フランチャイズのハウスクリーニング開業方法・収入や失敗しないコツも解説
女性の社会進出がますます増加する機運の中、夫婦共に忙しい共働き世帯が増えてきています。
そして高齢夫婦のみや、高齢単身での一人暮らし世帯も増えています。
こういった背景があり、ハウスクリーニング需要は増加傾向にあります。
そしてこの状況で、ハウスクリーニング業開業を目指す人が、男女年齢問わず増えてきています。
一方でハウスクリーニング業経営は、洗剤に関する専門的な知識や高い洗浄技術を要するなど容易ではありません。
ですがフランチャイズ独立開業の方法を使えば、幾分か要領よく開業と運営を進められる道もあります。
今回はフランチャイズとハウスクリーニングについて、フランチャイズで開業するメリットや特殊な業務内容などに触れながら解説します。
目次
フランチャイズハウスクリーニングの収入
(1)専門技術型収入
フランチャイズハウスクリーニングで年収は、平均的に500万円程度が見込まれます。
そして800万円や1,000万円程度の、高収入を実現している加盟者もいます。
(2)家事代行型収入
家事代行型では、時給制で1時間2,000円程といわれています。
そして、時給1,200~2,000円程と打ち出しているところもあります。
初期費用とロイヤリティなどの費用
初期費用とロイヤリティ
(1)専門技術型の初期費用
250~300万円程度の傾向があり、安いケースでは200万円台前半の本部もあります。そしてオフィスや車両を調達するなら、これ以上要する時もあります。
①初期費用の内訳
初期費用については、次のような要素を含みます。
- 加盟費と保証費
- 研修費
- 掃除用具と消耗品費
- 広告費など
(2)専門技術型のロイヤリティ
月額定額制:30,000~90,000円程
売上変動制:5~17%程
ロイヤリティに加え、月額広告費がかかるところもあります。
そして開業当初で、まだあまり売上が上がらない期間に備え、生活費や運転資金の予備も準備してきましょう。
(3)家事代行型の初期費用
初期費用:40~80万円程度です。安いケースでは、10万円程度の時もあります。そして、法人契約のみのパターンもあります。
①初期費用の内訳
初期費用については、次のような要素を含みます。
- 加盟登録料
- 保証金
- 研修費
- ホームページ制作費などの販促費
- 初期機材費など
(4)家事代行型のロイヤリティ
月額定額制:20,000円程
売上変動制:5~20%程
家事代行型も、ロイヤリティとは別に月額広告費がかかるところもあります。
フランチャイズでハウスクリーニングを開業する手順
次のような、開業手順となります。
(1)フランチャイズ本部へ問い合わせ
まず、詳しい話を聞いたり加盟したりしたいと思った本部へ問い合わせをします。
(2)説明会出席
説明会へ出席し、経営方針やハウスクリーニングの事業内容を認識します。
(3)詳しい打ち合わせ
開業へ向けて、具体的な内容を話し合う段階です。次のような内容を、話し合います。
- 準備可能な自己資金
- 今までの職歴
- 今の生活状況
- 開業希望時期と希望収入
- 事業計画書など
(4)審査と契約
審査合格を経て、契約締結へと話が移っていきます。
(5)研修と開業へ向けた準備
技術や営業活動について、研修があるケースもあります。そして道具や洗剤などを調達し、開業へ向かっていきます。
(6)開業
(1)~(5)の段階を経て、遂に開業と業務開始となります。
※家事代行型も、基本的に同様の手順となります。そして法人や個人事業主での、開業手続きも必要です。
ハウスクリーニングの業務内容
(1)クリーニングする場所
次のような場所を、クリーニングします。
- 浴室
- キッチン
- トイレ
- 洗面台
- エアコン
- ベランダ
- 玄関など
(2)家事代行型と専門技術型の特徴
家事代行型と専門技術型、それぞれ次のような業務特徴があります。
①家事代行型
- 一般的に家庭で行われる、各部屋の掃除や整理整頓
- ゴミ出し
- 食器洗いと片付け
- 洗濯やアイロンがけ
- 靴磨きなど
②専門技術型
- エアコン内部の頑固な汚れ
- 洗面台の排水溝内清掃
- 壁紙の補修
- 排水パイプの交換
- 水回りの補修や補強
家事代行型と専門技術型共に、顧客が一般家庭のケースでは、掃除する場所は家の中の各部屋で同じです。
一方で、家事代行型の作業内容は一般的な家庭の掃除です。
専門技術型は、なかなか素人では短時間でうまくきれいにできないような内容です。リフォーム業者のような、業務をこなすケースもあります。
専門技術型では、次のような現場もあります。
- 引っ越しによって退去した後の、アパートの空室
- 会社のオフィスや倉庫
- 工場など
フランチャイズでハウスクリーニングを開業するメリット
ハウスクリーニングをフランチャイズで開業するにあたり、次のようなメリットが想定できます。
(1)未経験でも参入が可能
専門技術型ハウスクリーニングはもちろん、家事代行型のケースも未経験者で参入可能な本部があります。
仮に業務として家事代行型のハウスクリーニング内容を、実際にこなしたことがないとします。
一方で家事代行型と同等の業務内容をこなせる人は、少なからずいるでしょう。
このようなケースでは、潜在能力を発揮するチャンスともいえます。
(2)本部のブランド力は効果的
専門技術型の業務はもちろん、家事代行型の業務内容から少しずつ始めてみたいケースも、仕事を本当に取れるのか否か不安を抱く人は少なからずいます。
この不安に対し、大なり小なり効果の程度に違いはあっても、解消効果をもたらすのが本部の屋号を含めたブランド力です。
例えば、スマホでハウスクリーニング業者を検索し、有名な屋号をみただけで「こちらに問い合わせしてみよう」という気持ちになる傾向があります。
ビジネス一般に仕事を取る際、この一件の問い合わせを取れるだけでも大きな最初のハードルです。
(3)ビジネスノウハウ提供
ハウスクリーニング業の技術には、ある程度自信があるとします。
一方で自営業初挑戦のケースでは、会社運営面で複数の点にてスムーズに正確には進めにくい傾向があります。
この点についても、本部が丁寧に開業方法や事務処理方法などをアドバイスします。
(4)有名な洗剤や道具を使える
ハウスクリーニング業において、道具や洗剤は重要です。
仮に自力でハウスクリーニング業をしようとすると、道具や洗剤についての研究で長時間費やします。
フランチャイズでは、有名でかつ高品質な洗剤を本部から優先的に活用できるところがあります。
実際に成功した方の声
(1)自分の裁量で仕事を進められるようになったTオーナー
Tさんは前職が会社員で、帰宅時間が夜中1時2時の時が少なくありませんでした。
ハウスクリーニング業へ転身して、給料が上がったのはもちろん、自分の裁量で仕事を進められるようになったこともメリットということです。
以前よりも時間を確保できるようになったので、家族と過ごせる時間が増えて気持ちが晴れやかになってきています。
ハウスクリーニング独立は、他自営と比べリスクが少ないので開業しやすいです。
そして頑張れば頑張るほど自分へリターンが大きいのと、感謝されることも仕事の喜びの一つです。
(2)収入が前職の三倍になったHオーナー
軌道に乗り出してから、収入が前職の三倍になりました。そして、休みをどこのタイミングでどのように確保できるか、考えて選択できるようになったことも便利な点の一つです。
開業して2年程度で、初期費用を回収できたこともさらなるモチベーション材料になりました。
自営業に転身し、ハングリー精神が大きくなったことも、現状につながった一要因と考えています。
子供はこれからどんどん大きくなるので、家族のために今後もガンガン頑張ろうという前向きな気持ちであふれています。
特殊な業務内容と資格
ハウスクリーニングにおいて、次のような特殊な業務もあります。
(1)高齢者孤独死の部屋
最近社会問題としても知られている、孤独死した高齢者の人が住んでいた部屋の清掃もあります。
この清掃の中では、複数の遺品も出てくるでしょう。この遺品を買い取ってリユースしようと考えれば、古物営業法上の古物になります。
古物を扱うためには古物営業許可が必要になります。
また産業廃棄物収集運搬業許可があると、便利なケースもあります。いざリユースしようと考えたものの、やはりリユースできにくいとします。
こうなると後の費用を抑えるために、産業廃棄物収集運搬業許可が役に立ちます。
(2)長く使っていなかった空き部屋や空き家の掃除
数年間、掃除などの管理をしていなかった、部屋や空き家のハウスクリーニングをすることになったとします。
このケースでは、異臭が染みついていたりネズミなどの昆虫がいたりという状況も想定されます。
異臭除去は難しそうだけど、ネズミなどの昆虫をつかまえる程度は自力でもできそうな感じがするかもしれません。
一方で問い合わせにて口頭で「そのような業務にも対応可能です」と答えても、決定力に欠ける気もします。このようなケースで、次のような資格や登録があります。
- 建築物ねずみ昆虫等防除業
- 脱臭マイスター資格
- ハウスクリーニングアドバイザー
- 遺品整理士など
上記のような仕事を取ることも視野に入れるなら、取得や登録がおすすめといえます。
ホームページやチラシなどに、資格や登録の旨があるのとないのでは、問い合わせにつながる率は変わってくるでしょう。
ハウスクリーニング業の難点と失敗を避けるコツ
ハウスクリーニング業には、次のような難点や対応策が考えられます。
(1)想定外のトラブル
ハウスクリーニング業者は、複数のリスクに対して注意を払いながら作業を行うでしょう。
それにもかかわらずやむを得ないアクシデントなどで、トラブルの可能性があります。次のようなトラブルが、想定されます。
- 洗剤や薬剤などの想定外の影響で、壁や床などを変色させてしまった
- 掃除対象物を、破損したりキズをつけたりしてしまった
- 道具をぶつけて、お客様の家や家具などを破損してしまった
すぐにその場で、補修などの対応ができればよいです。ですがその場での対応が難しければ、弁償や信用問題にも発展する可能性があります。
このようなトラブルに対して、団体賠償責任保険の補償措置があります。
(2)仕事を取れるか否か
フランチャイズといっても、自力での営業活動も重要です。
①大口の顧客をもつ
ビジネス一般に、大口の取引先が常に複数あると繁盛につながります。ハウスクリーニングでの大口営業先は、次のような会社などがあります。
- 不動産業者
- 引っ越し業者
- 住宅リフォーム業者
- 民泊業者
民泊業者も定期的な発注を取れれば、ストックビジネスになります。不動産業者や引っ越し業者は、3月に転勤などで需要が増える時期とも考えられます。
よってこの時期に会社はもちろん、アパートなどの集合住宅にポスティングをすることも受注につながります。
②ターゲットエリアを考える
大口の顧客はもちろん、個人の顧客も大切なお客様です。比較的経済力にゆとりのある高齢者世帯への、ポスティングも集客に効果的でしょう。
高齢者世帯は役所の住民基本台帳などから、ある程度割り出せます。
一般家庭ももちろん効果的ですが、ライバルが多くポスティング費が非効率になる懸念もあります。
③家事代行型の資格
家事代行型のケースにおいても、次の資格が役立つ時があります。
- 整理収納アドバイザー
- 整理収納コンサルタント
(3)加盟先との相性
早く開業してドンドン仕事を取りたい気持ちから、本部の勧めるまま早く契約しようと考える人もいるでしょう。
契約決定時には「もっと事業計画や審査が厳しいかと思ったけど、意外にスムーズにいったね」という気持ちにもなるでしょう。
一方で本部によっては洗剤を決められていて、実際に開業してみると他の洗剤の方がよかったという事態もあります。
ですが契約により洗剤を変えることもできなければ、解約もできないのです。
このような事態にならないように、次のような考慮点が重要です。
- 自分はどのような客層を、ターゲットとしていきたいのか
- 月そして年額で、どれくらい稼いでいきたいのか
- 最初は何の分野のハウスクリーニングで、スタートダッシュをしたいのか
- ゆくゆくは何の分野の業務内容に、発展させていきたいのか
- 本部の事業方針に、納得がいくか否か
- 契約書は、納得がいくものかなど
できれば契約書については、士業者かハウスクリーニング事業経験者にも分析してもらいたいものです。
まとめ
ここまで、フランチャイズとハウスクリーニングについて考察してきました。
押さえておきたい点は、ハウスクリーニングの業務内容とフランチャイズによるメリットです。そして、特殊な業務内容と資格もポイントといえます。
ハウスクリーニング業界は、まさに成長産業といわれています。在庫リスクがないことも、特徴の一つといえます。
フランチャイズで独立開業を成功し、収入を含め、豊かな人生を満喫ください。