務の未経験者であることも少なくありません。
そのため、フランチャイズ本部で該当店舗運営に必要な業務を指導する体制の用意が必要です。
事前に実店舗で従業員として働いてもらうことも指導・教育の方法の一つです。
それ以外の場合には、指導のための設備や・スタッフを確保しなければならないこともあるため、フランチャイズ化を始める前に準備しておきましょう。
②:社会人研修の実施
社会人未経験者が多く加盟する場合であれば、社会人研修の実施が必要なこともあります。
多くの企業でも行われているものですが、フランチャイズの場合は必ずしも社会人研修が必要というわけではありません。
本来であれば、社会人としてのマナーはオーナーが自分で身に着けるべきものです。
コストや時間の面で実施が難しい場合は、必要に応じて外部のセミナーなどをも利用することのがおすすめです。
③:業務開始までの支援をおこなう
フランチャイズの場合、個人事業主として初めて開業する方も多いです。
未経験者はスムーズに開業できない可能性があるため、業務開始までの準備にも本部の支援が必要な場合があります。
店舗用地や不動産の確保、設備や什器物品の準備支援なども、状況に応じて導入するようにしましょう。
業務開始までの支援が手厚ければ、未経験者の希望者も参加しやすくなり、参加希望者の増加も期待できます。
④:開業後のサポート・トラブルの対応
フランチャイズオーナーとして無事に開業した後も、本部のサポートが必要です。
例えば、トラブルの発生への対応や、新しい業務システム、制度の導入などが挙げられます。
開業後も状況に応じて研修会や説明会の開催をすることや、店舗に担当者が赴いてのトラブル対応などを実施できる体制を整えておきましょう。
⑤:フランチャイズ店舗担当者の決定・教育
フランチャイズ化にあたり、本部にはフランチャイズ店舗の担当者が必要になります。
なぜならば、開業しても新しい制度やシステムに対応できずに現場が上手く稼働しないケースや、店舗では対応しきれないトラブルなどが起こる可能性があるからです。
何か問題が発生した時に店舗オーナーをサポートし、店舗の売上向上のためにアドバイスできるようにしなければなりません。
フランチャイズ化をする前にフランチャイズ店舗担当者や部署を決定し、店舗をサポートするための本部側の従業員を教育しましょう。
⑥:弁護士・税理士など専門家との連携
フランチャイズビジネスでは、弁護士や税理士など専門家の助けが必要なこともあります。
例えば、店舗運営上遭遇した法律トラブルや税務処理などは、オーナーや本部では専門知識がないため対応が困難です。
フランチャイズビジネスに慣れている専門家と提携連携できれば、本部もフランチャイズオーナーも安心して事業を運営できます。
万が一のトラブルに備え、場合に動いてくれる専門家とあらかじめ提携しておくことをおすすめします。
まとめ
ビジネスのフランチャイズ化は、一朝一夕に実行できるものではなく、事前に準備が必要となります。
今回解説した内容を参考に、ビジネスのフランチャイズ化の準備を進めてください。
実際にフランチャイズ化に取り組むとなると、準備に年単位の時間がかかることも珍しくありません。
まずは必要な作業と人員、コストの見積もりから始め、少しずつ準備を進めることをおすすめします。