フランチャイズのマッサージ業の開業費用や年収は?免許や療養費支給申請制度も解説
高齢化がますます進みはしているものの、60歳を迎えてもまだまだ元気に仕事をこなしたい人がたくさんいます。
一方で加齢とともに、身体の随所にケアが必要になってきます。
若年層の中にも、リラクゼーションのマッサージを求める人が増えてきています。
この背景で、マッサージ業の需要は増えてきています。
そして、マッサージ業開業を目指す人も増えてきています。
一方でマッサージ業開業と運営は、健康保険と関係するケースもあり、容易ではありません。
ですが複雑な手続きなどを、一からの独立と比較して、幾分か要領よく進められる方法がフランチャイズです。
今回はフランチャイズとマッサージについて、マッサージ業の業態や免許と療養費支給申請制度などに触れながら解説します。
目次
フランチャイズのマッサージ業の年収
フランチャイズ独立での年収は、平均的に450~500万円程度といわれています。
そして多店舗経営を試みうまく運営できれば、1,000万円程度を実現しているケースもあります。
一方で副業や自分の希望ペースに沿って働くケースでは、300~400万円程度もあります。
詳しくは後述しますが、業種によってはマッサージ業の収入は、事実上健康保険から支払われるタイプもあります。
固定の顧客を確保できれば、ストックビジネスにもなります。
ストックビジネス:連続性があり、定期的な入金を見込めるビジネスのこと。
初期費用とロイヤリティなどの費用
(1)初期費用
標準的に、400~500万円程度は要します。そして事業規模が大きくなると、700~1,000万円程度かかるケースもあります。
ですが状況次第では、実質自己資金100万円程度で開業可能なケースもあります。
また訪問マッサージタイプで店舗が不要なケースでは、120万円程度で開業可能な時もあります。
【初期費用内訳】
1,000万円程度かかるのは都心部で、保証金として家賃の一年分が必要になるケースがあるためです。
そして開業当初でまだ入金が定期的にはない期間に備え、運転資金や自身の生活費も別途考慮しておくことがおすすめといえます。
(2)ロイヤリティ
①売上変動制:3~11%程度
初期3か月は無料や、上限98,000円と設定している本部もあります。
②月額固定制:5万円程度
上記に加え、システム使用料や広告分担金がかかるところもあります。
フランチャイズでマッサージ業を開業する手順
次のような、開業手順です。
(1)問い合わせ
まず加盟を希望したり、詳しい話を聞いたりしたい本部へ問い合わせをします。
(2)説明会出席
説明会などに出席し、事業方針や本部のサポート内容などを理解します。
(3)詳しい話し合い
準備可能な自己資金や開業希望時期などの内容について、時間をかけて話し合います。
そして自分が希望する業態や業務内容に、本部が精通しているか否か見極めるのも重要です。
(4)審査と契約
話し合いを経て、審査通過の後に加盟となります。この段階で、加盟費を納入する傾向があります。
(5)具体的な準備
物件準備や設備準備など、開業へ向けて本格的に準備を進めます。
(6)研修
技量や店舗運営に不安があるケースでは、研修を行う本部もあります。
(7)開業
(1)~(6)のステップを経て、開業のプロセスとなります。
※都道府県や地方自治体によっては、次の業務内容開業に際し、保健所への届出が必要なところがあります。
そして、事前の相談が必要なところもあります。
- あん摩マッサージ指圧
- 鍼灸
- 柔道整復
【必要書類】
- 開設届
- 免許証の写し
- 施術所の平面図
【施術所構造設備に関する、要注意事項】
- 専用の施術室は6.6平米以上の、スペースがあること
- 待合室は3.3平米以上の、スペースがあること
- 適切に換気ができるようにすること
- 十分な採光と照明や、清潔感を保持すること
- 道具などを適切に消毒できるよう、設備や道具などを備えること
マッサージの業態と業務内容
(1)アロマテラピーとリンパマッサージ
①アロマテラピーとリラクゼーション
アロマテラピーは、植物より採取した香り成分の精油(エッセンシャルオイル)を使って、美と健康につなげる自然療法です。
一般的には、リラクゼーションとも呼ばれています。
②リンパマッサージ
そもそもリンパは、毛細血管から出ている黄色の液体です。細菌とウィルスや老廃物、そしてタンパク質などを運ぶ役割があります。
リンパは、自分では動いてくれません。よってあまり運動をしない生活習慣では、リンパが動かず老廃物などの有害物質が体内にたまり、同時に体調不良にもつながります。
一方でリンパは、皮膚に刺激を与えると循環します。この皮膚への刺激が、リンパマッサージということです。
(2)整体とカイロプラクティック
整体は、骨盤などの関節のずれやゆがみを矯正します。関節は、体全体の骨格を形成する要素なので、関節のずれやゆがみは体調不良にもつながります。
そして、骨格筋のバランス調整効果もあります。またカイロプラクティックは、背骨のゆがみ矯正に焦点が当たっています。
(3)柔道整復
柔道整復では、捻挫や打撲といった外傷に対し治療施術を行います。
(4)あん摩マッサージ
あん摩では体に対し手で、押したりもんだりして刺激を与え、自然治癒力が促進するよう目指します。
具体的には、血行促進やコリ解消の効果です。指圧も、似たような効果が期待できます。
(5)鍼師と灸師
鍼治療は、非常に細いステンレス製の針をツボに挿入し、筋肉のしこり解消や血行促進を高める方法です。
お灸もツボに熱刺激を与え、同様の効果を期待します。
(6)訪問マッサージ業
体を思うように動かせず、通院してマッサージを受けられない利用者に対し、国家資格を持つ施術者が訪問してマッサージを行う形式です。
フランチャイズによるマッサージ開業のメリット
(1)集客サポート
仮にマッサージ技量をそれなりに持ち合わせていても、集客できるか否か不安を抱く人は少なくありません。
ですがフランチャイズでは、SEO施策が施された本部の加盟店舗に掲載されるなど、大きな集客サポートがあります。
そして本部の屋号も、集客には効果的です。
またマッサージ業では、医療法に基づく広告規制により、広告に使用できない言葉があります。
例えば「最高の技術」などといった、言葉です。チラシ配布ができないケースもあります。
フランチャイズでは、この障害をクリアしやすい環境があります。
(2)運営ノウハウ
詳しくは後述しますが、マッサージ業では療養費支給申請書作成が必要なケースがあります。
この書類は非常に重要なのですが、慣れないうちは作成が大変です。ですが、作成や申請代行をする本部もあります。
この書類以外にも、様々な運営上のアドバイスも受けることができます。
(3)効果の高い内装作り
マッサージ業で、お客様がリラックスできたり快適に感じられたりする内装は重要です。
このためには、衛生面と華やかさを意識したデザインもポイントといえます。
一方で、高品質なデザインの考案は非常に困難です。ですがフランチャイズでは、内装へのサポートもあります。
(4)従業員ケア
繁盛してきたら、受付スタッフなども雇うでしょう。
一方で採用や人材育成方法に慣れていないと、従業員を安定して確保できない懸念があります。
仮に潜在性の高いスタッフを雇えても、自分が意識しない部分で、不快な感情を抱かせ辞めてしまう可能性があります。
こうならないように、人材育成はもちろん採用そのものについても本部がサポートするところがあります。
(5)融資支援
集客や売上などが軌道に乗るまでは、資金面で想定通りいかなくなる可能性もあります。
このようなケースのために、本部が融資をするところがあります。
(6)コース名の提供
飲食店同様、覚えやすくて特徴のあるコース名も重要です。店の名前だけでなくコース名までブランド化したら、集客に効果的です。
一方で20文字程度以内に収めた、キャッチフレーズ的なコース名の考案は意外と容易ではありません。
ですが本部が長時間かけて考案したコース名を使えることは、大きな助けになります。
(7)行政手続き支援
上記で、保健所への手続きが必要なケースがある旨を記しました。
この行政手続きも、慣れていないと想定のスケジュールで進まない事態があります。
フランチャイズでは、この行政手続き支援をする本部もあります。
必要免許と療養費支給申請
マッサージ業では、次のような免許や療養費支給申請制度が適用になるケースがあります。
(1)免許や国家試験
①あん摩マッサージ指圧師
あん摩マッサージをするには、あん摩マッサージ指圧師の国家試験に合格して免許を取る必要があります。
訪問マッサージ業にも、この資格が必要です。
②鍼師と灸師
鍼師と灸師は、それぞれ別の国家試験に合格する必要があります。
(2)療養費支給申請
次のマッサージは、健康保険(療養費)の支給対象となっています。
- 鍼と灸
- あん摩
- 指圧
【支給の流れ】
①医師による診察
受療者が医師の診察を受けます。
②施術同意書交付
医師が施術同意書を交付します。
③マッサージ施術
受療者が施術同意書を持参して、マッサージを受けます。
④マッサージ料金の支払い
施術者が料金全額を受療者に請求し、一旦受療者は全額を支払います。
⑤請求書記入段取り
各月の最終マッサージ日に、施術者へ請求書の記入を依頼します。
⑥請求書送付
記入された請求書を、健康保険組合などの保険者へ送付します。
⑦支給
受療者に、7~9割の療養費が支給されます。
※支払われる時期
早くて受療月から3か月以降の支給なので注意が必要です。
※差戻し
必要書類に不備があると、書類を戻され修正し、再提出が必要になるケースもあります。
療養費支給申請についてさらに詳しく知りたい場合は、下記を参考にしてください。
マッサージ業の難点と失敗を避けるコツ
(1)クレーム対応
アロマテラピーやリンパマッサージ施術には、免許や資格が法的に必要というわけではありません。
一方で「ここでマッサージを受けて、~が痛くなった。免許や資格がないからではありませんか?」などの、根拠のない理不尽なクレームをする利用者もいます。
このようなケースでは、まずとことん話し合い真摯に低姿勢でお詫びをすることが大切です。
そして最初から免許や資格がない旨を説明し、クレーム防止につなげることもポイントです。
また開業前か開業後に、なるべく免許や資格を取得することがおすすめといえます。
さらに万一幾らか支払う必要が生じたケースに備え、賠償責任保険もあります。
(2)支給申請書段取り
支給申請書には、多くの規定があります。申請書や段取りに不備があると、施術者としての信用問題にもなります。
施術そのものになるべく集中できるよう、本部や書類作成代行の専門業者へ依頼することも有効な手段の一つといえます。
(3)立地選定
顧客が来店する業種なので、場所の選択は非常に重要です。費用的に都合がつけば、駅の中や大規模商業施設内もおすすめスポットの一つといえます。
そして開業場所について、緻密なマーケティング戦略のノウハウをもっている、本部を選択することも重要です。
まとめ
ここまで、フランチャイズとマッサージについて考察してきました。
押さえておきたい点は、保健所手続きと業態や業務内容です。そして、必要免許と療養費支給申請もポイントといえます。
マッサージ業は、今後も需要が増してくるでしょう。そして高品質技術とスピーディーな対応で、利用者にとって施術者は、必要不可欠な人物になるでしょう。
精神的にも肉体的にも利用者を癒し、社会貢献にもなるマッサージで大成してください。