フランチャイズでリサイクルショップを開業する手順・古物商許可の資格も解説
節約志向が高まる傾向の中、リサイクル品の購入を検討したり実行したりする人が増えてきています。
企業の中にも、起業時には初期費用を抑えたく、事務道具などにリサイクル品を利用するケースがあります。
このような機運の中で、リサイクルショップ開業を志す人も増えてきています。
一方でリサイクルショップ開業と一言でいっても、仕入れと販売の業務そのものだけでも容易ではありません。
ですが、リサイクルショップをフランチャイズにて開業すれば、複雑な段取りなどを幾分か進めやすくなります。
今回はフランチャイズとリサイクルショップについて、リサイクルショップの業態と種類や古物商許可などに触れながら解説します。
目次
フランチャイズリサイクルショップの年収
フランチャイズリサイクルショップの年収は、標準的に500万円程度が見込まれます。
そして加盟者の努力次第では、600万円や700万円も実現しやすく、1,000万円程度も可能な業種となっています。
【高収入の背景とコツ】
- 安価ながら高品質の、リサイクル商品に高い需要がある
- 仕入れ価格が低く、高利益率を実現しやすい
- ネット販売と広告に力を注ぎ、店舗維持費などの経費が低く済むようにする
- 特定の客層に焦点を当てて、比較的高価格で売れて利益率が高くなる営業方針を考える
- 仕入れ先を日本全国や海外など、幅広い視野にする
- 店舗内デザインをおしゃれにする など
初期費用とロイヤリティなどの費用
(1)初期費用
初期費用として標準的に、無店舗型で100~200万円、店舗型で500万円程度はかかります。
そして安いケースでは50万円程度、高いケースでは1,000万円程度かそれ以上かかる時もあります。
また開業当初、数ヶ月分の自己生活費や運転資金も別途準備しておくことがおすすめといえます。
開業にあたっての自己準備費は、必ずしも初期費用と同じ額が必要というわけではないので、正確にはフランチャイズ本部へ問い合わせとなります。
【初期費用内訳】
- 加盟費
- 保証費
- インターネット販売体制などの整備費
- 店舗取得費
- 外装内装費
- オープン広告費
- 店内準備費
- 研修費
- 商品仕入費 など
(2)ロイヤリティ
- 月額定額制:10~30万円程度
- 変動制:毎月売上の3~10%程度
そして、月会費10,000円と一定額の設定しているところがあります。
また開業当初はロイヤリティがゼロ円や、ロイヤリティが永久的に一切ないところもあります。
リサイクルショップの業態と種類
(1)業態
リサイクルショップの業態では、大別して次の二業態があります。
①店舗型
従来一般的に知られている、店舗型リサイクルショップの業態です。
次のような特徴があります。
- 現物が店舗にあるので、信頼されやすい
- 目につきやすく、認知度が上がりやすい
- 単独での開業と運営が難しい
- 店舗維持費が大きい
②無店舗型
インターネットの力により普及してきた形で、ネット型リサイクルショップや買取出張型といわれることもあります。
そして、次のような特徴があります。
- 初期費用リスクが低い
- 単独での開業も可能
- ネット集客の技術がないと、認知度が高まりにくい
- 実績を積むまでは、信頼が高まりにくい
(2)種類
種類としては大別して、次の三種類があります。
①総合型リサイクルショップ
家具家電や洋服など、様々なものを取り扱っているリサイクルショップのことです。
②セレクト型リサイクルショップ
経営者や店長が、何かの製品に特化したものを取り扱っているリサイクルショップのことです。
③ブランドリサイクルショップ
基本的に高価であるブランド品を、一般的なショップ販売価格より安価で買えます。
質屋と似たような感覚はあります。
フランチャイズでリサイクルショップを開業する手順
(1)問い合わせと説明会出席
まず加盟を希望したり話を聞いてみたい、フランチャイズリサイクルショップ本部へ問い合わせをします。
そして説明会へ出席し、フランチャイズ事業やリサイクルショップ事業の方針を理解します。
(2)詳細話し合いと審査
リサイクルショップ運営方針など、事業計画について詳しく話し合います。
そして詳細話し合い内容や、加盟希望者自身について本部が審査をします。
第一難関ポイントともいえます。またこの段階で、本部が開業エリアと物件について、市場調査をするところもあります。
(3)役員説明と加盟
審査通過後、役員が契約内容を説明します。そして契約締結と、加盟となります。店舗型のケースではこの頃から、物件探しをするところもあります。
(4)物件段取り
店舗型開業で、特に手間を要する時もある物件決定と物件取得です。
(5)スタッフ手続き
正社員にせよアルバイトにせよ、本部がスタッフ募集や面接などをするところもあります。スタッフ手続きは、精通していないと要領よく進みにくい部分もあります。
(6)研修
加盟者自身はもちろんスタッフも含め、接客研修や現場での商品扱い研修をするところもあります。基礎的な販売技術は、早い段階で習得しておきたいものです。
(7)許可申請や手続き
リサイクルショップでは、古物商許可が必要となります。そして酒類を扱うケースでは、酒販の免許取得も考慮必要な時があります。
また、最初から何らかの事情で融資が必要なケースでは、この段階で融資申請をする時もあります。
(8)内装外装計画
顧客が来店するタイプの業種なので、内装外装は重要です。
一見しただけで、リサイクルショップだと気付きやすい外装は認知度アップに効果的です。どのような電飾や看板を設置するかを、本部と話し合います。
(9)内装外装工事
内装外装計画で話し合った内容を、施工します。
(10)具体的店舗準備
じゅう器や実際の品物などを陳列していき、店舗の最終準備段階となります。
(11)最終店舗準備
店舗準備がすべて完了した時点で、加盟者や従業員全員で営業予行訓練など、開店へ向けた最終準備です。
(12)開店
(1)~(11)の段取りを経て、晴れて開店と業務開始となります。
古物商許可取得方法
古物商許可とは、リサイクルショップ開業と営業に必須の許可です。
※古物商申請をするには、今の状況で古物商許可が承認されるか否か慎重な熟慮も必要です。
フランチャイズ本部も審査するでしょうが、自分自身でもチェックしておきたいものです。
(1)書類準備
古物商許可申請には、次の書類が必要です。
①個人のケース
- 古物商許可申請書
- 誓約書
- 経歴書
- 住民票のコピー
- 運転免許証や健康保険証でない、本籍地のある市町村役場で入手可能な身分証明書
- 自社ホームページで販売する際は、URLの使用権限疎明資料
- 店舗を構えるケースでは、店舗の賃貸借契約書のコピー
②法人のケース
個人のケースで必要な書類に加え、法人の登記事項証明書と定款の写しが必要となります。
(2)場所確保
古物商許可を取れるか否かの重要審査事項として、営業所や店舗を確保できているか否かがあります。
そしてネット通販リサイクルショップも、営業所が必要です。
一方で自身が登記上所有者になっている物件も、基本的に営業所として使えます。
よってわざわざ、別に物件取得の必要があるわけではありません。
(3)管理者決定
営業所常駐の、管理者を決めます。基本的に、申請者が管理者になる傾向があります。
管理者の要件は、次の通りです。
- 営業所や店舗に常駐すること
- 古物商許可の承認を得た者もしくは、従業員
- 欠格要件に非該当であること
※欠格要件は後程説明します。
(4)書類提出
書類提出先は、所轄警察署の生活安全課となります。そして収入印紙代で、19,000円がかかります。
仮に申請が非承認になっても、収入印紙代19,000円は戻ってきませんので注意が必要です。
(5)欠格要件
次のような条件に当てはまると、古物商許可を取得できないので注意が必要です。
- 住所不定者
- 窃盗などの罪で罰金刑を受けて、5年以上経過していない人
- 禁固刑以上の実刑を受け、5年以上経過していない人
- 古物営業許可をはく奪されてから、5年以上経過していない人
①扱う商品の種類
リサイクルショップで扱う商品は、大きく13種類に分けられます。そして扱いたい商品を、選択するケースがあります。
すべて扱うと申し出ると、警察署の窓口で「本当に!?」のような感じで、怪しい顔をされる可能性もあります。
本部からの指示や助言ならば話は別ですが、考慮しておきたいものです。
②申請から許可取得までの期間
申請から許可取得まで、目安で40日程度を要します。
そして、古物商許可書類は複雑です。状況によっては、士業家への依頼も考慮したいものです。
フランチャイズでリサイクルショップを開業するメリット
フランチャイズによって、次のようなメリットが想定できます。
(1)ブランド性
小売業が繁盛するための重要要素として、店名が開店エリアで認知されることです。
フランチャイズでは有名でブランド化した屋号を使えるので、集客に効果的です。
(2)本部が在庫供給
リサイクルショップでは、需要が高い商品がなかなか入ってこない事態が少なくありません。
一方でフランチャイズでは、本部が良質在庫を供給するところがあるので、売上につながります。
(3)専門性の研修
リサイクルショップの売上を左右するものとして、加盟者や店長はもちろん従業員の腕にもかかります。
この腕とは、商品が良質にみえる技術や接客術などです。このようなスキルは実際の業務を通しても培われますが、本部の研修によっても培われます。
(4)開店体制を整えやすい
リサイクルショップ業には、古物商許可は必須です。
上記でも記しているように、古物商許可申請は、複雑で容易ではありません。
一方でフランチャイズでは、この古物商許可申請にアドバイスがあるところもあります。
よって古物商許可申請を比較的要領よくこなせ、肝心な商品準備などの開店準備に、時間や注意を多く注げる傾向にあります。
できれば開店初日から万全な体制で臨みたいので、大きな助けになります。
(5)情報力
話題性や何らかの出来事により、時には一時的にではあるものの大きく売れる商品があります。
一方でこのようなビジネスチャンスをつかむためには、購入希望者が店に来るタイミングに合わせて、在庫を確保しておくことが重要です。
フランチャイズでは強大な情報収集力で情報をつかみ、購入者のタイミングに合わせられる技量をもっているところもあります。
(6)本部サポート
ビジネスでは、様々な困惑するアクシデントなども起きます。このようなケースで、本部が様々な解決アドバイスをします。
開店当初の一定期間、本部スタッフが常駐するところもあります。
リサイクルショップ業の難点と失敗を避けるコツ
(1)盗品とコピー品
リサイクルショップには、客が盗品やブランド物のコピー品の買取を求める可能性があります。
本部には、盗品やブランド物のコピー品指導をするところもあるでしょう。
一方で多忙な時など、買い取ってしまう可能性が否定できません。
大事なことは仮に買い取ってしまっても、盗品やブランド物のコピー品の疑いがある時は、本部に相談し警察にも申告することです。
警察への申告をしそびれると、一定期間の営業停止処分を受けることもあるので、注意が必要です。
(2)集客
フランチャイズでは、本部も集客支援をするでしょう。一方で加盟者自身の、集客努力も重要です。
特にITスキルを活用した、ポータルサイトなどへの売込段取りにも力を注げば効果的な傾向もあります。
(3)取扱商品の見極め
フランチャイズ本部も、加盟者の能力を見込んで審査を通すでしょう。
一方で加盟希望者も、何をどのように売っていきたいのかの見極めは重要です。
多くの商品を取り扱おうと注意を払うあまり、多くの在庫が売れ残る事態もあり得ます。
よって小規模ながらある分野に特化した商品から始め、少しずつ着実な実績を上げ、2店舗目3店舗目と拡充することも効率的になる可能性はあります。
そして自分がターゲットとする商品や客層に、精通した本部を選択することも重要です。
(4)トラブル対処
リサイクルショップでは、複数のトラブルも起こり得ます。
例えば店が火災に遭ったり、商品を巡るトラブルが生じたりして、要するにいくらか支払う必要がある可能性があります。
このようなケースのために、損害保険へ加入しておくことがおすすめです。
まとめ
ここまで、フランチャイズとリサイクルショップについて考察してきました。
押さえておきたい点は、リサイクルショップの業態と種類や古物商許可取得方法です。
そして、難点と失敗を避けるコツもポイントといえます。
リサイクルショップ業は、まだまだ需要が高い業種といえます。
的確なターゲット見極めと、高い眼力や接客術を伴い、ご自身の強みを込めたリサイクルショップで高年収を実現させてください。