フランチャイズのホテル客室清掃業の年収は?効率的に進めるコツも解説
訪日外国人観光客の増加傾向にも関わらず、ホテル業界は人材不足に悩んでいるところもあります。
客室清掃にまでなかなか十分に手が回らず、客室清掃の外注にも需要があります。
この客室清掃需要の中、ホテル客室清掃業開業を志す人も増加傾向にあります。
一方でホテル客室清掃業は、短時間で徹底的にきれいにする必要があるなど、容易ではない業種です。
ですが、フランチャイズ加盟開業によって、より効率的な清掃方法を習得できるなど、難点を乗り越えやすい方法もあります。
今回はフランチャイズとホテル客室清掃業について、ホテル客室清掃業の特徴や、難点と失敗を避けるコツなどに触れながら解説します。
目次
フランチャイズのホテル客室清掃の年収
フランチャイズのホテル客室清掃は、年収500万円以上稼ぎやすいといわれています。
そして受注件数を増やせたり、効率的に従業員と共に働いたりすることができれば、年収600万円以上を目指すことも可能です。
また日常清掃に加え、定期清掃や設備点検などもこなせれば、1,000万円の可能性もある業種といえます。
自分のペースで営業を進めているケースでは、400万円程度の場合もあります。
高収入を目指すためには、以下のような点を心がけるとよいでしょう。
- 自分の得意分野顧客を、なるべく早く確保する
- 月単位や数か月単位でスケジュールを考え、清掃作業の段取りを組んでおく
- 最初は本部とも相談して仕事量を調整し、着実に業務要領を覚える
- 機材や洗剤の特性や用途を勉強し、作業をより効率的に進められるようになる
- 仕事の幅を広められるように、スキルを習得する
- 従業員教育やペアの組み方などについて、本部に相談する など
初期費用とロイヤリティなどの費用
(1)初期費用
初期費用として一般的に、140~160万円程度、要する傾向にあります。
フランチャイズビジネスの中では、比較的リーズナブルな初期費用といえます。
自宅での開業も可能なので、物件取得に要する費用もかかりません。
【初期費用内訳】
- 加盟費
- 研修費
- ユニフォーム費
- 機材や洗剤費
- 研修時交通費 など
掃除機や備品などの調達は、契約先ホテルが決まってからでも可能なところもあります。
(2)ロイヤリティ
変動制:5~10%程となっています。
ロイヤリティは、本部による営業であったり加盟者による営業であったり、その形態によって比率そのものが変わるところもあります。
ホテル客室清掃業の特徴
ホテル客室清掃業には、次のような特徴もあります。
(1)業務時間帯
業務時間帯は基本的に、午前9時、10時〜午後3時ごろまでの傾向にあります。
チェックアウト時間から、次のチェックイン時間までに行います。
(2)業務内容
ホテル客室清掃業には、次のような業務内容があります。
①日常清掃業務
- ゴミ回収とゴミ出し
- ベッドメイク
- トイレや浴室清掃
- ガラス窓拭き
- 客間と浴室の備品補充 など
②定期清掃
- カーテン清掃
- 床面ワックスがけ
- エアコン洗浄
- 照明器具清掃
- カーペットクリーニング など
次のような業務を、請け負うところもあります。
③設備点検や建物保全
- 害虫駆除
- エレベーター点検
- ボイラー点検
- ホテル設備点検
- 水質チェック など
(3)清掃道具
清掃道具としては、次のようなものがあります。
- ほうき
- モップ
- 掃除機
- ぞうきん
- 細かな道具を収納する腰袋
- 水回り消しゴム
- 強電解水 など
※水回り消しゴム
水回りの強固な汚れを落とすための、消しゴムのこと。
※強電解水
水道水を電気分解することにより、より汚れを落ちやすくする水のこと。
(4)マッチングアプリ
今はホテルと清掃業者を結ぶ、スマホアプリも存在します。
ITコンサルティング会社も、ホテル客室清掃業を注視しています。
客室清掃業に向くタイプ
客室清掃業には、次のようなタイプが向きます。
(1)1人での作業が苦にならない
ホテルの客室清掃業では、1人で黙々と清掃作業をこなしていく時もあるので、長時間1人でいることが苦にならない性格も適します。
(2)効率的な方法を模索する
限られた時間内に細かな部分まで、仕上げる必要があります。
フランチャイズ本部も技術指導はするでしょうが、実際の清掃現場は技術指導で完全にカバーできることだけではない可能性もあります。
よって自分なりに、より効率的な方法を創ろうとする姿勢も必要です。
(3)イメージ力
慣れない清掃現場や初めての現場では、目指す仕上がり状況をイメージすると、手順を考えつきやすいです。
このように、きれいな光景のイメージ力もより活きます。
(4)細かい部分にも気付ける
清掃業務内容には、浴室のタオルセットなどもあります。
例えばタオルセットなどでは、タオル1枚1枚を、端同士が重なった状態で掛けるなど、細かい部分への配慮も重要です。
(5)コミュニケーションが好き
業務中にはホテル側の人と、様々な会話をする場面もあるでしょう。
業務に関する内容や他愛もない日常会話も含め、軽やかに会話をできるコミュニケーション力も大切です。
(6)事務作業も苦ではない
経営者になるので、経理段取りやパソコン操作もあります。
経理やパソコン操作に関する内容は、正確さや地道さが関係することもあります。
よって事務作業にも抵抗なく対処していきたいものです。
フランチャイズによるホテル客室清掃業開業の手順
(1)資料請求と説明会
まず資料を取り寄せて、説明会に出席をします。
そして、フランチャイズビジネス方針や清掃業務内容を理解します。
(2)申込み
加盟希望者は熟慮し、加盟を希望するケースでは正式な申込をします。
人数が限られている時もあるので、早めの行動も重要です。
(3)契約締結
審査を経て、加盟と契約締結となります。業務開始へ向けて、具体的に準備が進んでいきます。
(4)研修
本部によって期間は異なり、10日や45日間などの研修をするところがあります。
そして研修はホテルで行い、ホテル宿泊費は本部が負担するところもあります。
(5)開業と営業
(1)~(4)の段取りを経て、開業します。そして本部のサポートも受けながら、顧客開拓に取りかかります。
(6)ホテル契約と業務開始
ホテルと、清掃整備業務契約を締結します。そして機材や洗剤などを調達し、ホテル客室清掃業務が開始となります。
フランチャイズでホテル客室清掃業を開業するメリット
フランチャイズのホテル客室清掃業では、次のようなメリットもあります
(1)営業サポートと年間契約
営業活動は、本部がサポートします。そしてホテルとの契約そのものは、本部がするところもあります。
よって加盟者は清掃業務そのものや、清掃スキルアップに集中できやすいです。
また1つのホテルと年間契約をするところもあるので、年間のまとまった収益計算をすることが可能です。
(2)各々のエリアに本部を置く
全国展開するホテルでは、清掃業へ望む内容もエリアによって、多様な可能性があります。
一方でフランチャイズでは、エリアごとにフランチャイズオフィスを設けているところもあります。
よって、フランチャイズ本部側がよりスピーディーに対応できやすいともいえます。
(3)未経験も参入可能な可能性
本部が充実した、清掃業務そのものの研修を準備しているところがあります。
よって本格的にホテル客室清掃業を、経験したわけではない人にも参入可能なケースもあります。
ホテル客室清掃業とはいえ、業務内容にボイラー点検がある時もあり、異業種の経験が活きる可能性もあります。
(4)運営ノウハウの提供
仕事が多くなってくると、従業員も雇用するでしょう。
そして自営業になるので、経理業務もこなす必要があります。
一方でこのような業務内容は、不慣れなうちはなかなか要領よくは進めにくい傾向もあります。
ですがフランチャイズでは、従業員管理や経理業務のノウハウをアドバイスします。
(5)機材アドバイス
ホテル客室清掃業にとって、機材は非常に重要です。
一方で特に開業当初などのケースでは、リーズナブルながらも高品質の機材が欲しいものです。
フランチャイズでは長年の経験で培った知識により、よりピンポイントな機材アドバイスができる傾向にあります。
(6)業務量を選択可能
フロア単位での受注、つまり例えば全7フロア中、1フロアや2フロアなどの規模で受注可能なケースもあります。
よってまだ業務要領にそこまで慣れていなくても、仕事に取り掛かりやすいともいえます。
次の内容は、ホテル客室清掃業一般についてもいえます。
(7)オフィスと在庫は不要
自宅開業が可能なところもあるので、月額固定家賃がかかりません。
そして販売用の在庫を抱える必要もないので、在庫リスクもありません。
よって、より収益を確保できやすいです。
(8)性別は問わない
極端に力を求められる業務ではないので、男女問わず大いに働ける業界です。
フランチャイズでホテル客室清掃業を開業するデメリット
フランチャイズのホテル客室清掃業には、次のようなデメリットもあります。
(1)会社の新規事業で参入した際の経理の段取り
会社の新規事業で参入し、決算と税金などの都合上、加盟者としては請求と入金のタイミングを調整したいとします。
ですがフランチャイズ本部からこの旨を承認されないと、デメリットといえます。
(2)本部の仕事を優先する必要性
口コミで広がり、時には本部の営業以外にも、仕事が入ってくる可能性もあります。
一方で同時に本部からも仕事が入ってくると、口コミで得られた仕事に待ってもらうか、または断る必要が出てくる場合もあり、不便となります。
(3)清掃方法で困惑
幾分か清掃業やそれに類似した業務経験があるとします。
そして自分なりの清掃方法を、習得しているとします。
ですがフランチャイズでは、本部の清掃方法に絶対的に従う必要があるところもあります。
ホテル客室清掃業の難点と失敗を避けるコツ
(1)効率的に汚れを落とす
多い時には1人で1日の作業制限時間内に、10から20部屋こなす必要がある時もあります。
そして、汚れを効率的に落とす必要もあります。このためには、適した洗剤の使用も重要です。
よってオキシドールやアルコールなど、特殊な洗剤や薬剤についても早めに用途や使い方などに慣れておきたいものです。
例えば、洗剤が固い汚れに浸み込んで落ちやすいように、最初に噴射しておくことも有効な方法の1つといえます。
(2)細かい汚れを見落とさない
ホテルでは例えば、テーブルの上に細い髪の毛1本でも残っていたら、客からホテルへのクレームの元にもなる可能性があります。
それほど細かい部分まで求められる傾向もあります。
細かな部分を見落とさないコツとして、本部とも話し合い自分なりの拭き方や順番などを、確立しておくこともおすすめといえます。
自分の方法を確立できると、ゆとりができより目が行き届くようになります。
そしてチェックリストを作成し、1つ1つチェックしながら進める方法も効果的です。
(3)浴室清掃
浴室はせっけんの泡などが残っていて、落とすためにはより時間がかかる傾向もあります。
そして、シャワーカーテンでは菌も繁殖しやすいです。
よってまずはシャワーカーテンの状態チェックと、交換や処置も重要です。
次に浴室の壁については上からお湯や洗剤などを流し、細かい部分には歯ブラシなどを使うと、落としやすくもなります。
(4)ベッド周辺
ベッド周辺では特に髪の毛などをはじめとした、体毛も落ちやすいです。
掃除機をかけることはもちろん、ローラーで強力粘着テープを使って、細かい毛も迅速に除去することが大切です。
(5)体力
ホテル客室清掃では、基本的にずっと立ちっぱなしで動いています。
よって基本的な健康管理はもちろん、腰痛や重いものをもったときに、体のあちこちを痛めないように注意が必要です。
できれば本部に、もち方や運び方のコツも習っておきたいものです。
(6)トラブル
特殊な洗剤を使うことで、ホテルの壁が変色したり破損したりしてしまう可能性もあります。
この事態を避けるために、機材や洗剤などの注意点を、本部より念入りに教わっておきたいものです。
(7)従業員管理
従業員を雇うと、ペアで作業をしてもらうこともあるでしょう。
ペアでの作業になると、業務の効率化の良し悪しだけでなく、相性の問題で業務がスムーズに進まない時もあります。
よって時間がある時に、どのような組み合わせがうまくいきそうなのか、実際の業務を想定して話し合いをしておくことも重要です。
まとめ
ここまで、フランチャイズとホテル客室清掃について考察してきました。
押さえておきたい点は、ホテル客室清掃業の業務内容や難点と失敗を避けるコツです。
そして、客室清掃業に向くタイプや、フランチャイズで開業するメリットもポイントといえます。
客室清掃業のテクニックを必要とする、ホテルは数多くあります。
清掃技術を磨き、効率的な方法も考案し、1つでも多くのホテルをきれいに清掃なさってください。