フランチャイズの保全納棺師の開業方法を解説・特殊な業務内容や難点も

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フランチャイズ 保全納棺

高齢化が進む風潮の中で、保全納棺業務の需要が増えてきています。

皆が皆、安らかで穏やかに眠っているような表情で、永眠できるというわけではありません。

事故や不運な原因で亡くなった人には、顔はもちろん体がきれいでない状態のケースもあります。

このようなケースはもちろん、安らかな表情のケースも保全納棺の業務は重要です。

これらの背景で、保全納棺師を目指す人が増えてきています。

一方で保全納棺師の業務には高度な技術が必要であり、仕事の進め方も容易ではありません。

ですがフランチャイズにより、比較的要領よく保全納棺師になり、業務を進められる方法があります。

今回はフランチャイズと保全納棺について、業務内容や業務上の難点と克服のコツなどに触れながら解説します

投稿者・コラム執筆者

保全納棺師の想定される収益

年換算:フルタイムのケースで400~500万円といわれます。

一方で大手の葬儀会社を顧客にできると、500~600万円も想定されます。

そして加盟者自身が経験を積んで管理職になると、この額以上の可能性もあります。

またマイペースでこなしたいケースでは、60件程度で初期費用を回収し、その後は20件で80万円程度の収益が確保できた例もあります。

このように想定される収益は、加盟者自身の方針や営業活動と、保全納棺師としての技量で得られる評判によるものが大きいです

エリア制を設けている本部もあり、仕事と収益を確保しやすいところもあります。

エリア制:元のフランチャイズ本部とは別に、幾つかの地域にも本部を設けること。

地域によって仕事の事情が、異なるケースもあります。

このようなケースにおいても、契約や業務がなるべくスムーズに進みやすいようにと考えられている制度です。

納棺師の業務内容

(1)湯灌の儀の意味

湯灌の儀には、故人が現世での汚れを洗い清め、来世に導かれ新たに生まれ変わって欲しいという意味が込められています。

そして、尊厳のある美しい姿でのお別れにもできます。

(2)湯灌の儀の流れ

次のような湯灌の手順となります。

①訪問

まずセレモニースタッフと共に、お客様のところへ伺い、あいさつをします。

②湯灌準備

清浄槽などの道具を、部屋へ運び込みます。

そして脱衣をしやすくするために、体の硬直を解きます。

③移動

故人の体をバスタオルで巻き、肌がみえないようにして清浄槽まで移動します。

④お清めと儀式開始

ここから本格的に、儀式が始まります。

ご家族が交替で、お清めの水を足元から胸元までかけていきます。

⑤全身洗い

左足から右足にかけて、納棺師が全身にシャワーをかけて洗い清めます。

⑥洗顔など

シャンプーで洗髪し、顔剃りをします。

そして、顔全体を優しく丁寧にふき取ります。

⑦着付けと美容

全身を洗い清めた故人を、布団へ移し仏衣を着せます。

そして髪を整え、お化粧をします。

⑧片付けと完了

湯灌に使ったお湯は全部除菌処理したうえで、専用の排水タンクへ入れます。

※皮膚を切って、防腐剤を注入するなどといった高度で特殊な対応をするケースもあります。

(3)納棺の儀

湯灌の後に納棺となり、次の物品を準備します。

  • わらじ
  • 足袋
  • 手甲
  • 脚絆
  • 六文銭
  • 天冠
  • 数珠
  • 頭陀袋

上記物品を使用し、旅立ちへ準備します。

(4)海外と外国人案件対応

日本人が不運にも海外で亡くなったり、日本で外国の人が亡くなったりして、湯灌の作業が必要になるケースもあります。

今はまだ多くなくても、今後増える可能性もあります。

このケースでは、大使館などの機関とも連絡を取って対応することも想定されます。

初期費用とロイヤリティ

次のような、初期費用とロイヤリティの目安です。

(1)初期費用

初期費用:70~210万円程度で、複数のコースがあります。

初期費用には、加盟金と研修費や開業セット費が含まれます。

開業当初の運転資金や生活費も、別途用意しておくことがおすすめといえます

(2)ロイヤリティ

定額制:2~5万円程度。

保全納棺師業のフランチャイズがさらに普及すれば、売上変動制が出てくる可能性もあります。

フランチャイズによる開業方法とメリット

(1)開業方法

次のような流れで、開業します。

①問い合わせ

まず興味をもったり加盟したりしたいと思った、フランチャイズ本部へ問い合わせをします。

②説明会と詳しい話し合い

フランチャイズ本部の説明会へ出席した後、加盟と開業へ向けて詳しい話し合いを行います。

話し合いでは、自己資金や現在の生活状況と、これまでの職歴などを話し合います。

③研修

保全納棺師未経験のケースでは、1~3か月程度の研修を行う本部があります。

④契約と開業

審査と契約合意をします。そして初期費用を納入して、いよいよ開業と業務開始となります。

上記が、フランチャイズでの典型的な開業方法です。

他にも、次のような方法もあります。

  • 葬儀会社で保全納棺師業を経験してから、フランチャイズで開業する
  • 一般社団法人日本遺体衛生保全協会認定の、エンバーマー養成校で資格取得の後に、フランチャイズで開業する

フランチャイズに加盟して開業する流れについては、以下の記事で詳しく解説していますので併せてご参照ください。

関連記事:うまく独立するには?フランチャイズに加盟して開業する流れを解説

(2)メリット

次のようなメリットが、期待できます。

①未経験も参入可能

保全納棺師は、業務そのものが高度で特殊な技術を要する、専門職ともいえる職業です。よって、一見未経験では参入が無理なような気もします。

ですが独自教育制度により、1~3か月程度で独自施術能力を習得可能なシステムのある本部があります。

②初期費用が比較的リーズナブル

フランチャイズビジネスは、初期費用が300万円や500万円、そして1,000万円以上かかる業種が少なくないビジネスです。

一方で保全納棺師業は安いケースでは、70万円程度から開業可能で、初期費用リスクは比較的低いといえます。

③運営をスムーズに進められる

仮に保全納棺師業の業務そのものは、ある程度こなせるとします。

一方で自営するならば、湯灌や納棺の儀業務そのもの以外にも、多数の業務があります。

特に、税金に関する段取りや処理は重要です。自営業者は基本的に少しでも多くの利益を、手元や会社に残したいものです。

一方で自営業初挑戦のケースでは、このような段取りや処理をスムーズに正確には進めにくい傾向があります。

フランチャイズでは、この点についてアドバイスします。

④ブランド性

ビジネスでは、売上が軌道に乗るまでの仕事確保は大きな困難の一つです。

フランチャイズでは有名な屋号のブランド性によって、仕事を確保しやすい傾向があります。

⑤道具の紹介

湯灌や納棺には、複数の道具や商材を使います。最初は何を使えば適切なのか、判断できにくいです。

この際に、適切な物品をお伝えします。

⑥副業も可能

小売業などのように、常時勤務や稼働する必要はありません。本業を抱えた状況で、保全納棺師業は副業としての形も可能です。

次の内容は、フランチャイズに限らず保全納棺師業一般にいえることです。

ですがフランチャイズのケースでは、次の内容についてより大きな効果が期待できます。

⑦無店舗開業が可能

ビジネス一般に、店舗やオフィスを構える傾向があります。一方でこの店舗やオフィスの取得はもちろん、維持にも軽視できない経費がかかります。

ですが保全納棺師業は、無店舗開業が可能なケースがあります

無店舗開業時の、開業方法や考慮点をお教えします。

⑧景気の影響を受けにくい

ビジネスの売上は景気が後退すると、悪影響を大きく受けるケースがあります。

一方で保全納棺師業は、景気や人気の影響を受けにくい業種といえます。

そして、集客方法をアドバイスします。

湯灌師に求められる資質

納棺師には次のような、性格的特徴が必要です。

(1)思いやりとコミュニケーション能力

納棺師は、遺族にとって非常に大切な故人の体や顔に触れるわけです。

故人の姿を、遺族にとって望んだきれいな姿にする必要があります。

このためには遺族の思いや意図を的確に把握し、施術できる気遣いとコミュニケーション能力が必要です。

(2)精神的タフさ

業務のたびに、故人と直面するわけです。直面する故人の顔や体には、遺族すら直視するのに耐えにくい状態のケースもあるでしょう。

このようなケースでも、冷静に対処できる強い精神能力が必要です。

(3)感情に関するバランス力

状況によっては、遺族が終始号泣しているケースもあるでしょう。

この号泣に影響を受けて、自分まで泣き出してしまうようでは、スムーズで正確な業務進行に支障が生じます。

一方で冷静に対処しすぎるあまり、ものを扱うように機械的になり過ぎしてしまう可能性があります。

これでは、遺族に不愉快な気持ちを抱かせてしまう事態になりかねません。雰囲気と状況に流されず、軽視もしない均衡力も大切です。

業務上の難点とコツ

(1)遺族の望んだ形にする

やはり、顔や体を遺族の要望通りに整えることが最難関事項の一つです。

そして着付け以外は、練習をする機会がほぼ作れないのも困難な要因です。

また男性納棺師のケースでは、女性故人に対するお化粧の施術が、ほぼ無理といって過言でないでしょう。

このようなケースのために「女性保全納棺師の従業員を抱える」「女性保全納棺師と業務提携をする」方法も考えられます。

男性も、顔や体への美意識をもつ努力は役立つでしょう。

(2)腰痛になる傾向もある

様々な体型の遺体に、接することが予想されます。時には、大きな体格のケースもあるでしょう。

このようなケースをきっかけにぎっくり腰など、腰痛になる可能性があります。

動ける程度の腰痛ならまだよいですが、動けなくなると仕事をこなせなくなります。

常に腰への負担を意識した、注意深い動きやコルセットなどの道具も大切です。

(3)様々なコミュニケーション

湯灌と納棺そのものに同席する遺族は、必ずしも二人以上いるとは限りません。

孤独の寂しさと悲しさを、人とのコミュニケーションで軽減しようとする人もいるでしょう。

このコミュニケーションは、保全納棺師にも求められる時があるでしょう。

よって、様々なコミュニケーションに対応可能なスキルも望ましいです。

ですが、様々なコミュニケーションへの対応は容易ではありません。

このために本部のスタッフに聞き、予習しておくと役立つ傾向にあるトピックを、調べておくのも一つの方法といえます。

(4)仕事確保

どのようなビジネスでも、仕事を確保できるか否かは大きな懸念点の一つです。

フランチャイズ本部も、営業先対象情報は伝えるでしょうが、次のようなところが想定されます。

  • 警察
  • 葬儀社
  • 海上保安庁
  • 介護事業所
  • 病院
  • 葬儀の公益社など

一方で他業種以上に、営業の際の慎重さを求められます。

次のような注意点があります。

①ビジネス性を表現し過ぎない

「~が~円で、~が~円となっています」というように、いかにも営利活動といった感じは、お客様だけでなく営業先にも不謹慎と悪い印象を抱かせることにつながります。営業ですが、神妙さも大事です。

②容易に仕事を頂けるような感じを出さない

人材不足傾向の業種とはいえ「いかにも納棺師不足で困っているでしょ?」と、意図しているように解釈されかねない、文言や振る舞いは避けるべきです。

仮にせっかく仕事があっても、取り損ねる可能性もあります。

※エンバーミングの資格という保全納棺師の資格も、営業するには好印象につながるでしょう。

保全納棺師が使用する化学剤

湯灌や納棺の際には、次のような化学剤を使用し、遺体をきれいな状態に保ちます。

  • 遺体保存剤リンデンバウムW
  • 消臭抗菌剤リンデンバウムSW
  • 殺蛆防腐タイプリンデンバウムMK
  • 湯灌用殺菌剤ハンドリリーフ
  • 消臭抗菌剤聖など

上記薬剤は、いずれも抗菌や消臭と感染防止の効果があります。そして、水酸化ナトリウムなどの化合物や、樹木より抽出した精油成分などの成分から作られています。

まとめ

ここまで、フランチャイズと保全納棺について考察してきました。

押さえておきたい点は、保全納棺師の業務内容とフランチャイズによるメリットです。

そして、求められる資質や業務上の難点とコツもポイントといえます。

保全納棺師は、高度な技量を求められる高貴な職業です。

徹底した技量修行とお客様への気遣い精神で、感謝される保全納棺師としてお客様の役に立ってください。


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