フランチャイズの焼き芋屋の開業手順・初期費用や平均年収も解説
夕方になると、軽トラックから聞こえる石焼き芋の声に胸を躍らせて、お母さんに「買ってくれ」と駄々をこねたことが思い出されます。
そのような経験を持っている人は、非常に多いのではないでしょうか?
昔ながらの移動販売車で独特のメロディーで焼き芋を売る焼き芋屋さん。
実際に自分で開業するとき、どのくらい儲かるのか?
フランチャイズなどに加盟した方がいいのか?初期費用はどのくらいなのかといった点に非常に興味がわきます。
この記事では、石焼き芋屋さんにスポットを当て、年収や開業費用、フランチャイズに加盟したときのメリットやデメリットなどについて解説します。
目次
石焼き芋屋は今後も需要はあるのか?
昔から続いておりみんなが知っている石焼き芋屋さんですが、今後も石焼き芋屋さんは残っていく事業なのでしょうか?
それともデジタル化の流れの中、廃れていく事業なのでしょうか?
まずは今後の需要な将来性といった点について掘り下げてみましょう。
(1)流行り廃りがなく日本古来の風物詩的な役割も果たす
石焼き芋の起源は、16世紀末に中国から沖縄に伝わったものが、日本全国へ広がったといわれています。
現在のような引き売り形式になったのは昭和初期から。つまり、100年以上続いている日本古来のものなのです。
学校帰りの夕方などによく耳にしていた独特のトーン。
今でもこのトーンを耳にするこの石焼き芋屋さんは、風物詩的な役割も果たしており、今後も需要は無くならず、続いていくものと思われます。
(2)芋はビタミン類や食物繊維が豊富
芋は、非常にビタミンが豊富で健康や美容を助ける食品としても知られています。
甘いので、カロリーが高いと思われがちですが、ごはん一杯分程度のカロリーしかない上にご飯と比べると血糖値を上昇させる成分が少なく太りにくい食材です。
また、サツマイモの食物繊維も非常に豊富で、ダイエットにも効果があるといわれています。
更にビタミンが豊富と、栄養素が高い食材として知られており、健康面からも非常にメリットがある食材といえるでしょう。
フランチャイズの石焼き芋屋を開業した際の平均年収
実際に石焼き芋屋を開業した場合の年収は、どの程度稼ぐことができるのでしょうか?
多くの人が気になるところですね。
ここからは、石焼き芋屋を開業した場合の年収について解説します。
(1)売り子としてならば100万円ちょっと
開業ではなく、売り子として働いた場合の年収はあまり高くはありません。
月収で10万円前後、年収ベースでは120万円~130万円程度が相場だといわれています。
売るだけの仕事であればあまり稼ぐことはできません。
定年を迎えた高齢者などが売り子として活躍していることが多いのではないでしょうか。
しかし、逆に経営者目線で考えると、労働力が安く活用できる点は、メリットにもなりえます。
(2)フランチャイズならば300万円前後
フランチャイズに加盟して開業した場合の年収は、300万円前後といわれています。
これだけ見るとあまり高くは稼げないと思いがちです。
しかし、石焼き芋の台数を増やすことで、売り上げは大幅に上昇します。
300万円程度の稼ぎができる石焼き芋屋を、2台、3台と複数運用することで年収はさらに伸びていくといえるでしょう。
開業して半年で売り上げが好調で2台目を購入したと、実際に経験者の声としてのコメントもありますので、複数台購入で年収アップにも期待が持てます。
(3)暖かい地域より寒い地域のほうが稼ぎやすい
石焼き芋が売れやすいのは、温暖地域より寒冷地です。
暖かい食べ物ですので、寒い中ホクホクとした石焼き芋を食べるのがイメージとしてもわきやすいでしょう。
地域を寒冷地に絞って開業することで売り上げ増や年収アップにも期待が持てるといえます。
(4)複数の業種で収入アップ
石焼き芋移動車で販売する方法が一般的です。
移動車も形態を変えて販売するものを変えることも収入アップの方法でしょう。
例えば夏の温暖期には、アイスクリームやかき氷等売るものを変えることも可能です。
それぞれの売りやすい旬の時期にその食品を売ることで収入アップに期待が持てます。
石焼き芋屋をフランチャイズで開業する場合の初期費用やロイヤリティは?
やはり、未経験からならフランチャイズに加盟して開業しようと考える人も多いのではないでしょうか?
石焼き芋屋さんをフランチャイズで開業した場合、初期費用などが気になるところです。
また、ロイヤリティなどフランチャイズに加盟した場合のランニングコストなどは、どのくらいかかるのでしょうか?
石焼き芋屋をフランチャイズで開業した場合の初期費用やロイヤリティについて解説します。
(1)石焼き芋屋をフランチャイズ営業する場合の初期費用
石焼き芋屋は移動販売業ですので、店舗を構える必要がありません。
移動車の中で調理、販売しますので、軽トラックが必要になります。
軽トラックを1台100万円と考えた場合の初期費用を下記にまとめました。
軽トラック | 100万円 |
石焼き機 | 33万円 |
スピーカーやのれん等オプション | 25万円 |
初期費用としては200万円もあれば十分に開業可能なので、他のフランチャイズと比較しても比較的少額での開業が可能です。
フランチャイズに加盟する場合、フランチャイズ企業に加盟店料を支払いますが、これは、加盟店料によって様々ですので一概にはいえません。
中には加盟店料がない企業もありますので、いくつかのフランチャイズ企業を比較する必要があります。
(2)石焼き芋屋をフランチャイズ営業する場合のロイヤリティ
フランチャイズの加盟する場合、ランニングコストの中で気になるのがロイヤリティ。
ロイヤリティとは、フランチャイズ企業からさまざまな経営に関するノウハウや販売テクニックを受けることができる代わりに毎月支払う使用料と考えればいいでしょう。
ロイヤリティもフランチャイズ企業によってさまざまです。
毎月定額でロイヤリティが決まっているケースや、売上の割合に応じてロイヤリティ支払うケースなどが挙げられます。
ロイヤリティもフランチャイズ企業を選択する一つの判断基準として確認してはいかがでしょうか?
フランチャイズによる石焼き芋屋の開業手順
ここからは、石焼き芋屋を開業する場合の手順について解説します。
きちんと段階ごとにスケジュールを組むことで、早期の開業ができますので、きちんと手順を踏んで開業に進みましょう。
(1)ステップ1 車の購入、設備の設置
まずは車を購入し機器を設置しなければいけません。
フランチャイズ企業から機器を購入し設置すると販売車の完成です。
そう大きな時間も費用もかかりません。
例えば中古の車を購入したり、自分で設置したりもできるので、初期費用の抑制も可能です。
(2)ステップ2 フランチャイズ企業の選択と契約
気になるフランチャイズ企業の話を聞いてみましょう。
実は石焼き芋屋さんはそう大きな企業がフランチャイズとしてあるわけではありません。
例えば青果店の店主が、事業主というケースもあります。
逆を言えば、気軽に相談しやすいこともありますので、遠慮なく聞きましょう。
(3)ステップ3 開業
車ができればその日から販売しても構わないのが石焼き芋屋の非常に手軽な面です。
基本的には、フランチャイズ企業から機器を購入して設置すればそれだけでも十分仕事ができる設備が整っています。
売り子の声も既に準備されていますので、すぐにでも開業が可能です。
石焼き芋屋を開業する際の必要な資格や技術
運転しながら車内で火を燃やし販売するのですから、何か営業許可や資格なのではと疑問に思う人も多いのではないでしょうか ?
ここからは、開業にあたり必要な許可や資格、スタート時に必要な資格などについて解説します。
(1)必要な資格はなし、すぐにでも営業可能
例えば、ラーメン屋やたこ焼き屋ならば飲食店の許可が必要です。
また、かき氷やわらび餅の販売には喫茶店の許可を必要とします。
しかし、移動中に火を使う石焼き芋屋に必要な許可はありません。
つまり、機材を設置すればすぐにでも開業が可能で敷居が低い事業といえるでしょう。
(2)未経験者からのスタートがほとんど
ほとんどの人が未経験からスタートです。
実際にフランチャイズ企業に問い合わせる9割以上が未経験の人だといわれています。
サラリーマンが仕事終わりに副業として行っているケースや、主婦業の傍らに行っている人など、働いている人もさまざまです。まったくの未経験からでも十分勤まります。
時間の自由度も高く、夜だけの販売や冬の時期だけの販売など自分の自由に販売することが可能です。
石焼き芋屋の顧客層は幅広い
石焼き芋屋さんを行う場合には、どのような顧客層をターゲットにするかといった点も、非常に大切なポイントです。
石焼き芋の顧客層は幅広く、多くの人が気軽に利用できるファーストフード的な位置づけともいえます。
その中で最近、購入が多いのが若い女性です。なぜ、若い女性に人気となっているのでしょうか?
(1)インスタ映えで若い女性が興味
ホクホクと黄金色に輝く石焼き芋は絶好のインスタ映えする食べ物です。
近年はインスタに投稿することで人気を増す傾向も強く、インスタ映えする石焼き芋は、若い女性に人気となっています。
前述しましたが健康食品や美容食品としての役割も大きく、若い女性の顧客層を掴む要点を兼ね備えているといえるでしょう。
フランチャイズで石焼き芋屋を開業するメリット
実際に開業する場合フランチャイズを利用するかどうかというのは大きなポイントです。
ここからは、フランチャイズで石焼き芋屋さんを開業するメリットについて解説します。
(1)未経験者でもOK 調理が難しくない
前述しましたが、開業しようとしている人の相談は、全体の9割とほとんど未経験からのスタートです。
調理もあまり難しくはありません。
すでに手洗いしている芋を並べて焼くだけで、焼いた後は保温釜に入れておけばいいので少しの時間でコツもつかみやすく手軽に調理可能です。
とにかく敷居が低い点が最も大きなメリットといえるでしょう。
(2)仕入れに心配しなくていい
芋の仕入れも大きな問題はありません。
青果市場に出向き、自分で販路を確保してもいいし、フランチャイズ企業に紹介してもらうのもいいでしょう。
更には自分で芋を栽培し、販売することでコストを抑えることも可能です。
他のフランチャイズ業種と異なり、仕入れ先に自由度がある点も、メリットといえるでしょう。
(3)独特の売り子の声も準備している
石焼き芋といえば、独特のトーンから流れる石焼き芋の声を思い浮かぶ人も多いのではないでしょうか?
あんなトーンや声色で販売できないと思っている人もいるでしょうが、きちんとテープやCDが準備されています。
つまり、誰でも気軽に取り組むことができるということに繋がるでしょう。
フランチャイズで石焼き芋屋を開業する前に知っておきたいデメリット
石焼き芋屋の開業は、デメリットをしっかりと把握し対策しておくことも大切なポイントです。
ここからは、石焼き芋屋のデメリットについて解説します。
(1)夏場に売れにくい
夏場は売れにくい点が挙げられます。一年を通して安定した収入ではありません。
秋から冬に入る時期が一番売れますが夏場はどうしても売り足が鈍ります。
前述しましたが夏場は石焼き芋を変えて、かき氷販売などをしているケースも見受けられるので、夏場の業種形態も考えておく必要があるでしょう。
(2)売れ残る可能性もある
売れ残りに対する処理も悩ましいところです。
いつも商品が売り切れるわけではなく、売れ残る場合もあります。
いかに廃棄物を少なくするかも経営面では大切です。なるべく売れ残らない販売方法を確立しましょう。
(3)天候に左右されてしまう
移動販売のため、天候に左右されやすい点も注意しておきましょう。
特に梅雨の時期や、台風など災害が近づく日などは売れ行きが大幅に鈍ります。
天候に左右されるので、天気のチェックは欠かさずに、天気の状況で仕入れの数を考得る必要があるでしょう。
まとめ
日本の風物詩ともいえる石焼き芋屋は大きく形態を変えることなく、長い間移動販売の代名詞として続いている業種です。
フランチャイズで開業している人も多く、未経験でも取り組みやすい点が特徴といえるでしょう。
許可が必要ない点や、初期費用が低額で始められる点、フランチャイズとはいえ自由度が高い点も石焼き芋屋さんのメリットです。
反面、天気や季節に左右されることも多いのですが、季節ごとに販売するものを変化させたりすることで安定した息の長い経営にも期待が持てます。
石焼き芋屋さんをフランチャイズで開業することは、他のフランチャイズよりも比較的気軽に取り組むことができるといえるでしょう。