フランチャイズの利益率の計算方法を解説!利益率が高い傾向の業種は?

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フランチャイズ 利益率

フランチャイズオーナーとして事業を運営するのであれば、経営状態を把握することが大切です。

そのためには、定期的に利益やコストを数値化し、客観的に評価する必要があります。

これが、「利益率」と呼ばれるものです。

利益率を算出すれば、改善すべき部分を具体的に知ることができ、生き残るために運営方法を向上させられます

しかし、企業会計に不慣れだと、利益率の計算方法がわからない方も多いでしょう。

今回は、フランチャイズオーナーの経営評価に大切な利益率と、改善方法を紹介します。

投稿者・コラム執筆者

そもそも利益率とは?

事業を運営するにあたり、「利益率」は重要な指標になります。

まずは、利益率がどのようなものなのか理解することから始めていきましょう。

(1)利益率=売上に対する利益の割合

利益率とは、簡単に説明すると、売上に対して占める利益の割合のことです。

単純に計算すれば、「利益÷売上×100」で算出することができます。

例えば、売上が100万円で利益が20万円の場合、利益率は20%になります

しかし、「利益」にはさまざまな種類があるため、このように単純に算出できるものではありません。

利益率を算出するには、利益の種類について知る必要があります。

(2)利益率の種類

「利益」と一言でいっても、何をもって「利益」と呼ぶかはケースバイケースです。

そして、利益の種類によって利益率も異なります。

事業評価に用いられる「利益率」の定義は無数に存在しますが、とくに重要な利益率は以下の4種類です

  • 限界利益率
  • 売上高総利益率(粗利率)
  • 売上高営業利益率
  • 経常利益率

このように、利益率にさまざまな種類が存在するのは、事業の収支をどの観点から評価したいかによって定義が異なるからです。

これらの利益率の概要や計算方法については、次項で詳しく解説していきます。

フランチャイズで大切な4つの利益率と計算方法

前述したように、「利益率」は、何を評価するかによって「利益」の定義が異なります。

4種類の利益率と、その計算方法についてを確認していきましょう。

(1)売上高総利益率(粗利率)

売上高総利益率は、売上高総利益率では製品やサービスそのものの利益率を把握するための指標です。

売上高から売上原価を差し引いたものが売上高総利益になり、「粗利」とも呼ばれます。

売上高総利益の比率を売上方総利益率(粗利率)と呼びます

売上高総利益率の計算方法は、以下の通りです。

【売上総利益率の計算方法】

  • 売上高総利益(粗利)=売上高−売上原価(仕入原価または製造原価)
  • 売上高総利益率(%)=売上高総利益÷売上高×100

【例:売上高100万円 売上原価70万円の場合】

  • 売上高総利益率=売上高総利益(100-70)÷(100)×100
  • 売上高総利益率は30%となります。

売上高総利益率が高いほど効率よく利益を得られていることになります。

一方で、売上高総利益率が低いほど原価にお金をかけすぎており、収益性が低いということになります。

(2)限界利益率

人件費や外注費など、売上を上げるためにかけた費用を変動費と呼びます。

限界利益とは、売上高から売上に応じて生ずる変動費を引いたものです

限界利益の比率を限界利益率と呼び、限界利益率は収益性をみるための指標になります。

【限界利益率の計算方法】

  • 限界利益率(%)=限界利益(売上高―変動費)÷売上高×100

【例:売上高100万円 変動費50万円の場合】

  • (100万円-50万円)÷100万円×100=50%
  • 限界利益率は50%となります。

限界利益率が高ければ高いほど固定費を支払った後の余裕が大きく、利益が出やすいと判断できます。

(3)売上高営業利益率

売上高営業利益率は、営業活動によって得られた利益を指します。

売上高営業利益の比率を売上高営業利益率と呼びます

売上高営業利益率を算出することで、営業活動における稼ぐ力を割り出せます。

営業利益は、売上高総利益(粗利)から営業活動にかかる「販売費と一般管理費」を差し引いて計算します。

販売費および一般管理費には、以下のような費用が含まれます。

  • 従業員の給与
  • 商品などの運送に要した交通費
  • 取引サイトのやり取りに要した通信費
  • 商品やサービスの販売に要した広告費
  • 事務所の家賃
  • 事務所の水道光熱費

商品やサービスだけでは売上を上げることはできないため、商品を販売して利益を出すためにはこうした費用を含めて利益がどのくらいになったのか算出する必要があります。

【売上高営業利益率の計算方法】

  • 売上高営業利益率(%)=売上高営業利益(粗利―販売費および一般管理費)÷売上高×100

【例:売上高150万円 粗利益75万円、販売費および一般管理費30万円の場合】

  • (75万円-30万円)÷150万円×100=30%
  • 売上高営業利益率は30%となります。

売上高営業利益率が高いほど効率よく稼げているということになります。

(4)売上高経常利益率

経常利益とは、営業利益以外に発生した収益や損失を反映させた利益です。

売上高経常利益の比率を売上高経常利益率と呼びます

売上高経常利益率を算出すれば、事業全体から日常の経営経常活動によってどのくらいの利益を得られているのか把握できます。

経常利益率の計算のもとになる経常利益は、本業の利益(営業利益)に、本業以外で得た利益(営業外収益)と営業外費用を反映させて計算します。

具体的には、次のようなものが営業外収益や営業外費用になります。

  • 営業外収益

本業以外の行動によって得た収益を指します。

保有株の配当金や預貯金の受取利息、不動産の賃料などが挙げられます。

  • 営業外費用

本業の営業活動以外で発生した費用を指します。

保有株の売却損や保有株の評価損、不動産の運用費用などが挙げられます。

上記のことを踏まえ、売上高経常利益率を計算していきましょう。

 

経常利益率は、企業が事業全体から経常的に得られる利益を示す指標です。

本業の利益率が芳しくない状態でも、経常利益が高ければ、その分会社の体力が高いと評価されます。

経常利益率の計算のもとになる経常利益は、本業の利益(営業利益)に、本業以外で得た利益(営業外収益)と営業外費用を反映させて計算します。

【売上高経常利益率の計算方法】

  • 売上高経常利益率(%)=経常利益(営業利益+営業外収益-営業外費用)÷売上高×100

【例:売上高170万円 営業利益70万円、営業外収益20万円、営業外費用5万円の場合】

  • (70万円+20万円-5万円)÷170万円×100=50%
  • 売上高経常利益率は50%となります。

本業の利益率が芳しくない状態でも、売上高経常利益が高ければ会社の体力が高いと評価できます。

フランチャイズで利益率が高い業種は?

フランチャイズで経営するのであれば、利益率を高くしたいと考えることは当然です。

しかし、利益率の高さは、運営方法やビジネススタイルによっても異なります。

そのため、一概に「こうすれば利益率が高くなる」とはいえません。

運営方法などによっても異なりますが、フランチャイズの場合であれば、支出を抑えられる業種は利益率が高くなりやすいといえます。

例えば、無店舗開業や自宅開業が可能な業種や、原料費や在庫リスクが低いといった業種です。

利益率が高くなりやすいフランチャイズの業種の例としては、次のような業種が挙げられます。

  • 経営コンサルタント業
  • リペア業
  • ハウスクリーニング
  • 学習塾
  • 医療マッサージ業
  • フィットネスジム
  • 家事代行業
  • 高齢者配食業など

フランチャイズの場合、本部の方針や契約プランなども利益率に影響します

そのため、同じ業種だからとひとくくりにはできないことにも注意しなければなりません。

フランチャイズの利益率を改善する方法

フランチャイズビジネスを始めたものの、利益率が芳しくないという悩みを抱えている方もいるのではないでしょうか。

フランチャイズビジネスにおいて、利益を改善するには、どのような点を見直せばよいのでしょうか。

具体例を紹介します。

(1)製造プロセスの見直し

フランチャイズで何らかの製品を販売している場合、その製品の製造プロセスを見直すことから始めてみましょう。

商品の製造プロセスを効率化することで、コストカットが可能になる場合があります。

例えば、商品の製造や管理を、個数ではなくロットで管理すればると、材料費や人件費、電気代などさまざまなコストのを削減が期待できます

そして、コスト削減だけではなく製造プロセス自体が効率化されるため、より多くの製品販売ができるようになるというメリットもあります。

(2)販売規模の調整

フランチャイズビジネスを運営していれば、「とにかく数を売りたい」「売れないならメニューを増やせばいい」と考える方もいるでしょう。

しかし、利益率を改善するには、需要に合わせて販売規模を調整することが大切です。

売れている商品は規模を拡大し、反対に販売数の低迷している商品は生産を絞るようにすれば、売上を効率よく伸ばしてコストを抑えることができます

そのためには、商品の売れ行きを定期的に確認し、取り扱う商品の販売規模を調整するようにしましょう。

(3)販売価格の見直し

利益率には販売価格も影響するため、販売価格を見直すことも重要です。

ただし、価格を下げて販売数を増やせば良いという単純なものではありません。

売れ行きやエリアの需要、客層などに応じて、販売価格を変更することが大切です。

例えば、若年層の多いエリアでは値段が高すぎれば販売数を伸ばすことは難しいですが、客層やエリアに応じて値上げをすれば商品の価値を高められる可能性があります。

実際に、商品の価格を引き上げることで価値を多くの顧客に認知させて、売上増加に成功したケースもあります。

需要と価格付けのバランスを考え、その商品に最適な値付けを行いましょう。

(4)新規事業や商品の開発

既存の商品をずっと販売し続けていても売上を伸ばすことはできません。

そこで、新たな商品や事業を生み出すことで、さらなる需要を取り込むことのも重要です。

商品やサービスが増えれば、その分ターゲットとなる顧客層も増やすことができます。

しかし、フランチャイズの場合は本部の意向で新商品の開発ができない場合や、新商品生産のために費用を多く用意できない場合も少なくありません。

こうしたケースでは、既存の設備・スタッフ・ノウハウで対応できることを検討してみてください。

もし、既存ビジネスでは利益率アップを狙えないのであれば、新規事業の開始も選択肢の一つだといえます

(5)経費の見直し

初歩的な部分になりますが、経費の見直しも利益率の改善には大切です。

改めて経費を見直してみると、必要以上に経費がかかっている場合もあります。

そうすれば、不要な経費の支出を抑え、利益率を向上できるようになります。

具体的な例を挙げると、通信費や光熱費などは、プラン変更などを行なうことで費用を抑えられることがあります。

また、初期費用は高くついてしまいますが、セルフレジや注文用タブレットをの導入すれば、人員削減によるコストカットを期待できるでしょう。

経費を最適化すれば余分な支払いが軽減され、効率よく売上率を増加させられます

(6)時代やニーズ時流に合わせた商品・サービスの改善

以前よりも商品やサービスの売上が伸び悩んでいるというケースでは、もしかすると時代やニーズの変化時流に取り残されている可能性が考えられます。

商品やサービスの流行りやニーズは常に変化しており、一定ではありません。

そのため、定期的に商品やサービスを見直すことが大切です。

例えば、昔ながらの伝統を大切にする和菓子店で以前からあるお菓子を「インスタ映え」を意識した商品に改良をすることで、低迷していた売上を伸ばした例があります

流行や需要を敏感に察知し、商品やサービスに取り込む工夫を行ってみてください。

フランチャイズの利益率の改善で注意すべきこと

前項でフランチャイズビジネスの利益率を改善するためにできることを紹介しましたが、反対に注意すべき点もあります。

(1)過剰な経費削減は利益減少のもとに

利益率の改善アップのためにできることとして、経費の削減を思いつく方は多いのではないでしょうか。

前述したように経費削減で余分な支出を絞れば、利益率を改善できることを述べています。

しかし、過剰な経費削減は利益減少に繋がる可能性もあるため注意が必要です。

例えば、人件費を削減しようとして人員を減らした場合、必要以上に人員が余っている場合は問題ありませんが、運営に必要なスタッフを解雇すれば店舗の運営に支障をきたすようになります。

また、一方的に賃金を下げるなど過剰な経費削減を行えば、従業員のモチベーション低下を引き起こしてしまい、結果的に事業の効率が低下することに繋がってしまいます。

経費削減の目的は、あくまで「無駄を削り費用対効果を高めること」であり、事業の運営に必要な費用まで削減しないよう注意しましょう。

(2)フランチャイズの本部選び

フランチャイズビジネスでは本部ごとに方針や契約プランが異なります。

そのため、利益率が高いと考えて選んだ業種であったとしても、本部に支払うロイヤリティが高い設定の場合もあります。

とくに本部の知名度で売上を伸ばせる業態ほどロイヤリティは高くなる傾向にあるといえます。

一方で、ロイヤリティがない本部や、定額制を導入している本部もありますが、こうした本部では開業のための初期費用が高いケースもあります。

いずれにしても、業種や契約プランによってロイヤリティは異なり、ロイヤリティがなくても初期費用が高くなるケースもあるため、フランチャイズ本部選びでは利益率だけではなく将来性やサポート体制などを加味して選ぶことが大切です。

まとめ

フランチャイズオーナーに限ったことではありませんが、事業を成功させるには利益率によって事業の成績を評価することがために重要です。

定期的に利益率を計算し、自社の利益率が低い場合は改善点について検討すべきです。

無駄になっている費用がないか、対処できるポイントはないか確認することで、問題が明確になるかと思います。


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