フランチャイズビジネスがうまくいかない原因は?失敗する人と成功する人の違いも解説
フランチャイズビジネスには、ブランド本部のサポートを受けられることから、単独で開業する場合と比べ、さまざまなメリットがあります。
しかし、いかに本部のサポートがあるといっても、あくまでオーナーは個人事業主です。
ときには、失敗して事業をたたまなければならないこともあります。
では、フランチャイズオーナーとして事業を運営するにあたり、どのようなポイントで失敗してしまうのでしょうか。
ここでは、フランチャイズビジネスがうまくいかない場合の「あるある失敗ポイント」と、対策のためにチェックすべき要点を紹介します。
目次
フランチャイズビジネス失敗の理由となる4つの壁
フランチャイズビジネスが失敗する理由は人によってさまざまですが、多くのケースで壁となる共通のポイントが存在します。
それぞれ詳細を見てみましょう。
(1)思うように売上が伸びない
「売り上げが伸びず、結果として利益が出ない」という問題は、多くのフランチャイズオーナーが抱える問題です。
売上から発生する利益は、事業の体力そのものです。
赤字の状態が続くと、仕入れの支払いや人件費が捻出できなくなります。
こういったケースでは、いかにして商品・サービスを認知してもらい、多く売るかが課題となります。
(2)従業員の採用・定着が難航する面
スキルを持った従業員の採用ができない場合や、採用した従業員が定着しないのも「あるある」失敗例です。
事業の規模に対してスタッフの数が不足すると、店舗の運営やサービスの提供に支障をきたします。
売上に影響しますし、オーナーの労働時間が過大になる点も懸念されます。
スタッフの不足は、賃金アップによって解消できることもありますが、賃金が原因ではない場合も多いです。
安直な賃上げではなく、多角的な方面から原因を探る必要があります。
(3)不利な環境に置かれている
時流や競合店の出現など、外部環境の問題から不利な局面に立たされることもあります。
たとえば、競合店が自分の店舗より価格を抑えて商品を提供していると、顧客がそちらに流れてしまうことがあります。
また、トレンドの変化による顧客の減少が売上を左右することもあるでしょう。
こういった場合、自店ならではの商品や、時流に流されず安定した需要の見込める商品を開発することで、売上を安定させられることがあります。
(4)フランチャイズ本部とのトラブル
フランチャイズ本部とのさまざまなトラブルの発生により、事業運営の悪影響が出ることもあります。
具体的に見られる事例として、以下の点でトラブルに発展するケースが散見されます。
- 本部からのサポートが不足している
- 本部からの一方的な解約など理不尽な要求を突き付けられる
- 店舗の裁量が認められない
- 本部が契約に関する情報を開示しない
こういったトラブルを避けるには、加盟前の契約内容の精査が必要です。詳細は後程詳しく紹介します。
フランチャイズビジネスがうまくいかない原因は?
フランチャイズビジネスがうまくいかない原因は、事業主によってさまざまです。
フランチャイズビジネスでよく見られる、共通の失敗原因を見てみましょう。
(1)経営の課題が明確化できていない
そもそも、経営の課題が明確でなく「なぜうまくいかないのか分からない」というオーナーが一定数存在します。
事業のどの点に問題があり、その原因が把握できなければ、対策を打つのは難しいでしょう。
たとえば、単に「利益が伸びない」という悩み一つにつけても「従業員不足によるオペレーションの悪化」「原価が高く売上が利益に繋がらない」など、さまざまな理由が考えられます。
まずは「どこに問題があり、どうすれば改善できるのか」を明確にしましょう。
(2)オーナーの知識・経験が不足している
フランチャイズ特有のトラブルとして散見されるのが「開業したは良いが、業界・業種への知識と経験が足りず事業がうまくいかない」という問題です。
フランチャイズは、ブランド本部のサポートありきの開業形態のため、未経験者でも開業できるのが強み。
しかし、全くの未経験の場合、事業運営に必要なスキルが不足することもあります。
とくにリペア業など技術が必要な業種では顕著であり、ときにはサービスの質にも影響を及ぼす場合があるのです。
多くのフランチャイズブランドでは、未経験者のオーナーに向けて研修を用意しています。
研修の期間と内容は十分か検討し、必要に応じて自分でもスキルアップするようにしましょう。
(3)市場の需要に対し適した供給ができていない
市場の需要に対し、適した商品・サービスを十分に供給できていない場合、売上が伸び悩むことがあります。
フランチャイズビジネスでは、提供する商品やサービスは、ブランド本部が考案・開発したものを利用できます。
一定の品質は担保されていることがほとんどですが、提供方法や仕入れ量などは、ターゲット層の需要に合わせて調整する必要があります。
たとえば二郎系ラーメンの店であれば、量が多く脂っこいラーメンが主流となるため、客層は男性が中心となるのが一般的です。
女性客を取り込み売上を伸ばしたいのであれば、低カロリーのメニューの提供や入りやすい店づくりなどの工夫が必要となるでしょう。
「どのような商品を売るのか」のほかに「どう売るのか」も重要なポイントです。客層に合わせた売り方を考えてみましょう。
(4)広告・宣伝が不足している
広告・宣伝が不足しており、事業の認知度が低い場合も、売上が伸び悩むことがあります。
フランチャイズ元で、ある程度店舗の宣伝を打ち出してくれる場合がありますが、それだけでは不十分なことも多いです。
こういったときは、店舗独自の宣伝活動も必要です。
店舗の宣伝には、ポスティングやティッシュ配りなどおなじみの方法のほか、インターネット広告の掲載やSNSの活用など、さまざまな選択肢が存在します。
客層と予算合わせた媒体を使ってみましょう。
経営状態を好転させるには?
フランチャイズビジネスがうまくいかない場合、状況を好転させるにはどうすればよいのでしょうか。
ここでは、主な改善策を4種紹介します。
(1)各種帳票・記録から経営状態を評価する
うまくいかない経営状態を立て直すには、まずどこに問題があるのか把握しなければなりません。
そこで、経理の各種帳票や店舗運営の記録を確認してみましょう。
これらは情報の宝庫であり、問題発生の原因を探るヒントが隠れています。
「売上に対する原価率が高すぎる」「そもそも来店数が少ない」「投入している人件費に対してオペレーションが悪い」など、さまざまなことが分かります。
事業運営を評価するには、帳票から算出できる「利益率」が大きな助けとなります。
以下の記事でも紹介していますので参考にしてください。
参照:フランチャイズの利益率の計算方法を解説!利益率が高い傾向の業種は?
(2)フランチャイズ本部に相談してみる
事業運営で行き詰まり、自分だけでは解決が難しい場合、フランチャイズ本部に相談してアドバイスを受けるのも一つの方法です。
経営のノウハウや他店の改善例などを活用し、解決策を提案してくれる場合があります。
ここで大切なのが、経営状態悪化の原因を自分なりに分析してから、相談を持ち掛けることです。
「売上が伸びない」「従業員が定着しない」などざっくりとした相談では、原因が絞り込めずアドバイスが難しいことがあります。
(3)支出を見直す
経費や原材料費など、支出を見直すことも、利益率向上に繋がります。
たとえばリースで使用している機器は、リースではなく中古品を購入することで、長期的には支出を抑えられることがあります。
材料の仕入れ先を変更したり、取扱量を変更したりすることで、コストを抑えられることもあるでしょう。
支出面で無駄となっている費用はないか、一度確認してみることをおすすめします。
(4)資金を追加投入する
状況改善のため、設備の追加や人員の確保が必要であれば、資金を追加投入するのも選択肢の一つとなります。
自己資金の用意が難しいのであれば、融資や助成金の申請も検討してみましょう。
ただし当然ながら、融資を受けると利息と返済金の支払いが発生します。
資金を投入した以上のリターンが見込めるのか、滞りなく返済できるのかは慎重に検討しましょう。
助成金や融資に関しては、以下の記事でも紹介しています。参考にしてください。
参照:開業資金の融資(借入)はどこが良い?日本政策金融公庫や銀行などの調達方法
フランチャイズ本部との間に生じる典型的なトラブル
フランチャイズ本部と、次のようなトラブルがあり得ます。
(1)開業前サポートが十分でない
全体説明会や本部のホームページでは「充実したサポートを細部まで提供します」といった旨を伝えるところがあります。
一方で実際開業に進むと、加盟者の都合に沿ったタイミングや要領でのサポートができないケースがあります。
具体的には、加盟金を支払ったにも関わらず「開業できない、開業が遅れる」といった事態まであります。
本部はしっかりしていても、担当者が精通しておらず技量が十分でない可能性もあります。
(2)本部が一方的に都合を押し付ける
本部の想定したロイヤリティが達成できていないなどといった理由で、一方的に解約を求めるケースがあり得ます。
一方で加盟者としては「本部の想定した収益シミュレーションに基づいて契約及び加盟した、休みなく仕事もしている」という、いい分がある可能性があります。
仮に解約したとしても、競業避義務により起業再開できない不都合も想定できます。
(2)自分たちの裁量を認められない
フランチャイズ本部の考え方が、必ずしも加盟者の顧客に適するとは限りません。
一般的に考えれば、商品そのものにしても提供方法にしても、供給する側が随時改良し対応する必要があります。
一方でフランチャイズのケースでは、本部の規定があり自分たちが考えた通りにできないことも考えられます。
(3)本部が情報を開示しない
加盟者が状況を分析し、改善のために何らかの情報を教えてくれるよう本部へ尋ねるとします。
ですがフランチャイズ本部によっては「本部の守秘義務があるので」などと口実をつけ、情報を開示しないケースもあります。これでは状況改善できにくいです。
フランチャイズビジネスで成功する人と失敗する人の違い
フランチャイズビジネスで失敗する要因は人によりさまざまですが、成功する人と失敗する人には、命運をわけるいくつかの要素があります。
例として、代表的なものを4種紹介します。
(1)資金にゆとりがあるかどうか
資金のゆとりは、事業成功の命運を分けるカギとなるポイントです。
事業において、資金力は継続のための体力そのものです。
運転資金に余裕があればあるほど、設備投資や赤字の補填、人員の追加など、経営状態改善のための対策を打てます。
資金のゆとりを生む方法として「事業を始める前に貯蓄を多めに用意する」ことをイメージする人も多いでしょう。
もちろんこの方法も有効ですが「運転資金が少なく済む業種を選ぶ」「経費は必要最低限に絞る」といった手段で資金を確保することもできます。
(2)経営について相談できる専門家がいるかどうか
開業したてのフランチャイズオーナーは、多くの場合経営の専門家ではありません。
事業を運営するにあたり、自分ひとりでは判断できない局面にも多く出くわします。
こういった場面で、相談できる専門家がいるかどうかは重要なポイントです。
フランチャイズ本部に相談するのも良いのですが、本部が最優先するのは、あくまで「自社の利益」です。
ときには、オーナーのためになるアドバイスができないケースもあります。
そのため相談先としては、必要に応じて弁護士や税理士、中小企業診断士など、外部の専門家が良いでしょう。
(3)加盟の可否を慎重に検討しているかどうか
契約後のフランチャイズ本部とのトラブルを防ぐには、加盟の可否を慎重に検討しなければなりません。
加盟先の評価もそこそこに、契約を急いでしまうと後悔する可能性があります。
加盟前には、フランチャイズ本部との契約内容と、本部から受けられるサポートの内容をしっかりと確認しましょう。
ロイヤリティなど月額費用のほか、解約条件や店舗の裁量の程度などは重要な項目です。
また、契約内容がフランチャイズ本部にのみ有利な内容になっていないかもチェックしてください。
本部の判断で「無条件に解約可能」と解釈できる条項が設けられている場合などは要注意です。
事業運営に問題が発生した場合の相談先
事業運営に関しては、公的機関や団体に相談することも可能です。
以下の団体では、事業運営に関する相談や支援、セミナーの開催などを行っています。
(1)一般社団法人日本フランチャイズチェーン協会
日本フランチャイズチェーン協会は、フランチャイズビジネス業界産業のがスムーズに健全なに発展進展を目的とし、するよう経済産業省に承認された社団法人です。
フランチャイズチェーン協会では、フランチャイズビジネス運営のための、さまざまなセミナーを開催しており、たとえば以下のような講座が存在します。
- フランチャイズ独立・開業&事業多角化セミナー
- 今だから知っておきたい!SNS炎上危機管理セミナー
- フランチャイズ・ビジネスセミナー本部構築講座
講座は多岐に渡り、会員以外が受講できるものも多いです。事業運営に役立つものも多いため、ぜひチェックしてみてください。
(2)商工会議所や中小企業庁
商工会議所や中小企業庁では、中小企業の経営課題についての相談や支援対策を行っています。
たとえば商工会議所では、弁護士や税理士などといった専門家による無料相談会を開催しています。
中小企業庁では、資金調達や支援や各種情報提供などの相談窓口支援などがあります。
経営に行き詰っている場合はぜひ相談してみてください。
(3)公正取引委員会
フランチャイズ本部とトラブルに発展した場合、公正取引委員会に相談できることがあります。
たとえば、フランチャイズ本部が、契約に関する重要事項を開示しない場合などです。
こういったケースでは独占禁止法に抵触する可能性があり、公正取引委員会から指導してもらえることがあります。
公正取引委員会では、契約にあたって情報開示が必要な内容について、ガイドラインを設けています。こちらも確認してみましょう。
まとめ
フランチャイズビジネスがうまくいかない原因は、人によってさまざまです。
まずは、自分の場合はどこが問題なのか、原因を明らかにし、対策を練ってみましょう。
今回紹介した内容も参考にしてください。
しかし、多くの場合フランチャイズオーナーは経営のプロではないため、自分ひとりでは判断や対策ができないこともあります。
こういった場合は民間の専門家や公的機関の助けも得られます。
こちらも検討してみてください。
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