フランチャイズの売上保証とは?注意点や実例を紹介
フランチャイズによる独立開業を検討する方・実行する方は年々増加しており、フランチャイズで開業できる業種も増えています。
フランチャイズにはブランドの知名度や運営力を生かせるというメリットがあるものの、上手く経営できずに破産するのではないかといった懸念を抱いている方もいるのではないでしょうか。
こうした懸念や不安を軽減できる制度として、「売上保証制度」を採用しているフランチャイズ会社が多数あります。
売上保証制度とは、売上が一定基準を満たなかった場合に保証金が支払われる制度です。
ここでは、売上保証について詳しく解説していきます。
注意点や実例を交えて紹介するので、フランチャイズ本部選びの際に参考にしてください。
目次
フランチャイズの売上保証と仕組みについて
フランチャイズならば独自での開業よりも失敗のリスクを軽減できるというメリットはあるものの、必ずしも成功するとは限りません。
業績がどうなるか分からない点が不安だという加盟者のために「売上保証」という制度を導入しているフランチャイズ本部もあります。
売上保証とはどのような制度なのでしょうか?
(1)売上保証とは
売上保証とは名前の通り、本部が売上を補償する制度です。
売上保証は、加盟者(店)の売上げが一定の基準に満たない場合に、保証金が本部から支払われる仕組みです。
フランチャイズに加盟しても、開業当初は想定した売り上げに届かないこともあるでしょう。
売上保証制度があることで、加盟店は開業当初など厳しい経営状況を乗り超えて事業を継続することができます。
フランチャイズ本部は売上保証を導入することで、有望な加盟者を確保することにつながります。
(2)売上保証の仕組み
売上保証は大きく分けると2種類の仕組みがあります。
①:金銭での補填
売上保証制度では売上保証の金額があらかじめ決められており、その金額に達しない場合に本部から金銭での補填が行われます。
例えば、フランチャイズの売上保証額が年間で1000万円と定められおり、加盟店の年間売上が800万円しか上げられなかった場合には、本部から差額の200万円が補償されます。
②:顧客などの紹介で売上を保証する
売上保証は金銭で行われるだけではありません。
加盟店が一定の売上を確保できるように、本部が顧客や案件を紹介するという売上保証制度もあります。
この場合、顧客開拓や営業などの業務は本部がまとめて行うため、加盟店はその他の業務に専念できます。
売上保証のメリット
売上保証を導入しているかどうかはフランチャイズ本部ごとに異なります。
売上保証の有無は加盟先を決断する要因の1つになってくるため、売上保証のメリットについて知っておきましょう。
(1)開業前後の不安が軽減される
フランチャイズに加盟して独立開業しても、事業が成功するとは限りません。
開業してしばらくの間は売上目標を達成できず、赤字が続くようなこともあるでしょう。
顧客が少ないだけではなく、オーナー自身も経営ノウハウが身についていない状態で、開業前後は不安が多い時期になります。
売上保証制度は、開業当初の不安定な時期の大きな支えになります。
フランチャイズの加盟に躊躇している人も、売上保証があれば開業前の不安を払しょくしやすく、開業への決断がしやすくなるといえます。
(2)リスクの軽減になる
売上保証は、開業による資金面のリスクを軽減してくれる制度です。
とくに開業当初は一定の売上が達成できないことも多いですが、売上保証があれば赤字で早急に閉店へ追い込まれるようなことは避けられます。
開業前後は開業資金などでオーナーの資金面における自己負担が大きいため、売上保証の有無はフランチャイズ選びで大きなポイントになってくるでしょう。
(3)ビジネスに集中しやすくなる
売上保証は資金面での支えになるだけではなく、オーナー自身の心の支えにもなります。
ビジネスが軌道に乗るまではオーナーは焦りが出てしまい、精神的な余裕がなくなってしまいます。
そうなると、正しい経営判断ができなくなるという悪循環により、ますます経営が苦しくなる可能性があります。
売上保証があれば精神的な焦りが生じにくいため、ビジネスに集中して取り組みやすくなるといえます。
売上保証の注意点
売上保証のメリットを紹介しましたが、メリットだけではなく注意すべき点もあります。
売上保証の注意点についても理解し、売上保証の必要性について考えてみてください。
(1)オーナーの利益が保証される制度ではない
売上保証はオーナーにとって魅力的な制度ですが、あくまでも売上を保証する制度だということを留意しておかなければなりません。
売上保証というと、利益が確保されてオーナー自身の給料が保証されると勘違いされる方も多いのではないでしょうか。
しかし、売上保証は店舗の光熱費や従業員などの給料支払いに使われるため、オーナー自身の給料は確保されない可能性があります。
オーナーの給料は、売上から店舗の光熱費・人件費などといった営業経費を支払った残りの利益から抽出されます。
フランチャイズ本部と加盟者であるオーナーの間で労働契約が結ばれているわけではないため、オーナーの給料確保は本部に義務付けられているわけではありません。
(2)売上保証は期限がある
売上保証には期限があり、半永久的に保証されるわけではないという点に注意すべきです。
売上保証の多くは開業当初の不安定な時期を乗り切る目的で導入されているため、開業から半年や1年という期間が設定されていることが多いです。
いつまでも売上保証に頼ることはできないため、売上保証のある期間で売上を安定させる必要があります。
(3)売上保障が適用されるには条件がある
売上保証は無条件に適用されるとは限らないという点にも注意が必要です。
経営状況など一定の条件を満たす必要があるケースも多いです。
売上保証が適用される条件はフランチャイズ本部によって異なるので、事前に確認しておきましょう。
フランチャイズ加盟におけるポイント
売上保証があるからといって、安心してフランチャイズ本部と契約することは危険です。
売上保証のあるフランチャイズ本部へ加盟しても成功するとは限りません。
フランチャイズへの加盟におけるポイントをご紹介します。
(1)加盟には慎重さが必要
フランチャイズの募集要項に、「売上保証」という言葉があるというだけで加盟を決断するのは要注意です。
加盟して開業した者の利益をあまり出すことができず、失敗に終わってしまうケースもあります。
フランチャイズは未経験でも開業できるというメリットがあるものの、経営の成否はオーナー自身にかかってくることを念頭において、慎重に本部選びをするべきです。
(2)フランチャイズでの開業も熟考すべき
そもそもフランチャイズで加盟して開業することは自分に向いているのかという点をオーナーは最初に熟考すべきです。
フランチャイズで開業したいと考えている事業の需要や継続性について調べ、長く継続できる事業なのか分析する必要があります。
そして、自分は本当に当該事業の運営を継続できるのかという点についても熟慮することが大切です。
こうした分析や熟考をすれば、フランチャイズ本部や金融機関への融資申請などでも説得力のある計画書を作成できます。
(3)フランチャイズ本部の体制
フランチャイズ本部選びでは、本部の事業方針に注目すべきです。
大手フランチャイズや成功しているフランチャイズ本部は、今だけではなく数年後数十年後先の事業の進展・多様化まで見据えています。
そして、実際にどの程度の利益を上げてきており、実在する加盟店がどの程度の収益を得ているのかも確認すべき点です。
その他にも、組織体制やサポート体制も開業するにあたって重要な部分になります。
フランチャイズ加盟者から加盟金だけを受け取れればいいという考えのフランチャイズ本部もあるため、加盟者のことを考えてサポートしてくれるような体制が整った本部を選ぶべきだといえます。
売上保証をうまく活かすための手順
売上保証のあるフランチャイズへ加盟する場合、売上保証は最大限に有効活用すべきです。
売上保証をうまく生かすための手順について解説します。
(1)事前準備をしっかり行う
これまで説明してきたように、売上保証は事業が軌道に乗るまでの最低限の売上を保証するものです。
そのため、事業の計画段階から事業収支のシミュレーションをしっかり行い、売上保障を含めて現実的な事業計画を立てていくことが大切です。
新型コロナの感染拡大や大地震など不測の事態が発生する可能性はありますが、入念な事前準備をしていれば、事業開始後のトラブル処理や調整を必要最小限に抑えられます。
(2)売上保証期間中に経営の安定を目指す
事業開始直後は、なかなか思ったように売上げが上がらないことも珍しくありません。
売上保証は開業から半年~1年の間など期間が定められているケースもあるので、この期間中に経営の安定を目指すことが大切です。
売上保証があるから大丈夫と考えるのではなく、売上保証期間中でも保証額を超えるような売上が確保できるようになっていれば、売上保証がなくなった後も安定して事業を継続できます。
商品の品揃えや配置、接客、宣伝などを工夫するなどし、なるべく早く黒字が常態化するように軌道修正や調整を行っていきましょう。
売上保証企業の実例
実際に売上保証を導入しているフランチャイズ企業の実例を紹介します。
フランチャイズ本部の魅力や研修内容についても紹介しているので、本部選びの参考にしてください。
(1)実例「企業名:COVERALL」
【事業内容】
ビル・各種施設の総合管理業務
- 清掃管理業務(日常・定期・スポット清掃)
- 清掃用具リース販売
【フランチャイズ本部としての魅力】
- 説明会がWEBですぐ視聴できる
- フランチャイズ開業費用が比較的低い(現金30万円でスタート可能・粗利目安は82.7%)
- 本部が営業活動を行ってFC加盟者に清掃物件を紹介するため、顧客が確保され、加盟者は清掃業務そのもの・清掃技術向上に専念できる
- 売上伝票・請求業務・売上管理・売掛金管理などの業務は、フランチャイズ元の代行サービスが利用できる
【研修内容】
- 基本研修・実習研修:7日間~10日間の基礎知識勉強の基本研修と、7日間~10日間の自宅近く先輩加盟者の現場にて実習研修
- 現場研修・開業:現場指導員と共に決定した現場に入る(このときから収入が発生)
- 六甲研修:3泊4日(3カ月に1回の開催)の研修が仕事がスタート後にもある
【売上保証期間】
開業時から毎月の継続売上を保証
(2)実例「企業名:買取専門店大吉」
【事業内容】
買取り・商品の現金化
- お客様が持ち込みした指輪・貴金属・ブランド品・切手などを買い取る
- 買取った商品を卸業者に売って現金化する
【フランチャイズ本部としての魅力】
- 販売先が決まっているので最短即日で現金化がなされ、小スペースで利益率が高い
- 一人で開業可能なので、人件費が多くかからない・スタッフ募集の手間が省けるといったメリットがある
- 開業・集客・鑑定など、運営に関する様々な手厚いサポートがある。
- 高価な貴金属を取り扱いはするものの、店内に商品を置かないので盗難などのリスクに対する懸念がない
- 立地に関する制約が少なく、駅前や繁華街など人が集まりやすい場所以外でも出店できる
- リユース市場は需要が増えてきている分野になるため、資金力があって他分野参入も検討している法人にも向いている
【研修内容】
- 店舗運営・経営戦略・接客・査定について通年を通して学べる
- ブランド品研修会がある
- SV(スーパーバイザー)が月に20日間お店常駐してバックアップする制度がある
【売上保証期間】
初年度のみ
まとめ
フランチャイズにおける売上保証ついて解説しました。
売上保証はオーナーの給料が保証されるというわけではないため、保証という言葉だけで安心すべきではありません。
大切なことは、売上保証システムを活かし、売上保証期間中に経営を安定させることといえます。
売上保証制度をうまく活用すれば、開業当初の不安定な時期の保険的存在だけではなく、オーナーの精神的な部分の支えにもなります。
売上保証の有無についてはフランチャイズ本部ごとに異なるため、フランチャイズ本部選びでは売上保証の有無や内容にも注目して検討してみてください。